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八風山・物見山・熊倉峰・荒船山 [上信越]

2010/05/15(土)

■第174回 : 八風山(1315m)・物見山(1375m)・熊倉峰(1234m)・荒船山(経塚山(1422m)


広大な頂上部が平べったい形をしている荒船山は、その独特の異様な山容から「航空母艦」と評されることの多い山です。
長い行程にはなりますが、八風山から物見山を経て荒船山まで縦走する、かつてのクラシックルートで歩いてみました。

 累積標高差(登り):1580m / 距離:22.7km / 歩行時間:6時間0分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:9時間30分 

(往路)
古淵 04:45-05:17 東神奈川 05:18-05:20 横浜
横浜 05:25-05:52 東京 06:24-07:31 軽井沢
軽井沢 07:40-07:55 八風湖分岐点(自由乗降:馬取バス停と上発地バス停の中間地点)

(登山行程)
上発地(八風湖分岐点) 08:00
八風山        09:00-09:10
香坂峠        10:00
物見山        10:20-10:35
物見岩        10:55-11:00
熊倉峰        11:40-11:55
内山峠        12:10
トモ岩展望台     13:10-13:25
荒船山(経塚山)    13:50-14:10
荒船不動       14:45-15:45
初谷バス停      16:20

(復路)
初谷 16:57-17:24 中込 17:34-17:45 佐久平
佐久平 17:54-18:50 大宮 19:01-19:29 新宿
新宿 19:41-20:16 町田 20:45-20:59 長久保


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

軽井沢駅から、町内循環バス(南軽井沢線)に乗って上発地へと向かいます。この路線はレトロなボンネットバスで運行されていました。
途中から自由乗降になるので、馬取バス停と上発地バス停の間にある、八風の郷別荘地や八風湖への入口となる三叉路で降ろしてもらいます。
八風湖の手前まで歩くと、浅間山がスッキリと見えてきました。

八風湖の先で十字路を左折した後、大平林道に入ります。かなり荒れていて、倒木の下をくぐったりしていきますが、歩く分には問題のない道でした。
妙義荒船林道に出るとすぐに「八風山登山道入口」の標識が現れて、歩きやすい登山道を登っていくと八風山の頂上に到着しました。
周囲を囲むササが、頂上部だけ広く刈られていて、まるで芝生広場のような居心地の良い空間です。榛名山や赤城山の向こうに、まだ雪化粧のままの谷川連峰や日光連山が並ぶさまが素晴らしく、妙義など西上州の山々も指呼の間でした。

八風山から物見山へは、歩きやすい道が続きます。どこまでも自然林が続く道はとても気持ちが良く、ほかに誰も歩いていないのが勿体なくて仕方のない気分でした。矢川峠や香坂峠を通過しつつ、ぐんぐん歩いいきます。
物見山に到着すると、八風山でも見えていた北東方向の展望に加えて、八ヶ岳もすっきりと見えるようになっており、さらに浅間山の左には北アルプスの峰々もずらりと見えていました。
でも惜しいのは、すぐ下に広がる牧場からの上昇気流に乗って、ウ★チ臭が漂っていることです。どんなに景色が良くても、ここで気持ち良くお食事、というのは絶望的に不可能かと思われます。

物見岩は物見山のすぐ先ですから、景色は物見山と似ていますが、北アルプスはより広い範囲が見えるようになって、八ヶ岳の左には中央アルプスらしき白い峰も顔を出していました。

物見岩から内山牧場へ下った後、熊倉峰の登山口までの間は、まともな案内が全くありません。地図を見ながら進んでいきますが、道も荒れていました。この区間を歩く人は少ないようです。
途中ではこんな所を入っていくことにもなりました。

熊倉峰への登山道まで来ると、また明瞭な道となります。ササが茂る中を急な登りをこなした先が、熊倉峰の頂上でした。
樹林に囲まれていて、地面もササ原に覆われた、パッとしないピークです。荒船山の絶壁も間近に迫っていますが、それも樹林越しにしか眺められませんでした。

でも熊倉峰を越えて、1つ先の小ピーク付近まで来ると、あまり樹木に邪魔されずに荒船山を拝める場所が見つかりました。

内山峠の駐車場に下ると、そこには空の車がズラリと並んでいました。ここまで長い間ずっと、誰にも会わずに静かに歩いてきましたが、ひとたび荒船山への道に入ると、この先は次々に人とすれ違うようになります。
最初アップダウンの多かった道は、修験道場跡の岩窟を過ぎると本格的な登りとなります。そして岩っぽい斜面も現れて急登が始まり、それが収まったと思ったら、そこはもう頂上台地の一角でした。

急に平坦になった道をさらに進むと、トイレ付きの東屋の前に出て、左へわずかに出れば、そこがトモ岩展望台です。
大絶壁を前にして、手すりも何もなく、足がすくんで下を覗くこともできませんが、正面には雄大な展望が広がっていました。

上信越方面の山々に関しては、八風山からここに至るまでの間に、あちこちのピークから眺めてきたものとあまり変わりはありません。
しかし北アルプスは、見える範囲が格段に広がっていました。ここには展望図もあり、それによれば槍ヶ岳や白馬岳まで見えることになっています。でも残念なことに、午後に入ってさすがに北アルプスほどの距離になるともう鮮明さはなく、ひと目で槍と分かる顕著な突起を見分けることはできませんでした。

トモ岩展望台から、航空母艦の甲板上を南下していくと、そこは必ずしも真っ平らではなく、小さな起伏のある道となっていました。台地上は意外と自然豊かで、気持ちの良い森の中を、ちゃんと水が流れている小さな沢を渡ったりもしながら進んでいきます。
さすがに荒船山最高点の経塚山へは、しっかりとした登りがありましたが、それも短い間で終わって、経塚山の頂上に到着です。

経塚山は周囲を木々が取り囲んでいて、頂上部は細長くて狭く、10人も集まればかなり混みあった印象になってしまいそうです。
展望も樹木の間からが主体となりますが、唯一スッキリと見られる方角では、奥秩父あたりの山並みの上に南アルプスが顔を出していました。白い峰が少し離れて2つ見えていて、右側はその形から甲斐駒ヶ岳に違いないので、すると左側はたぶん北岳あたりでしょうか。

経塚山の直下まで来た道を戻ってから、星尾峠・荒船不動の標識に従って左に下っていきます。
黒滝山歩道への分岐を見送り、さらに星尾峠で南牧村への道を分けると、あとは荒船不動への1本道。緩やかな傾斜で、良く歩かれている感じの、歩きやすくて良い道が続きます。鮮やかな新緑の中を歩けるのもとても爽やかな気分でした。
ごく一部に不安定な箇所もありましたが、そこは昨年の復旧時に修復された箇所だったようです。

荒船不動には、初谷からのバスの時刻にかなりの余裕を持って着きました。そこで、境内で昼食用に持ってきたパンを食べながら、ゆっくりと1時間ほどくつろいでいきます。その間、小さなお堂と、ささやかですが小奇麗に花などが咲いているお庭には、ずっと静かな時間が流れていました。

荒船不動から下る車道は、下り始めて間もないところから、舗装されたばかりのきれいな道に変わっていました。すぐ脇を流れる沢の護岸や堰堤もすべてが真新しく、あたり一帯が大規模に工事された様子なので、ここも3年前の台風後に修復されたものと思われます。
その後かなり下って、ポツポツと住宅などが出てくる中に入っても、通りががる人も車も数えるほどしか見ない、閑散とした雰囲気の中を歩き続けて、初谷バス停に向かいました。

タグ:西上州
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コメント 4

ぴすけ

初めてコメントを差し上げます。
常日頃からホームページを拝見し、cellistさんの歩きっぷりに感服しています。また、私もたまにずるをしますが(タクシーを利用したことが、過去に2回)、公共交通を利用して山歩きをしておりますので、大いに参考になります。

さて、こちらで紹介されている八風山~物見岩~荒船山のクラシックルートは、私は山男だった父(1934年生まれ)から仕入れました。父の世代には西上州の展望抜群のルートだったようですが、近年は歩く人も少ないようですね。私が歩いた時は、前年の台風の被害もあって、とても荒れていました。
昭文社発行の『山と高原図』でも、'07版にはこのルートが紹介されていましたが、'11版からは消えてしまいました。残念です。
こうしたクラシックルートをcellist山のような方が歩き、紹介してくださっていることを、とても嬉しく感じております。
これからも、Cellistさんの山行記事を楽しみにしております。
by ぴすけ (2011-10-19 22:40) 

ぴすけ

cellistさん、そしてこちらのブログにいらしている皆様に、お詫びと訂正をしなければなりません。私の書き方が悪く、『山と高原地図』からルートが消されてしまったと驚かしてしまったようで、ごめんなさい。
地図にはルートが残っています。地図の付録冊子で紹介されている、いわば「推奨ルート」から外された、というのが正しい書き方でした。
こんなところで粗忽者の本領を発揮してしまい、申し訳なく思っています。

『山と高原地図』の'11版付録冊子では、神津牧場へのアプローチも、下仁田からバスに乗り、終点・市の萱で下車すれば、舗装道路ながら歩いていけるのですが、「タクシーかマイカー利用となる」と紹介されています。残念です。
by ぴすけ (2011-10-24 09:16) 

cellist

コメントありがとうございました。

山の雰囲気にどっぷりと浸かるのが好きなので、少し長めのルートを歩くことが多く、荒船山に登るのならば八風山から縦走したいと思っていました。
この日は荒船山でしか人を見かけなかったので、仰って下さった通り、今となってはこのような歩き方をする人は少ないようですね。

すごく歩き心地の良いルートだったので、1人で静かに歩けたことが嬉しかった反面、もったいない思いも持っています。
頂上を目指すばかりで、歩くこと自体を楽しむ、という人が減ってしまったのでしょうか。

ところで私は'07版と'10版の『山と高原地図』を持っていて、それを参考にしましたが、こんな好ましいルートが消されてしまったとしたら一大事と、昨日書店で'11版を確認してきました。
一応、私が歩いたルートに関しては、これまで通りに赤線で描かれていたのでホッとしたのですが、このエリアでどこか消えてしまったルートがあるのですね。
せっかく登山人口が増えているというにのに、画一的なルートを歩く人ばかりになって、その一方で廃れていくルートがあるのは寂しいことですよね。

私は比較的マイナーなルートを歩くことも少なくないので、これからも時々古めかしいルートをご紹介できると思います。ぜひまたご覧下さいませ。
別途、ぴすけさんのブログもご紹介頂きましたので、私も折に触れて立ち寄らせて頂きます。

by cellist (2011-10-22 09:26)
(↑当初の投稿日時は上記ですが、リンク先修正のために後日投稿し直しました。このため本来の投稿順序とは違う位置に入っています。ご了承下さい)
by cellist (2012-01-09 10:12) 

cellist

ぴすけさん、こちらこそ早合点してしまったようで、失礼いたしました。
最初に頂戴したコメントを改めて読み返してみますと、「紹介」が消えているというニュアンスにきちんとなっていましたし、さすがにルート自体が消されてしまうような事態になっているのなら、もう少し違った書き方をなさっただろうと、今になって思い至っております。

ところで先週は、安達太良山に行ってきました。ぴすけさんがかつて歩かれたルートを逆に辿ったような形になっています。
公共交通利用でしかも縦走となると、やはり起点と終点のどちらかを野地温泉にせざるを得ない感じですよね。
それにしても、1日2本のバスが昼前後に集中していて使いにくいことといったら。おかげで最後は日没との競争となってしまいました。。。

by cellist (2011-10-24 21:15)
(↑当初の投稿日時は上記ですが、リンク先修正のために後日投稿し直しました)
by cellist (2012-01-09 10:14) 

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