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茨菰山・三角山・仙洞寺山 [丹沢]

2017/03/18(土)

■第349回 : 茨菰山(511m)・三角山(515m)・仙洞寺山(583m)


今回の行先は超近場で、すべての行動が現住所と同じ相模原市内で完結しています。
繋いで歩いた3つの山々は、いずれも一般的な登山道がなく、訪れる人も稀なヤブ山ばかり。苦労して登った割に、どの山頂も殺風景で展望がないなど、いくら物好きな私でも地味すぎたかなと感じる山行となっています。
当然ながら山の中に入ると、ハイカーはもちろん、人の姿というものを一切見ることがありませんでした。

 累積標高差(登り):764m / 距離:10.4km / 歩行時間:3時間50分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
古淵 06:33-06:44 橋本 06:55-07:36 鳥屋郵便局前

(登山行程)
鳥屋郵便局前バス停 07:40
茨菰山       08:30-08:35
茨菰橋       09:05
三角山       09:35-09:45
金太郎権現     09:55
仙洞寺山      10:40-10:50
三ヶ木バス停    11:55

(復路)
三ヶ木 12:00-12:38 橋本 12:44-12:55 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

今回は、自宅最寄駅から10分だけ電車に乗ったら、すぐにバスに乗り換えて、鳥屋郵便局前という所に来ました。移動距離が短いだけに、特に早起きをして出掛けて来た訳でもないのに、時刻はまだ7時半過ぎです。
上の写真にも写っていますが、バスが走り去った方向には、丹沢の最高峰・蛭ヶ岳が見えていました。これくらいの標高になると、まださすがに雪化粧がしっかりと残っていますね。


県道を歩き始めると、間もなく左手に、最初に登る茨菰山が見えてきます。すぐにでも登れてしまいそうな見え方ですが、実際のところ現在地の標高がもう270mあるので、自分の足ではあと240mほど登るだけなのです。
5分ほど歩いたら、道の右側に「ここは谷戸 標高二九六米」という標柱が立つT字路を左折します。
細い道に入って、何軒かの家屋を見送ると、道はやがて登りに変わります。
T字路に突き当たって右折した後も、舗装された道がしばらく続きますが‥‥。
その先はもう何もありませんでしたし、倒木が道を塞いでいたりして、長いこと車は入っていない様子でした。
舗装道路の終点手前では、路面が大きく崩落していました。
良く見ると、僅かな幅で残った舗装面も、その下の地面は崩れて失われています。何の支えもない舗装面に乗ってもしも落ちたら、タダでは済まないくらい落差があったので、右端を恐る恐る歩いて通過しました。


舗装道路が終わっても、その先には明瞭な踏み跡が続いていて、難なく進むことができました。
ほどなく送電線の直下に出ます。道が明瞭だったのは、そこが送電線の巡視路でもあったからなのでしょう。
さらに登って茨菰山林道に上がった所では、送電線巡視路を示す標識が登ってきた道を示していました。
林道に立って左を向けば、すぐ先で送電線巡視路の続きが右に分かれていて、あと少しだけ巡視路を進みます。
僅かに登ると、2本の送電線が直交する地点に出ます。右手に伸びる送電線の先には、茨菰山のあとで向かう予定の2つの山が見えていました。次に登る三角山も、アプローチには送電線巡視路を歩かせてもらいます。
  ※下の写真にマウスを乗せると山名ガイドを表示します。
送電線巡視路をたどることで、快適に歩いて来られたのはここまで。ただ、その先にも踏み跡は続いていて、それを追って頂上まで行くことはできたのですが‥‥。


余程酔狂な人しか来そうもない場所にしては、何故か踏み跡は明瞭でしたが、かなりヤブっぽいのが難点です。
しかも単なる草藪にあらず、棘のある植物が多く、不用意に触れると痛みを伴うのが煩わしいです。茨菰山の読みは「ほおづきやま」で、音にすると穏やかな響きですが、実際は字面の通りイバラに覆われた山なのでした。
イバラが繁茂する中を、時として掻き分けるようにして進む踏み跡が、頂上までずっと続きました。この寒い時期ですらこんな状況ですから、暖かくなってから登ろうとしたら、きっと地獄を見るでしょう。
茨菰山の頂上は、どの方角を向いてもこんな景色ばかりで、殺風景極まりない場所でした。およそ一般的な山頂ならありそうなものが、ここには何ひとつありません。一体何が楽しくてこんな場所を目指して来たんだか。
このあたりが最高点で間違いないと思ったのに、先人たちの記録に良く出てくる私製の山名標を探しても発見できませんでした。割と最近の記録でも写真に撮られているものがあったので、探し方が悪かったのかなぁ。
腰掛ける物もなく、陰気臭くて居心地の悪い頂上には、5分もいればお腹いっぱい。標高差が小さかったので疲労感がほとんどなく、休憩する必要もなかったので、写真だけ撮ったらそそくさと立ち去ることにしました。


茨菰山林道までは、登って来た道をそのまま引き返します。登る時には気付きませんでしたが、途中には宮ヶ瀬湖をチラッと眺められる場所がありました。
茨菰山林道に出たら、下りはこの林道を使って、はじめに歩いていた県道まで下りてしまうことにします。
かなり下ったあたりでは、林道脇に相当な旧式とみられる車が乗り捨てられているのを見掛けました。


茨菰山林道から県道への出口は厳重に封鎖されていたものの、徒歩であればその脇を容易に抜けられました。写真右端で県道には小さな橋が掛けられていて、その橋の名前からこの地点を「茨菰橋」として記録しています。
県道に出て林道を振り返りました。2つ上の写真のような不法投棄があるから、こんな風になったのでしょう。
一方、反対側には送電線巡視路の開放的な入口があって、これが三角山への登りに打って付けなのでした。


こちらの送電線巡視路は、思っていた以上に良く踏まれていて、道としての体裁をなしていました。
実は歩く人が結構いたりするのか、広めの道幅が保たれて、刈り払いもしっかりされているなど、意外なほど快適に歩けます。ここにあと道標さえ立てれば、一般登山道と呼んでも遜色ないような立派な道でした。
上部で傾斜が急になっても、巡視路仕様のプラスチック階段がきちんと設置されていて、歩きやすかったです。


送電線鉄塔が立つ尾根まで上がれば、三角山への登りは3/4を終えていて、残るはひと登りといったところ。
そこから先は送電線巡視路ではなくなりますが、水源林を示す赤杭に沿って、明瞭な尾根道が続いていました。
尾根の左側を気にしながら登っていると、ところどころから丹沢の核心部が眺められました。木々が葉を茂らせると見通せなくなりそうなので、この時期限定の展望だと言えそうです。
  ※下の写真にマウスを乗せると山名ガイドを表示します。
登山道ではないので、中には足元が悪くて下る時に緊張する箇所もありましたが、大きな問題はなかったです。


三角山の頂上には、防災無線のアンテナ塔が建っていました(少し先にはTVKの電波塔もあります)。
今回登った3つの山では、唯一の三角点峰です。写真左上のフェンスには、私製の山名標も括られていました。
山名標のアップです。展望はありませんが、上空が開けているため明るい場所で、マイナーな山にしては居心地はまずまずです。三角点に腰掛けて少し休憩していきました。


三角山からの下りは、少し急になる箇所もあるので慎重に歩いて、先程の送電線鉄塔まで戻ってきました。
送電線鉄塔の建つ地点で左を向くと、次に向かう仙洞寺山が近くに見えていました。
先ほど登って来た巡視路を見送って、尾根筋を進みます。小さなピークに登り返すと、そこには金太郎権現を祀った社がありました(由来も信憑性も不明ですが、このピークには「ババ山」という名前があるようです)。
金太郎権現の先は転がるような急降下。元々は参道の石段だったものが、今やほとんど歩かれていないのか、段が土に埋まって最早ただの斜面も同然、しかも枯れ葉が乗って滑り台と化していて、実に手強かったです。
あまりの滑りやすさに、鉄パイプ製の手摺りにしがみ付くようにしながらでなければ、とても下れません。
しかもそんな急降下が、かなり長く続きました。途中で振り返って撮ったこの写真で、その長さと勾配の激しさが少しはお分かり頂けるでしょうか。もしも手摺りがなかったら、滑落は避けられなかったように思います。


なんとか無事に急降下を終えて、鞍部に降り立ちました(ここが火海峠らしい)。金太郎権現の参道だったはずの踏み跡は、ここから右に下っていきますが、仙洞寺山に向かうために、それを無視して尾根筋を直進します。
するとその先には、薄い踏み跡が見られるだけになりました。踏み跡はしばしば頼りなくなり、今回のコースで最も不明瞭な区間となりますが、テープによる道案内が適度にあって、進路を見失う心配はなかったです。
415m標高点ピークに登り返すと、樹木に巻かれたテープに「山の神沢ノ頭」とマジック書きされていました。
415m峰で進路を左に変えたのち、小さく下って再び鞍部に降ります。


その鞍部からの登りが、容赦ない厳しい急登でした。立ち木を頼りに身体を支えて持ち上げるようにしなければ、登るのが困難なほどの勾配があり、しかもそれが標高差約80mもの間、変わらない調子で続きます。これまでに一般登山道以外のバリエーションルートを何度も歩いてきた中で、局所的な短い急登ならば、これに匹敵する勾配の箇所もあったと思いますが、こんなに激しい急登がここまで長く続くのを経験したことはなく、バリルートでも屈指の激坂ではないでしょうか。
あまりの運動量に、仙洞寺山の中腹を周回する林道に出る頃には、山シャツ姿でも大汗をかかされていました。
(強い冷え込みがなく、朝から日差しが力強かったこの日、最初の茨菰山を登り下りする間に、それまで羽織っていた防寒着は全て脱いでいました。3月中旬なのに、それ以降はずっと山シャツ姿で行動できていたのです)
林道を横断しても、急登はもう少し続きます。西側から仙洞寺山を目指す踏み跡は、林道から上で幾分明瞭さを増したものの、少々ヤブっぽい箇所の通過があったりして、いくら暑くてもシャツの袖はまくれませんでした。
頂上に近付くと傾斜が緩んだ一方で、倒木や草被りなどが煩わしい箇所もありました。


仙洞寺山の頂上は、割と唐突に現れた印象でした。顕著なピークでなかったこともあり、もう少し先かなと思いながら歩いていたので、テープにマジック書きされた山名表示がなければ通り過ぎてしまったかもしれません。
その山名表示がこちら。これ以外には、ここが頂上であることを示すものは何もありませんでした。
最高点を少し過ぎた地点では、「宮」の字を図案化したマークが彫られた宮標石を見ました(少し離れた地点でもあと1つ見ています)。宮標石は、明治時代にここが御料林(皇室所有地)だったことを示すもの。4つの面には青山村・鳥屋村・青野原村の名が刻まれていて、3村の境界に置かれて各村の方向も示していたようです。


仙洞寺山を後にして、北側に下り始めると、それまでと打って変わって明瞭な道を歩けるようになりました。仙洞寺山は、北側からの往復でなら、そこそこ歩かれている様子です。
541mピークを越えた先からは、樹種を書いたプレートが掛かる樹木を多く見るようになりました。
このあたりは、自然観察会のようなイベントで歩かれるエリアなのかもしれません。樹種プレートには、「フォレスト21さがみの森」と書かれているので、その名前で何らかの整備が行われているのでしょう。
さらに進んで、いくつかの建物が現れると‥‥。
間もなく林道に降り立ちました。周囲の建物は「フォレスト21さがみの森」の拠点施設のようです。
「フォレスト21さがみの森」の看板が立っていました。それによると、この一帯は森林作業や自然との触れ合いを体験できる場所として整備されていて、定期的に植林や管理活動などが行われているとのことです。
この先にも地形図によると破線路が続いていますが、そこへ進んでしまうと、ネット上の記録からトラブルが多いことが分かっていたので、あとは大人しく林道を下ることにします。
一般登山道のない山ばかりを歩いた今回ですが、林道や送電線巡視路を歩ける区間が結構ありましたし、そうでない所も、ほぼ踏み跡を追って歩くだけで済んだので、道なき道を進んだり、コンパスで方位を確認したりする必要には迫られませんでした。地形図を片手に、行く先々の地形と進行方向をイメージしながら歩けていれば、その通りに道があって迷うような場所もなく、バリエーションルートとしては難易度は低めだったと思います。


ということで、あとはひたすら林道を歩きます。ずっと未舗装なのを期待していたら、すぐに舗装道路に変わってしまったので、なるべく路肩などの土や枯れ葉が積もった上を歩いて、足の負担を和らげるようにしました。
まだ下界は結構低くに見えていて、その標高差は全部この林道で下ることになります。東側が開けた所から見えていたのは、2012年に歩いた雨乞山のあたりでした。
  ※下の写真にマウスを乗せると山名ガイドを表示します。
しばらく進むと、北側が大きく開けた場所に出ました。
林道からの展望が、この日唯一の展望らしい展望だったというのは寂しい限りですが、高尾・陣馬エリアから、笹尾根が登り詰める三頭山まで、歩き慣れた馴染み深い山々を一望できて、なかなか楽しめる眺めでした。そしてその手前には、今まさに目指している三ヶ木バス停あたりの街並みも見えています。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。


林道を下り終えると、国道に出る手前が、またしても厳重なゲートで塞がれていました。
ゲートを乗り越えて振り返ると、なんと通行止めの標識があったので、実は歩行者さえも通行不可の道だったことになります。ただ、二輪車の進入禁止なんかは、標識以外にも複数の注意看板が併用されて、くどいほど警告されていたのに、歩行者を規制するものはこの標識1つだけで、文章での注意は一切ありません(かといって通行可って訳ではなかったと思いますが‥‥)。それに、出口まで来てから言われてもなぁ。(※末尾に補足あり)
あとは国道をずっと歩いても三ヶ木バス停に出られますが、この青山交差点から右の細い道に入ってみました。
安養寺の境内を抜けていきます。距離的には国道を進むより若干短くなるものの、余計なアップダウンをすることになったので、どちらが楽なのかは微妙なところ。でも空気はこちらのほうがきれいだったと思います。
ゴールの三ヶ木バス停は、鉄道がないこの地域における公共交通の拠点です。多くのバス路線がここを起終点としていて、営業所が入った大きな建物と、路線別に分かれたホームがあり、待合所やトイレのほか売店まであって、バスターミナルと呼ぶのが相応しい施設になっています。バスの乗り継ぎで何度も利用していたこのバス停を、単純な乗車/降車目的で訪れるのは今回が初めてで、細い路地から出てきて裏側から入った関係上、ここに写っているのもターミナル裏側の様子です。次の橋本駅行きの発車時刻が迫っていたため、乗車を優先して正面側には回らなかったのですが、12分という短い間隔で運行されている路線なので、次を待っても良かったかも。

(※補足) 最後に仙洞寺山林道を下る間、地形図には4地点から分岐する破線路が描かれています。このうち一番上の410m圏から東へ分岐する破線路だけは所在不明でしたが、それ以外の3本は実存を確認しており、いずれも分岐点付近で見る限りはそこそこ明瞭で、現在も歩かれている様子が窺えました。330m圏から北へ分岐する破線路が踏破できれば、通行止めとされている仙洞寺山林道を歩く距離を極力短く抑えることができそうです。

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