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美ヶ原(茶臼山・王ヶ頭・王ヶ鼻) [八ヶ岳とその周辺]

2016/08/07(日)

■第331回 : 美ヶ原(茶臼山(2006m)・王ヶ頭(2034m)・王ヶ鼻(2008m)


昨年、一旦は公共交通による日帰り登山が難しくなってしまった美ヶ原ですが、今年になってその状況が改善されたので(昨年までの状況を詳しく知りたい方は、 昨年の記事 で)、早速訪ねてきました。
美ヶ原は、バスで労せずして頂上台地まで上がれてしまいますが、登山気分をしっかり味わうべく、前回(2008年に1度登っているのです)と同様にバスを途中で降りて、それなりに自分の足で登るプランとしています。

標高が2000mそこそこということで、さすがに登っている最中は暑さがかなり身体にこたえたりしましたが、頂上台地まで上がると、そこには予想外の涼しさがあって驚きました。気温が期待以上に低かった上に、心地良い風がずっと吹いていて、日差しの下で歩き回っても全く汗をかかされないのです。
頂上台地いっぱいに緑の草原が広がる、深田久弥が著書「日本百名山」で、『さあ、どこでも勝手にお歩きなさい、といった風に』と記した伸びやかな風景を、思いのほか快適なコンディションの中で堪能してきました。
(台地上の草原は牧場になっていて、牛が思い思いに草を食んでいた。後方は頂上の王ヶ頭)

 累積標高差(登り):773m / 距離:11.5km / 歩行時間:3時間15分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:4時間30分 

(往路)
古淵 06:43-07:06 八王子 07:29-09:42 松本
松本バスターミナル 10:35-11:34 三城

(登山行程)
三城バス停 11:40
広小場   12:05
茶臼山   13:10-13:20
美しの塔  13:55-14:00
王ヶ頭   14:30-14:40
王ヶ鼻   14:55-15:15
美ヶ原自然保護センターバス停  15:40

(復路)
美ヶ原自然保護センターバス停 16:30-17:45 松本駅(アルプス口)
松本 18:35-20:35 八王子 20:44-21:06 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

この日は松本でも30度以上の最高気温が予報されていましたが、松本駅に着くと思いのほか涼しくでホッとしました。やはり東京とは違いますね。
駅前のバスターミナルに移動して、美ヶ原高原美術館行きのバスを待ちます。8月上旬の2週間だけという、超季節運行のこの路線、ついに昨年からは運行回数まで1日1往復に減ってしまって、もはや風前の灯火ともいうべき状況です。でも、この日の乗客は30人くらいはいたので、需要はあると思うんだけどなぁ。
乗客の大半は往復割引乗車券を持っていたので、終点の美術館付近だけを散策してすぐに戻るプランなのでしょう。でも私がそこまで一緒にバスで上がってしまうと山登りにならないので、途中の三城バス停で下車します。
バス停の目の前にはきれいな水洗トイレがあって、有難く利用させて頂きました。


道標に従って進むと、バス停前からすぐに山道が始まります。
しばらくは緩やかな登りが続きます。時刻はすでにお昼前ですが、元々が涼しい上に、森の中で道がずっと木陰になっているので、このあたりでは楽に歩けました。下山するランナーさんと時々すれ違いながら進みます。
美しい森の中に続く、とても気持ちの良い道です。
やがて小さな沢の近くを進むようになり、所々で沢と絡んだりして、いっそう涼やかでした。
分岐点の広小場は、草原状の小さな広場。ここだけ空が大きく開けていました。


頂上台地に直行する百曲り経由の道を分けて、ここから茶臼山コースに入ります。
すると、傾斜が一気に2段階くらい上がります。沢沿いから離れて、風が通らない場所も多くなり、暑さとの戦いが始まりますが、でも頂上まで登っても標高2000mそこそこなので、ある程度の暑さは織り込み済みでした。
茶臼山への道はあまり歩かれていないのか、草深い区間や、道が崩れかけて歩きにくい箇所があったりします。苔生した岩の上を縫って歩くような滑りやすい箇所もあるなど、あまり下りには使いたくない道でした。
茶臼山コースに入ると、全く人と会わなくなりました。百名山にしてその静けさは、とても心地良かったです。
森の美しさは相変わらずで、苔生して緑に染まる綺麗な場所もあり、暑ささえ我慢すれば気持ち良く歩けます。
最上部で、頂上を目前にして迂回させられるトラバース区間に入ります。ここではしばしば笹を漕ぐ羽目になるのが煩わしく、しかも少し長く続くので、早くここから抜けてくれと、そればかり念じながら歩く具合でした。


茶臼山に到着しました。すでに午後1時という時間のためか、先客が1人だけという静かな頂上です。そして、ついさっきまで風が通らない森の中で暑さに苦しめられていたのに、開けた頂上に出た途端に別世界にでも入ったかのようで、一気に涼しくなりました。少し強めに吹いていた風も、とても爽やかです。
美ヶ原自体は良く晴れていたのに、周辺には雲が多くて、開けていた東側を見ても浅間山や八ヶ岳などの姿はなく、比較的近くの霧ヶ峰ですら霞んで辛うじて見えていたに過ぎません。その状況はこのあと王ヶ頭に行っても変わらず、日本百名山の41座までを見渡せるとも言われる絶好の展望を楽しめずに終わったのは残念でした。
(下の写真にマウスを乗せると山名ガイドを表示します)


茶臼山は美ヶ原頂上台地の南端にあり、あとはもう頂上台地を歩くだけですが、美しの塔や王ヶ頭などがある核心部へ向かうには、一旦少し下って登り返す形です。行く手にやや遠めに見えてきたのが、頂上台地の核心部。
下り切ったあたりで牧柵に設けられた出入口から牧場内に入ります。進行方向に広がるのが美ヶ原の核心部で、平坦な草原がどこまでも続いているのが良く分かる景色でした。電波塔が林立しているのは、最高点の王ヶ頭。
牧場の先には大勢の観光客が行き来する道が見えていますが、牧場内には人の姿が全くなく、そこまでは静かに歩けるようです。ところで北側に少し黒っぽい雲が出ていて、牛伏山付近まで迫っている様子。空模様が心配になってきたので、当初予定していたアルプス展望コースを経由せずに、早めに王ヶ頭へ向かうことにしました。
こちら(茶臼山側)の牧場内では、放牧は行われていないのか、牛も一頭も見掛けませんでした。


ここで牧場から道路に出ると、一気に観光客の世界に変わりました。
この先の広大な草原では放牧が行われていて、のんびり草を食む牛たちの姿がありました(冒頭と同じ写真)。
今歩いている場所も、最高点の王ヶ頭も、今のところ良く晴れているのですが‥‥
美しの塔に寄り道しようとすると、その方向はこんな具合で、牛伏山あたりはすっかり曇ってきた模様です。
美しの塔に到着しました。濃霧になることが多い美ヶ原では、かつて遭難が多発したため、その対策の一つとして建てられた避難塔で、霧鐘を備えています。この時も、通りがかる観光客が次々に鐘を鳴らしていました。
帰りのバスの時間が夕方なので、どこでのんびりと過ごしても良かったのですが、すでに書いた通りいつまで晴れているか分からなかったので、美しの塔では小休止をしただけで、とりあえず王ヶ頭に向かってしまいます。


美しの塔から王ヶ頭へは、少しだけ来た道を引き返します。左奥に見えているのは、最初に登った茶臼山です。
王ヶ頭付近の上空にはまだ青空が見えているので、なんとか晴れているうちに着けると良いのですが‥‥。
ということで、茶臼山への分岐点まで戻った後は、アルプス展望コースを歩く予定を変更して、やや遠回りのそのコースではなく、牧場内の道路で王ヶ頭に直行します。この道は2008年にも歩いていますが、雲の多いこの日はとてもアルプスなど望めないと分かっているので、展望コースは次の機会のお楽しみにしました。
牧場内の道路ですから、引き続き牛たちに見送られながらの道のりとなります。
しばらく歩いて振り返るとこんな感じ。本当に広々とした草原です。


王ヶ頭が近付いてきました。どうやら晴れているうちに着きそうです。
それにしても、林立する電波塔群が異彩を放っていて、軍事施設を思わせるほどの物々しさなのが、ちょっといただけません。深田久弥も、もし今の時代に「日本百名山」を選んでいたら、この山をそこに入れただろうか。
王ヶ頭の手前で再度振り返りました。右奥の盛り上がりは、最初に登った茶臼山です。
王ヶ頭の頂上がもう目前に迫りました。
頂上にはホテルまで建っています。ロケーションが最高なのはもちろんのこと、施設やサービスの評判も上々で、かなり人気がある様子。その分、それなりのお値段がして、予約も取りにくいらしいけれど。
王ヶ頭ホテルの前から、ずっと歩いて来た牧場側を振り返りました。美ヶ原高原のほぼ全貌に近い景色です。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
王ヶ頭ホテルと電波塔の間を縫って、最高点に向かいます。


美ヶ原の最高点、王ヶ頭の頂上です。到着したのは午後2時半。すぐ下まで車で来られる頂上とはいえ、さすがにこの時間になると人が減って、ここで居合わせたのは数人ほどでした。
ここでは木製の標識ではなく、立派な石碑が頂上を示していました。
王ヶ頭からの展望も、近くの山々止まりであまりパッとしたものではありませんでしたが、それでも2013年に縦走した三峰山~二ッ山~鉢伏山という稜線を間近に眺められたのは感慨深かったです。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。


王ヶ頭でゆっくりしても良かったのですが、上の写真のように王ヶ鼻にガスがかかり始めていたので、少しでも早いうちにと短い休憩で王ヶ頭を後にしました。王ヶ鼻はすぐ近くにあって、私の足で15分ほどの距離です。
王ヶ鼻に着いても、幸いなことに、しぶとく晴れ間が続いていてくれました。
王ヶ鼻にはいくつもの石仏が並んでいました。美ヶ原から御嶽山が展望できることで、江戸時代には御嶽信仰の山として人々を集めていたようで、これらの石仏群はいずれも御嶽山の方角を向いているとのことです。
王ヶ鼻からの展望は、王ヶ頭からのものとほとんど変わりませんでしたが、一応パノラマ写真を作成しました。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
王ヶ鼻にいる間に午後3時を過ぎて、さすがにほとんど来る人がなくなりました。とても静かな雰囲気の中で、しばらくゆったりと過ごすことができています。


帰りのバスはすぐ下の美ヶ原自然保護センターから出ているので、王ヶ鼻を後にしたら、あとは100mほど下るだけ。一旦、先程までいた王ヶ頭への道を少し戻ってから、美ヶ原自然保護センターへの道に入ります。
自然保護センターまで車道が続きますが、カラマツなどの美しい林の中を歩けて、退屈ではありませんでした。
あらかた下ったあたりで、頂上を振り返りました。一時、空模様が怪しくなると感じたのは杞憂に終わり、結果的には曇ることがほとんどなく、最後までずっと晴れていたので良かったです。
この日のゴール、美ヶ原自然保護センターに到着です。建物内には売店があって、食事ができたりもしましたが、外にいるほうが涼しくて快適だったので、日陰にあるベンチでバスの時間を待つことにしました。
今年の6月から新たに運行が開始された「美ヶ原高原直行バス」。朝夕の2便があるこの路線の開業がなければ、今回の計画は立てられませんでしたし、来年以降もぜひ運行を継続して欲しいと思います。この日の帰りの便の乗客は、20人ほどだったでしょうか。

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