SSブログ

登り尾・三筋山 [伊豆]

2014/02/01(土)

■第276回 : 登り尾(1056m)・東猿山(1130m)・三筋山(821m)


この日の行先は伊豆半島。登ってきたのはいずれも地味な山ですが、縦走の最後に訪れた三筋山は、開放的な草原状の頂上から見渡す360度の展望があり、とりわけ山と海の両方の景色を一望できるのが楽しみでした。

なお、この日はいろいろと釈然としないこともあったのですが、ブログで書くには長くなりすぎてしまいますので、細かな話については上記リンクから詳細ページをご覧下さい。

 累積標高差(登り):1132m / 距離:18.9km / 歩行時間:5時間55分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:8時間25分 

(往路)
古淵 05:15-05:19 町田 05:33-05:55 本厚木
本厚木 05:59-06:37 小田原 06:45-07:08 熱海
熱海 07:23-08:32 河津 08:40-09:17 登尾

(登山行程)
登尾バス停  09:20
登り尾    10:55-11:05
新山峠    11:25
登山道合流点 12:05
東猿山    12:30-12:40
805mピーク  13:40-13:45
三筋山    14:05-14:20
伊豆稲取駅  15:55

(復路)
伊豆稲取 16:03-17:11 熱海 17:16-17:38 小田原
小田原 17:52-18:47 相模大野 19:05-19:20 南警察署前


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

今回は南伊豆フリー乗車券を利用しました。
バスの利用区間が短かったため、節約できた金額はたった10円に過ぎなかったのでしたが。
伊豆急線を河津駅で降りて、東海バスに乗り継ぎます。
バスの乗客は、若い女性2人組と私だけで、シーズンオフとはいえ寂しい車内でした。
登尾バス停で下車したら、すぐ先で国道から分岐する林道を歩き始めますが、道標はありませんでした。なお女性2人組は手前の河津七滝で降りていたので、私が降りた後、バスは空気だけを運んで走り去って行きました。


はじめは、やや荒れた、そして曲がりくねった林道で、緩やかに登っていきます。
4回目のヘアピンカーブの所で、カーブの外側にペンキマークの付いた木々が並んでいるのを発見します。
現在は林道が登山コースとされていますが、林道がこのあと大きく回り道をしてしまうのに対して、かつては直線的に登る登山道が存在していたので、その痕跡がないかと気を付けていたのでした。
道の痕跡は残っていませんでしたが、稀に歩く人がいるのか、所々に足跡が見られるので、旧登山道に違いありません。ペンキマークもずっと続いていて、進路にも不安がなさそうですし、ここを進んでみることにします。
このあたりまで、ひたすら急斜面が続きました。2日前の雨で地面が少々緩かったこともありますが、場所によっては手を付いて這うようにしないと登れなかったほどの傾斜です。
これほどの急坂ならば、かつて登山道だった頃はジグザグを描いていたはずですが、現在は直線状にしか適当な足場がなく、強引に登り切るしかありません。初っ端からいきなり大汗をかかされてしまいました。
しばらくすると、最初に歩いていた林道が、大回りを終えて再び接近してきていました。
現在の登山口はこの近くにあるので、間もなくそこから始まる正規の登山道が合流してくるはずです。


ところが、いつまでも登山道と出合うことがないまま、稜線まで出てしまいました。
その後も、登山道が近くを通っている気配すら全く感じられません。
踏み跡の乏しい尾根を、ペンキマークやテープなどのサインを追いながら歩くしかない状況が続きます。
標高が900m近くなり、かなり頂上に近付いた頃になって、ようやく明瞭な道が合わさりました。写真はその地点で振り返ったもので、私が歩いてきた方向は、下山時の誤進入を防ぐために地面に枝が並べられています。
一方の明瞭な道はというと、右手側から合わさるとばかり思っていたら、なんと左手側から合わさってきたのでした。ここまでの途中のどこかで一度、その明瞭な道を横切っていなければ、説明が付かないことなのに、そんな覚えは全くありません。大いに腑に落ちなかったのですが、モヤモヤがこの1度だけで終わらないとは‥‥
一旦は明瞭になった道ですが、頂上が近付いて緩斜面になると不明瞭となり、テープが頼りとなります。
登りなので、適当な場所を歩いてもどうにかなるのですが、登山道としては心許ない状況でした。


登り尾の頂上に着きました。こんな地味な山ですから、想像通り誰もいません(というか、結局この日は自分以外のハイカーを全く見掛けませんでした)。
頂上には、三角点と標識のほかは、私製と思われる道標があるだけでした。
樹木に囲まれて展望もほとんどありませんが、唯一天城山の方向だけが、少し開けていたようです。


登り尾から新山峠への道も、落ち葉が地面を覆うという季節的な要因も手伝ってか、道はしばしば不明瞭になります。テープの誘導がなければ迷わずに歩けない状況で、とても満足な登山道があるとは言えない状況でした。
新山峠に着くと、そこにはこの日初めて見るマトモな道標が立っていました。
新山峠には、「登尾循環歩道」なるものを示す標識も。しかし、登山道ですら満足な状態でなくなっている山のこと、当然この歩道も、もはや明瞭な道形を見出すことはできませんでした。


新山峠から、登山道だけを歩いて三筋山に向かうには、一旦寒天林道まで下ってから登り返すことになります。
余計なアップダウンもさることながら、距離的にも随分と遠回りになってしまうので気が進まず、この先に続く尾根筋を適当に拾いながら、直線的に三筋山遊歩道を目指すことにします。

どうやら私と同じことを考えた先人がいたのか、新山峠のすぐ近くにある999mピークまでは、地面のあちこちに人が歩いた痕跡が見られましたし、尾根を登るだけですから易しい道のりでした。写真は999mピークです。
999mピークを過ぎて下りに変わり、方角だけを頼りに進むと、間もなくこんな明瞭な道形に遭遇しました。
ここは、ちょうど地形図にも破線路が描かれている場所です。今ではほとんど歩かれなくなっているはずですが、かつての道が、地形に刻まれたまま人知れず残されていることに、なんだかロマンを感じてしまいます。

そこから1085mピークの手前までは、その明瞭な道形に導かれて難なくたどり着きます。
その後、1085mピークを前にして下り始めてしまう道形と分かれて、ピークの北西斜面をほぼ水平に巻いていくと、そこでも先人の足跡を見ることができました。登り尾と三筋山を繋げて歩こうと思ったら、やっぱり誰だって、こうしてショートカットしたくなるんだろうなぁ。


1085mピークを巻き終わり、平坦な地形を進むようになると、間もなく前方に何やら白い物が見えてきました。
白い物の正体は、三筋山遊歩道の案内図でした。すなわち、ここで登山道に合流です。
これだけ明瞭な登山道を見るのは、この日初めてです。ここから先はこの遊歩道をずっと歩くだけですから、もう何の問題もなく最後まで歩けるものと、この時は信じていたのですが‥‥
それにしても登山道って、なんて歩きやすいんでしょう。ここまで、マトモではない道ばかり歩いて来たからか、歩きやすさが身に浸みます。普段は苦手とする木段も、この時ばかりは有り難いとさえ思えました。


1130m圏のピークにはベンチが置かれていたほか、樹木の幹には私製の標識も取り付けられていました。
その標識、「らしい」には苦笑させられましたが、私にとってはここがこの日の最高点。全く名前がないよりは、少々不確かなものでも、呼べる名前があることで、記録上も扱いやすくなって良かったです。
東猿山までの登りもそうでしたが、東猿山からの下りも木段の連続で、少しでも傾斜がある所はいちいち木段になっています。登りではあまり気にならなかった木段も、さすがに下りでこれだけ続くと気が滅入りました。


ほどなく、前方に道路と駐車スペースが見えてきました。「林道分岐」という地点まで来たようです。
「林道分岐」には東屋も建っていました。この、のんびりとした雰囲気が、まさかこの直後に激変しようとは。
「林道分岐」のすぐ先で再度登山道に入る地点には、風力発電施設建設に伴う通行止の看板が立っていました。
案内されている内容は、事前に東伊豆町のウェブページで確認していたものと同一で目新しさはなく、ここで改めて読み直してみても、昨年12月から今年2月までが通行止期間外であることに間違いはありません。
それにしては、入口をロープが完全に塞いでいるのが腑に落ちないのですが、すぐ横に立つ看板が現在を通行止期間としていない以上、ロープによる封鎖に従う理由はないと判断しました。きっと昨年11月に工事を一旦中断した際に、ロープを外し忘れただけなのだろうと解釈して、あまり深く考えずに工事区間に足を踏み入れます。
登山道を少し進むと、間もなく工事区間に入ります。すると目の前には、本来あったはずの山肌がズタズタに切り裂かれた、こんな光景が広がるようになりました。とはいえ、このあたりの稜線一帯に、計21基もの巨大風車を建設しようという大工事であることは知っていましたから、このくらいはまだ想定内です。

ところが耳を疑ったのは、次第に進行方向から重機の発する工事音が聞こえるようになってきたことです。
掲示されていた工事期間が変更されたのか、なんとこの日も工事は行われていたのでした。これでは、事前に入念な下調べをして、通行止期間外に合わせて計画してきた意味など全くなく、腹立たしさすら感じます。
進むにつれて、実際に重機が作業している場所も出てきます。こちらにも言い分があることなので、構わずに通り抜けましたが、結構離れていたのにクラクションを鳴らされたりして、歩行者はすっかり邪魔者扱いでした。
元々あった登山道を潰して、工事用道路があらぬ方向に伸びたり分岐したりしているのに、歩行者用の案内はほとんどが取り払われていて、どうやら工事する側としては、完全に通行止め中というスタンスらしかったです。
そんなわけで、地図とGPSを確認しながら歩かない限り、本来の登山道の位置をトレースすることも不可能なのでした。もしもそれらの用意もなく工事区間に突入していたら、進路が分からずに戸惑ったことでしょう。


しばらくは、肩身の狭い思いをしながら、こんな景色の中ばかりを進みます。
途中にある「展望所」は、工事による魔の手からは逃れていて無事でした。
展望所から進行方向を見ると、この先の稜線上も風車建設のための道路工事がずっと続いている様子が良く分かりました。中には重機の音が盛んに出ている場所もまだ何箇所かあるようです。ちなみに手前のピークは次に向かう805m峰で、その左奥が最終目的地の三筋山ですが、そこまで制止されずにたどり着けるのでしょうか。


805mピークも、頂上に風車を立てる計画はない模様で、頂上部だけは工事の影響もなく無傷でした。
ピークでは360度の展望が得られました。こちらは東側を中心とした眺めで、天城山はほぼ真北、三筋山は南南東ですから、180度近い範囲を1枚にまとめたことになり、ブログの横幅に合わせた写真は小さくなりました。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
東西方向に連なる天城山は、南側から見ると真横からの姿となって、堂々とした山容が良く分かりますね。
そして天城山のさらに東では、目障りな風車がズラリと立ち並ぶ尾根が目立っていました。
今いる三筋山一帯も、近い将来にああなってしまうのかと思うと、とても残念です。
805mピークから、次に向かう三筋山を望みます。この写真の範囲は比較的平穏に見えますが、写っていない鞍部一帯では、やはり工事が大々的に進行中でした。


幸いにも、805mピークと三筋山の間は、稜線上は概ね無傷で、大半の区間で登山道を歩くことができました。
最後に登り詰めた三筋山は、広くて開放的で伸びやかで、居心地の良い草原状のピークです。
三筋山の頂上には、ちょっとした展望台があって、それぞれの方角の展望図が添えられていました。
三筋山からの展望も360度で見応えがあり、山だけでなく海が広く見渡せるのも魅力に感じました。
こちらは北側を中心とした180度以上の範囲を1枚にしたもので、馴染みのある山は少ないながらも、天城山や伊豆山稜線など、伊豆半島核心部の山々をズラリと見渡せているさまが壮観です。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
天城山のアップです。右手前に見えているのは、伊豆天城ハイランドの別荘地ではないかと。
こちらは東側の展望。海側の眺めが霞んでいるのが残念だったのですが、なんとか伊豆大島も見ることができました。(画像にマウスオンすると、伊豆大島の位置を示します)
そして南側を見ると、ぼんやりとですが、下田の先にある爪木崎まで見渡すことができていました。


いつまでもいたくなるような雰囲気に名残惜しさを感じつつ、三筋山の頂上を後にします。
三筋山からの下山方向にも、開放的な草原と爽快な眺めが続いていました。
絶景ポイントがあるというので、矢印が示す先の小高い丘に登ってみると‥‥
海側の景色を、三筋山からよりも広範囲に見渡すことができました。
海の青さが、もう少しクッキリと鮮やかに見えていたらなぁ。せっかく空気の澄んだ冬を選んで来たのに。。。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。


三筋山は、すぐ下まで車道が延びてきていて、なんと頂上から10分もかからずに、車道に降りてしまいます。
ということで、三筋山からの下山はほとんどが車道歩きなのでした。
こうして景色が爽快なうちは、あまり苦には感じないのですが、さすがに700mに及ぶ標高差をすべて舗装道路で歩くのは結構辛かったですし、こちら側から登ろうという気にもならないと思います。
しばらくは、一面がススキの斜面を下ります。ススキが見頃の頃には、素晴らしい景色が広がりそう。
下る途中で三筋山を振り返ると、見渡す限りススキという眺めが圧巻でした。


ススキの斜面を下り切ると、あとはほとんど見所のない車道歩きが延々と続いて、とても長く感じましたし疲れましたし、なかなか退屈でした。
長い車道歩きの中で唯一の見所が細野湿原だと思っていたのですが、湿原自体は小規模で、しかも冬枯れの今の時期には特に見るものもなかったようです。でも、三筋山を背景にした大らかな景色は素晴らしかったです。
まる1時間車道を歩き続けて、ようやく伊豆稲取駅が見えてきました。
本日のゴール、伊豆稲取駅です。


朝に乗ったのは普通のボックスシートの電車でしたが、帰りは「リゾート21」が来ました。
「リゾート21」はこのように海側を向いたシートが特徴で、これでも普通電車として運行されています。
夕刻が近付いて、海側の眺めはくすんだ色合いになっていましたが、最後まで景色を広く楽しめたのは良かったです。左端に写っているのは初島。

タグ:伊豆
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:スポーツ

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。