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山北つぶらの公園・大野山 [丹沢]

2019/11/09(土)

■第417回 : 山北つぶらの公園・大野山(722m)


この日の行先は、これで4回目の登頂となる西丹沢の大野山です。
今回は初めて谷峨駅側から登る、いつもとは逆回りのコースにしたほか、2年前に新しくできた「山北つぶらの公園」内をぐるりと回ってから大野山に向かうという、これまでとは少し違う味わい方で楽しみました。

 累積標高差(登り):823m / 距離:14.6km / 歩行時間:4時間20分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:5時間10分 

(往路)
大沼 06:05-06:15 相模大野 06:24-07:04 新松田
松田 07:23-07:37 谷峨

(登山行程)
谷峨駅       07:40
嵐集落(登山口)   08:00
都夫良野地蔵堂   08:30
山北つぶらの公園  08:35-09:30
十字路       09:55
大野山       10:30-10:55
旧共和小学校    11:40
都夫良野入口バス停 11:55
大野山入口バス停  12:10
山北駅       12:25

(復路)
山北 12:54-13:01 松田/新松田 13:20-13:59 相模大野
相模大野 14:30-14:40 市営斎場入口


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

JR御殿場線の谷峨駅からスタートです。同じ電車から降りた人たちは、ほぼ全員が西丹沢方面行きのバス停に並んだようで、駅から歩き始めたのは私だけのようでした。なお無人のこの駅でも、3月から交通系ICカードが利用可能になっていますが、JR東海エリアにつき、JR東日本エリアからはICカードで乗り通せないことに要注意。
駅前から大野山を望みます。予報では、晴れるのはお昼頃かららしく、朝はまだ上空が一面の曇り空でした。
吊り橋の嵐橋で酒匂川を渡ります。
まずは車道で標高差100m近くを登ります。
嵐の集落に入ったら、すぐに大野山へのハイキングコースが分かれます。普通に大野山を目指す場合は、ここが登山口になりますが、今回はその前に「山北つぶらの公園」に寄りたいので、その案内に従って直進します。


嵐集落のすぐ先で、地形図が明らかに左カーブの手前で左折するよう主張しているので、前方に左カーブが見えてきたあたりで現れた左への分岐道を、何も道案内のない細い道なのを不審に思いつつも曲がってみたら‥‥。
その道は真楽寺で行き止まりでした。おかしいなぁ。。。
実際のところは、ただ道なりに進むだけで良かったのでした。下は左半分が持ち歩いていた地形図(予定コースを赤線で記入)で、現状を知って改めて見ると、これでは自分が間違えたのも無理もないと思いました。一方、帰宅後に確認したGoogleマップでは、実態をほぼ正確に表現できていたので、それを右半分に載せています。
その後は九十九折の車道で、さらに標高差150mを登ります。少々肌寒い朝だったのに、結構汗をかきました。
結局車道だけで約250mを登り、小1時間かけてようやく公園の入口へ。でも入園前に、ちょっと寄り道です。


そのまま車道を進むと、すぐ先に都夫良野地蔵堂があります。
江戸時代まで遡るらしい建物も、外観はとてもしっかりとしていて、手入れや補修が行き届いているようです。
地蔵堂の奥には石仏や庚申塔などが並んでいました。


地蔵堂から戻ったら、いよいよ「山北つぶらの公園」に入ります。2017年3月に開園の、まだ新しい公園です。
まずは、階段を上がって広い駐車場へ。つい数分前に開いたばかりの駐車場に、早くも何台かの車が停められていて、大野山へ向かう様子の登山者の姿も。奥に見えている小山は、最初に向かう「さくら山展望広場」です。
標高約400mの高台にあって、展望には恵まれている公園なのですが、あいにくこの時間もまだ曇り空でした。
天気が良ければ、こんな景色が見られるようです。きっちり晴れた日を選んで、また改めて来るとしましょう。
駐車場には公園内の案内図がありました。遊歩道は案内図の上半分のエリアに集中していて、その外周をぐるりと一周できそうです。さらに、途中で自然探索路に入り、下端の「開運の滝」にも行ってみることにしました。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真は こちら です。


公園内に入ったら全て自然な感じの遊歩道かと思ったら、「さくら山展望広場」の手前までは舗装道路でした。
最後だけ木段を登って「さくら山展望広場」へ。こぢんまりとした芝生の丘、といった体裁の場所です。
一丁前に山頂標識があって、標高は429mでした。天気が良ければ、ここからも富士山が眺められるはず。
そんな中、近くにある大野山はきちんと眺められました。間近なだけに、大野山は公園内のあちこちから見られますが、中でもこの「さくら山展望広場」からが一番すっきりとした姿で眺められたようです。


「さくら山展望広場」の次は、もうひとつの展望広場である「つつじ山展望広場」への遊歩道を進みます。
このあたりは「紅葉の小道」と名付けられていて、まだ若木ながらもみじの並木が続いていました。
要所には案内図か道標がしっかりと立っていて、道に迷うことはありません。ここから「つつじ山展望広場」へはスロープと階段道とがあって、階段道のほうへ。
すると、結構段差の大きな木段の登りが続きます。公園まで車とかで来ていればそうでもなかったかもしれませんが、すでに250mを登ってきているので、大きな腿上げに少し難儀しました。
「つつじ山展望広場」は、先程の「さくら山展望広場」よりひと回り大きな、ゆったり寛げる広さの場所です。
「つつじ山展望広場」の標高は432mで、「山北つぶらの公園」内で最も高い地点になります。
大野山の方向は、樹木が少々邪魔をしていて、樹木が成長したら頂上を見通せなくなってしまいそう。
広場の奥には東側を望める場所もありましたが、曇り空の下では海がぼんやりと見える程度でした。
空気が澄んでいれば、三浦半島や房総半島、さらには伊豆大島まで見渡すことができるようです。


広場からさらに東へ進むと、木段でガクンと下ることに。公園内は、結構アップダウンが激しいのでした。
「山の神」に出ると、そこは小さな広場になっていて‥‥。
広場の隅っこに、ささやかな祠が祀られていました。
このあと「山の神」の少し先で、4頭のイノシシの群れに遭遇。すぐに逃げて行ってしまいましたし、いずれも小さくて可愛らしい子どものイノシシで怖さは感じませんでしたが、野生のイノシシとはこれが初遭遇でした。


「山の神」から「東の見晴らし」へは、長い木段でさらに急降下を続けていきます。
下り切ったところが「東の見晴らし」で、公園内で最も低い地点になるようです。あまり人が来なさそうな公園の一番奥のどん詰まりにあたるからか、フェンスに囲まれて殺風景な場所でした。
しかも名前の割に、見られる景色もありふれたものでした(決して曇っていたからばかりではなさそう)。
さらに、先程見た案内図では、ここから木段とは別の道で中央広場へ行かれるように書かれていたはずなのに、なぜか木段以外の道が見当たりません。下の写真は「東の見晴らし」の奥で振り返った様子ですが、右端のフェンス沿いが道のようになっていて歩けそうに見えるものの、その手前がロープで塞がれていて入れないのです。
仕方なく木段を登り返して(これが結構きつかった!)、遊具広場などがある公園の中心部に来ました。
近くには管理事務所やトイレなどがあります(案内図には出ていませんが、トイレは駐車場にもありました)。
隣接する「里の広場」からも大野山を眺められましたが、送電線が少々邪魔っぽかったです。


「里の広場」からは「開運の滝」への自然探索路に入れるのですが、なんと「危険のため立入禁止」でした。滝を見るのも楽しみでしたし、自然探索路でもより山歩きっぽい雰囲気を味わえそうだと期待していたのに‥‥。9月までは滝見物の記事がネットにあるので、割と最近の措置らしく、先日の豪雨災害の影響かもしれません。
でも案内図によると、「開運の滝」があるのと同じ「トチヤ沢」まで下る道が、別にもう1本あるようなので(「開運の滝」とはかなり離れた所にしか行かれないけれど)、「里の広場」を北の外れまで下っていきます。
ところがこちらも同様に「危険のため立入禁止」でした。残念ながら今回は諦めますが、それぞれの探索路の入口まで来なければ通れないことが分からないって、不親切過ぎませんか? 誰もが最初に見るであろう、駐車場にあった案内図に記載があるべきだと思いますし、できればネットにも情報を上げておいて欲しいところです。
当日の道の様子をまとめて案内図に加筆してみました。歩いた経路を黄矢印で、立入禁止だった探索路を赤点線で示します。探索路が立入禁止であることは、赤X印の地点まで行くと初めて分かる、という状況でした。
  ※下の写真にマウスを乗せると、加筆した案内図に切り替えます。
最後に取っておいた一番の楽しみが果たせず、公園内の散策は消化不良気味に終わりましたが、もし「開運の滝」へ行けば100m以上の高低差の登下降を強いられたはずで、その分の体力を温存できた形にはなりました。


「山北つぶらの公園」を後にして、公園入口から大野山へと向かいます。通常は、谷峨駅からの車道を戻るようにして進むコースが案内されていますが、今回は地形図の破線路を追う形で、案内のない道に入ってみました。
  ※下の写真にマウスを乗せた時に、オレンジ色の矢印が表示される道です(通常は左端の道を進みます)。
すぐに「関係者以外の立ち入りはご遠慮ください」との看板が。でも今回は失礼して立ち入らせて頂きます。
はじめ舗装されていた道は、舗装がなくなっても、しばらくは車道の体裁を保っています。
車の轍がほとんど見られなくなってからも、ほぼ平坦の歩きやすい道が続きました。
実は「山北つぶらの公園」から大野山へは、一般的に案内されているコースが少し大回りするのに対して、ほぼ直進するこの道ならば歩く距離がいくらか短くなるほか、なにより一般的なコースにあるアップダウンがこちらの道にはなく、楽に歩けるという大きな利点があるのです。
私有地ならともかく、公社が管理しているような道なら、うまく調整して登山者に開放できないものでしょうか。現状のままでも通行に支障があるような箇所はなく、そのために何かしらの整備が必要になるとも思われませんでした。そうなれば、公園を起点にした大野山登山がより快適になり、公園のPRにも繋げられるのでは。


ほどなく、左から上がってくる一般登山道に合わさりました(なるほど、この分岐がそうだったのか)。人気の山だけに、ここから先は、前後に常に登山者を見ながらの道のりになります。
少し登ったところが、登山地図でコースタイムのポイントとなっている十字路です。
すぐ先に動物除けのフェンスがあって、扉部分を開閉して通過します(フェンスの通過は計2回ありました)。
谷峨駅側からの登山道は、大半が木段になっています。段差が大きな箇所も少なくありません。
木段ばかりが続く、少々しんどい登りです。でも考えようによっては、ここを下るよりは身体に優しいのかも。
かなり登ると、南東側の斜面にある牧場の建物が見られるようになりました。
休憩舎が建つあたりまで登った頃、ようやく晴れてきました。ただ、周囲にはまだ雲が広がっていて、本来ならずっと富士山や海を眺めながら歩ける爽快な道なのに、見られる景色はパッとしませんでした。
その代わり、ススキの中を進む、この時期らしい風情を味わえた場所も。
木段の段差には、最後まで苦しめられました。この高さはもう少しどうにかならなかったものなのか。


大野山の頂上に着きました。先着していた登山者は思っていたほど多くなく(20人くらいだったような)、静かで落ち着いた雰囲気でしたし、ベンチにもまだ空きが多く見つかりました。
頂上標柱の後方に広がる西丹沢の奥深い山々は、早い時間から晴れていたのか、割ときれいに眺められました。
この祠の付近が最高点のようです。ちなみに大野山は、三角点の標高が722.8mなので、山自体の標高も723mとされていますが(私の記録では小数切り捨てで722mとしています)、その三角点はここから若干下った地点にあるため、この山は三角点の標高をそのまま山の標高とすることがあまり適当ではありません。国土地理院の最新データでは、この付近の標高が726mを超えており、実際の大野山の標高もそのくらいになるのでしょう。
上の写真でも左端に写っている展望図です。ここに書かれている通り、一応は全方位に近い展望がありますが、この時は北西側から徐々に晴れてきているところで、楽しめたのは北側を中心とした展望に限られました。
その、大野山から北側の西丹沢を眺めた様子がこちら。檜洞丸よりも東側はまだ雲に覆われていたほか、不老山の少し西側にある富士山も、この時は全く見えていませんでした。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
しばらく頂上で粘っていると、富士山が微かに見られるようになってきましたが‥‥。
30分近くいた間では、最も雲が薄くなった時でもここまでで、スッキリとした姿は見られずに終わっています。
眼下の丹沢湖は、先日の豪雨の影響か湖水が濁ったまま。見慣れた普段とあまりに違う姿が少々衝撃的でした。


大野山での休憩後は、ここから地蔵岩コースを下って山北駅へと向かいます。
下りはじめは長い長い木段。こちら側から登ってくる時は、最後の最後になって苦しめられるところです。
草付きの斜面を下り終えて森の中に入っても、木段はまだ続きます。ここは前は普通の坂道じゃなかったっけ?
小さな沢を過ぎると、そこから先は穏やかな道に変わって、とても気持ち良く歩けるようになります。
すれ違った登山者の方から、上の斜面にシカが何頭かいるのを教えて頂いて、なんとか1頭だけ撮れました。
その後も歩きやすい緩やかな道が続きます。谷峨駅側の登山道は木段ばかりでしたから、そちらを登ってこちらに下るほうが、体力的にはきつくても身体には優しい歩き方になるのかな。


35分ほどで登山口まで下ってきました。ここからは車道歩きになります。
登山口を振り返ったところです。
旧共和小学校の手前にはいつも利用するトイレがあって、今回もありがたく使わせて頂きました。
2011年に閉校となった旧共和小学校は、現在は地域の取り組み拠点となっていて、イベントなどが催されたり、週末はカフェが開店したりしているようですが、この日は何の看板も出ていなかったような‥‥。
旧共和小学校の前でふと振り返ると、見えているではないですか!
富士山の回りにあった雲がすっかり取れています。今なら大野山の頂上からもきれいに見られることでしよう。


その後は時折細い道に入ったりしますが、道案内はしっかりしていました。
このあたりは車両が通れないので、のんびりと歩けます。途中で2回ほど、小さな集落の中を通過しました。
再び車が通る道まで降りてきました。でも、まだまだ駅までは距離があります。
すぐにバス停を見ますが、朝に1往復があるだけの路線で、下山には使えません(運行日も限られています)。
その後は、しばらく変わり映えのしない景色が続いて、少々退屈を覚える区間に入ります。山北駅へ下るコースは、山を下りてからの車道歩きが長いのが難点ですね。
国道246号に出る手前には大野山入口バス停があって、ここからはバスも使えますが、歩いてもあと15分ほど。
なので、そのまま歩き続けて、春には見事な桜並木が見られるJR御殿場線沿いの道に入ります。


山北駅に到着したのは、次の電車まで30分ほど待つタイミングだったので‥‥。
駅前にある山北町観光協会の観光案内所へ(この写真のみ、撮り忘れたので拾い物です)。
中では町内の観光案内のほか名産品の販売もあり、地元の和菓子店が製造する「丹沢の猪」を購入。猪をかたどった最中で、甘すぎない上品な味の餡に、まろやかな小豆の粒の食感が合わさって、とても美味しかったです。

タグ:丹沢
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塔の山・聖峰・高取山 [丹沢]

2019/11/05(火)

■第416回 : 塔の山(202m)・聖峰(380m)・高取山(556m)


この日は朝ゆっくりと出掛けて、丹沢前衛の3つの低山へ。
最後に登った高取山が割と良く歩かれているのに対して、その前に登った2座は比較的歩く人の少ない静かな山ですが、それが勿体ないくらい、下記のようにそれぞれ魅力的な山なので、久しぶりに再訪してきました。

 【塔の山】 麓からの標高差が100mほどの小さな山。緑地公園として整備されていて、気持ち良く歩ける。
 【 聖峰 】 頂上直下が大きく開けた場所で、あふれる開放感と、東京都心や相模湾方向の大展望が圧巻。
 【高取山】 この日の最高峰。しかし頂上は展望に乏しく、登山道も木段が主体で、山としては地味。

 累積標高差(登り):752m / 距離:11.6km / 歩行時間:3時間45分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:4時間15分 

(往路)
市営斎場入口 09:14-09:25 相模大野 09:27-09:53 鶴巻温泉

(登山行程)
鶴巻温泉駅    10:00
塔の山      10:55-11:00
聖峰       12:05-12:25
高取山      13:00-13:25
栗原バス停    14:25
比々多神社    14:30-15:00
比々多神社バス停 15:05

(復路)
比々多神社 15:07-15:23 伊勢原 15:48-16:11 相模大野
相模大野 16:30-16:40 市営斎場入口


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

小田急線を鶴巻温泉駅で下車して歩き始めます。この日はハイキング日和で、最初から最後まで半袖の山シャツ姿で快適に過ごせましたし、澄んだ青空が終日広がって、いつ空を見上げても雲がひとつもありませんでした。
鶴巻温泉駅から、今回はお決まりの弘法山の方向ではなく、北へと進みます。2012年に最初に塔の山を訪れた際は、伊勢原駅から路線バスを利用したのですが、今回はその時とは経路を変えて、駅から歩くことにしました。
桜坂の交差点に出たら、国道246号線を歩道橋で渡ります。地名は福山雅治の楽曲とは何のゆかりもなさそう。
交差点の先で東名高速の下をくぐると、最初の目的地の塔の山が、すぐに登れてしまいそうな高さで見えてきました。山頂は写真左寄りにあって、右寄りに見える、少し樹木が伐られているあたりが展望広場なのでしょう。
東名高速の北側は住宅が少なくなって、みかん畑などが見られる長閑な道になります。
途中で「関東ふれあいの道」に合わさってからは、比々多神社への道標に従って歩いてきました。もう少し先まで進むと、塔の山への道案内も出てくるようですが、その前にここを左折してショートカットしてしまいます。


「いせはら塔の山緑地公園」に到着しました。塔の山は、ほぼ山全体が緑地公園として整備されていて、ここが「東入口」になります。現在の標高は約90m、頂上までの標高差は100m少々で、ゆっくり登っても20分ほど。
登りはじめは簡易的な舗装がされた道で、広い道幅からしてもほとんど車道のような印象です。
5分ほどで、麓からも良く見えていた、少し開けた場所に出ました。まだ頂上までの半分も登っていませんが、ここが展望広場のようです(もっと上にあるものとばかり思っていたら、早く着いてしまって意外でした)。
展望広場では、眼下を見下ろす斜面が大きく開けていて、そこが芝生広場になっていました。
立派な展望デッキもあります。
展望デッキからはこんな具合に、伊勢原市街の先に横浜ランドマークタワーが良く見えていました。展望写真によると東京スカイツリーも見られるようなのですが、この日は都心方向が少し霞んでクリアではなかったです。


展望広場を過ぎると、道は木段の山道に変わります。
少し登ったところに、今度は「見晴台」がありました。
展望広場のすぐ上なので、眺めも展望広場からと大差ない感じですが、少しだけでも標高を上げたからなのか、江ノ島や三浦半島などがしっかりと見えるようになっていました(この写真は横浜方向を眺めています)。
見晴台から先は、穏やかな傾斜で気持ち良く歩ける山道になります。
雑木林の雰囲気も好ましくて、景色だけを見ていると市街地のすぐ近くにいることを忘れられそうなのに、東名高速から車の走行音が結構な大きさで絶え間なく聞こえてきてしまうのが少し残念でした。


塔の山の頂上に到着しました。樹木に囲まれていますが、そこそこの広さがあって落ち着ける場所です。
山頂標識です。この標識の後方だけは、周囲の樹木が途切れていて、ちょうどそこから‥‥。
大山のほか、これから向かう聖峰と高取山を眺められました(逆に言うと、見られるのはこの3座だけです)。高取山は電波塔が目立っていてひと目で分かりますし、聖峰も大きく開けた頂上部が分かりやすかったです。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
そして、ある探し物は、この道標の背後の草藪の中に見つかりました。
それがこの三角点。草藪に少し埋もれ気味になっていて、これは敢えて探さない限り目に入らないでしょう。
ところで塔の山は、せっかく登山地図のエリア内にありながら、なぜか登山道が全く書かれていないのです。
確かにここ単独では、登山としては物足りないでしょうけれど、今回の私のように近くの山と繋げて歩くことは可能ですし、適度な運動としてなら、この山だけでも十分に身体を動かせそう。現に、この時は登山者は全く見ませんでしたが(平日でもありますし)、近所から散歩に来られたらしい軽装の方を2人ほど見掛けました。


まだ全然疲れていないので、塔の山での休憩は短時間にとどめて、登ってきたのとは反対の西側へと下ります。ほどなく現れた分岐点では、前回訪れた時は直進していたので、今回は右折して‥‥。
「森の小径」に入ります。どちらの道を選んでも行先は西側の入口で同じですが、直進すると階段状の道でグングンと下るのに対して、こちらの小径は何度かジグザグを繰り返しながら穏やかな傾斜で下って行くようです。
段差のない優しい道が続いて、ジグザグで少し距離が長い分、気持ち良く歩ける時間も長く楽しめたようです。
西口広場に出ました。前回はここで公園を離れていますが、今回はさらにメインの入口がある北側に回ります。
すぐ脇で2頭のヤギが飼われているのを見ながら(緑地公園とは無関係かも)、引き続き遊歩道を進みます。
「北側メインエントランス」に出ました。広い駐車場があり、マイカー利用の場合はここを拠点に楽しめます。
北側メインエントランスにはパークセンターがあって、トイレを利用させて頂いたらとても綺麗で清潔でした。


「いせはら塔の山緑地公園」を離れたら、栗原の集落内を少し歩いて、保国寺前のT字路まで来ると、聖峰や高取山への道標が現れました。ここから聖峰を経て高取山までは、2010年に歩いた時と同じコースになります。
それにしてもこの道標、なんでこんなに細かい時間の書き方してるんだろう?
T字路を左折する前に、逆の右折方向に寄り道すると、すぐ先に現在は廃止された旧「保国寺」バス停があります。2010年にハッキリ読めたバス停名がほとんど消えかかっていたことに、10年近い時の流れを感じました。
なお、栗原行きの路線バスは現在もここを通り、自由乗降区間となっているので、今でもここで降りることができます(現に私自身も、2010年はその要領でここから歩き始めていたのでした)。ただしバスはこのあたりを周回する経路となっていて、伊勢原駅行きの便はここを通らないため、帰路では使い勝手が悪いので要注意です。


栗原の集落から外れて家並みが途絶えると、道の両脇にはふたたびみかん畑が見られるようになりました。
さらに聖峰に近付くと、かなりの急坂が現れて、車道にしては少々苦しい登りになります。
聖峰の登山口に着きました。
登山口から登山道を見ています。車止めがあることから分かるように、この登山道も車道で始まりました。


はじめのうちは舗装された道が続きます。
舗装道路が終わって土の道に変わると、間もなく動物除けのフェンスが現れて、扉部分を開閉して通過します。
左手の斜面に取り付く男坂と、車道のような道をそのまま進む女坂との分岐点に来ました。
2010年に来た時は男坂を登っているので、今回は女坂を歩こうと思っていたら、なんと女坂は通行止めでした。
仕方なく男坂に取り付きます。登山道は見上げるような急斜面に付けられていますが‥‥。
細かなジグザグが丹念に刻まれているおかげで、道の勾配がかなり緩やかに抑えられていた上、段差があるような箇所もごく限られています。とても歩きやすい道なので、思いのほか楽に登ることができました。
かなり登って道が草に埋もれ気味になると、もう頂上が近いです。


聖峰不動尊に到着しました。厳密な頂上はもう少し上ですが、ここを頂上としても差し支えないでしょう。
聖峰不動尊の周りはサクラに囲まれていて、ちょうど満開の時期に来た2010年は見事な景色が見られました。
聖峰不動の祠に軽く手を合わせていきます。
聖峰不動尊の前は広場になっていて、上空と海側の景色がともに大きく開けているので、その開放感たるや半端ではなく、とても気持ちの良い場所です。しかも平日だからか、この時はその気持ち良さを独り占めでした。
そして聖峰の最大の魅力が、この大展望です。
相模平野に広がる街並みと、都心や横浜のビル群などを一望し、相模湾に浮かぶ江ノ島や三浦半島の奥には房総の山並みも見られます。さらに条件が良ければ伊豆大島や筑波山なども見通せるとのこと。これだけ広角の範囲をスッキリと眺められる場所はそうそうないでしょう。
ある程度縮小したリンク先の写真でも、江ノ島は辛うじて確認できるかと思います。また、すぐ手前にある盛り上がりは先程までいた塔の山で、右端あたりで海岸線沿いに見えるのは高麗山や湘南平などの山並みです。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真は こちら です。
さて、女坂が通行止めだから男坂を登ってきたのに、女坂の下り口を見たところ、道案内が何もない代わりに通行止めの標識もなく、先の様子を窺ってみても問題なく通れそうな気配でした。本当に通行止めなのかしらん。


聖峰不動尊から高取山へ向かうと、はじめに登山道は軽く登って、聖峰の最高点らしい地点を踏んでいきます。ネット上では、最高点を示す物を撮った写真も見られますが、この日は探しても何も見つかりませんでした。
その後、しばらくの間は穏やかな雰囲気の道で、この日初めて、歴とした登山道を歩いている気分になります。
何度かの小さなアップダウンの先で、高取山への登りが本格化しても、はじめのうち勾配は穏やかでした。
しかし、やがて木段が続くようになると、かなり大きな段差ばかりの木段なので登るのに一苦労です。でもこのあたりでは、木段脇の斜面を少しずつ登ることもできて、まだ逃げ道があったのですが‥‥。
しまいには、木段を登るしかないような箇所が続くようになって、結構こたえました。
弘法山方面からの道を合わせる分岐点まで登ってくると、この先は別のハイカーとすれ違うようになります。
分岐点を振り返って、少し息を整えています。
高取山へはもう少し木段の道を登りますが、段差は先程までほど大きくはなく、またさほど長くは続きません。


高取山に着きました。頂上は割と手狭で、樹木に囲まれて展望にも恵まれない、地味な地点です。
2人組の方が先着されていて、残るベンチも1つだけでした。なお帰りのバスの時間には余裕があり、ここで少し長く留まっていたので、このあとこのお2人とはしばらく会話させて頂いて、楽しい時間を過ごせています。
周囲の樹木は、頂上標識の後方だけは疎らだったので、恐らく意図的に間引いたのでしょう。
おかげで樹木越しながら、大山を眺めることができました。中腹にある下社の建物もハッキリ見えていて(下の縮小写真では白い点になっています)、右のほうの稜線上には、大山三峰山の3つの頂が顔を出していました。
麓からも良く目立っていた白い電波塔は、NHKの無線中継所でした。


高取山からは短く北に下って、鞍部のいわゆる「鶴丸分岐」を右折しようとしたら、その分岐点に道案内がなくて不親切でした。写真の通り道標はあるものの、前後方向を示すだけで右への分岐道は無視されている形です。
分岐する道も一般登山道で、まさか一般登山道どうしの分岐点に道標がないとは思えず、右への道の存在には気付きながらも、一旦ここを直進してしまったほど(でもこの先で登りに変わったので、すぐに戻りましたが)。
その右への道の様子がこちら。ただ、現地では道案内が皆無だと思ったこの地点も、記事を書く際に写真を良く見てみたら、左端に写っている山火事防止の標識に「三之宮→」とマジック書きされているのを発見しました。
また、書店で2019年版の登山地図を確認したところ、「通報番号39」の標識(上の写真の緑色の標識)を右折するよう注記されていたので、ちゃんと最新の地図くらい確認してから出掛けなさい、ということでしょうか。
とはいえ、この道が問題だと感じたのは、分岐点が不親切だったことだけではありません。元々、歩く人が少ないコースだろうとは思っていましたが、私の想像を超えてよっぽど歩かれていないらしく、落ち枝などが散乱し放題の荒れた道には、まともに土を踏める箇所がないと言っても過言ではないほどの歩きにくさ。ただ、薄い道筋も幸いに不明瞭にまでなることはなく、進路に迷うような局面がなかったことだけが救いでした。
かつての道標の成れの果てでしょうか。
動物除けのフェンス沿いの区間は比較的歩きやすかったものの、この先には倒木に道が完全に塞がれた箇所も。
このあたりは、元々の道にはあったであろう平坦な面が完全に失われて、ただの斜面のようになっていました。しかもそこに滑りやすい落ち葉が溜まっているものだから、谷側にズリ落ちないように注意が必要です。
動物除けのフェンスを通過する頃には、道幅がかなり広がっていましたが、歩きにくさは相変わらずです。
でもその先で、石垣を備えた古い道路っぽい道になり、ようやく歩きにくさから開放されるかと思ったら‥‥。
かつて道路だったらしい場所も今やすっかり自然に還っていて、ここでは草藪を掻き分けて進む羽目に。
登山地図が、こんな状況の道を一般登山道とするのは適当でないように思われます(実線ではなく破線で表記する道に変えるのが妥当では?)。またこの道は、「いせはら塔の山緑地公園」のパンフレットに「おすすめハイキングコース」として載っているものですが、現状ではとても一般に広く薦められる状況ではないと思います。


やっと普通に歩けるようになったのは、ここで舗装された道路に出てからでした。
その後は、両脇にゴルフ場のグリーンが広がる道路を下ります。
ここなどは、ゴルフボールが飛んでくる可能性があるのか、トンネル状のネットをくぐって道が続きました。
ゴルフ場を離れると、掘割状の道に変わります。ゴルフ場への道を作るために岩盤を削ったんだろうなぁ。
なぜか分岐する道のない場所に、バス停への道案内が現れました。道標が示す方向には畑が広がり、しかも電気柵に囲まれていて、無理に通るのは危険そうなのでスルーします。以前はここに道でもあったのでしょうか。
その代わり、すぐ先にちゃんと分岐する道があったので、ここを鋭角に右に折れて、その道に入ります。
すると、道はやがてみかん畑の中を進むようになります。こういう長閑な景色を見るのもこの日これで3回目。
集落内の道路に出たら、あとはもう、道なりに進むだけでした。


栗原バス停に到着しました。もし時間が合えば、ここ始発のバスに乗る予定でしたが、今は40分待ちというタイミング。さすがに何もないこんな場所で40分は潰せないので、予め考えていた通り、もう少し先へと進みます。
ということで、比々多神社まで歩いてきました。相模国の三ノ宮として、この地域では良く知られた神社です。
比々多神社は紀元前655年の創建と伝えられているほか、起源が1万年以上遡るとする見方もあるなど、最古級の神社にあたるらしく、境内にも厳かな空気が漂っているように感じました。
拝殿で参拝した後は、境内のベンチで少し休ませてもらいます。
ちょうど七五三のお参りが行われていたようで、着物姿のお子さんとそのご家族が境内を行き来していました。
比々多神社のバス停は、神社から少し歩いたところにあって、最後はここで伊勢原駅行きのバスを待ちました。

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