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明神ヶ岳 [箱根]

2015/12/27(日)

■第315回 : 明神ヶ岳(1169m)


この日の行先は、箱根外輪山の明神ヶ岳です。
今回で4度目の登頂となりますが、登り下りともに登山地図に載っていないコースを選んだので(だから歩くのはどちらも初めて)、大いに新鮮味が感じられる山行となりました。

登りに選んだのは、かつては登山道だったようですが現在はすっかり廃れていて、整備不良の箇所やヤブ漕ぎの箇所をしばしば通過していく、山歩きに慣れた人向けのコース。ですから全く人気(ひとけ)がありません。
もう一方の下りも、一応道標が最低限の案内をしていたので、登山道として現役のようではありましたが、あまり一般的なコースではないためか見掛けたハイカーは1人だけです。
稜線上に出て一般登山道を歩いている間だけは、さすがに次々とハイカーに出会っていますが、大半の時間を過ごした登り下りの道では、とても静かな山歩きを楽しめました。

 累積標高差(登り):755m / 距離:10.0km / 歩行時間:3時間15分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
北ひろば前 06:42-06:54 町田 06:55-07:48 小田原
小田原 08:10-08:44 宮城野

(登山行程)
宮城野バス停 08:45
旧登山口   09:15
稜線分岐点  10:10
明神ヶ岳   10:45-10:55
林道横断点  11:40-11:45
最乗寺奥の院 12:05-12:15
最乗寺    12:20-12:30
道了尊バス停 12:35

(復路)
道了尊 12:40-12:50 大雄山駅/関本 13:00-13:21 新松田
新松田 13:23-14:03 相模大野 14:25-14:40 市営斎場入口


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

小田原駅からバスに乗って、宮城野で下車します。箱根登山鉄道の終点・強羅駅からも歩ける距離で、そうしたほうが安上がりなのですが、歩き始める時間に30分以上の差が出るので、先着できるバスのほうを選びました。
坂道を登って、明神平の別荘地に入ります。目指す山道への入口は、この別荘地の一番奥に。
  ※下の写真にマウスを乗せると、現在地や経路などを示します。
道の両脇には企業の保養所や別荘が立ち並び、とても閑静な雰囲気です。
結構な登り坂が続きます。この車道歩きの間に、バス停から200mもの標高差を登ってしまうのでした。
別荘地の一番奥に到着。ここが山道への入口です。
かつてはここに登山口を示す道標が立っていたらしいのですが、撤去されたのか見当たりませんでした。
冷え込みが弱く風も穏やかで、真冬らしくなかったこの日、たっぷりの日差しを浴びれば暖かさが勝ります。
登り坂で身体も温まっていたからと、ここで脱いだジャケットは、下山するまでもう出番がありませんでした。


山道に入ります。どれだけ歩かれている道なのかが全く不明なのを不安に感じていたところ、意外にも刈り払いされていて明瞭だった入口付近の様子を見て、少しホッとしていたのですが‥‥。
刈り払いされていたのは入口付近の短い間だけで、道はすぐに笹ヤブに埋もれてしまいました。
地面には踏み跡が明瞭に付けられていて、道の続きを見失うことはなく、今でもそこそこ歩かれている様子なのは心強いのですが、最初からこんな調子では先が思いやられます。
10分ほど続いたヤブっぽい道を抜けて植林地に入ると、ようやくスッキリと先が見通せる道になりました。
とはいえ所々で路面が荒れていて、通過に注意を要する箇所がありますし、そうでなくても決して歩きやすい道ではありません。途中には全く道案内もありませんから、山歩きに慣れた人向きだと思います。
ただ、1本道で紛らわしい分岐がなく、道に迷う心配はほとんどなさそう。時折立っている保安林の標識が良い目印になりますし、数は少ないながら、要所にはテープも付けられています。道迷いが起きるとすれば、枯れ沢による分断で道の続きが分かりにくかった何箇所かですが、そんな地点ではテープの存在が頼りになりました。


不意に前方を塞ぐロープが現れて、通行止めかと一瞬焦りましたが、林道工事に伴う迂回路への誘導でした。
なお、この案内図では、現在歩いている道が「登山道」と表記されていたので、今でも一応は、登山者が歩く道として認知されている模様です。
迂回路を進んでいくと、間もなく林道に上がりました。左手には山道の続きも見えています。
ところが、この迂回路の続きが酷い状況でした。満足に歩けたのは、ここに写っている十数段の木段の間だけ。
その先でいきなり激ヤブに突入すると、凄い密度の笹で道の続きが定かではなくなり、繁茂した笹に押し返されることもしばしばで、思うように前に進めません。もう廃道と呼ぶほうが良い位のトンデモナイ有様でした。
登山口で遭遇したら登山を100%断念するほどの激ヤブですが、ここまで来てしまっているのでもう突破せざるを得ず、仕方なく観念して身体ごと笹を掻き分けるようにしながら、少しずつ前に進みます。
ところが、5分ほど続いた激ヤブとの格闘は、右下から急に現れた明瞭な道であっけなく終わりを告げました。


もしやと思ってその道を下ってみたら、すぐに難なく先程の林道に下りられるではありませんか。しかも、下る人にはこちらの経路がちゃんと案内されているのです。なぜ、登る人への案内だけ不親切だったのでしょうか。
登りの場合、林道に出合ったところで、案内に従って正面に見えている木段を登ってはいけません。林道を少し右手の方向に進んで、やがて左手に現れるこのスロープを登るのが正解。ここは道案内の改善を望みたいです。
その後はさしたる障害もなく、割と順調に登っていきます。登山口以来、ずっと一貫して緩やかな傾斜が保たれていて、楽に登れる道でもありましたが、尾根に近付いて九十九折りが始まると、やや傾斜が増していきます。
そして再び笹ヤブが濃くなって、その中を漕ぐようにして行くと、間もなく‥‥。
一般登山道が通っている尾根上に出ました。
歩いてきた道を振り返ると、「ここから先は森林作業道です。ハイキングコースではありません。」とのこと。確かに危険な箇所こそありませんでしたが、整備不良の道を歩いた経験がない人には厳しい道だろう思います。
なお、登山地図にはこのコースに相当すると思われるグレーの破線が記載されていますが、その破線路が上部で尾根筋を進むようになって小ピークに登り詰めているのに対して、実際には尾根筋を歩くことはなく、最後までずっと沢筋を進んで、地形図に958mの標高点が打たれている鞍部に出ています。


尾根上を通っているのは箱根外輪山の縦走路。ここからは一転して、整備された歩きやすい道に変わります。
そして、ここまで全く登山者を見ずに来ましたが、この先では次々に登山者とすれ違うことになりました。
今シーズン初めて、霜柱を踏みしめて歩く、冬の山らしい感触を味わいます。
ただ、冷え込みが厳しく風も強く吹いて寒いという予報に、霜柱が固く凍り付いたままの状況を期待していたのでしたが、実際にはこの暖かさに随所で融けていて、ぬかるんで歩きにくい箇所も少なくなかったです。
上空は良く晴れていたのですが、周辺には雲も多く出ていて、楽しみにしていた展望はスッキリとしません。
金時山(中央やや左寄りの丸いこんもりとした頂上)の右上に見えるはずの富士山も、この通り雲の中で、辛うじて右側の裾野が少し見えているだけでした。
下る予定にしている、最乗寺奥の院への道の分岐点まで来ました。稜線に出てからも200mほど登り続けてきましたが、ここまで来れば明神ヶ岳とほぼ同じ標高になっていて、あとは頂上まで平坦な道を往復するだけです。


明神ヶ岳に到着しました。地面は霜融けによるぬかるみでグジョグジョになっていて、歩く場所を選びます。
ここまで多くの登山者とすれ違ってきたので、てっきり頂上も賑わっているかと思いきや、意外にも先客は単独行の若い男性1人だけ。少しお話ししたのち、彼が先発してしまうと、しばらく頂上は独占となりました。
この写真の方向に見えているのは、箱根最高峰の神山と駒ヶ岳なのですが、頂上部に雲がかかってスッキリしない眺めです。でも中腹までは良く見えていたので、噴火警戒レベルが1に引き下げられたものの、現在もなお立入規制が続く大涌谷付近で、活発に噴気が上がっている様子が良く分かりました。
富士山も、相変わらず雲に覆われて残念な眺めで、クッキリと見えている金時山と対照的でした。
パッとしないながらも、全く見えていない訳でもなかったので、一応は展望写真を撮っておきました。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真は こちら です。
頂上ではさすがに風が冷たかったものの、登りで身体が温まっていたためか、短時間ならばフリース姿のままでジャケットを羽織らなくても普通に過ごせます(フリースの下がブレスサーモの2枚重ねではありましたが)。
そうして10分ほど経った頃、南北両方からそれぞれ登山者が現れて、独占状態は解除されます。元々見飽きないような展望に恵まれていた訳でもなく、それを潮時に、身体が冷えないうちにと下山を始めることにしました。


先程の分岐点に戻る間も、景色が開けるたび富士山の方向を窺いますが、雲が晴れる気配はありませんでした。
最乗寺奥の院への分岐点まで戻って来ました。
ここから分かれるのは、一応ちゃんとした道標が示しているコースなので、一般登山道だと言えると思うのですが、なぜか「山と高原地図」にはずっと載っていない道なのです(上部はグレーの破線すら書かれていない)。
最乗寺奥の院へ下る道は、とても緩やかな傾斜で始まりました。心配していた霜融けの影響も皆無で歩きやすく、「なんだ、結構いい道じゃないか」と思ったのでしたが‥‥。
次第に深くえぐれた道に変わり、段差の大きな箇所や、倒木などが煩わしい箇所などが頻発して、全然リズミカルに歩けません。どうやらこの道、あまり整備されていない様子です。
かつて、かなり盛んに歩かれたからなのでしょう。粘土質の土壌がV字状に深くえぐられて、溝が狭いために歩きにくいこともしばしばで、雨後などにはさらに滑りやすさも加わりそうです。
今以上に洗掘が進んでしまうと斜面崩壊すら招きかねないため、登山者の通行を抑止するために、敢えて登山地図への掲載が見送られているのではないかと推測していますが、本当のところはどうなのでしょうか。
歩きにくい道は結構長く続いて、ようやく穏やかな道になったのは、20分ほど下った頃でした。
一旦穏やかな道に変わると、以降はなだらかな道がしばらく続いて、鼻唄混じりでも歩けそうなほどでした。
林道を横断する地点まで来れば、奥の院までの2/3ほどを下り終えていて、先が見えてきた気分になります。
さらに送電線鉄塔の真下をくぐれば、登山道も残すところはあと10分ほどです。


最乗寺奥の院に到着しました。最乗寺の本堂があるエリアからは、まだ100mほど高い場所になりますが、ここまで訪れてくる観光客の姿も少なくないため、あたりはすっかり観光地的な雰囲気に変わっています。
その100mほどを、この急な石段で下ります。
観光客の皆さんは一様に息を切らして登って来ていましたが、これは登山者にとってもきついでしょうね。
石段を下り終えて振り返ると、その高さは絶望的にすら見えました。これを登るのは間違いなく大変だわ。
最乗寺のメインエリアに入ると、まずは御真殿の前を通って行きます。
御真殿の脇には、夫婦和合の高下駄が多数奉納されていました。これなどは人の背丈ほどもある巨大な物です。
結界門をくぐって出てきたところです。ここから先が浄域とされることを示す門なのに、その向こう側から出てくるだけというのが何とも中途半端な感じでした。
こちらは多宝塔。六百余年の歴史を持つ曹洞宗でも有数の寺院だけに、30余棟に及ぶ堂塔は全てが立派でした。
境内も広くて、ぐるっと回るだけでも結構な時間がかかり、ようやく本堂の前へ。
三百畳の広さを持つ壮大な本堂は、昭和29年再建という新しい建物ながら、日本の伝統的な禅宗寺院建築の特徴を踏襲しているとのこと。私は詳しくありませんが、設計を担当したのは仏教建築家として多くの実績を持つ伊藤忠太氏で、築地本願寺や湯島聖堂も氏の設計によるものだとか。
広い境内から離れても、厳粛な雰囲気に満ちた参道が続きます。
三門も実に荘厳で堂々としたものでした。
さらに参道を歩いて、茶屋の前を過ぎたところに「道了尊」バス停がありました。
ここからバスを2本乗り継いで、小田急線の新松田駅に向かっています。

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