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富山・伊予ヶ岳 [房総半島]

2015/01/11(日)

■第299回 : 富山(349m)・伊予ヶ岳(336m)


今回は房総半島の2つの低山を巡ってきました。
このところ、茨城と房総を交互にローテーションする感じになっています(たまたまですけど)。

伊予ヶ岳は、山頂直下に長く続く急な崖をロープ伝いに登り下りする、スリル満点のコースが人気の山。
一方の富山も、一般的には穏やかな里山として認識されていますが、ほぼ未整備に近いワイルドな山道が続き、急なアップダウンを繰り返す西尾根コースを歩いたことで、両方の山でアスレチック気分を味わってきました。

 累積標高差(登り):743m / 距離:10.5km / 歩行時間:3時間35分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
古淵 05:37-06:09 東神奈川 06:12-06:14 横浜
横浜 06:20-06:56 京急久里浜 07:05-07:14 東京湾フェリー
久里浜港 07:20-08:00 金谷港/浜金谷 08:22-08:36 岩井

(登山行程)
岩井駅    08:40
西尾根登山口 09:00-09:05
富山(北峰)  10:20-10:30
富山(南峰)  10:40
六地蔵登山口 11:25-11:30
伊予ヶ岳   12:00-12:05
天神郷バス停 12:40

(復路)
天神郷 13:35頃-(タクシー移動)→13:50頃 道の駅富楽里とみやま 13:50頃-(徒歩)→14:10頃 岩井駅
 ※当初の予定は、【天神郷 12:49-(南房総市営バス)→ 13:10 岩井駅】だったが、バスに素通りされる。
岩井 14:18-14:30 浜金谷/金谷港 15:20-15:55 久里浜港
東京湾フェリー 16:08-16:17 京急久里浜 16:29-17:00頃 金沢八景
金沢八景 17:35-18:00 新杉田 18:10-19:04 古淵
古淵 19:14-19:24 長久保


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

前々回と同様に、フェリーで東京湾を渡ります。行く手に房総の山々が近付いてきました。
房総半島に到着して金谷港のフェリー乗り場から振り返ると、三浦半島にいた頃にクッキリと見えていた富士山は、ぼんやりとした見え方に変わっていました。この日は遠望はきかないようです。
 (あまりに分かりにくいので、この写真にマウスを乗せると、富士山の位置を表示するようにしました)。
少しだけJR内房線に乗って、岩井駅で下車します。登山でこの駅を訪れるのは初めてですが、オーケストラをやっていた頃には、何度も合宿などで来たことがある駅で、その当時が懐かしく思い出されました。


最初だけは富山を示す道標の通りに進みますが、私が向かう先はほとんど案内されていない西尾根コース。途中で岩井小学校の角を左に曲がって、細い道に入ります。正面に天満神社が現れたら、右の小径に入るのが近道。
右手には、富山がスッキリとした姿を現しました(駅からもずっと見えていましたが、はじめは建物や電線に邪魔をされていたのです)。写真左端から続く、いかにもアップダウンの多そうな尾根が、これから歩くコース。
真新しそうな県道を横断して、細い道をさらに進みます。
富津館山道路の下をくぐれば、登山口はもうすぐ先です。


西尾根コースの登山口に到着しました。ほとんど平坦に近い道を20分ほど歩いただけですが、すっかり身体が暖まっていたので、ここでジャケットを脱いでから登り始めることにしました。さすがは南房総、暖かいです。
登山口の案内図に書かれているコースは、尾根を途中まで登ったら、山頂へは向かわずに伏姫籠穴へと下ってしまいます。そこから先、山頂までは未整備のコースということなのでしょう。
真に受けたところで、そうでもないことが多いこの手の警告ですが、コイツは珍しく額面通りでした。


のっけから急登が続き、ひとしきり登ると開けた場所に出て、うっすらと富士山が見えていました。これだけ空気が温まっていると、いつまで遠くが見えているか分からないので、これが見納めかなと思いつつ撮った1枚。
急登の連続に、10分も経つとフリース姿でも暑くなってきて、さらにフリースまで脱いでしまうことに。
結局このあとは、山頂などでの休憩中も寒さを感じることがなく、最後まで山シャツ姿で過ごせています。
尾根は次第に小刻みなアップダウンを繰り返すようになります。下りになると概ね穏やかな道なのですが、登り返しはほぼ例外なく急登。段差の大きな木段が続く箇所も多くて、だんだんキツくなってきました。
登山口の案内図通り、道標が示す道はここで尾根を外れて、南総里見八犬伝ゆかりの名所に下っていきます。ここまでは、アップダウンが多いという印象だけで、登りで急坂が続いたものの、特別な険しさは感じませんでした。正面に続く尾根通しの道も良く踏まれている様子ですが、この先は未整備のコースになるのでしょう。


未整備区間に入っても、相変わらず急登が続きます。
未整備だけに、さすがに木段は見られなくなって、代わりに補助ロープを良く見るようになりました。
道を塞ぐ倒木なんかもそのままで、ここは突破するのに少し時間がかかりました。
はじめのうち、「あったほうが親切」な程度だった補助ロープですが、進むにつれて、ロープを頼らないとどうにもならないような傾斜の箇所が増えていきます。
265m標高点のピークは要注意。直進する踏み跡を追ったところ、下り始めてすぐに道が不明瞭になって、引き返す羽目になりました。ピークに戻って良く見ると、右折方向にテープの目印が続いて、そちらが正しいルートだと教えてくれています。ここは下りの斜面では唯一傾斜が急で、それで道の続きが見えにくかったのでした。


西尾根コースは、上下動の繰り返しに時間ばかりが過ぎて、時折見える富山への距離がなかなか縮まりません。
次のコブに立って、ようやく富山がそれなりの近さで見えてきたものの、この時すでに登頂を見込んだ時刻になっていました。この日の計画は、帰りのバスへの接続がタイトだったので、このあと少し焦ることになります。
ところどころで道が細くなるようになって、足場が不安定で歩きにくい箇所も目立つようになります。
ここは斜面をトラバースして進むのですが、フラットな足の置き場が少なくて、ロープを片手に通過しました。
藪っぽくなる区間もあって、放置された倒木と合わさったここなどは、「ここは本当に道なの?」状態でした。
最後まで急坂は緩まることがなく、尾根の上部ではロープを頼る箇所が続きました。
ここを過ぎれば山頂は間近ですが、最後まで誰にも会うことがなく、人の気配すら全く感じられませんでした。
それはともかく、登山口から60分で着く見込みのところ、実際には75分もかかってしまいました。所要時間の見込みは、カシミール3Dを使用して、余裕を持たせた係数で計算させたものです。それをオーバーすることは滅多にないのに、今回そうなったのは、きっと地図には現れない細かなアップダウンが多かったためでしょう。


富山の山頂に着くと、そこには歩いてきた道の険しさとは好対照の、のんびりとした空間が広がっていました。
なお、山頂には西尾根コースの案内はなく、下り口の場所も分かりにくくて、知らない人が探すのは難しそう。
展望台に登ると、ほぼ全方向に眺望が広がっていて、南側は房総半島の先端近くまで見えていました。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
西側には、先々週に登ったばかりの鋸山のほか、遠くにはまだ富士山がしぶとく見えていました。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
鋸山をアップにしました。ここまで離れても、ロープウェイの白い巨大駅舎は、やっぱり目立ちますね。
北東側には、山また山という景色がどこまでも続いていました。房総半島には高い山こそありませんが、目立った人工物がないこともあって、奥のほうまで足を踏み入れた時に感じる山深さは格別なものがあります。
三角点がある富山の最高点は、展望台がある広場とは別の場所にあって、ひっそりとした雰囲気でした。
富山の最高点からは、北東側の狭い範囲が眺められるだけでした。2つ前の写真とほぼ同じ方角です。


この日に登った2つの山は、富山も伊予ヶ岳も、北峰と南峰からなる双耳峰です(ともに北峰が最高点)。
南峰にも立ち寄ることにして、北峰と南峰の鞍部に軽く下ったところで、先程までいた北峰を振り返りました。
登り返した南峰に建っていた観音堂は、少々荒れている外観が、なんとも痛々しかったです。
観音堂の左手の高みが南峰の最高点で、休憩舎とベンチがありました。
せっかくの休憩舎も、建てた当時のことは分かりませんが、現在はこんな具合で眺めは何もありません。
樹木に囲まれたせいで薄暗い空間になってしまい、居心地も悪そうです。実際にこの時、誰もいませんでした。


富山を後にしたら、まだまだ遠くに見えている伊予ヶ岳に向かって、しばらく車道を進みます。
富山への登りに時間がかかり過ぎていて、この先も普段通りのペースで歩くと帰りのバスに間に合わない計算となっていましたが、ここからの長い下り坂が時間を取り戻すには絶好の区間なので、早足でサクサク下ります。
富山と伊予ヶ岳との中間点付近まで来たでしょうか。伊予ヶ岳が少し大きく見えるようになってきました。
道端では、スイセンが随所で花を咲かせていて、房総の早い春の訪れを感じさせていました。
伊予ヶ岳の六地蔵登山口に到着しました。
伊予ヶ岳は頭上に高く聳えていて、疲れた足でこれから登るのかと思うと気分が凹む眺めでしたが、ここまで飛ばして歩いてきた甲斐あって、残りを普段のペースで歩けばバスに間に合うタイミングに復旧できていました。
とはいえ、山頂直下の急斜面をロープで登り下りする伊予ヶ岳は、ロープ場がしばしば渋滞するため、自分のペースで歩けるかどうかは運次第。あまり待たされると苦しくなることに変わりはなく、まだ安心はできません。


最初だけ、民家へと続く車道を少し登ったら、すぐに山道が始まりました。
登り始めは穏やかな道でしたが、一旦木段が現れたら、そこからは木段が連続していて、グングンと登ります。
休憩舎の建つ地点を過ぎると、いよいよ伊予ヶ岳の代名詞的なロープ場が現れました。
山頂までこんな急斜面が続きますが、さほど斜度がキツくない上に、結構凹凸のある岩壁なので、ロープを使わなくても登れる箇所が少なくなかったです。ロープを使うと、むしろ思わぬ方向に振られるのが煩わしかったりするので、まだ傾斜が緩い下のほうでは特に、ロープをあまり使わなかったような。
また、幸いに団体さんとの鉢合わせがなく、すれ違い待ちも想定内の範囲だったので、割と順調に登れました。


ロープ場を最後まで登り切ると南峰に出ましたが、人が多かったのでスルーして、そのまま北峰に向かいます。
南峰と北峰の間のコブから、南峰を振り返りました。西面はほぼ垂直な絶壁で、その上に立っていたのですね。
伊予ヶ岳の最高点である北峰に着きましたが、この写真の範囲がすべてという極めて狭い場所で、ポツンと三角点が埋まっているほかには、見事に何もありません。360度の展望が楽しめますが、それは南峰でもほぼ同様ですし、山頂の標識も南峰に立っているので、多くの人は南峰を楽しんだらそこで引き返しているようです。
ちなみに南峰の山頂標識には「標高336.6m」と書かれていますが、それはあくまで北峰の標高であって、南峰の標高は320m台です。良くあることなので、同じことを何度も書いていますが、別の場所の標高を拝借したウソ標識の多さにはもうウンザリ。私はその場所の標高を正しく書けばそれで良く、不明なら標高を無理に併記する必要はないと思っています。ウソの標高が何かの役に立つのならば理解できますが、私には思い付きません。
伊予ヶ岳からの南側の展望です。富山にいる時は見えなかった伊豆大島が、この時はハッキリ見えていました。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
一方西側では、ついに富士山がほとんど分からなくなっていました。
 (北側や東側は、富山から眺めた時のように地味な山並みが続いているだけなので、写真を省略しています)
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
北峰から見ていて人が減ったようだったので、南峰に戻ってきました。
この先が、先ほど見ていた垂直な絶壁なのですが、先端まで行けるわけではないので、それを実感することはありませんでした。少し先に見えているのは、最初に登ってきた富山です。
最後に北峰を振り返ったら、伊予ヶ岳を後にします。わずか5分という短い滞在時間でした。
順調に登れたおかげで、時間には少々の余裕も生まれていましたが、山には「登り優先」という考え方があり、あくまで原則論であって実際には臨機応変に柔軟な対応を取るべきものだと思うのですが、中にはそれを大上段に構えて譲り合うことをしない分別のない人たちもいて、特に下る途中で登ってくる団体に出くわすと延々と待たされて目も当てられないことがあるので、時間に余裕を持ったまま、安心できる所まで下ることにしました。


下り始めると、幸いなことに登る人とのすれ違いは数えるほどで、ロープ場の途中で停滞している下山者もなく、思いのほかスイスイと下れてしまいました。登山口まで下りてくれば、もうバスに間に合うのは確実です。
集落に出る手前にあった平群天神社。室町時代に創建された由緒ある神社のようです。
天神郷バス停まで来ると、7人グループの方達が先着していて、私を加えた8人でバスを待つ形になりました。
が、待っていたバスに、私たちは乗ることができなかったのです。バスはやって来たものの、私たちを乗せようともせずに通過したのでした。
バス停が片側車線にしかなく、私たちはどの方向からバスが走って来るか知らなかったので、当然のようにバス停の近くに立って待っていると、それらしいバスが反対車線を通ったのですが、停まってはくれませんでした。
そのバスが市営のコミュニティバスで、行先表示などがないために、それが待っていたバスだという確信がなく、それで見送ったという側面もあります。また、バスの運転手がバス停のそばにいる私たちをチラッと見た際に、私とは目が合った気がしたのですが、それでも私たちに構うことなくそのままバスを走らせたので、私には乗客を乗せる意志を持って走っているとは感じられず、「回送だったのかな」という印象も持ちました。

こちらが天神郷バス停の様子です。この日は、建物の前いっぱいに登山者の車が停められていて、バス停をうまく写せなかったので、この写真はGoogleのストリートビューをキャプチャしたものです。
考えてみたら、バス停の前なのに構わず駐車する登山者も非常識極まりないわけで、そのせいで、反対車線を運転してきたバスの運転手からは、私たちが駐車車両の関係者のように見えていたのかもしれません。
それにしても、バス停前に人が立っていたら、乗るかどうかを確認するのが普通ではないでしょうか。
特にここは登山者にも利用されるバス停なので、乗り慣れた地元の住民だけでなく、他地域からの利用者も多いことを運行会社も十分に認識できていたはず。そう考えると、やはり運転手の対応はあまりに残念でした。
でも有り難いことに、道の駅「富楽里とみやま」までは、7人グループの方達が手配したタクシーに同乗させて頂いたので、私は道の駅から少し歩くだけで岩井駅に出られて、予定していた電車にも間に合ってしまいました。7人グループの方々にお気遣い頂いたことを、大変感謝しています。
岩井駅のホームから富山を振り返ると、最初に登ったギザギザの西尾根がちょうど見えていました。
 (写真の左半分は、手前の小山に隠れてしまいましたが、その後ろでギザギザがさらに続いているはず)
この日は、すでにバスにスルーされて一波乱あったのですが、なんと、それだけでは終わりませんでした。
京浜急行線の乗車中に、今度は人身事故による運転見合わせに巻き込まれて、迂回を余儀なくされたのです。
ツイていない時って、とことんツイていないものなんですね。

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