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石尊山・千ヶ滝 [上信越]

2014/10/25(土)

■第293回 : 石尊山(1667m)・千ヶ滝


この日は、浅間山の寄生火山(側火山)のひとつである、石尊山に登ってきました。
頂上では全方位に雄大な展望が開けていて、なかでも間近から仰ぎ見る浅間山の迫力が半端ではありません。
浅間山の山腹では落葉松の紅葉が最盛期を迎えていて、斜面全体を黄金色に染め抜いているさまも見事でした。
さらに、浅間山の反対側に大きく広がる展望も素晴らしく、標高が低いことをつい忘れて見入ってしまいます。
石尊山で展望を楽しんだ後は、さらに千ヶ滝にも足を延ばして、山と川の両方の見どころを楽しんできました。

 累積標高差(登り):994m / 距離:21.2km / 歩行時間:5時間0分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
古淵 04:45-05:17 東神奈川 05:18-05:20 横浜
横浜 05:25-05:52 東京 06:24-07:32 軽井沢
軽井沢 07:39-07:47 信濃追分

(登山行程)
信濃追分駅    07:50
登山口      08:20
血の滝      09:20
石尊山      10:05-10:20
追分林道分岐点  10:55
せせらぎの道入口 12:00-12:05
千ヶ滝      12:40-13:00
千ヶ滝入口バス停 13:30

(復路)
千ヶ滝入口 13:44-14:11 (遅延13:52-14:23) 軽井沢
軽井沢 15:02-15:46 大宮 15:53-16:25 新宿
新宿 16:41-17:23 相模大野 17:28-17:43 南警察署前


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

軽井沢で新幹線からしなの鉄道に乗り換えて、下車したのは信濃追分駅。
この駅から乗ってくる人は多かったのですが、降りたのは私ひとりだけでした。ちなみに無人駅です。
快晴の予報だったのに、軽井沢一帯の空がどんよりとした鉛色だったのには、少々愕然としてしまいました。
本来ならば、駅前から間近に浅間山を見上げられるはずなのですが、すぐ近くの森からして霞んでいる始末。
今から登る石尊山は、展望だけが見所と言っても過言ではないので、こんな調子では来た意味がなかったかも。


気を取り直し、天候の回復を期待して、駅前の道を歩き始めます。
道端のなんでもない樹木が綺麗に紅葉しているあたりは、さすが軽井沢といったところでしょうか。
途中で旧中山道の追分宿付近を通ります。今ではすっかり車道になっていますが、路面が石畳風になっているあたりに、往時の雰囲気をなるべく損なわないようにとの工夫が感じられました。
旧中山道から離れたら、別荘地の中を直進していきます。


次にT字路に突き当たったところが登山口でした。駐車スペースがあって、車で来てここから歩き始めるのが一般的なようですが、停められている車が1台もないので、マイカー登山の人はまだ誰も現れていない模様です。
活火山である浅間山は、現在火口から4km以内が立入規制中です。石尊山もその規制区域内にありますが、山頂までの登山道だけが例外的に通行を認められている状況で、登山口には様々な注意看板が立てられていました。
相変わらずガスで見通しは良くないまま。短い間には天候の好転は期待できないと、この時は感じていました。


登山口もそうでしたが、はじめのうちは、草が生い茂る中を掻き分けて進むような、細くて頼りない道でした。
でも、道が細かったのは初めだけで、やがて道幅が広がり、心許ない雰囲気ではなくなります。
傾斜も緩やかで楽に登れるのですが、火山灰土が露出した道には、火山弾らしき小石がゴロゴロと転がっていて足を取られやすく、歩きやすい道ではありませんでした。
登山者が少ない上に、傾斜もこんなに緩やかなのに、木段が整備された区間が現れたのは驚きでした。
ないよりはあるほうが良いのは確かですが、限られた予算が敢えてこの場所で使われた理由は大いに謎です。


その後は意外にも薄日が差し始めて、最初に林道を横断する地点に着く頃には、スッキリと晴れていました。
どんよりとした空が心配でしたが、決して曇っていたわけではなく、朝霧が出ていただけだったようです。
さらに進んで、2度目の林道横断点。道標によれば、追分から3km、頂上までも3kmとなっていて、ここがちょうど中間点に当たるようです。下山後は、これから進む道をここまで引き返してから、千ヶ滝を目指すためにこの林道に入るので、この地点の景色はしっかりと眼に焼き付けておきました。
登山道上の紅葉はもう終盤で、この時期らしい色彩を楽しめる場所はほとんどなかったのですが、1箇所だけモミジが赤く鮮やかに染まっていました。
3度目に見る林道は、横断ではなく合流する形となって、ここで初めて上空が大きく開けました。
雲ひとつない抜けるような青空に、山頂からの展望の素晴らしさにも期待が高まります。


林道に出る手前から、濁川の沢音が聞こえるようになっていたのですが、少しだけ林道を歩いて再び山道に入ると、いよいよ流れがすぐ横まで迫ってきました。その濁川、なんともオドロオドロしい色をしているのです。
鉄分を含んでいる濁川の水が、空気に触れることで酸化して、このような赤茶色を呈しているらしい。
ここで「血の滝」への枝道が分かれます。先ほど見た濁川に懸かる滝なので、ただでさえ不気味な感じがしますが、さらに「血の滝」なる薄気味悪い名前まで付けられています。一体どんな滝なのか、見に行ってみました。


濁川の沢音に向けて下って行くと、その滝はすぐに現れました。
赤茶色に濁った水が勢い良く流れ落ちているという、こんな殺風景な滝も珍しいのではないでしょうか。
何枚か写真を撮ってみましたが、ほとんど絵になりませんでした。
登山道に戻って山頂への道を進んでいくと、登山道からも「血の滝」を見下ろすことができました。
間もなく登山道は、「血の滝」のすぐ上に架かった小さな木橋で濁川を渡ります。
その木橋の上から下流を見れば、目と鼻の先がもう「血の滝」の落ち口なのでした。


4度目に林道に出合う地点からは、座禅窟に向かう道が分かれていました。
分岐点脇には広場があってベンチも置かれていて、近くには綺麗に色付いた立派なカラマツが立っていました。
座禅窟に向かう林道脇にも、黄金色に輝くカラマツが並んでいました。


その後は登山道の傾斜が増していき、次の分岐点で石尊山に向かう道と、濁川の源泉に向かう道に分かれます。
今回は濁川の源泉には寄らず、左折してそのまま石尊山を目指します。
いよいよ傾斜がキツくなって本格的な登りが始まり、樹木もすっかり落葉して冬の装いに変わりました。
登山道は石尊山を北側から回り込むルートとなっていて、まず北側の鞍部に出ました。石尊山は左折方向です。
右折方向には浅間山への道がありますが、現在は通行禁止です。この写真では文字が飛んでしまいましたが、中央やや右寄りに写っている白い看板には、赤い文字で「立入禁止」と大書きされていました。
鞍部から頂上までは、ほんのひと登り。途中で振り返ると、浅間山が大迫力で間近にそびえていて、その山腹をカラマツの輝くような黄金色が埋め尽くしているさまが、息をのむ程の美しさでした。(冒頭と同じ写真です)


石尊山の頂上に到着しました。登ってくる途中で人の気配を感じることが一切なかったので、期待はしていましたが、その通りに無人の頂上を独占できています。
頂上標柱と三角点があるだけの、狭くて味気ない場所ですが、その代わり展望は一級品でした。
まず目を奪われたのは、なんといっても浅間山の雄姿です。中腹から下で、カラマツの黄葉が裾野まで広く埋め尽くしているのも圧巻でした。  ※下の写真は縮小版で、大きな写真は こちら です。
そして振り返れば、北東方向から南西方向にかけて、ほぼ180度のパノラマが目を楽しませてくれます。
朝霧が出ていた関係か、この時間になっても遠くのほうをクリアに望むことはできませんでしたが、それでも広範囲をズラリと眺められるのは見事で、いつまで見ていても飽きることがありませんでした。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
どちらの眺めも甲乙付け難かったのですが、やはり主役は浅間山だったでしょうか。標高が低いながらも、展望は期待を上回る豪華さで、雲ひとつない絶好の展望日和にも恵まれて、なんとも立ち去りがたい山頂でした。


石尊山から下って行くと、座禅窟への分岐点の手前で、ようやくこの日初めて見る登山者とすれ違いました。
  単独行男性 「頂上には誰もいませんか?」
  わたし 「誰もいません。いいですよ~」
この質問には、思わず膝を打つ思いでした。この方も、恐らく当分の間、頂上を独占できたことと思います。

さらに、「血の滝」のすぐ上を通る時に、下の滝のほうから人の声が聞こえると思ったら、分岐点にあるベンチの上にザックが2つ置かれていたので、たぶん持ち主の2人が空身で滝を往復していたのでしょう。
それ以降は、追分林道の分岐点で登山道から外れるまで誰も見なかったので、この日の石尊山の登山者で私が確認できたのは、自分以外には3人だけという結果でした。


2本目の林道の分岐点まで戻ってきました。往路の登りではここから2時間かけましたが(「血の滝」への寄り道を含みますが、それは10分くらいのこと)、復路は駆け下りるようにして、たった35分で着いています。
実は帰りのバスが午後は2本しかなく、そのうち早いほうの便に間に合わせようと、飛ばしていたのでした。
分岐点から、まずは御代田三石林道に入ります。
ここまで来れば、浅間山の火口から4km以上離れているので、登山道から離れても違反にはなりませんし、林道にも立入禁止の掲示がないので、通行には何の問題もないと判断しました。
御代田三石林道はすぐに追分林道に合わさって終わり、そこからは追分林道を進みます。さほど見事な色合いではないものの、それなりに秋色が楽しめて、ほぼ平坦ということもあって、まずまず気持ち良く歩けました。
追分林道では、カラマツの美しい黄葉がたびたび見られました。本当は、落葉が始まった頃に、キラキラと輝く落ち葉がシャワーのように降り注ぐ中を歩くのが最高に気持ち良いのですが、それには少々早かったようです。
林道に入って30分ほど経った頃、ここを鋭角に右折して、追分林道を離れます。
あとはもう道なりに歩いて行けば、千ヶ滝への入口に出られるはずです。
最後の林道は、景色が平凡でやや退屈でしたが、下るだけなのでグングンと進みます。
林道の終点を、ゲートの脇を抜けてから振り返りました。看板には「一般車両通行禁止」と書かれていただけで、歩行者に対する規制は何も見当たらず、歩いてきて問題なかったことが改めて確認できています。


その後、すぐにこの軽井沢朗読館の前を通ると、そこからは舗装道路に変わってしまいました。
少し飛ばして歩いていることで、足にはかなり疲れが出てきていて、この先は歩くのが余計に苦しくなります。
とはいえ別荘地内に入ったことで、黄葉に混ざって、山の中ではほとんど見られなかった紅葉も見られるようになって、軽井沢らしい景色は楽しむことができました。


ようやく、千ヶ滝へ続く「せせらぎの道」の入口まで来ました。
そこはセゾン現代美術館の入口前で、振り返れば、いつしか浅間山がこんなに遠ざかっていました。
ここまで来れば残りの行程も見えてきて、早いほうのバスに間に合うメドも立ったので、美術館入口前のベンチで、疲れた足を少し休ませていきます。


短い休憩を終えたら、「千ヶ滝 せせらぎの道」へ向かいます。
この標識では、ここからが「せせらぎの道」であるように読めますが、この上にある駐車場から先だけが「せせらぎの道」だという書きぶりの標識もあって、正確なところは良く分かりませんでした。
緩やかな登り坂に変わりますが、沿道では紅葉がそこそこ楽しめました。
15分ほどで千ヶ滝駐車場に到着です。停められていた車は10台前後だったでしょうか。


駐車場の先から、「せせらぎの道」の遊歩道が始まります。
その名前の通り、せせらぎのそばを歩く区間の多い、涼やかな遊歩道です。
時折ほかの人たちとすれ違うという程度で、比較的静かに歩いていけます。
遊歩道は概ね緩やかな登り坂でしたが、最後になって滝の手前だけは、木段の登りが続きました。


遊歩道の終点から見る千ヶ滝です。思っていたよりも人が少なくて、ひっそりとした雰囲気だったので、滝の規模もそれなりかと高をくくっていたら、結構落差が大きく水量も豊富で、見応え十分の滝でした。
約20mとされる大きな滝のあとにも、小滝がいくつか続いていて、すべてを一連の滝とみなせば、全体で30mくらいの規模になりそうです。さすがに横長の写真には収まらず、珍しく縦の写真になりました。
遊歩道の終点には、ほんの小さなスペースがあるだけでしたが、私が20分ほど滞在していた間に見掛けた人は4人ほどで、手狭に感じることもありませんでした。


滝からの帰路は、「せせらぎの道」を駐車場までは戻らずに、この写真の東屋の前をそのまま直進します。
これは「千ヶ滝入口」バス停からの道順として、西武高原バスのウェブサイトで紹介されている通りなのですが、ここには駐車場へ誘導する右折の標識があるだけで、直進方向の案内は何もありませんでした。
林道を道なりにしばらく進むと、一般の車道に出る前にゲートがありました。
左側のゲートの下をくぐって出てきたのですが、ここにもその道が千ヶ滝に至るという案内は見られません。
一般の車道に出たら、バス停までは3~4分ほどで、バスが来る約10分前に到着です。それを逃すと次は2時間後(しかも最終)という過疎ダイヤなので、普段以上に時間に気を遣いながら歩いて、無事に間に合いました。
なお、「千ヶ滝入口」という名前のバス停ながら、ここでただバスを降りても、千ヶ滝への道案内は一切なく、予め西武高原バスのウェブサイトで道順を確認していなければ、たぶん滝にはたどり着けないので要注意です。
まぁ、バス会社が勝手に道標を立てる訳にもいかないでしょうし、そのへんは西武高原バス側でももどかしく感じているのかもしれません。それ故か、ウェブサイトの道順案内は、多くの写真付きの実に丁寧なものでした。
バスに揺られて軽井沢駅に着いたら、次に来た新幹線は、なんと予想外に自由席がガラガラではありませんか。
これまで、軽井沢から自由席に座れる人を見たことがなく、着席は最初から諦めていたので、これは嬉しい誤算でした。長野新幹線も、土曜日の比較的早い時間帯ならば、軽井沢まででも空いていることがあるんですね。
どうせ立席だからと、新幹線は高崎ですぐに降りて、あとは在来線で帰る計画だったのですが、車内で急遽区間変更してもらいます。おかげで大宮までゆったり座ったままで、しかも予定よりも早く帰れてラッキーでした。

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