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櫛形山 [南アルプス]

2012/10/05(金)

■第237回 : 櫛形山(2053m)・裸山(2002m)


なんと今年は、10月に入って、ようやく初の2000m峰です。標高差・距離ともに大きなルートで、久々に山をガッツリ歩きました。また今回は、会社の休日を利用して、数年来温め続けていた計画をついに果たしてきました。というのも、櫛形山山麓では近年、バスの運行縮小が相次ぎ、今年中に登っておかないと、来年にはバスが消えてしまうかもしれないと危惧していたのです。

身延線の車窓から見た櫛形山。和櫛の背のように、丸みを帯びた形の長い頂稜部が特徴です。

ところでこの日は、日曜日に台風が日本列島を縦断した直後。山梨県は進路の直下にあたり、登山道への影響が心配でした。しかも、その後の平日は殆ど歩く人がいなかった模様で、ネットにも情報はなく、現況が分からないまま当日を迎えることになります。できれば週末を1度見送って、その間に登った人の記録を確認してからにしたかった所ですが、貴重な平日休みを利用する計画のため日程をずらせずに強行したのでした。

結果的にこの日も、登山者は全く見掛けませんでしたが、その代わり登山道整備の方々を複数見掛けています。恐らく翌日からの週末に備えて作業をされていた様子で、おかげで私も、多くの場所で問題なく歩くことができました。普段からこのような方々のおかげで、安全かつ快適に山を歩けているということを、改めて感謝しなければと強く思いました。

 累積標高差(登り):1381m / 距離:17.0km / 歩行時間:5時間50分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:6時間35分 

(往路)
[前日] 古淵 17:50-18:15 八王子 18:19-18:27 高尾
    高尾 18:45-20:19 甲府(泊)
[当日] 甲府 06:25-06:44 市川大門 → 徒歩で青柳車庫まで移動(約40分)
    青柳車庫 07:38-07:52 平林

(登山行程)
平林バス停   08:00
氷室神社    08:30
ほこら小屋   10:15-10:25
櫛形山     11:00-11:20
裸山      11:50-12:05
アヤメ平    12:20-12:30
みはらし台   13:15-13:25
北伊奈ヶ湖   14:15-14:40
上市之瀬バス停 15:30

(復路)
上市之瀬 15:49-16:40 甲府 17:27-18:31 八王子
八王子 18:39-19:02 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

市川大門駅に着いたら、まずはひと仕事。バスに乗るために、約4km離れている乗り場まで小1時間歩くのです。
普通ならタクシーを呼んで、乗ったら登山口まで行ってしまうのでしょうが、ポリシーを貫くとこうなってしまいます。
その移動中に富士川大橋を渡ります。正面にそびえているのが櫛形山ですが、少し雲が出てきたようです。
中腹のあたりに大きな集落が見えていますが、これから登るバスが、そこまで上がってくれるのです。


ここが富士川町営バスの「青柳車庫」バス停。幹線道路沿いで、良く目立っていたので、すぐに分かりました。
ネット上の古い記事では「ローソンの前」とされていましたが、そのコンビニは中華料理店に変わっていました。


バス、というか、10人乗りのワゴン車に揺られて、終点の平林で下車します。やっとこの日の登山の始まりです。
車道を歩いて平林集落上部のY字路まで登ると、案内板の矢印は左折を示していますが、ここは右折のはず。でも少し考えて、左折はもっと上の登山口まで車で入る人への案内だろうと納得しました。徒歩なら右折、地図を見ながら歩くのは大切ですね。


平林集落の最上部に達すると、さらに上にある氷室神社への参道が始まります。
並木の間に石段が長く続いて、ちょっと荘厳とした雰囲気です。
この石段で100m以上を登るのですが、足を攣りまくった先週の教訓があるので、ここは努めてゆっくりと登りました。
氷室神社の境内に着きました。かなり大きくて、立派な神社です。
山中の神社にしては広い境内で、池では水車が回っていました。
池には先日の台風で飛ばされてきた枝葉が大量に浮いたまま。お掃除はきっと週末のお休みに行われるのでしょうね。


氷室神社の脇から、櫛形山の南尾根登山道が始まります。頂上までは4時間と案内されていました。
登り始めて間もなく伐採地に出ると、樹木がないだけに景色が開けて、富士山まで見えていました。
ただし南尾根登山道は展望のない樹林の中にほぼ終始して、展望が楽しめたのはこの1箇所だけでした。


南尾根登山道の下部は、植林の中の道がずっと続きます。面白味はありませんが、大きな段差のない歩きやすい道です。
そして、意外なことに台風の影響が全く感じられず、登山道上はこのようにとてもきれいでした。
林相が豊かになってくるのは、しばらく登ってからでした。このあたりまで、引き続き歩きやすい道が続きます。
あとで他の箇所の状況と比較できるようになって気付くのですが、ここまでは平日の間にかなり整備されたのでしょう。
ところが途中で林道を横断すると、その先で状況は一変。台風で舞ったらしい小枝などの散乱で歩きにくくなります。
それでも、よけて通るような太い幹や、またぎ越すような倒木がないことから、いくらかは人の手が入ったようでした。


歩き始めて2時間と少々、登ってきた標高差が1000mを超えたところで、祠頭と呼ばれる地点に到着です。
平坦地が広がって、心休まる雰囲気でした。
傍らには「ほこら小屋」が建っていて、中に入って少し休んでいきます。左下の小さな建物はトイレです。
「ほこら小屋」の内部の様子。とても綺麗に使われていて、気持ち良く過ごせました。


台風後、頂上部まではまだ人の手があまり及んでいない模様で、さらに登ると道が不明瞭になっている箇所も。
この分岐点などは、頂上への道を倒木が完全に塞いでいて、それを乗り越えてから写真を撮ったところです。


今日は足が攣らないように、いつになくゆっくり登ってきましたが、それでもバス停から3時間で櫛形山の頂上に到着。
もう少し先の三角点ピークを頂上とする解釈もありますが、私は最高点を頂上としているので、ここで登頂とします。
さまざまな標識や標柱が賑やかに立っていました。展望はないものの、美しい森に囲まれて雰囲気は良かったです。
ところでこの頂上では、チェーンソーなどを手に、登山道の整備をされている5人ほどの方々が休憩中でした。
私が休憩している間に、私が登ってきた道に向かって作業を始められたのですが、休憩を終えた私がその後を追うようにして来た道を引き返すと、先程とは見違えるように歩きやすくなっていました。重機を担ぎ上げて作業をされるこのような方々の存在があって、登山道が良好な状態を維持できていることに、もっと感謝しなければいけませんね。


櫛形山から20分ほど歩いて裸山の頂上直下まで来ると、保護柵に囲まれた一帯がありました。
櫛形山にはかつて、東洋一と言われたアヤメの大群落がありましたが、シカによる食害で10年ほど前から激減し始め、急速に壊滅状態にまで追い込まれました。現在はこの保護柵の中で僅かに見られるのみという、惨憺たる状況のようです。
保護柵には、いくつか四角い小さな窓が開けられています。柵の外から花の写真を撮れるようにとの配慮でしょう。
でも今の時期は、もちろん花らしい花はほとんど見られませんでした。


裸山の頂上は三角点があるだけ。広さもほとんどなく、この写真が頂上のほぼ全景という具合でした。
裸山からは雲海の上に顔を出していた富士山が見られました。
ほかにも展望が開けている方角はありましたが、見られるはずの山はほとんど雲の中で、この日の展望は今ひとつです。
さすがに先程までいた櫛形山は、近いだけに良く見えています。そしてその方向からは、チェーンソーの音がしきりに聞こえていました。先程お会いした方々が精力的に整備を続けて下さっている様子です。


裸山から少し下って、アヤメ平まで来ました。ここにも、ごく小さいですが保護柵で囲まれた一角があります。
アヤメ平にも避難小屋がありましたが、中の様子を覗こうにも、扉の滑りが悪く、いくら力を込めても全然開きません。
開いたは良いが、今度は閉められない、となると目も当てられないので、そこそこのチャレンジですぐに諦めました。
アヤメの壊滅以降、訪れる人の数も激減したと聞きますが、アヤメなんかなくても、十分に魅力的な景色ではありませんか?


アヤメ平からは、北尾根登山道を下ります。
少し進むとすぐにフェンスと扉が現れましたが、良く見るとフェンスがあるのは左側だけで、右側は自由に通れます。
近くにはロール状に巻かれたネットが置かれていたので、これからフェンスを伸ばしていくのでしょうね。
そしてすぐに、このように石がゴロゴロした歩きにくい道に変わります。急な箇所も時折出てきて足元注意でした。でも今回は、登り以上に下りをゆっくり歩くことが最重要テーマだったので、少し歩きにくいくらいで丁度良かったかも。
かと思えば、木段になっている箇所も多かったです。
北尾根登山道の上半分は、歩きにくい石ゴロ道か、煩わしい階段道のどちらかがずっと続いていました。


北尾根登山道も途中で林道を横断しますが、横断点のすぐ上には「みはらし台」がありました。
見えていたのは、左半分が金峰山・国師ヶ岳あたり、右半分は大菩薩嶺・小金沢山といったあたりで、眼下は甲府市街。
ここには展望図もあって、分かりやすかったです。(拡大した画像はこちら)


林道の横断後、登山道は最悪の状況に豹変します。台風で飛ばされた大量の枝や葉が、もう登山道を埋め尽くし放題。
ここから先は、台風の通過後に全く人の手が入っていないことが一目で分かりました。これまでに歩いてきたほかの箇所も、きっと台風通過直後はこんな様子だったに違いなく、改めて整備の有り難さを思い知りました。
枝が邪魔で、足の置き場を選びながらでないと歩けない状況が、登山口に下るまで(私の足で約30分)ずっと続きます。
途中には1度だけ、このように倒木が完全に道を塞ぐ箇所があって、安全な迂回路もないので、少々難儀しました。
これまでにも悪路を歩いたことが数々あって、もっと酷い状況も見てきたので、このくらいはまだ想定内の範囲でしたが、普通の登山道しか歩いたことのない人だったら、面喰らって引き返すしかないのではと思われるほどの有様です。


やっとの思いで林道に降りたら、次は北伊奈ヶ湖へ向かいます。車道を歩くつもりでしたが、それではあまりに大回りになるので、近道がないかと探していると、この案内図の地点から分かれる遊歩道を発見します。まさに渡りに船でした。
その遊歩道は、ウッドチップが厚く敷かれたフカフカの道で、踏みしめる柔らかな感触がとても気持ち良かったです。


北伊奈ヶ湖に到着しました。平日だからか静かな湖畔でしたが、釣りを楽しんでいる人をちらほら見掛けました。
北伊奈ヶ湖の先は、「山と高原地図」では車道を大回りしてバス停まで1時間ですが、直線距離はずっと短いのです。
なので各種地図を元に、途中2箇所で近道の存在を考えていたものの、ネットには情報が乏しく、本当に短縮できるかは不明でした。
そこで、まず湖の東端に行ってみると、期待通りに分岐点があり、この標識が分岐先を「至:市街地」と案内していたので、まず1箇所目の近道は存在確定です。時間に余裕が持てそうだと分かって、湖畔での休憩を少し長めに決めてゆっくりしていきます。


最初の近道を進むと、すぐに別の標識があって、進行方向を「獅子岩遊歩道を経て南アルプス市街へ」としていました。
どうやら2箇所目の近道もちゃんと存在し、「獅子岩遊歩道」という名前まで付いているとは、頼もしい情報です。
ろくに歩かれていない様子の近道では、時々クモの巣に道を塞がれましたが、それ以外の問題はなく一旦車道に出ます。
次に探すべき獅子岩遊歩道は、最初の近道の出口(写真上)のすぐ隣にありましたが、進行方向が期待とは全く違います。
変だと思いつつ、標識の案内を信じて進んでみますが、5分経っても進路が変わらず、深入りせずに引き返すことに。
標識が誤情報を提供するとは酷い話で、帰宅後に「獅子岩遊歩道」を検索するも情報皆無。一体どこへ通じていたのか。


仕方なく、2箇所目の近道を諦めて車道を進むと、すぐに、ガードレールが途切れた所から分岐する山道を発見します。
何も案内はないのですが、まさに車道をショートカットする方向に伸びていて、これが進むべき道だと確信しました。
でも、1箇所目の近道以上に歩かれていないらしく、クモの巣攻撃が激しくて不快だった上に、かなり荒れていました。
ここで車道に出てきましたが、驚いたのは、こちら側からは、これが伊奈ヶ湖への道だと案内されていたことです。
きちんと案内するには、いささか整備不良ではないでしょうか。
それにしても、こんな駐車場も何もない所から始まる道を、一体誰が歩くのだろうと思うのですが、その割には道が不明瞭にならない程度に歩かれているのが意外でした。まぁ、そのお陰で私もどうにか歩いてこられたわけですが。


目論んでいた2箇所の近道を順調にクリアして、最後はこんな車道でバス通りを一直線に目指します。
ゴールの上市之瀬バス停に到着。長い行程だったことに加えて、台風で大荒れの道の突破や、あるかないか分からない近道の探索など、普段と違う要素も満載で、結構盛りだくさんの山行でした。かつて1日10本以上あった甲府駅への路線バスも、現在は僅かに4本。午後はなんと15:49発だけで、その1本を待ちます。
バスを待つ時間が少しあったので、すぐ近くにある妙了寺の境内で、ベンチに腰掛けて足を休ませていきます。
鎌倉時代に日蓮の弟子が開いたという大きなお寺で、広々とした境内は桜の名所になっているようです。

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