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笠取山 [大菩薩とその周辺]

2013/05/25(土)

■第256回 : 笠取山(1953m)


この日は奥秩父の笠取山に登ってきました。
その周囲一帯が東京都の水道水源林として管理されていて、豊かで美しい森の中を歩けるのが魅力の山です。
頂上直下から見上げる端正な円錐形にも、登高意欲をそそられます。急坂を直線的に登り詰める最後の100mほどは、なかなか苦しかったのですが、頂上に立てば広大な展望が開けていました。

 累積標高差(登り):1041m / 距離:19.8km / 歩行時間:4時間30分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:7時間30分 

(往路)
古淵 05:50-06:11 八王子 06:35-07:49 塩山
塩山 08:30-09:27 新地平

(登山行程)
新地平バス停 09:30
雁峠     11:20-11:30
笠取山    11:55-12:00 (山梨百名山山頂)
笠取山    12:05-12:15 (標高点山頂)
水干     12:25-12:35
笠取小屋   12:50-13:00
鳥小屋分岐点 13:30
落合バス停  14:50

(復路)
落合 15:30-16:30 塩山 16:58-18:04 橋本
橋本 18:10-18:21 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

塩山駅前のバス乗り場はこの通りの長蛇の列。このあたりのバス会社は首都圏と違って人手不足なのか、最小限の台数しか配車してくれなくて、車両によっては超満員でした。ちなみに先頭に置かれたザックが私のです。
西沢渓谷行きのバスに乗って、終点の1つ手前の新地平で下車します。
私のほかに降りる人が4人もいたのは意外でした。


しばらくは林道歩き。歩き始めてすぐに、車両通行止めのゲートの脇を抜けていきます。
少し開けた場所に出ると、一番奥のほうに、目指している頂上に近いあたりが見えてきました。
でもまだまだ遙か遠くで、しかも随分と高く見えて、道のりの長さが思いやられます。
ずっと沢に沿って進む涼しげな林道では、やわらかな緑色が目にまぶしかったです。
カラマツの新緑も鮮やかでした。黄金色に染まる秋の景色も見てみたくなります。
沢の間近では水音が清々しくて、6km近い林道歩きも、あまり長くは感じませんでした。
上流へ進むにつれて、林道の体をなしていない箇所が増えてきました。
ここは沢がかつての道の位置まで食い込んでいて、流れのすぐ脇を歩きます。
飛び石で対岸に渡った後は、次第に木々の緑が淡い色合いに変わってきました。
かつて林道だったのはこのあたりまででしょう。飛び石で再び左岸に戻ると、その先は登山道に変わりました。


登山道は、何度か飛び石で沢を渡りながら登り詰めていきます。流量が多ければ要注意でしょうが、降雨がここ数日なさそうだったのを見極めて来ているので、全ての徒渉点を靴底だけを濡らす程度で問題なく渡れました。
上のほうでは沢の中を歩くような所もありましたが、晴天続きでこのあたりは枯れ沢になっていました。


ササ原が広がるようになると、やがて沢からは離れていきます。
ササの斜面を登っていくうちに、空がどんどん大きくなってきました。
いよいよ景色が開けてきて、稜線が間近になってきたようです。
この先にどんな風景が待っているのか、期待に胸を膨らませつつ、空の下を目指します。


たどり着いた雁峠は、開放的なササ原の中にあって、行き渡る風が気持ちの良い場所でした。
後方で端正な三角形をしているのが、これから目指す笠取山です。
こちらは雁坂峠へと続く稜線への道。今回は行きませんが、いずれは歩いてみたい道です。
登ってきた道を振り返ると、黒金山や乾徳山が見えていました。


雁峠から笠取山へ向かうと、次の分岐点の近くには「小さな分水嶺」がありました。
ほんの小さな丘ですが、解説板によると、3つの大きな河川の分水嶺となっているようです。
北側に降った雨は荒川となって東京湾へ、南東側に降った雨は奥多摩湖を経て多摩川へ注ぐとのこと。
そして石碑の反対側に彫られていたのは富士川。西側に降った雨は、甲府盆地を流れて富士川になるらしい。


笠取山の手前のコブに登ると、いよいよ正面に笠取山を捉えました。
笠取山の写真といえばコレ、という代表的なアングルです(トップの写真と同じ)。
笠取山の真下まで来ました。ここから見上げるような急坂が始まるのですが、写真では緩やかにしか見えなくて、傾斜のキツさを伝えきれそうにないのが残念です。
これだけの激坂はそうそうあるものではなく、めげて途中で休んでいる人の多かったこと。
ただ、こちらも急坂の途中で、ほとんど真上を見るようにして撮っていた写真なのですが、前の写真以上に緩やかに見えてしまう出来上がりだったのにはガッカリでした。


急坂を登り詰めた所に、山梨百名山の標柱が立っていました。そのため、ここを山頂として引き返す人も多いようなのですが、まだここは笠取山の最高点ではありません。
それでもこの地点は、そこそこの広さがあって展望も良いので、山頂としての風格は十分だったでしょうか。
登ってきた急坂を見下ろした写真では、傾斜のキツさが少しは撮れていたようです。
展望は、東南から西北にかけてほぼ180度あり、奥秩父の山々をこんな具合にぐるりと見渡せました。
大きな写真は こちら です(180度分の大きな展望なので、かなり縮小してしまいましたが)。


2つほどのコブを越えて、本当の最高点へ向かいます。6月が見頃のシャクナゲは、ここではまだ蕾でした。
この写真は穏やかな所で写しましたが、途中には小さな岩場が出てくるなど、少々アクロバチックな道です。
こちらが笠取山の頂上ですが、なにしろ狭かったです。この時は私ひとりだけで、問題なく過ごせたのですが、4~5人も集まれば居場所に困ってしまいそう。展望も全くないので、皆さんここは素通りなのでしょう。
頂上には早咲きのシャクナゲがありました。せっかくの鮮やかなピンクが色飛びしてしまいましたが・・・


頂上からは、南側の斜面を回って、多摩川の源頭である「水干」を見ていきます。
その一帯を少し手前から見るとこんな感じでした。
きちんと標識も立っていました。
標識のすぐ上あたりに、いかにも水が滲み出ていそうな岩場と、思わせぶりな水溜まりがあったのですが、晴天が続いているおかげで地面が乾燥していて、この近くでは流水は全く見られません。
そもそも、近くにあった解説板によれば、湧き水が出ている場所は60mほど下った所にあるようです。
水干のすぐ近くにこんなベンチがあったので、ここでひと休みしていきました。
山頂周辺では、まだ木々の芽吹きも浅かったです。


水干からは穏やかな道を下っていきます。このあたりでもカラマツの新緑が鮮やかでした。
雁峠分岐まで来たところで、さきほど登った「小さな分水嶺」を振り返りました。
分水嶺なのに、樹木1本の高さにも及ばない、本当に「小さな」コブに過ぎないことが良く分かります。
もう少し広い範囲を振り返りました(大きな写真はこちら)。ササ原が伸びやかに広がる気持ちの良い場所です。右端が「小さな分水嶺」で、左半分に連なっているのは、燕山や古礼山といった、雁峠のすぐ背後の稜線。
その後は笠取小屋のあたりまで、丸太が敷き詰められた道が続きました。
この通り、すでに深く抉れてしまった道なので、これ以上掘られないように必要な対策なのでしょう。


笠取小屋は、静かな森の中にあって、落ち着いた佇まいでした。なかなか雰囲気の良い場所です。
着いたのはお昼時という中途半端な時間でしたが、テントサイトにはいくつものテントが張られていました。ここを拠点にして連泊しながら、周辺の山々に繰り出しているのでしょうか。


笠取小屋から10分ほど下ると、ヤブ沢峠の分岐点に出ます(通り過ぎてから振り返りました)。
車で来た人たちは、左折して写真の右方向に下って行きますが、それではバスには乗れません。落合に向けてここを直進した途端、人の気配がなくなって静かになりました(この先はひとりの登山者も見掛けていません)。
この先ずっと林道が続きますが、美しい新緑のお陰で気持ち良く歩けました。少なくともまだこの時点では‥‥
しばらく歩いた先で、鳥小屋分岐点を左折して、笠取小屋の荷揚げ用の道らしい「奥山作業道」に入ります。
なお右の道は、昨年訪れている白沢峠へと通じています。
小さな道標が、左の道を「一之瀬高橋」と案内していました。これが、この日見た最後の道標となっています。


鳥小屋分岐点から少し下って、林道が右折する地点では、直進方向に山道が分岐していました。
最近になって登山地図に赤破線で載るようになった、石保戸山や藤尾山への道でしょう。
道標等は全くありませんが、しばらくは広く刈り払われた明瞭な道が続いているように見受けられました。
このあたりはモミジの新緑で、紅葉の頃は見事なことになりそうでした。
ただ、笠取小屋から落合バス停までの約10kmはずっと林道ばかりで、さすがに長いなと感じ始めています。
かなり下ったところで、右手の沢を小橋で渡って登っていく山道を分岐します。
そちらは白沢峠へ登る登山道で、登山地図では赤実線表記なので、分岐点に道標がないのは意外でした。


その後、大規模な林道工事が行われている一帯を抜けて、一般車両進入禁止のゲートまで降りてきました。
ゲートを抜けてから振り返っていますが、このゲートは脇のガードも固くて、写真右側を乗り越えるしかありませんでした。そうしておかないと、マナーをわきまえないバイクとかが入って道を荒らしてしまうのでしょう。
ゲートの手前には、車とバイクが1台ずつ停められていました。
ここから林道を長々と歩いて笠取山へ向かうなどというのは、余程の物好きでない限りは考えないでしょうから、持ち主はたぶん白沢峠に出てから三窪高原あたりを目指しているものと思われます。
その後は集落に入って、ポツンポツンと家屋が点在する中を進むようになりますが、それでも周囲の森は最後まで美しいままでした。一之瀬高橋って、自然豊かで雰囲気の良い所ですね。


やはり、約10kmの林道歩きは長かったです。
最後は足が棒のようになって、ウンザリしかけた頃に、ようやく落合バス停にたどり着いています。
昨年はここでバスが待っていましたが、待機場所が変わったようで、バスは発車時刻を過ぎてから来ました。
かなりの余裕を持って着いていたので、バスが来るまでの時間を、昨年、黒川鶏冠山から下って来た時と同様に、水道水源林「100年の森」で過ごします。
「100年の森」では、今年もクリンソウが咲いていました。
来たのが昨年と全く同じ時期(2日早いだけ)なので、同じように見られるのではと期待していましたが、昨年よりも花付きが良かったのでは?
山道を少し登ったあたりではツツジの花も楽しめました。
このあとバス停に戻ってバスを待ちましたが、ほかには誰も現れず、落合から乗ったのは私1人だけでした。
そのあと柳沢峠で7~8人を乗せてから、大菩薩登山口で長蛇の列を作っていた人たちをどうにか全員詰め込んだところでギュウギュウの超満員。次に寄った大菩薩の湯では、なんと「次を待って下さい」とアナウンスして通過する事態となっていましたが、山梨貸切自動車さん、ちょっとサービス悪くないですかね。こういうことで、バス離れをさらに加速させてしまう一面もあると思うのですけれど。。。

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