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中山 / 実相寺の山高神代桜 [南アルプス]

2019/04/06(土)

■第403回 : 中山(890m) / 実相寺の山高神代桜


この日は山梨県北杜市で、ともに第一級の山岳展望とお花見を堪能してきました。
まず訪れたのは、無名ながら360度の大展望が楽しめて、とりわけ間近から眺められる南アルプス・甲斐駒ヶ岳の雄姿が圧巻だった中山です。
北杜市によって2017年から登山道の再整備が進められ、SNSでの評判などを通じて少しずつ登られるようになってきていますが、登山地図には登山道が載っておらず、一般的にはまだ知られざる存在の山なのです。
中山では、目の前に甲斐駒ヶ岳(右)と鳳凰三山(左)がドーン!と

そして次に訪れた実相寺では、日本三大桜として名高い山高神代桜をはじめ、境内にある多くの桜がいずれも満開で、同時に見頃を迎えていた水仙とともに、この時期ならではの色彩の競演を満喫しています。
実相寺
桜と水仙が満開だった実相寺の境内(背景は甲斐駒ヶ岳)

 累積標高差(登り):549m / 距離:12.3km / 歩行時間:3時間5分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
古淵 05:51-06:13 八王子 06:35-08:28 韮崎
韮崎 08:45-09:17 白須

(登山行程)
白須バス停   09:20
中山峠     09:45
中山(展望台)  10:05-10:20
中山(三角点)  10:25
曲足林道登山口 10:50
万休院     11:25
実相寺     11:50-12:10
牧の原バス停  12:30
日野春駅    13:00

(復路)
日野春 13:21-13:47 甲府 13:52-15:24 高尾
高尾 15:31-15:37 八王子 15:40-16:03 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

韮崎駅で電車を降りたら、下教来石下行きの路線バスを待ちます。
これまでに3回利用して、いずれも乗客数が私を含めて2人以内だった路線なのに、この日は珍しく20人ほどがバス停に並んで大盛況だったのですが、それは想定内のこと。案の定、皆さんのお目当ては山高神代桜だったようで、牧の原でほとんどの乗客を一気に下ろすと、以降は見慣れたガラガラの車内に変わりました。

白須バス停からスタート。恐らくここが、中山峠に最も近いバス停になると思います。
白須交差点から細い道を進み、すぐに脇道へ。脇道の入口には石碑が多く見られて、古道っぽい雰囲気でした。
家並みから外れて景色が開けると、早速甲斐駒ヶ岳のお出迎えを受けました(勿論、この左には鳳凰三山も)。
その先で、小さな橋で渡るのは尾白川。かれこれ3回ほど訪れている尾白川渓谷は、このすぐ上流にあります。


尾白川の対岸にある家屋を過ぎたら、右折する明瞭な道を見送って、直進する細い道へ入ります。
地形図でこの道が、中山峠に至る車道まで通じて書かれているのを見て、この経路を選んできた一方、この道については事前に得られた情報がほとんどなく、実際に通れる状況なのかどうかが分からないのが不安でした。
しかし、その道は意外なほど明瞭でした。かつては車道だったのか、ゆったりした道幅が残っていて、特に荒れている様子もないので現在も人の往来はあるようです。でも、あまりに良い道だったことに気を良くしすぎて、何も疑わずに道なりに進んでいたら、途中で当初予定していたコースからは外れてしまいましたけれど。。。
中山峠へと通じる車道に上がったら、事前に確認していた景色とは違っていて、ここでようやく予定とは違う場所に出てしまったことに気付きました。思い返せば、途中で左に分かれる道があったので(その道も、道幅は細くなるものの明瞭でした)、そちらが元々通る予定にしていた最短経路だったのでしょう。
とはいえ、いくらか遠回りになったという程度なので、あまり気にせずに先へ進みます。しばらく車道を進むと、ほどなく左から、歩いて来る予定だった道が合わさりました(写真は合流点を振り返ったものです)。


登山口の中山峠に到着すると、少し先では車から降りたご夫婦が支度中で、のちほど頂上でお会いすることに。
中山峠からの道はかなりの急登です。概ね階段状になっていますが、そうでない箇所はザレ気味の急坂で足を取られやすく、傾斜もきついので、登りでも補助ロープを頼りたくなるほどでした。
最初の階段部分が終わっても、ひと息つく間もなく補助ロープが下がる急登が続きます。
なんとか稜線まで上がって、ようやく緩やかな道に変わりました。
そして唐突に景色が開けたと思ったら、もう頂上の展望台が目前でした。元々登山口からの標高差が170m足らずしかないところへ、急登でみるみる高度を稼いでいたので、ほんの20分で登頂となってしまったのでした。


中山の頂上に建つ展望台は約30年前に建てられたもので、外観が結構くたびれてきています。割と頑丈な造りなので、今のところ安全性には問題がなさそうですが、きちんとメンテナンスしないと長くは持たなそう。。。
楽しみにしていた展望台に登ると、いくつかの方角には山名付きの展望写真が設置されていました。
ここからの展望の主役は、やはり間近から眺める南アルプスの甲斐駒ヶ岳(右)と鳳凰三山(左)でしょう。
甲斐駒ヶ岳のアップです。余計な言葉を添える必要はないですね。
鳳凰三山もアップにしてみました。
とにかく南アルプスの大パノラマが壮観で、見飽きることがありませんでした。ただ遠くは霞んでいたので、富士山は見えていなかった模様です。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
振り返れば北には八ヶ岳連峰が。少しぼんやりとした見え方だったのが残念ですけれど。
北側のパノラマはこんな具合でした。もう少し遠くまでクリアに見えていると良かったんですけどね。。。なお金峰山などは、写真では朧気な写り方になっていますが、肉眼では割とハッキリ認識できていました。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
頂上標識は、なぜか展望台の基部に建っている小屋の中にありました。


展望を堪能したら、少し先にある三角点ピークに向かいます。中山の標高は、その三角点の標高である887.3mとされるのが一般的なようですが、地形図では今いる展望台ピークが890m圏の等高線内に書かれているので、こちらが最高点のようです。このため、この記録では中山の標高も890mと記載しました。
三角点ピーク側から展望台を振り返りました。
展望台ピークと三角点ピークはいくらも離れていないので、ものの数分で三角点ピークに着いてしまいます。ピークの直下は分岐点になっていて、私製の道標が行先を案内してくれていました。


中山の三角点ピークはこんな様子で、ほとんど展望はありません。
二等三角点は、点名も「中山」。割ときれいな三角点でした。
三角点の脇にあったのは、中山砦の解説板です。なるほど、あたりの地形を見渡すと、頂上の中央部が窪んでいたりするなど、山城として手を加えられたらしい痕跡が感じられました。


頂上を後にしたら、曲足林道登山口へと下ります。ほかにも中山林道へ下る道がありますが、そちらは登ってきた中山峠からの道と同じく林道までの距離が短いので、少しでも長く山道を歩けるコースを選びました。
下りはじめがやや急降下気味だったことを除けば、概ね歩きやすい道で、テープによる道案内もありました。
雑木の中を進む気持ちの良い道を、少し長めに歩けたので、このコースを選んで正解だったと思います。
ただ、倒木の多さが少々煩わしかったです。ここは難なく跨げましたが、中にはかなり通りにくい箇所も。
その一方で、間違いやすい分岐にはきっちり道標があったので、元々は良く整備されたコースなのでしょう。
道標の中には私製のものもありました。


最後に林道へ下りる寸前は、倒木と土砂崩れで道が消えていました(林道から登山道を振り返っています)。
林道を少し歩いて、下ってきた斜面を再度振り返りました。こちらから登る場合、林道が写真左端の奥あたりで行き止まりになったら(その周辺に道案内はなかった模様)、写真中央に見られる倒木帯を乗り越えて、右上に写っている送電線鉄塔を目標に登るのが正解。最初の倒木帯さえ乗り越えれば、すぐ明瞭な道に迎えられます。
林道は、すぐに別の林道に突き当たります。そのT字路には道標が立っていました。
T字路に立つ道標によると、ここが「曲足林道登山口」なので、突き当たった林道が曲足林道なのでしょう。その曲足林道を北西に1.5kmほど進むと、国道20号線に出た交差点に「台ヶ原中」バス停があります。
でも今回は次に実相寺へ向かいたいので、曲足林道を南東に進みます。が、ひとつ申し上げておきますと‥‥。
ここからの林道歩きは、距離が長いばかりか景色も殺風景なものに終始していた上、しばしば現れる分岐点には道案内が一切ありませんし、途中で最新の地形図にも載っていない道が絡んだりもしてくるなどナビゲーションが難しいので、読者の方がこれと同じように歩かれることはあまりお薦めできません(筆者は地形図のほかにGoogleマップの航空写真を併用し、現状に近いと思われる道の様子を把握した上で臨みました)。
※なお、中山からこちら側に下山せずに中山峠まで戻り、林道を南下すると、「横手一本松」バス停から11:11発の日野春駅行き北杜市民バスに乗ることができます。途中には「実相寺入口」というバス停もあって、実相寺への立ち寄りも可能(ただし土休日だとこれが最終便で、実相寺に立ち寄ったら帰りは歩くしかないけれど)。


景色が殺風景と書きましたが、長い道のりの中には、林の中から抜け出して景色が開ける地点もありました。
左を向くと八ヶ岳連峰が、中山の頂上にいた頃よりもクリアに見えるようになっていました。
そして右手側は、甲斐駒ヶ岳にずっと見守られている感じでした(もちろん、この左には鳳凰三山も)。


ほぼ道なりに進めば良い分岐が多かった中で、ここは舗装路を外れて左の脇道へ入るのが近道でした。
その脇道は意外にも未舗装で、しばらくは山道を歩いているような気分になります。
ここは最初、進入禁止のように見えて絶望しかけましたが、近付いてみたら開閉して通過可能な動物除けの柵で、道はちゃんとこの先へと続いていました。
再度舗装路に合わされば、間もなく人家が点在するエリアに入って、心細さから開放されます。


ほどなく右手に現れた万休院では、境内の桜が満開を迎えていて、花見客の姿も少なくなかったです。
万休院の庭園と桜越しに鳳凰三山を眺めてみました。
万休院を過ぎて、大武川に架かる舞鶴橋に差し掛かると、対岸に見える河岸段丘の上に桜色をした一帯が目に入ってきました。やはり満開の様子の実相寺の桜に、いやが上にも期待が高まります。
その前に、舞鶴橋の上からの甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山も見事な眺めでした。


間もなく実相寺に到着します。人出の多さは、少し手前からでも良く分かりました。
実相寺の境内に入ります。
桜も水仙もどちらも満開で見事です。そして後方には雪を抱いた南アルプスの鳳凰三山。
どの桜も見応えがありました。水仙との競演も趣深いです。
そしてこちらが、日本三大桜のひとつに数えられる山高神代桜。樹齢1800年とも2000年とも言われています。
根元あたりの幹周りは約12mもあって圧倒されます。昭和以降、不適切な管理により樹勢が衰退したものの、現在では管理方法が改められて樹勢も回復してきているとか。そのたくましい生命力にも驚嘆させられます。
水仙越しに、これまで見てきた桜を振り返りました。
最後の1枚は、甲斐駒ヶ岳をバックに。
実相寺
実相寺の手前の道には、多くの露店が立って賑わっており、その中を抜けていきます。


賑わっていたのは実相寺の駐車場までで、そこを過ぎると長閑な車道歩きに変わります。
20分ほど歩いて国道20号線に出ると、そこには‥‥。
朝乗ってきたバスの「牧の原」バス停がありますが、休日は1日に5便しかなくて、次はなんと2時間半待ち。
なので、日野春駅まで歩いてしまいます。釜無川橋を渡った先で、100mほど登らされるのが難点なのですが。
釜無川橋から眺める甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山です。


橋を渡った先で七里岩の断崖が迫ります。100mほどの標高差を、車道はジグザグに登っていきますが‥‥。
歩行者用に、「野猿返し」と名付けられた近道があります。車道ができて廃れてしまった昔の山道を、近年になって地元の人たちが整備し直したものらしい。
その道は、ハイカーばかりではなく普通の格好をした人たちの往来も結構ありました。武川地区と日野春駅とを結ぶ、貴重な生活道路になっているのではないかと思われます。
途中で一度、車道を串刺しにする形でショートカットしていきます。
最後まで穏やかな傾斜が続いて、歩きやすい道でした。とはいえ、すでにひと山登ったり、長い距離を歩いたりした後とあって、さすがに100m登るのは少し苦しかったですけれど。
再び車道に出たところで「野猿返し」の山道は終わります。
「野猿返し」の山道を振り返りました。


このあと、さらに車道を登る区間が少し残っているものの、その距離はもういくらもありません。
ゴールの日野春駅に到着。中山への登り下りだけを取ると、山歩きとしては物足りないくらいの内容ではありましたが、その代わりに迫力満点の山岳展望と美しさが全開だったお花見を堪能できて、とても良い1日でした。

タグ:南アルプス
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