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雪深い箱根・湯坂路、ノートレースで途中敗退 [箱根]

2014/02/22(土)

■第277回 : 城山(743m) (目標の浅間山(802m)に到達できず)


記録的な積雪を記録してから1週間が経過しましたが、山間部の除雪はまだまだ途上にあるようです。
不便な生活を余儀なくされている方々がなお多く残されていて、御岳山のように、集落の生活道路を確保するために行う除雪作業の妨げになるとして、登山が禁止されている山域もあります。
雪崩の危険があるために登山の自粛が求められるケースもあり、実際に登山道での雪崩被害も発生していることから、地域から発信される情報を収集するなどして、登山するにも慎重を期すべき状況が当分は続きそうです。
(これらの状況については、上記リンクの詳細ページで少し詳しく書きましたので、そちらもご参照下さい)

それらを踏まえて、安全に登山できそうな行先を考えますが、高尾山や丹沢では、交通網の復旧が比較的早くから進み、良く歩かれてルートがしっかりしている反面、人が多過ぎてしまいそうです。
そこで、登山電車が全線で運行を再開してから間もない、箱根エリアの湯坂路を行先としてみました。

登り始めはトレースが明瞭で、かつ、踏まれ過ぎてもいないシングルトラックが続く、期待通りの景色が広がっていました。しかも自分以外に登山者が全くなく、快適な雪道を静かに独占できるという、理想的な状況です。
しかし、標高700m付近を過ぎ、積雪が深さを増してくると、明瞭だったトラックも次第に頼りなくなります。
どうやら、前日までの先行者の多くが、雪の深さに阻まれてこのあたりで次々と引き返していたようなのです。

そしてついに、最後までツボ足で格闘していた1人分の足跡も途絶えてしまいます。すると目の前には、全く足跡のない、1週間前に積もったままの雪原が、ただただ広がるばかりとなりました。

ここから先は大変でした。あとは自分がトレースを刻むしかないと前進を続けるものの、なにしろツボ足ですから、1歩ごとに腿まで埋まっては引き抜くという繰り返しです。足の疲労が急激に増していく一方で、遅々としてなかなか先に進めません。なんとか頑張って城山までは登ってみましたが、さらに消耗が進むと下山にも差し支えてしまいそうなので、まだ体力があるうちにと撤退を決断せざるを得ませんでした。

 累積標高差(登り):646m / 距離:8.7km / 歩行時間:3時間50分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:3時間15分 

(往路)
大沼 06:05-06:15 相模大野 06:24-07:13 小田原
小田原 07:24-07:39 箱根湯本

(登山行程)
箱根湯本駅 07:45
湯坂城跡  08:15
城山    10:00
湯坂城跡  11:15
箱根湯本駅 11:35

(復路)
箱根湯本 11:53-12:09 小田原 12:11-13:04 相模大野
相模大野 13:25-13:40 南警察署前


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

スタートの箱根湯本駅です。まだ朝7時台で観光客の姿はほとんどなく、同じ電車から降りた人の多くは、近くにあるらしいお仕事先に向かっているように見受けられました。
国道1号線を少しだけ歩いて、ここから山道に入ります。


かつては石畳が敷かれていたらしい道も、今ではすっかり荒れていて、少々歩きにくくなっています。
登り始めのうちは、雪はほとんど消えていて、路面も乾燥していて普通に歩けますが、雪の重みで倒れたらしい倒木が道を塞いでいるなど、大雪の影響は残っていました。
倒木を抜けた先は、また普通の道に戻って、ここだけを見ると、先週の大雪が嘘のようです。
しばらくすると、いよいよ雪が現れ始めます。でも始めは、短い間ですぐに消えてしまうのの繰り返しでした。
箱根湯本駅から30分ほどの登りで、湯坂城跡に着きますが、ここには解説板があるだけで、素人目に分かる遺構はありません。また、ここまでの道は、雪がない箇所がほとんどでした。


湯坂城跡を過ぎて5分ほどで、ようやくそれなりの積雪が現れました。降雪後のトレースが全くないことが気懸かりでしたが、先行者の足跡がちゃんと刻まれていて、これならば道迷いの心配もなさそうです。
進むにつれて、少しずつ雪の量が増えていきます。
雪の上には真新しい足跡がないので、どうやら私がこの日の一番手のようです。前日までの足跡も、トレースが明瞭になるための最低限の人数という感じで、新しい雪の感触が十分に残っていました。
ちょうど1人が歩けるだけの幅で、踏み荒らされていない歩きやすい雪道が続いていきます。
前日までに歩かれたトレースがしっかりしているのに、この日は前後に自分以外の人の姿が全くないという理想的な状況で、快適な雪道を静かに独占できるのがすごく贅沢な気分でした。
そしてこの時点では、このトレースが頂上まで続いているものと、当然のように思っていました。
このあたりでは、雪の深さはまだ足首ほどです。
時折急な箇所が現れることもありますが、大半は傾斜の緩やかな道で、それが大雪の後に歩くルートとしてここを選んだ理由のひとつでした。ですからこんな穏やかな景色がずっと続いていきます。


ほとんど迷いようのない1本道のため道標も少なくて、登山口以外で見掛けた道標は、結局この1本だけでした。積雪はそろそろ膝近くになっていましたが、この道標はそんなに深く埋まっている感じでもなかったです。
雪の深さが膝の高さくらいになると、それまで明瞭だったトラックが一変しました。いつの間にか足跡の数が減ってきていて、数人分のツボ足のトレースだけになったのです。そしてその足跡を外すと、膝の高さまで踏み抜いてしまうようになっていたので、足跡に合わせて足を置くしかないのですが、それが結構歩きにくいのでした。ただ、この期に及んでも、その数人分の足跡が頂上まで続いていることを、全く疑っていませんでした。
さらに雪が増えて腿まで達する深さになると、もはや先行者の足跡は1~2人分にまで減っていました。道の中央部を歩くと深く踏み抜いてしまうため、その数少ない足跡は、踏み抜きを避けて樹木の近くに付いています。
道の中央部がやや窪んで筋のように見えているのは、どうやら降雪直後にスキーか何かで滑った人でもいたらしく、その痕跡のように私には見受けられました。少なくとも、靴などで付けた足跡とは全く異なるものです。


ふいに、目の前から全ての足跡が消え去りました。先行者の中で最後まで頂上を諦めなかった人も、ここで力尽きてしまっていたようです。まさか、先行者のすべてが途中で引き返していたとは夢にも思っていなかったので、一瞬呆然としてしまいました。目の前にあるのは、全く足跡のない、1週間前に積もったままの雪また雪です。ここからは自分がトレースを刻むしかありません。
覚悟を決めて前進を続けますが、1歩ごとに腿まで埋まっては引き抜くという繰り返しです。足の疲労が急激に増していく一方で、遅々としてなかなか先に進めません。ツボ足で進むにはあまりに酷な状況で、ここに来てようやく、先行者がどれだけ悪戦苦闘していたかを思い知りました。これではワカンかスノーシューでもなければ、いつまでも歩き続けるわけにはいきません。先行者が歩いたのは、この前日かそれ以前ですから、今よりも雪も深かったことでしょう。すべての先行者が引き返さざるを得なかったことも、すんなりと納得できました。
なんとか頑張って城山までは登ってみましたが、さらに消耗が進むと下山に差し支えることを心配しなければならなくなるので、まだ体力が残っているうちにと、ここで撤退を決断しました。当初の目標である湯坂路の最高点・浅間山までは、距離にしてあと700m、標高差もわずか60mで、夏道ならばほんの10分で行き来できる所ですが、この状況では仕方ありません。
この城山は地形図の743m標高点で、登山地図でも「城山 743」と明記されていますが、現地にはこの通り山頂を示す物など何もなく(無雪期に来ても何もないので、雪に埋まって見えないわけではない)、達成感には乏しい場所ですが、名前と標高がハッキリしている地点まで来られたことで、気持ちの整理は付けやすかったです。


自分が付けてきた道を引き返しますが、登る時に踏み抜いた跡をそのままたどるのも難しくて、しばらくは、1歩1歩が腿まで埋まりながらの下りとなります。楽なはずの下りにもかかわらず、これが結構骨の折れる作業で、余力が残っている段階で撤退を決めたのは正解だったと思っています。
もしも浅間山に今回初めて登るのでしたら、もう少し登頂にこだわっていたかもしれませんが、すでに2度登っていたこともあって、撤退を受け入れるのに躊躇らしい躊躇は必要ありませんでした。
送電線が見えてくれば、間もなく先行者の足跡が多く残る場所に戻れます。先行者が固めてくれたトレース上を踏み抜かずに歩けることが、こんなにも有り難いことだと知ったのが、今回の最大の収穫だったでしょうか。
さらに下ると後続の登山者がぼちぼち現れるようになって、湯坂城跡まで戻ってくる間に、3グループの計8人とすれ違いました。装備はいずれもアイゼンだけだったようなので、私と同様にツボ足で登るしかないとすれば、どのグループも途中で撤退となる可能性が高いように思えましたが、それぞれが少しずつトレースを伸ばしたりしていれば、最後にすれ違った4人のグループなどは、もしかすると頂上まで達していたかもしれません。
それを期待して、4人グループの後に続いて再度登り返してみようかな、なんてことも頭には浮かびましたが、その時点までにはかなりの距離を下ってしまっていました。標高だけでなく、テンションも下がっていたので、大人しくそのまま下り続けてきたのですが、果たして、真相はどうだったのでしょうか。


箱根湯本駅に戻ると、すでにお昼近い時間になっていて、さすがに多くの観光客が繰り出していました。
せっかく箱根湯本駅に戻ってきたので、「菜の花」に寄ってお気に入りのお饅頭「箱根のお月さま」を購入していきます。これ買って帰ると、不思議と「箱根に行って来たんだ」って気分になるんだよなぁ。

タグ:箱根
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