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早池峰山 [東北]

2014/07/26(土)

■第288回 : 早池峰山(1917m)


今回は、早池峰山の固有種であるハヤチネウスユキソウに会いに、1泊2日で早池峰山に出掛けてきました。
公共交通機関で登ろうとしたら、盛岡駅からの直通バスが運行されている初夏の2ヶ月間しかチャンスがない山で、その中でもこの花の季節と重なる7月に照準を当てて、もう何年も前から行く機会を窺っていたのです。

この日は前日までは好天が予報されていて、それを見極めてから出発を決めていたのですが、なんと下界は晴れていても、山の上はガスガスで展望ゼロ。満を持して出掛けた割には、少々残念な結果となりました。
それでも、最大のお目当てのハヤチネウスユキソウは見られましたし、下りに長いコースを選択したおかげで歩き応えのある山行になって、充実した1日が送れたと思っています。

 累積標高差(登り):772m / 距離:12.9km / 歩行時間:5時間0分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:6時間40分 

(往路)
[前日] 市営斎場入口 15:18-15:34 相模大野 15:39-16:17 新宿
    新宿 16:27-17:08 大宮 17:46-19:33 盛岡(泊)
[当日] 盛岡駅前 07:10-08:54 小田越

(登山行程)
小田越バス停 09:10
早池峰山   10:50-11:05
六合目    12:50-13:00
平津戸登山口 14:00-14:05
平津戸バス停 14:50    (平津戸駅前)

(復路)
平津戸 15:13-16:20 盛岡 17:06-19:26 大宮
大宮 19:34-20:04 新宿 20:11-20:49 相模大野
相模大野 21:05-21:20 南警察署前


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

この日は盛岡駅で朝を迎えました。
早めにホテルをチェックアウトして駅前に出てみると、バス乗り場(ちょうど早池峰登山バスのバス停が写っています)にはまだ誰もいませんでした。時計の針が指しているのは6時ちょうど、さすがに早過ぎたようです。
バス乗り場には、6時20分頃から人がチラホラ現れ始めて、35分頃から少しずつ列ができていきました。
50分頃にはこんな状況となっていて、最終的には30~40人くらいが列に並んでいました。


季節運行の「早池峰登山バス」に約2時間揺られて、終点の小田越までやって来ました。
計画では、途中の河原の坊でバスを降りて登り始めることにしていたのですが、好天が予報されていたのに、現地に着くとガスガスで、山の姿は少し上までしか見えません。このため、なるべく早いうちに登頂しておこうと、短いルートに変更して、一番高い登山口まで運んでもらったのでした。
小田越バス停のすぐ先には、この高山植物取締監視員詰所があって、ここでトイレを利用させてもらいました。
早池峰山では、携帯トイレの利用が呼びかけられています(登山口以外の場所には携帯トイレ用のブースしかない)。そこで、登山口で販売されていた携帯トイレを購入しました。結果的には、下山ルートが長丁場だったのに、酷暑で大量の汗をかかされたためか、登山口まで持ってしまって、未使用のまま終わっていますが‥‥。


小田越からの登山道は、はじめは緩やかな木道で始まりました。
木道がすぐに終わって山道に変わっても、もう少しの間は傾斜が穏やかです。
登山道脇のところどころには、熊除けに鳴らすためのドラム缶とバチがセットで吊されていました。
登山口からわずか10分少々の場所に、携帯トイレ用のブースがありました。
このあとは、頂上に着くまでありませんでしたから、途中に1箇所だけ設置された貴重なブースです。
なにも、トイレのある登山口のすぐ近くを選ばなくても、もっと適当な場所がなかったのでしょうか。


ほどなく登山道は蛇紋岩の岩礫の道に変わり、傾斜も増していきます。
次第に樹木もハイマツなどの低木が主体になって、景色がどんどん開けてきますが、ガスのため視界が狭いのが残念です。しかも、かなり湿っぽいガスだったので、雨に変わったりしないかと気を揉みました。
下のほうでは、ミネウスユキソウが多く見られました。こちらは早池峰の固有種ではなく、ほかの山でもそこそこ見られるものらしいのですが、私にとっては見るのがこの日が初めてでした。


ここで、先行していた団体さんに追いついてしまい、一旦は気分がブルーになりかけたのでしたが‥‥。
なんと、周囲の状況に気配りのできる方々ばかりが揃っている、稀に見る気持ちの良い団体さんでした。
私を含めて、ほかの登山者が追いつくたびに、皆さんで声を掛け合って、スムーズに道を譲って下さいます。
先頭や最後尾にだけ、周囲を見られる方がいる、という団体ならば少なくないのですが、隊列の中央付近の方々にも次々とお気遣い頂いて、かえって恐縮してしまいました。団体さんの鏡のような方々だったと思います。


ついにお目当てのハヤチネウスユキソウが現れました。
ただ、標高を上げるとともに、ガスが深まった上に、強風が終始吹き荒れるようになっています。
被写体が常に風に揺れている中でシャッターを押すしかなく、花の写真を撮るには少々厳しい状況でした。
流れるガスを受けて、綿毛状の花びらに水滴が付いたものもありました。
これは現在の気象条件ならではの光景なので、晴天だったら見られなかったでしょうね。
ただ、ピントが合っておらず、そう言葉で説明を添えないと分って頂けない写真なのは、ご愛嬌ってことで。


中腹から上では植物が少なくなり、岩山の様相を呈してきます。また、湿っぽいガスが強風で間断なく吹き付けるため、それがメガネに当たって結露して、だんだん前が見にくくなってきました。これは初めての体験です。
単独の株が多かったハヤチネウスユキソウですが、中には数株がまとまって咲いている場所もありました。
行く手にはいくつもの巨岩がそそり立って、なかなか迫力ある景色に変わります。
五合目を通過します。ここまでが結構長かったという印象でした。
そしてガスは深まる一方で、この頃には視程が100mほどまでに狭まっていたほか、メガネの結露がいよいよ激しくなって、度々メガネを外して拭きながらでないと進めなくなりました。


上部では傾斜もキツくなって、手を添えて登るような岩場も現れました。
それに続いて一枚岩を登りますが、傾斜は垂直には全く及ばず、しかも鉄ハシゴを登るだけなので楽勝でした。
登り終えた鉄ハシゴを上から覗き込んでみました。こうして写真にすると、ほとんど垂直に見えてしまうのですが、実際は結構斜めなので、あまり怖さはありません。
その後は間もなく、稜線に上がります。縦走路の分岐点を左折すれば、頂上まではあとわずか。


稜線上に出てしまえば、あとは概ね穏やかな道です。ちょっとした平坦地もあって、お花畑となっていました。
ただ、このすぐ先には頂上があるはずなのに、ここまで来てもまだ見えてきませんでした。
紫色の花はミヤマシオガマでしょうか。白いほうの花は良く分からないのですが。
次に現れる分岐点では、このあと下る予定の平津戸へのコースを右に見送って直進します。
ガスの中の頂上は、結局登頂する1分前まで姿を見せることはありませんでした。
ようやく頂上の建物が見えてきたのは、頂上のすぐ裏手まで来て、最後の登りに差し掛かった時です。


最後の坂を登り切ると、避難小屋の前に出ました。右奥で霞んでいる早池峰神社奥宮のある場所が頂上です。
早池峰山の頂上には、早池峰神社奥宮と一等三角点がありました。
安全祈願の宝剣がたくさん奉納されています。
狭い頂上部ですら、端から端までを見渡せないほどのガスで、当然ながら展望は全くありませんでした。
しかし、これまではずっとガスの中を登ってきたのに、このとき一瞬だけ薄日が差して明るくなりました。
ただそのあとは、またすぐに曇ってしまいましたし、あまり長居しても状況は変わらなそうです。
中腹にいた頃ほどではないにせよ、風も強くて落ち着かないので、頂上での滞在は15分ほどで切り上げました。


先程の分岐点まで戻って、門馬・平津戸へ下るコースに入ります。あまり歩く人のいないコースで、分岐点にはこんな注意書きも掲示されていましたが、どんな状況なのでしょうか。
すると当分は、岩の間を縫うような道が続きました。結構な傾斜を下る上に、やや湿った道で滑りやすい岩も多く、足の置き場には常に気を遣います。1歩1歩を慎重に運ぶしかなく、調子良く下ることはできません。
大岩が積み重なった場所も多く、大きな段差を下ることもしばしばで、足への負担も大きかったです。
下って行くと、時折日が差すようになりました。上空には青空も見られるようになっています。
ならば、頂上でもう少し粘っていたらどうだったのだろう、とそれ以降ずっと考えていたのですが、翌日になってヤマレコでほかの方の記録を見る限り、頂上はずっとガスガスのままだった模様でした。


8合目に着く頃には、もうスッキリとした晴れ間が続くようになっていました。
しかも、登ってきた南斜面と違って北斜面では風もほとんどなく、こうなると暑くて仕方ありません。
滑りやすくて気疲れする急な下りの連続ということも手伝ってか、尋常ではない量の汗が吹き出してきますし、早くも足がガクガクし始めていたので、ここで10分ほど足を休めていきました。
8合目では、岩手県北部の山々がきれいに見渡せて、この日唯一の展望らしい展望を楽しめています。
その後も7合目付近までは、厳しい下りが続きましたが、その先で傾斜が収まると、岩道から土の道に変わって、グンと歩きやすくなりました。深い森の中で、フカフカの道を踏みしめるのは、とても心地良かったです。
6合目まで下って来ました。ここが門馬コースと平津戸コースの分岐点になります。
頂上からここまでは、いずれも単独行の男性4人とすれ違っただけで、心細いくらいに静かなコースでした。


6合目からは、平津戸コースに入るのですが、ここは思案のしどころでした。
まず事前調査の段階では、門馬コースが現在もきちんと整備されているのに対して、平津戸コースは近年整備されなくなっているとの情報を得ていました。でも同時に、道はまだしっかりしていて、テープによる案内もあり、問題なく歩けるとされていたので、それで平津戸に向かう計画としていたのです。
ただ、それらがいずれも昨年時点の情報だったため、最新の状況が分からず不安でした。
そこで、先程までにすれ違った4人の方々とそれぞれ会話をさせて頂いたところ、なんとその中に平津戸から登ってこられた方が1人いらしたので、道の様子を伺ってみたところ、「道がなくて迷った」「歩けない」というお返事があり、それで少なからず心が揺らいでいたのでした。


最終的な判断は現地で下すことに決めて、6合目の分岐点から平津戸コースを見てみると、普通に明瞭な道が続いている様子で、荒廃している気配は全くありません。それを見て、迷わず平津戸に向かうことにしました。
平津戸への道はすぐに急降下して、小さな沢を苔むした木橋で渡ります。
渡っている間、靴底からブヨブヨした感触が伝わってくるのは、厚い苔に覆われているためだと思うことにしたのですが、橋本体が朽ちかけている可能性も考えられて、あまり気持ちの良いものではありませんでした。
その後は細いながらも明瞭な道が続きます。それなりの間隔でピンクテープも付けられていますが、道自体が明瞭で迷いようがないので、テープを目で追う必要には迫られませんでした。
しばらくすると、一旦林道に出て、少しだけこの林道を進みます。ここには私製の案内板が置かれていました。
林道を2~3分歩くと、再び道案内が出てきて、ここで林道を離れて再び山道に入ります。


その先も、引き続き道は明瞭でした。やや草深い箇所はありましたが、それでも道が見えなくなるような状況にはなりません。思いのほか普通に、何の問題もなく歩けてしまって、少々拍子抜けでした。
長かった平津戸コースもいよいよ終盤に差し掛かると、苔むした丸木橋が現れます。
そこそこ太さがあるとはいえ、足を滑らせたら即、沢にドボンなので、ここは少し緊張させられました。
丸木橋を渡り終えて振り返ったところです。渡り切る寸前に、1段下の細い木(この写真でも手前に写っています)に移る必要があり、段差が大きくて飛び乗る具合なので、少しドキドキしました。
その後は穏やかなササの中を進みます。このあたりは、平津戸に下る分には全く問題ないのですが、逆に登ってきた時に、道標がなくて不親切な分岐が2箇所ほどありました。上ですれ違った方はそこで迷われたのかもしれませんが、一応テープがそれとなく分かるように付けられていたので、そのサインを見落としたのでしょうか。
次に林道に出たところが登山口でした。結局この平津戸コース、6合目の分岐点以降で道標があったのは、途中で林道に出入りする2箇所とこの登山口だけで、あとはテープによる目印しかなかったことになります。
とはいえ、これだけ道が明瞭でしたから、まだ当分は問題なく歩けるのではないでしょうか。


その後はしばらく林道を進みますが、その林道が最後まで未舗装で、しかも路面が柔らかめだったので助かりました。頂上から1300mを下って足が疲労していたので、もし舗装道路だったら辛かったことと思います。
林道脇にずっと沢が寄り添っていたお陰で、少し涼しかったですし、時々美しい景色が見られたりもしました。
国道に出て右折したら、すぐにゴールの平津戸駅が見えてきます。
JR山田線の平津戸駅は、小さな待合室があるだけの無人駅。なんと昼間は停車する列車が1本もありません。
待合室の中を見ても、時刻表・運賃表のほかには、椅子が4席とゴミ箱があるだけでした。
それにしても凄い時刻表です。下りの列車が夕方まで1本も来ないなんて。
ただ山田線には、この駅に停まらない列車はもう少しあって、現に私が滞在していた20分ほどの間に、上下線とも各1本ずつの快速列車が通過していきました。
ホームに出ても何もなくて、いかにもローカル線らしい佇まいです。
でも実は、もっと背中側に下がれば駅名標があったらしく、それを見逃してしまったのが心残りでした。
もしも下山がもう少し遅かったら、山田線にも乗ってみたいところでしたが、登りを短いコースに変更した上に、不安材料のあった下りもすこぶる順調で、盛岡行きの列車が来るまで2時間もあります。
周囲に何もない駅で、さすがに2時間は潰せないので、駅前のバス停で盛岡駅行きのバスを待ちました。

タグ:東北
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