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国際興業バス、2年後に飯能から撤退か? [雑感]

2012/03/03(土)
 
ヤマレコに載っていた情報で知ったのですが、奥武蔵方面の山へのアクセスでお世話になっている国際興業バスが、2年後に飯能から撤退することを表明しているらしい。
 
ニュースソースは埼玉新聞の http://www.saitama-np.co.jp/news02/22/03.html なのですが、リンクが切れるといやなので、著作権法に抵触しそうですが全文を掲載します。
2012年2月22日(水)
国際興業バス、14年3月に飯能から全面撤退
 
 飯能市は21日、市内を運行する国際興業バス(本社・東京都中央区)の飯能営業所が、慢性的赤字続きのため、2014年3月31日で市内から全面撤退し、全25路線が廃止になることを明らかにした。同市は国際興業バスに対し、運行する別のバス会社を探すよう要請したが、現在のところ回答はなく、このままでは通勤通学客や買い物客に大きな影響が出る公算が大きい。
 
 飯能市内では国際興業バスのほか、西武バス(本社・所沢市)やイーグルバス(本社・川越市)が運行している。そのうち国際興業バスは全部で25路線。黒字路線もあるが、名栗車庫~湯の沢間、新寺~中沢間、市営住宅行き、間野黒指行きなど過疎地の路線が多く、飯能営業所はこのところ年間8千万円の慢性的赤字に陥っていた。
 
 飯能市は昨年6月、国際興業バスから「13年3月31日に飯能営業所の全面撤退を具体的に検討する」と口頭で報告を受けた。同市はバス路線を確保するため、従来から2千万円上乗せして12年度一般会計予算案で補助金を約3320万円に増額。撤退を1年延長して14年3月31日までとし、肩代わりするバス会社との交渉を要請していた。
 
 現時点では国際興業バスからの回答はなく、3月にはバス路線沿線の地域で報告会を開催し、住民の意見を聞く。同市は新年度から2年かけて交通計画の策定にも乗り出すが、バスの全面撤退で影響を受けるのは通勤通学客やお年寄りの買い物客。飯能駅でバス待ちしていた男性会社員は「市は何とか公共交通を確保し、市民の足を守ってほしい」と訴えていた。
飯能駅から旧名栗村の名郷へ向かうバスなどは、奥武蔵の蕨山や武川岳あたりのほか、奥多摩の棒ノ折山などに出掛ける際にも度々利用しています。 沿道には住宅がずっと続いている印象があり、交通事業者が苦戦をしそうなエリアだという認識がなかったので、このニュースは衝撃的でした。 しかも、特別採算の悪い路線を廃止するとかではなく、営業所内の全路線を撤退するというのですから驚きです。
 
万が一、このまま後継事業者が決まらなければ、このあたりの山にバスで出掛けられるのが、あと2年ということになってしまうのかもしれません。 住民が少なくないエリアなので、恐らくは最悪の場合でも自治体によるコミュニティバス的なものが用意されて、お年寄りの方や免許が持てない学生などの交通手段は確保されるものと思われます。 しかし、そういった種類のバスは利用者を地域住民に限定するケースが多いですし、そうでなくても通勤や通学に特化したダイヤになってしまうと、朝は上りの便ばかり、夕方は下りの便ばかりとなって、観光目的には使えなくなってしまいがちです。 なんとか、誰でも利用できる路線バスという形態が維持されることを望みます。
 
こんなふうに交通事業者が追い詰められてしまうのは、私が思うに、車を使える世代の人たちが、車に頼り過ぎなんだろうと思います。 それで公共交通がどんなに衰退しようと、自分たちが車に乗れているうちは痛くも痒くもないはずなのですが、いざ自分たちが高齢者となって車を手放した時に、もう車なしではどこにも出掛けられない社会になっていて、その時にようやく不便さを思い知っても遅いと思うのです。
 
しかもマイカー社会は必要以上に排気ガスを撒き散らして地球環境をより悪化させますし、将来への大切な遺産であるはずの化石燃料の消費も早めています。 車の台数が多い分だけ交通事故も増えて、毎日のように貴重な人命が失われてもいます。マイカーの功罪を社会全体で精算したら、どう考えても負の要素のほうが大きいのではないでしょうか。 失っている物のほうに、あまりにもかけがいのない物が多いですから。人命などはその最たるものですけれど、ほかにも人の力ではどうにもならないものが失われすぎです。
 
もちろん、子どもや高齢者を連れている時とか、大きな荷物を運ぶ時とか、鉄道の駅やバス停までの移動距離が長い人とかは、車を使うことをためらう必要はないのですが、交通至便な都市部に住まいがあるなど、たやすく公共交通を使えるはずの人たちまでもが、車ばかりを頼って出掛けすぎている所に問題があると思うのです。駅前などで渋滞を見るたびに、そこに車でなければ出掛けられない人たちがどれほどいるのだろうかと疑問に感じてしまいます。
 
「電力がない」となった時にあれだけ節電を頑張れるのですから、例えば温暖化の報道を契機として、マイカー依存の風潮が変わっても良さそうなのですが、そうならないのは、やはり自分自身が困らないことまでなかなか真剣には考えられない、ということなのでしょうね。 でも自分自身は困らなくても、自分の子どもや孫たちの世代が困ることになるのは、ほぼ確実です。今のペースで温暖化が進んで、彼らの時代に暮らしやすい地球環境が残っているとはとても思えません。せめてそのことに気付く人が増えてくれれば。。。
 
  ■次の記事:国際興業バス、2年後の飯能からの撤退がいよいよ確定的か
  ■その次の記事:飯能市と国際興業、平成26年4月以降の運行継続を発表 / 縦走登山の薦め

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ぴすけ

cellistさん、この記事をお書き下さり、お礼申し上げます。
ありがとうございます。
記事を拝読し、6年前、天心記念五浦美術館に行った時のことを思い出しました。
夫とバス停で駅に行くバスを待っていると、そこへ女性が近付いてきて、バスは昨年廃止になったので、駅まで自家用車で送ってくださると親切に声を掛けて下さいました。
驚くと同時に、バス停に何の告知もなかったことから、そのバス停の利用者さえ無視されるほどバスの利用者が少なくなっていたのかと、愕然としました。
駅に着くまで、バス路線の廃止について話したのですが、その方がおっしゃるには、どこの家にも車があり、自分の生活に都合がいいように、1台だけでなく2台、3台と各々が車を持つようになって、五浦に観光に来る人も皆観光バスで来るので、バスは必要ないと思っていた。ところが、バスが廃止されたら、車を運転しないお年寄りは1人で病院に行けなくなってしまい、通学や通勤の時間帯には駅まで渋滞ができるようになった。幹線道路も交通量が増えて、子供の自転車事故が増えた。車を運転しない家族のために家族内で車を確保することさえ汲々とするようにもなった。観光客も、観光バスで来る人はバスが寄る所しか見ないから、駅前でお茶を飲んだりお土産を買ったり、地元の干物屋で買い物をしたりはしてくれない。大きなドライブインに行ってしまう。バスはいらないと思っていたのは間違いだった。私達は自分達の首を自分で締めてしまった。車を持ち、運転できる自分は、なんだか後ろめたさを感じている。お年寄りや若い人達のためにも、バスは必要だったと今になって気付いたが、遅きに失した、ということでした。

国際興業バスは、一部地方路線の赤字を問題視し、そこを切り捨てることで赤字を解消しようとしているようですが、公共交通を担う企業としての理念や社会的責務は持ち合わせない会社だということですね。
一時期(今でも?)「官でできるものは民(間企業)でもできる」と言われ、なんでも「民(間企業)」に移行させれば良いかのような風潮が席捲しましたが、「民(間企業)は、収益がないとしない」し、その収益は「民(間企業)」のための収益です。
「民」を民間企業の「民」にするのではなく、市民の「民」にするためにも、行政(官)の力は必要であると私は考えています。
国際興業バスに、バス路線廃止について、申し入れをしてみます。
by ぴすけ (2012-03-24 11:35) 

cellist

ぴすけさん、コメントありがとうございました。

国際興業バスへの申し入れを考えられているとのこと、こんなブログの記事よりも、はるかに大きな働きかけになろうかと思います。
実際の行動として示されるぴすけさんの行動力に感服いたします。
また、路線バスの廃止に直面した当事者の方のお話は大変重たいもので、書いて下さったことに感謝いたします。
この記事をご覧になった方の中に、危機感を持って受け止める方がいらっしゃれば、それも大きな意味を持ちますよね。

ただ、国際興業に対しては、私はあまり批判的な気持ちにはなれないでいるのです。
これがもし一社だけで起きていることならば、十分な企業努力が払われているのかを多少は疑うところなのですが、全国的に多くのバス会社が慢性的な赤字に喘いでいると聞きます。
実際に登山の行き帰りに利用しても、乗ってみたら乗客が自分ひとりだけだった、などという経験が数え切れないほどあり、そんな状況で路線の維持を求められては酷だろうという思いすらあるほどです。
到底採算が取れているとは考えられず、相当数の路線が自治体による補助を受けて辛うじて廃止を免れているはずなのですが、利用者が僅かしかいない現状では、税金の投入に対して理解を示す住民が多いとも思われず、行政の取り組みも規模が限られてしまうのでしょう。

やはり公共交通の利用者が増えていかないことには、この状況を根本的に打開することはできないのかもしれません。
そしてそれが、個人の心掛けや、私企業の営業努力に委ねられているようでは、実現など望むべくもなさそうです。
もしも実現するとすれば、それは恐らく公共交通優位の社会に戻ったときであって、そのためには行政による交通政策の転換が求められるのだと思っています。

公共交通は環境に優しいばかりでなく、書いて下さったお話にも出てくるように、人の動きを中心市街地に集めることによる、地元産業への貢献が期待できます。
郊外の大型店ばかりが繁栄して、駅前の商店街を潰してしまうマイカー社会に対して、そろそろノーを突きつける時が来ているのではないか、という思いを最近強くしているのですが、高尾山の土手っ腹にトンネルを掘るような交通政策の国では、行政に期待できることなど何もなさそうなのが悲しいところです。
by cellist (2012-03-25 00:13) 

さわらび号

拝啓、国際興業バス飯能・名栗地域で思い出があるのは
ボンネットバスでの運行です。さわらび号です。
現在は排ガス規制に適合しないのでグループ山梨バスに行きました。

国際興業(株)公式HPに飯能営業所についての現況が載っています。
新着情報4月9日付です。
マイカー・自転車・燃料高騰・・・・・

行政にはしっかりしてほしいです。

by さわらび号 (2012-04-12 12:45) 

cellist

さわらび号さん、コメントありがとうございます。

国際興業の文書、私も確認しました。
のちほど、本文のほうにも追記を入れて更新したいと思っています。

このような文書が公式に出回ってしまったということは、もはやこれが動かしようのない既定路線、ということなのでしょうか。
でも仰る通り、なんとか行政に頑張ってもらって、規模は縮小したとしても運行は続けて欲しいところです。
他社を見ても、どう考えても激しく不採算なはずなのに、自治体からの補助によって維持されている路線なんて、たくさんあるのですから。(もっとも、そのどれもが風前の灯火であることも、また確実なのですが・・・)

ところで、かつて「さわらび号」なるものがあったのですね。
私は登山を始めたのが2005年と比較的最近なので、「さわらび号」についてはこれまで知りませんでした。
ただ、その後の登山を通して、山梨交通も私にとっては馴染み深いバス会社さんになっているのですが、ボンネットバスはまだ見たことがないのです。あまり運用されていないのかなぁ。

by cellist (2012-04-13 23:51) 

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