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大菩薩嶺 [大菩薩とその周辺]

2017/07/15(土)

■第356回 : 大菩薩嶺(2056m)


この日の行先は、2年ぶりの登頂となる大菩薩嶺です。
様々なコースが考えられる中、今回は標高1500m近い柳沢峠までバスで上がってしまいます。そこから丸川峠までは、約6kmをかけて200mほどしか登らない緩やかな登山道で、じっくりと大菩薩嶺にアプローチしました。

傾斜が緩やかなコースだけに、この暑い時期でも涼しさが勝って、歩き心地は快適そのもの。水源林として保護された美しい針葉樹林や、苔生した瑞々しい景色に心を癒されて、トレッキング気分を満喫しながら進みます。
その後、昼頃になると雲が増えてしまって、大菩薩嶺からの展望は楽しめませんでしたが、それなりの距離をじっくりと歩けて、充実感のある山行となりました。

 累積標高差(登り):834m / 距離:13.4km / 歩行時間:3時間50分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:5時間35分 

(往路)
古淵 05:51-06:13 八王子 06:35-07:49 塩山
塩山 08:30-09:20 柳沢峠

(登山行程)
柳沢峠バス停  09:20
展望台     09:45-09:50
六本木峠    10:05
寺尾峠     10:45-10:50
丸川峠     11:10-11:20
大菩薩嶺    12:25-12:35
大菩薩峠    13:05-13:15
上日川峠バス停 13:55

(復路)
上日川峠 14:00-14:45 甲斐大和 15:30-16:30 高尾
高尾 16:31-16:37 八王子 16:49-17:01 橋本
橋本 17:04-17:15 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

中央線の塩山駅で、2011年に朝夕2往復が落合まで延伸された、大菩薩峠登山口行きのバスに乗り換えます。
落合まで入る便は、すでに帰りでは3回乗っていますが、行きで利用するのは今回が初めて。混み具合が分からないので少し早い電車で来てみたら、8時前に並んだのは私を含めて7人だけ。8:12分着の電車からは多くの人が乗り継いできて、ようやく乗り場の行列も延びましたが、全員がちょうど着席できる人数に収まりました。
一方、同じ時間に発車する隣の西沢渓谷行きの乗り場のほうは、かなりの盛況で長い行列ができていて、2台でやって来たバスにぎゅうぎゅうに詰め込んで、どうにか乗り切れた具合に見えました。
なお余談ですが、乗り場で行列を整理していたバス会社の人の話によると、3連休の初日とあって、南アルプス行きの早朝便は、甲府駅発・芦安駐車場発ともに最大限の8台ずつを配車したにもかかわらず、なお計200人ほどを積み残したとのこと。きっと登山道も、相当に混み合っていたのではないでしょうか。


連日の猛暑が続いていて、下界はこの日も朝から暑かったのですが、柳沢峠でバスを降りると、空気がいくらかヒンヤリしています。暑さを少しでも和らげようと、標高1400m台まで上がってきただけのことはありました。
山歩きの支度を終えたら、道路を渡って登山口の階段を上がり、まずは六本木峠に向かいます。同じバスから降りた人たちは、こちらに来る気配がなかったので、多くは反対側の三窪高原を目指していたのかもしれません。
登山道は緩やかな傾斜が続いて、とても気持ち良く歩けます。
柳沢峠の周囲には、短時間で周回できる遊歩道が複数ありますが、分岐点には道標や案内図がきちんと設置されていました。しっかり整備されているのに、ほかに歩いている人がいないのが勿体ない気持ちになります。
空気がヒンヤリしているとはいえ、さすがに登っていると少しは汗もかかされます。それでも傾斜が緩やかなので、暑さが勝るようなことがなく、涼しさが優位を保っている感じで、思いのほか快適に歩けました。


「梅の木尾根」と書かれた分岐点に来ました。柳沢峠からの遊歩道は、ここまでを周回する形になっています。
遊歩道の要所に設置されていた案内図です。登山地図では、小さな縮尺の中に登山道と遊歩道が交錯して書かれていて、細部が読み取れなかったのですが、現地のこの案内図を見てようやく遊歩道の様子が分かりました。
案内図によると、すぐ近くに「多摩川源流部の眺望」と書かれた地点があるので、少し寄り道していきます。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真は こちら です。
その展望地は、分岐点から1分も歩かないうちに、すぐに現れました。
大気の状態が不安定だったこの日、午後には雷雨の可能性も予報されていましたが、この時間はまだ雲が少なくて、設置されていた展望図通りに、多摩川源流域の山並みを望むことができました。
首都圏近郊といえども、このエリアになるとそれなりに山深くて、公共交通だけが頼りでしかも日帰りとなると行ける山が限られます。ここから見えている山の中で、登ったことがあるのは笠取山だけでした。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。


分岐点に戻って、さらに登山道を奥へと進むと、遊歩道エリアよりは道が細くなって、いかにも登山道という体裁の道に変わります。その一方で、アップダウンが少なくなったので、ここからは快調に足が進みました。
上の写真もそうですが、このあたりでは東京都の水源林らしい、瑞々しい雰囲気の森が続きます。歩いていてもとても清々しい気持ちになりますし、苔生した鮮やかに緑には、見た目でも心が癒される感じでした。
T字路になっている六本木峠に着いたら、歩くのはこの日が初めてという区間はここまで。この場所には2012年にも来ていて、ここから丸川峠まではその時と逆方向に歩き、丸川峠からはいよいよ大菩薩嶺を目指します。


六本木峠と丸川峠の間も、引き続き平坦に近い穏やかな道が続いて、まさにトレッキングという気分を満喫できますし、ここまでと同じように涼しさのほうが勝って、とても快適な道のりです。
しかも、柳沢峠で同じバスから降りた人たちを見送って以降、誰にも会っていないという静けさも心地良かったです。六本木峠と丸川峠の間は歩く人が少ない区間なので、このまま丸川峠までは静かに歩けることでしょう。
そして道はやがて、2012年に歩いた時にもとても印象的だった、コケの美しい区間に入りました。
心が洗われるような景色に、ついつい立ち止まって写真ばかり撮ってしまいます。
しばらく続いた苔生した道も、この先で見納めのようです。
しかしその後も、針葉樹林特有の芳香に満ちた森の中を進んで、その爽快感はひとしおでした。


長らく穏やかな道が続いていましたが、さすがにずっと同じ高さにいる訳にもいかず、途中には登りが続く区間も現れました。こうなると、これまでの快適さはどこへやら、暑さをこらえつつ登る具合になってしまいます。
そんな登りの中程にある、およそ峠らしくない地点に、天庭峠の標識がなんだか場違いのように立っていました。それでも峠の地名が付いているということは、ここにかつて峠越えの道でも通っていたのでしょうか。
天庭峠を過ぎると、登り方がいくぶん緩やかになり、暑さと涼しさの中間くらいで折り合いが付く感じでした。
寺尾峠は、さほど顕著な峠地形の地点ではないものの、かつてここを横切っていた峠越えの道らしい道形がしっかりと残っています。特に東側に下る道などは、今でもそこそこ歩かれているかのように明瞭に見えました。


寺尾峠から先になると、小さなアップダウンが続く程度の道に変わって、再び割と楽に歩けるようになります。
そしてこのあたりで、初めて対向者とすれ違いました(丸川峠までの間に出会った唯一のハイカーでした)。
道はやがて、苔生した岩の間を縫うようになって、美しい景色の再現となります。
あまり長くは続きませんでしたし、やや滑りやすい箇所があって足元注意でしたが、気持ち良く歩けました。


急に前方の景色が開けたら、間もなく丸川峠に到着です。
丸川荘が建つ丸川峠です。ここからは大菩薩嶺の周回ルートに入るので、登山道を行き交う人も増えました。
上の写真でも左端に写っていますが、丸川荘の背後には開放的な広場があります。この空間の心安らぐ雰囲気が好きで、この日もここで10分ほど休憩し、息を整えて大菩薩嶺への登りに備えました。


丸川荘から大菩薩嶺への登りは、いきなりの急登で始まりました(しかも足元も悪かった)。でも急なのは少しの間だけで、ほどなく傾斜が落ち着いたら、あとはほぼ一定の傾斜で登れるようになります。
この道は、2006年に最初に大菩薩嶺に登った時に下っていますが、当時の記憶はもう曖昧で、ほぼ初めて歩く感覚でした。一本調子の登りが続き、景色が開ける地点もほとんどなくて、登山道としては少々地味な印象です。
時折、木々の間から頂上付近を望めますが、傾斜が緩やかなだけに、それがなかなか近付いてきません。そうこうするうちに上空には雲が増え、頂上の周囲もガスってくるのが見えました。ただ、丸川峠からの登りは暑さとの戦いになっていたので、日差しが遮られたのは有難く感じられ、これ以上に崩れなければむしろ好都合かも。
途中に軽く下り気味の区間を挟むと、その先は岩の露出が多い道に変わりました。
苔生した岩で、滑りやすい箇所もあります。登る分には問題ないものの、下りでは足元に注意が必要でしょう。


大菩薩嶺の頂上に着きました。柳沢峠からの長いコースを歩いているうちに、ポピュラーでお気軽なコースからの登頂のピークは過ぎていたらしく、人の数は思っていたよりも少なかったです。
頂上の反対側から、登ってきた方向を振り返りました。この通り樹木に取り囲まれて、展望は全くありません。
ここで見るべき物といえば、日本百名山と山梨百名山の標柱くらい。多くの人は、標柱の前で記念写真だけ撮ったら、早々に引き返していきます。日本百名山の中でも屈指の地味な頂上なのではないでしょうか。


大菩薩嶺の頂上で少し休憩した後は、もう何度も歩いた道で、まずは大菩薩峠まで下ります。
南に5分ほど軽く下って、この雷岩の前に出ると、ちょっとした広場になっていて、景色が大きく開けました。
頂上で全く展望がない代わり、この雷岩からの展望はなかなか素晴らしい、と書きたいところでしたが、この時間は雲が増えていてこの有様。本来なら、大菩薩湖の左上あたりに富士山が見えるはずなのですが‥‥。
南アルプス方面もまた然り。前回、2015年にここに来た時は、曇っていてもそこそこの展望が楽しめたのに、この日は全然ダメでした。参考までに、その2015年の時の展望写真を こちら に挙げておきます。


雷岩からは、次に向かう大菩薩峠が小さく見えていて、稜線上の登山道には、多くの登山者の姿もありました。
避難小屋のある賽ノ河原を通過します。ここが本来の大菩薩峠で、かつての青梅街道はここを越えていました。
賽ノ河原から、大菩薩嶺の頂上付近を振り返りました(写真左上)。
賽ノ河原の先で、登山道は軽い登り返しとなり、親不知ノ頭を踏んでいきます。そのピークに立った時、つい先ほど雷岩にいた時よりも雲が減って、富士山が僅かながら部分的に見えていることに気付きました。写真を縮小したら、ほとんど分からなくなるような見え方ですが、下の写真にマウスを乗せると富士山の位置を示します。


親不知ノ頭を越えたら、大菩薩峠までは岩道を軽く下るだけです。
大菩薩峠では、多くの人たちが休憩していました。
大菩薩峠には、立派な標識や展望図などがあります。標柱の背後は、今しがた越えてきた親不知ノ頭。
峠には介山荘があって、軽食のほか、この時期らしくかき氷を注文する人などで賑わっていました。


大菩薩峠を後にしたら、林道のような幅広い道を下ります。介山荘の車が通るほどなので、ここから先の道に、もう登山道らしい趣はありません。その代わり傾斜が緩やかなので、足への負担は軽かったのではないかと。
途中からは、舗装された箇所が現れるなど、すっかり車道と化してしまいます。
福ちゃん荘の前を通過します。ここまで、上日川峠15:00発のバスに乗るつもりで下ってきたのですが、あまりに快調なペースで下れていたので、急げば14:00発のバスに間に合いそうです。
ということで、福ちゃん荘からは車道を飛ばして、上日川峠まで10分で到着しました。時間的には1本早いバスに間に合いましたが、あとは乗れるかどうか‥‥。
バスにはすでに多くの登山者が乗り込んでいましたが(先に満員になった1台目が少し前に出発していて、これが2台目だった模様)、発車時刻5分前でも空席が残っていて、幸いにも次を待たずに乗ることができました。

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吉田一也(niini)

こんばんは。
またまたご無沙汰しております。
久方ぶりの山歩きでしたが、お忙しいですか?
それとも猛暑のせいですか?

翌日行きました。
何と1日違い!!
大菩薩は縁があるのかもしれませんね。

また何処かでお会いできる日を楽しみにしております。
by 吉田一也(niini) (2017-07-19 22:40) 

cellist

どうもお久しぶりです。
この週末はniiniさんも大菩薩でしたか。
そういえば最初にお会いした時が、大菩薩側(丸川峠)から黒川山・鶏冠山に登った後でした。
年々体力が落ちてきて、山に行く回数も減ってしまっているので、少しはniiniさんを見習わないといけませんね。
by cellist (2017-07-21 00:12) 

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