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多摩よこやまの道・尾根緑道・絹の道・(大塚山) [東京・神奈川(平野部)]

2015/02/14(土)

■第301回 : 多摩よこやまの道・尾根緑道・絹の道


今回歩いてきたのは、多摩丘陵の尾根道を「多摩よこやまの道」「尾根緑道」「絹の道」という3本の道を通して歩いて、東から西へ縦走(?)するコースです。
万葉集にも詠まれた「多摩よこやまの道」から、明治時代に繁栄した「絹の道」までを、さらに近代(戦時中)に軍事用に建設された過去を持つ「尾根緑道」を挟んで歩くという、時代を横断するコースにもなっています。
市街地の中を縫うように進みながらも、意外にも緑が多く残されていることが分かったり、尾根道であることから山岳展望まで得られたりと、歴史を少し味わえた以外でも、思いのほか楽しんで歩くことができました。

 累積標高差(登り):496m / 距離:20.1km / 歩行時間:4時間35分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
長久保 06:45-07:01 町田 07:08-07:15 新百合ヶ丘
新百合ヶ丘 07:22-07:29 はるひ野

(登山行程)
はるひ野駅       07:40
多摩よこやまの道・東端 07:50
諏訪ヶ岳        08:05
多摩丘陵パノラマの丘  08:15-08:20
一本杉公園       08:55-09:05
もものき広場      09:45
多摩よこやまの道・西端 10:25
尾根緑道        10:45-10:50  (小山長池トンネル付近)
絹の道分岐点      11:25
大塚山公園(道了堂跡)  12:05-12:15
八王子みなみ野駅    12:45

(復路)
八王子みなみ野 12:55-13:01 橋本 13:04-13:14 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

小田急多摩線のはるひ野駅が、今回の下車駅です。
流線型の駅舎は、これから歩く多摩丘陵をイメージしてデザインされていて、屋上には風力発電の風車が並び、屋根にも太陽光発電のパネルが設置されているなど、自然エネルギーを活用する設計になっているようです。
なお、多摩よこやまの道に近いのは反対側の北口で、当然そちらの改札口から出たのですが、北口に駅前と呼べるような景色が何もなかったので、駅の写真を撮るには跨線橋で南口に渡ってこなければなりませんでした。
すぐに、京王線の線路の下をくぐります。この日、朝の冷え込みはなかなか厳しかったのですが、この先に緩やかな登り坂がしばらく続いていて、おかげでいい具合に身体が温まりました。
10分ほどで、多摩よこやまの道の東端に到着です。駅からここまでの間は、特に道案内はありませんでした。


良く整備された、広くて歩きやすい道が続いていきます。寒い時期で、しかも早い時間のスタートだったためか、多摩よこやまの道を歩いている間は、数えるほどの人しか見掛けませんでした。
多摩よこやまの道は、低いながらも尾根道ですから、樹木が途切れたところからは遠くの山並みを望むことができます。この日は空気が澄んでいて、その上に頭だけを出していた富士山も、きれいに見えていました。
ほぼずっと、「尾根幹線道路」に沿って進んでいきます。比較的交通量の多い道路ですが、このようにすぐ隣を通っている区間を除けば、静かな雰囲気の中を歩くことができました。
木段が整備されていたり、たいしたコブでもないのに巻き道まであったりして、景色は登山道さながらでした。


144m三角点のある場所は、ちょっとした広場になっていました。
三角点標石の後ろには、「諏訪ヶ岳」と書かれた私製の標柱が立てられていました。
ごく小さなコブですがピークには違いないので、一丁前に山名まで付られていたのです。これで一応は山に登ったことになりますから、この記録を「山行記録」としても嘘にはならないのかな。
諏訪ヶ岳の先には、すっかり山道を歩いているような気分になれる箇所もありました。


諏訪ヶ岳の少し先にも、同じくらいの高さのピークがあります。
「多摩丘陵パノラマの丘」と名付けられたその場所に登ると、一気に展望が開けて爽快な眺めを楽しめました。
「多摩丘陵パノラマの丘」では西側に大展望が広がっていて、丹沢・奥多摩・秩父の山々を一堂に見渡せます。
下の写真は山名ガイドを入れた縮小版なのですが、あまりに広い範囲を1枚に縮小してしまったため、山々の区別が付けづらくなってしまいました。大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
丹沢の稜線上には、富士山が相変わらずスッキリと見えていました。富士山の左隣は丹沢最高峰の蛭ヶ岳です。


両脇はすぐ近くまで市街地や道路が迫ってきて、尾根上には狭い幅で緑地が残されているだけですが、そこをうまく縫うようにして道が付けられていました。
とはいえ、道路に出てしまうことも多くて、中にはこうして完全に幹線道路上を歩くような箇所も。
再び山道に入ると、もちろん雰囲気は良くなるのですが、結構アップダウンが多く、あまり楽には歩けません。
かと思えば、すぐ先でまた車道歩きに戻ったりして、状況がめまぐるしく変わります。


一本杉公園の入口まで来ました。
この門は開放時間が朝8時からとなっていたので、あまり早く来てしまうと中を通れないようです。
公園の中心には池を配した大きな広場があって、市街地の中にありながら落ち着いた空間になっていました。
まだ朝の9時ということで、ここでもほとんど人を見ていません。
こんな時期なので少し寒々しい景色ですが、池の前は芝生広場なので、暖かくなれば緑で埋まるのでしょう。
公園内には、文化財としてここに移築され、保存・展示公開されている古民家が2軒あります。
今回はそのうち、旧有山家住宅を見てみました。18世紀初め頃の建築とみられ、小規模で質素な構造をしていることから、標準的な農家の住宅ではないかと推測されています。
台所は土間となっていて、かまども見られました。
囲炉裏のある座敷には竹の簀子(すのこ)が敷かれ、奥に接客主体の畳敷きの部屋があります。
広場から一段下がった所にキウイフルーツの屋根でできたテラスがあったので、ここで少し休んでいきましたが、石でできた椅子がキンキンに冷えていて、あまり長くは座っていられませんでした。


その後は次第に、道路を歩く区間が増えていきます。
ほとんどの場所では車道と歩道が分かれていて、車に注意が必要なのは道路を横断する時だけでしたが‥‥
遊歩道に入っても、自然が感じられる場所は少なくなり、コンクリートで固められた路面が多くなります。
多摩よこやまの道を東から西へ進むと、前半はあちこちに見所がある感じでしたが、後半になるに従って、淡々とただ歩くだけの区間が長くなっていくような印象でした。


久しぶりに広場に出た時、斜面に雪が残っていたのが意外でした。
案内図やガイドブックでは全く触れられていない場所ですが、ここは「もものき広場」というようです。
今年はまだ雪のある山には出掛けていなかったので、ほんの20~30mの間ですが、雪の感触を楽しみました。


その後は、小田急線の車両基地のすぐ横を通ります。車両基地の先には、多摩線の終点・唐木田駅があります。
遊歩道区間に入ると、ほぼ例外なく坂道が登場するのでした。
手前の写真の坂を登り切った所で、「展望ポイント」への分岐道が案内されていたので、寄り道してみます。
てっきり右手の丘の上にでも登るかと思いきや、その道は期待を裏切って中途半端な場所で終わっていました。
そこからの景色がこれ(見える方角はこの範囲だけ)。さっき見てきた車両基地の先に、唐木田駅付近の町並みが眺められる程度で、わざわざ「展望ポイント」と名付けるほどの場所なのか、大いに疑問でした。


元のコースに戻ると、遊歩道区間にしては珍しく、平坦な道が続く一帯が現れました。
車道と並走している区間なのがナンですが、穏やかな景色が目の前に広がって、ここは気分良く歩けています。
その先で、(たぶん)初めて歩道のない道路上を歩くことになったと思ったら、これまでずっと道標完備だったのに、この三叉路だけは何故か道案内がありません。ここでは地図で進路を確認して右折しました。
多摩よこやまの道も終盤になり、久々に尾根上に緑地が復活したら、あとは終点までずっと土の道が続きます。
でも、右を向けばこんな景色でした。見えているのは大型ショッピングモール「ぐりーんうぉーく多摩」です。


次に広場に出たところが、多摩よこやまの道の西端でした。
朝からずっと近くに見ていた「尾根幹線道路」に出ます。ここまで10km以上を歩いてきましたが、この日の行程はやっと半分を過ぎたところで、多摩よこやまの道を歩き終えても、まだまだ先が長いのでした。
西端にある案内図には、このあと長池公園を経て南大沢駅や京王堀之内駅へ向かうコースが書かれていましたが、このあとさらに尾根緑道を歩く計画なので、しばらくは「尾根幹線道路」を進みます。
1kmほど尾根幹線道路を歩いて、小山長池トンネルの前まで来れば、長い車道歩きも終わりです。
小山長池トンネルの入口前から分岐する道で、トンネルの上を通る尾根緑道に上がります。


尾根緑道に上がりました。朝の冷え込みが厳しかったこの日も、11時近くなると過ごしやすくなってきたので、ずっと着たままだったジャケットを、ここでようやく脱いでいます。
尾根緑道はほぼ平坦な道が続いていて、老若男女誰でも気軽に歩ける散策コースとして人気があるようでした。
写真はどれも、写り込む人が少なくなる瞬間を待って撮っていますが、実際には多くの人たちが思い思いに歩いたり走ったりしていて、そして、それでも窮屈に感じないだけの道幅があります。
道幅が広くてゆったりした気分で歩けるのは、戦時中に戦車の走行テストのために建設された道だかららしい。
中央の広い道は舗装されていますが、端のほうには土の道もあります。柔らかな道を歩く方が身体に優しいはずなので、私は土の道を選びましたが、ほとんどの人が舗装された硬い道ばかりを歩いていたのが不思議でした。


名前の通り、尾根緑道も多摩よこやまの道と同様に尾根道なので、遮る物がなければ見晴らしが良くなります。
「東展望広場」は、そんな場所のひとつでした。
丹沢の山並みを一望です(左のほうに大山が、中央より右には塔ノ岳・丹沢山・蛭ヶ岳などが並んでいます)。
すぐ近くには京王線の多摩境駅が見えていて、この写真でも右下のほうに少し写っています。
その後もずっと似たような景色が続きますが、本当に平坦で坂らしい坂が全くなく、歩きやすいです。
しかも、このあたりでは土の道にウッドチップが敷かれていて、フカフカの感触でした。
ここで尾根緑道は左折して、もう少し先まで続いていくのですが、今回は直進して「絹の道」に入ります。


「絹の道」は幕末の横浜開港以来、生糸を運搬するために八王子と横浜を結んでいた交易路です。
このあたりは、それまで歩いていた尾根緑道と同じく歩行者専用道路となっていて、のんびりと歩くことができます。周囲に広がっていた新興住宅地も、閑静な環境で街並みも美しく、住み心地がとても良さそうでした。
しばらく進むと車道に出ました。「絹の道」はまだまだ続いていて、ここから先は車道を歩くことになります。
さらに進んで、道が登り坂に変わると、「絹の道資料館」の前を通って行きます。
車道とはここでお別れして、道標に従って細くなった道に入り、さらに登っていきます。
分岐点には古い石塔群が立っていました。中央が秋葉大権現の石塔で、左右が庚申塔と供養塔です。
はじめ舗装されていた細い道は、人家が途絶えると往時の「絹の道」の姿をとどめた道に変わります。
このあたりは、文化庁によって「歴史の道百選」に選定されているらしい。


最後に石段を登れば、現在は大塚山公園として整備されている道了堂跡に到着となります。
道了堂跡の広場は、鬱蒼とした木々が茂る中でひっそりとしていました。
前の写真の石燈籠や、お地蔵様などは、往時の物が残されているようです。
肝心の道了堂は、さまざまな曲折を経て解体撤去され、基礎部分だけを残している状態でした。
三角点は、道了堂跡の奥の一番高い場所にありました。
ここが大塚山公園である以上、山としての名前は大塚山に違いなかろうと思われるので(個人のウェブにはそう表現したものも多く見受けられます)、この記録でもここを大塚山の山頂とすることにしました。
三角点のある大塚山の山頂から、道了堂跡の全景を振り返りました。


大塚山公園を後にしたら、あとは下るだけです。
下り始めは長い階段が続く急斜面となっていて、階段の前に立つと景色が開けました。
見えていたのは、奥多摩などの山々や八王子市街の展望です。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
階段を下ったら、片倉駅へ向かうのが一般的で、「絹の道」の続きも概ねその方向らしいのですが、今回は八王子バイパスの上を渡って八王子みなみ野駅を目指します。
住宅地を抜けて片側2車線の道路に出たところに、「片倉高校前」バス停があります。ここから八王子・八王子みなみ野・橋本・北野の各駅へ、いずれも頻繁にバスが出ているのですが、もう少しなので歩いてしまいます。
20km以上の距離を歩いたのは久しぶりで、しかも今回は舗装路などの硬い路面が大半を占めていたからか、最後のほうは歩くのが結構辛くなっていましたが、どうにか八王子みなみ野駅まで歩き通しました。

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