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日向山 [南アルプス]

2023/11/09(木)

■第472回 : 日向山(1660m)


この日の行先は、白い砂浜が広がる海岸のような山頂から、八ヶ岳や南アルプスを間近に望む大パノラマが圧巻の日向山。登頂は今回で3回目ですが(※)、2012年以降はすっかりご無沙汰で、11年ぶりの再訪となりました。
※グループ山行を入れると4回目の登頂です

白砂輝く日向山の山頂。指呼の間から仰ぐ南アルプスは大迫力で、八ヶ岳も全体を一望できて壮観。

 累積標高差(登り):1101m / 距離:13.8km / 歩行時間:4時間25分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録域外か、非掲載の登山道を含む) 

(往路)
古淵 04:59-05:22 八王子 05:36-06:19 大月
大月 06:25-07:13 甲府 07:24-07:50 日野春
日野春駅 08:03-08:25 名水公園べるが東

(登山行程)
名水公園べるが東バス停 08:30
尾白川渓谷駐車場    08:55-09:00
竹宇駒ヶ岳神社     09:05
矢立石         09:55-10:00
日向山 (三角点)     11:20
日向山 (山頂)      11:25-11:50
矢立石         12:30-12:35
尾白川渓谷駐車場    13:05
名水公園べるが (軽食)  13:30-14:25
名水公園べるが東バス停 14:30

(復路)
名水公園べるが東 14:32-14:52 長坂 14:58-15:32(遅延15:29-16:05) 甲府
甲府 16:11-17:14(遅延16:14-17:29) 八王子 17:43-18:07 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

2021年から、小淵沢駅と尾白川渓谷駐車場を結ぶ「マウンテンタクシー」の運行が始まり、マイカー族でなくても登りやすくなっている日向山。でも事前予約が必要(※)なのが自分のスタイルとは合わなくて山行計画には組み入れ難く、今回は北杜市のコミュニティバスを利用してアクセスしています。
※予約は前日の夕方まで受け付けているけれど、定員が6名と少なくて直前だと思い通りには予約できなかったりしそう。

そんな訳で、最寄駅の始発から電車を4本乗り継いで日野春駅へ。バス停は改札を出て右手にありましたが‥‥
乗りたいバスは左手の駐車スペースに待機していて、時刻が迫ると乗車もそこで行い、そのまま発車となりました。駅前の様子を見ていると、バス停には別路線のバスも2本が相次いで発着する時間帯で、そのためバス停前を占有しない運用をしているようです。確認はしませんでしたが、バス停にもその旨は明記されているらしい。
「名水公園べるが東」というバス停で下車して歩き始めます。写真奥で雲に絡まれているのは八ヶ岳連峰。
すぐに左折して「べるが通り」に入ると、そこで目の前に現れる景色がもう絶品でした。今から行く日向山と、南アルプスの貴公子と名高い甲斐駒ヶ岳が並んでお出迎え。日向山は、登山道のある尾根が良く見えています。
    ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドとこれから登るコースを表示します。
それだけではなく、さらに左には鳳凰三山まで見えていて、素晴らしい眺めにテンションが上がりまくります。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
この時は、あまりの格好良さに前しか目に入らなかったのですが、振り返れば八ヶ岳や奥秩父の山々なども見渡せたのでした。こちらは下山時の写真で時系列が前後しますが、同じ場所からの展望なのでここに並べます。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
とある十字路に差し掛かって右を向くと、そこには何頭ものサルの姿が。で、何やら背中側も騒がしくて‥‥
回れ右をしてみたら、やはりそちらにも。左右どちらも、路上のほか沿道の林にも相当の数がいて、結構大きな群れだった様子です。でもサルがのんびりしているってことは、クマの心配はしなくても大丈夫そうかな?
「べるが通り」の先で道は林の中へ。わずかな傾斜とはいえ、ずっと続く登りに汗ばんできて、ここで羽織っていたジャケットが不要に。11月ももう半ばだというのに、朝から山シャツ姿で外を歩くとは思いませんでした。
25分ほどで尾白川渓谷駐車場に到着です。2011年に来た時 には、ここまで路線バスで入れたのに、その路線がほんの何年間かしか存続しなかったのが残念でなりません。需要がないはずはないと思うんだけどなぁ。。。
尾白川渓谷駐車場にはきれいなトイレもあって、もちろん行き帰りで利用させて頂きました。


駐車場からは未舗装の道でさらに奥へ。この先は緩やかな下りに変わって、尾白川渓谷へと近付いていきます。
5分ほど下ると、渓谷まであと少しという地点に、日向山への登山口がありました。
そこまで来れば、ほんの1~2分の距離なので、一旦登山口を見送り、そのまま奥へ進んでちょっと寄り道。
やって来たのは竹宇駒ヶ岳神社。南アルプス・甲斐駒ヶ岳の登山口が、ここ(竹宇)と少し離れた横手の計2箇所にあって、それぞれに里宮として駒ヶ岳神社が鎮座しています。奥宮はもちろん甲斐駒ヶ岳の山頂に。
今回の山行の無事を願って、手を合わせていきました。


神社手前の登山口に戻ったら、日向山への登山開始です。過去2回はいずれも尾白川渓谷を遡って錦滝から登ったので(魅力あるルートなのに、もう10年以上ずっと通行止め)、こちらから登るのは初めて。ここから矢立石までは、下りでは1度歩いているもののひと昔前ゆえ記憶は曖昧で、初めて歩くのと変わらない感覚でした。
登り始めのうちは、それなりの傾斜がある斜面をしっかりと登らされる具合の道が続きます。
でも林道っぽい道に出ると、大きなジグザグを繰り返しながら登る、歩きやすくて穏やかな道に変わりました。
しばらくの間ずっと、ほぼ一定した緩やかな傾斜で登れるので、このあたりでは比較的楽に歩けています。
やがて上のほうにカーブミラーやらガードレールやらが見えてくると、ほどなくここで車道に上がりました。
車道歩きは次のヘアピンカーブまでで、ほぼ直線の区間が続く短い距離にとどまります。
カーブミラー脇から登山道の続きに入ると、車道をショートカットするような道で、再び傾斜が少々きつめに。
矢立石の登山口に到着しました。この通り、ここまでは車でも入れるので、この車列もカーブの先までずっと続いていることでしょう。ここで少し休憩を取って、小1時間登り続けた足を休めていきます。
林道もこの先は崩壊箇所があるため通行止めで、ここからも錦滝に行けませんし、その先の登山道も通行止め。それに従う限り、周回コースが組めないため、日向山は矢立石からの登山道を往復するしかなくなっています。


登山を再開します。登り始めた尾白川渓谷から山頂までの標高差は約900mあり、まだその3分の2近くを残していて、ここまでは序の口、これからが本番って感じです。※スタート地点のバス停からだと標高差は約1000mに。
登山道には現在位置の目安になる番号プレートが設置されていました。ここが起点なので数字は「10\0」。
ジグザグを描きながら進む穏やかな道が結構長い間続いて、なかなか気持ち良く登れます。
次の番号プレートがなかなか現れず、やっと見えてきたと思ったら、それは「10\2」でした。あれ?!
もしかして2ずつ増えるのかも、なんて思った矢先に「10\3」のプレートが現れて、そうでもないらしい。
その後も「10\4」あたりまでは、同じような景色の中に、似たような調子の登山道が続きました。
でも次第に階段状の箇所が現れるようになったりして、上に行くほど傾斜は心なしか強まったような。
景色があまり変わり映えしないので、プレート地点の写真を続けます。「10\5」の付近が中間点なのかな。
続いて「10\6」のプレートを通過。1番を見なかっただけで、それ以降は順調に+1されていきます。
登るにつれてササ原の密度が濃くなっていき、ササの丈も人の身長に迫る高さに。
「10\7」を過ぎる頃には、道が少し細くなっていて、歩きやすいところばかりではなくなってきました。
7番と8番の間には、段差の大きな箇所もたびたび現れたりして、このあたりが頑張りどころだったみたい。
「10\8」のあたりからは再び穏やかな道に。ここまで来れば、登りも残すところあとわずかです。
やがて2~3回軽く下ったりする中に現れる、「10\9」のプレートが最後でした(山頂ではもう見なかったような)。ここには2009年までアメダスとして運用されていた雨量観測所があり、現在も防災情報に活用されている観測データを国土交通省のHPから閲覧できますが、11月からは冬期閉局期に入っていて欠測中でした。


頂上部に入ると、まずは三角点への分岐があって、すぐそこに見える距離なので先に寄り道していきます。
そこには三角点のほかは私製の標識がいくつかあるだけ。三角点に興味がなければ来る意味なんてないかも。
三等三角点は点名も「日向山」。標高は1659.89mとなっていて、山頂とほとんど変わらないようです。
なにしろ「日向」山ですから、もちろんポカ(サイズ:小)も連れて来ていましたよ。この山を10年以上ぶりに訪れた契機は、もちろん山自体の持つ魅力が一番でしたけれど、山名に「日向」と付き某推しメンが実際に来ていたりする(もはや聖地?)ことも大きくて、なんならこ~ゆ~写真が撮りたかったから来たまであります。


寄り道のあとは、ほとんど平坦に近くて、鼻歌を歌いながらでも歩けそうな大らかな景色の中を進み‥‥
忽然と砂地が現れる日向山の山頂へ。この写真の奥あたりが一番高かったようです。
たぶんここが日向山の最高点。お誂え向きに、3~4人が腰掛けて寛げそうな倒木がありました。
その後方の樹木には、私製の標識も(上の写真にも写ってはいますが縮小で判別はほぼ不可能です)。
少し離れた場所には、山梨百名山の標柱(写真右上の斜めの標柱:文字がすっかり掠れて良く見るまで気付けず)のほか、風化した花崗岩の白砂が広がる光景から名付けられたとみられる「雁ヶ原」のプレートなども。
白砂が輝く山頂を、初めて目にした時の衝撃的な感動は忘れ難いもので、今も割と鮮明に思い出せたりします。
雁ヶ原が広がる北面や西面には樹木が全くありませんから、開放的な展望が視界いっぱいに広がるのも唯一無二の日向山の魅力かと。北側には八ヶ岳の全部が見えていて、左にはなだらかな起伏の霧ヶ峰高原が続きます。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
少し引いた眺めに変えると、さらに左には雨乞岳も加わります。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
2011年に登った雨乞岳にフォーカスすると、日向山の雁ヶ原と同様、雨乞岳にも水晶ナギと呼ばれる白亜の砂礫帯があって、山頂の左手前に写っているのがそれ。2011年に行きそびれているので、次こそはあそこにも。
さらに左を向けば、南西方向には南アルプスの甲斐駒ヶ岳が。この写真ではやや逆光気味につき少々薄い色合いで写ってしまっているけれど、結構間近から見上げる具合なので、実際の見た目はなかなかの迫力でした。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
雁ヶ原が続く山頂の西側へも足を延ばしてみます。こちらは白い砂浜を少し下って、山頂を振り返ったところ。
白く輝く砂浜だけでなく、斜面に並ぶ花崗岩の造形美にも目を惹かれて、何度も振り返ってしまいます。来るのが4回目で、もう見慣れているはずなのに、毎回見るたびに感動を味わえるのも、この景色の凄いところ。
雁ヶ原も西端近くまで来ると、山頂に立つ人たちもかなり小さく見えるようになります。
花崗岩の斜面はさらに続きますが、この先は足元が悪くなりますし、ここまで来ればもう十分。というのも‥‥
そこからなら南アルプスは甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山が並んで見えて、さらに富士山まで眺められるのでした。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
最後は鳳凰三山と富士山のクローズアップです。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。


展望を楽しんだら、あとは登ってきたコースを引き返します。ほぼ平坦な山頂部は気持ちの良い道。
帰りは三角点をスルーして先へ。
同じ道の往復なので下りの写真は端折りますが、これが見えてきた時は「嘘だろ」と声に出てしまいました。
それがこの「10\1」の番号プレート。登りで見なかったので、なくなっているのか、あるのなら道からは余程見づらい場所だろうと、道の周囲にまで目を配るようにして歩いていたのに、こんなに目立っていたのを見て愕然。ほぼ登山道上にあって、むしろこれを見ないで通る方が難しそうなのに、どれだけ注意散漫だったのか。
矢立石の登山口まで戻ってきたら、車の数はかなり減っていたようです。
まぁ、登山口のこんな直近に停められるのは早く来た人たちでしょうから、先に帰った人が多かったのかな。
さらに登山道の続きを進み、最終盤の登り口近くで少々急になるあたりを慎重に下って、渓谷道の登山口へ。
尾白川渓谷駐車場に着いたら、ここで山歩きは終了。残すはバス停までの30分ほどの車道歩きとなりました。


さて、山歩きが順調そのものだったので、帰りのバスには時間の余裕がありました。多くの人はこんな時、
  ●尾白川渓谷で清流が織りなす美しい景色に癒されながらマッタリ
  ●尾白の湯でひとっ風呂浴びて気分サッパリ
あたりを選びそうですが、小腹がすいていた私は別のプランを選んでいて、そのまま往路を戻り続けることに。

「べるが通り」まで戻ってくれば、冒頭で書いていた通り、正面には奥秩父の山並みを見渡せました。
そこからバス停には直行せず、この案内を目印に右折して、予め目を付けていたその場所へと向かいます。
それが「白州・尾白の森 名水公園べるが」で、すぐ先に入口があるのでした。ここがメインゲートらしい。
名水公園内に入ると、意外なことにほとんど人がおらず、時々見掛けるのも落ち葉を片付けている関係者らしい方々ばかり。園内は平日とはいえあまりに閑散としていて、なんか想像とは違った展開に少し戸惑います。
その代わり、山中ではあまり見られなかった紅葉を、ここでは少し楽しめたりしましたが、それにしても静か。
総合案内所のほかレストランや売店などがある中心部まで来ても、まだ自分以外に一般客の姿はありません。
事前にWEBを確認して、この売店「どんぐり」で軽食の販売があると知り、焼きそばでも買って近くのベンチでと思っていたら、なんだか雰囲気が変です。幟が立っているなど店を開いている体裁でありつつも、窓の内側にはカーテンが下りていて店内も無人っぽく、どうも営業している気配が感じられません。
近付いてみると、「ソフトクリームの注文は総合案内所へ」との張り紙がされていて、売店自体はお休み中らしいと分かります。確かに考えてみれば、入園者がほとんどいない状況で店を開けていても無駄が多そうですから、客足が伸びる時間帯(お昼時とかかな?)にだけ人を配置するようにしていたのかも。
食事が目的で来ていただけに、これは実に由々しき事態です。隣にレストランはあるものの、なんかお洒落な店構えで、WEBをチラッと見た時の記憶では本格的なお食事メニューが並んでいた印象で、短時間で気楽に食べられそうな感じがしなかった上、もし入るにしても登山後の汗臭い身体のままでは大いに躊躇われます。
でも幸いに総合案内所の前に多目的トイレがあり、人がいない今で短時間の占有なら誰かに迷惑を掛けることもあるまいと、そこで着替えたりして身なりを整えられたので、一応はレストランの様子も窺ってみることに。


いざレストランテ「レ・アルピ」へ向かうと、とてもラッキーな巡り合わせに迎えられました。帰宅後に知ったのですが、従来は木曜定休でお休みだったところが、今月からランチ営業を始めた矢先で店が開いていたばかりか、「ランチ営業」だけにサンドイッチが主体の軽食メニューが並んで、もう「渡りに船」状態だったのです。
20席ほどの店内は落ち着いた雰囲気に包まれていました。外の閑散ぶりから察していた通りに客は私だけで、店内の写真など撮らせて頂きましたが、今にして思えばつい先月まで木曜日がお休みだった影響もあったのかも。
「白州野菜とハムのトーストサンドイッチ」を注文したら、これがまた美味しくて、付け合わせの何てことなさそうなポテトすら絶妙な味加減だったから、まぁ食が進むこと進むこと。さすが普段はレストランとして営業しているだけあって、きっと力量あるシェフが厨房を取り仕切っているであろうことが窺えましたし、この様子なら木曜日以外の通常のレストラン料理もまず間違いなく相当にレベルが高いのでは?。
さらに感銘を受けたのは、料理が絶品だっただけではなく、とても柔らかな物腰だったフロア担当の方の接客も素晴らしくて、なんだかとても上等で温かなおもてなしを受けた気分にさせてもらえたこと。
あまり具体的に書くのもどうかと思うので少し濁しますが、会話の中で山登りで来たことに触れていたら、それならとデザートをちょっぴり添えて下さったり、そのほかにも思いがけないサービスをして頂いたのでした。
客が私ひとりだけだったのが本当に勿体ないですし、ここには是非また来たいと思いながら、すごく幸せな気持ちで店を後にしています。こんなことなら、ここでもう少しゆっくりと寛げる行程にしておけば良かったよ。

そう、もう数分後にバスの時間が迫っていたのです。バス停へ向かう途中には「尾白の湯」があり(建物の後方が先程まで登っていた日向山)、併設の土産物店も覗きたかったのに、もうそんな時間はありませんでした。
最後は「名水公園べるが東」バス停で、長坂駅行きのバスを待ちました。

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入笠山 [南アルプス]

2023/10/13(金)

■第470回 : 入笠山(1955m)


この日は、ゴンドラに乗って手軽に登ることができる山頂から、全方位に大展望が広がる入笠山へ。南アルプスの最北端に位置する独立峰では、2,000mを少々下回る程度の標高ながら、抜群の満足度が得られました。

山頂に立てば、周囲には北・中央・南の日本アルプス全部に加え、八ヶ岳や富士山など名だたる名峰が勢揃い。
(こんな山並みに360度囲まれて、どちらを向いても山また山。山頂標識の左は御嶽山、右は北アルプス最南端の乗鞍岳。)

そして入笠湿原や大阿原湿原では、草紅葉の彩りに、ひと足早く深まる秋の気配を満喫(写真は大阿原湿原)

 累積標高差(登り):610m / 距離:11.3km / 歩行時間:3時間15分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録域外か、非掲載の登山道を含む) 

(往路)
古淵 05:27-05:49 八王子 06:04-06:10 高尾
高尾 06:15-08:39(遅延08:49) すずらんの里

(徒歩行程 = 標高差:約135m / 距離:約2.6km ※上枠内の標高差等の計測には含めず
すずらんの里駅     08:50
富士見パノラマリゾート 09:25

(ゴンドラ利用)
山麓駅 09:36-09:50 山頂駅

(登山行程)
ゴンドラ山頂駅  09:55
マナスル山荘   10:15
入笠山      10:35-10:55
首切清水     11:07
大阿原湿原(北端) 11:15
テイ沢分岐    11:25
テイ沢下端    11:55
高座岩      12:15-12:25
御所平峠     12:40
マナスル山荘   13:10
ゴンドラ山頂駅  13:30
八ヶ岳展望台   13:35-13:45
ゴンドラ山頂駅  13:50

(復路)
山頂駅 14:01-14:15 山麓駅 15:00-15:10 富士見駅
富士見 15:29-15:37 小淵沢 15:58-17:28 八王子
八王子 17:43-18:07 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

 【 序章 】アプローチ編 

2007年には富士見駅から歩いて登り、下りもすずらんの里駅まで歩き通した入笠山も、15年以上の歳月を経て還暦も近い今の私に同じようなことをする気が起こる訳もなく、今回はバスとゴンドラを利用することに。

その場合、無料の送迎バスが、行きは富士見駅10:00発、帰りは富士見パノラマリゾート15:00発なので、ゴンドラへの乗り継ぎなどを考えると、山の上で行動できるのは4時間ほどになりそう。入笠山を登り下りするだけならもちろん、ついでに巡る人も多い大阿原湿原への寄り道を加えても、時間には余裕があることでしょう。

しかしこの日の計画は、大阿原湿原からテイ沢を下って高座岩と御所平峠を巡る、やや長めのコース。それでも全てが順調に運べばその時間で十分そうな一方で、入る人の少ないコースだけに道の整備が万全ではなく歩きにくくて時間を取られるかもしれませんし、そうでなくても終始時計を気にして歩くのは避けたいところです。

そこで、行動時間をいくらか増やしておこうと、少し早めの(といっても30~40分ほど)ゴンドラに乗ることを目指して、行きは送迎バスを利用せずに自分の足で富士見パノラマリゾートへ向かうことにしました。

ところが、乗った電車が梁川-鳥沢間で緊急停止するアクシデントが発生。シカと衝突したとかで停車時間は約20分に及び、この調子では頑張って歩いても送迎バス利用時と変わらなくなってしまうと気が気ではありませんでした。幸いに運転再開後は遅延を取り戻しつつ走ってくれたらしく、すずらんの里駅には10分ほどの遅れで到着し、なんとか当初の計画を変えずに進められています。


てな訳で、すずらんの里駅からスタート。ホームへの階段の出入口があるだけで、駅舎のない簡素な駅でした。
進行方向には入笠山。でも麓から見えるのはゴンドラの駅がある手前のピークなどで、山頂は見られない模様。
駅からしばらくの間は、入笠山を正面に見ながらの登り坂です。富士見パノラマリゾートまで、約2.6kmで約135mの標高差を登る道のりも、人家が点在するエリアで車道を歩いているうちは緩やかな勾配でした。ただ、徒歩で富士見パノラマリゾートへ向かうことは想定されていないらしく、途中に道案内は全く見られません。
振り返れば八ヶ岳の全貌が(この左にはもちろん蓼科山も)。麓からこれなら、山頂での展望にも期待大です。
右手に森が迫ってくると、ここで左手に現れるメゾン・ド・ビュー八ヶ岳が最後の建物になりました。
舗装された車道はそのすぐ先で終わります。道が森の中へ入って砂利道に変わるとともに、勾配も少しキツくなる中を、電車が遅れた10分を取り戻そうと若干ペースを上げて歩いていたら、じきに汗ばんできました。
森の中へ入ってすぐの分岐点(上の写真で奥に見えている突き当たり)には、道標が立っていましたが、道案内があったのはここだけ。その後の道の分岐には何も案内はなく、以降は勘を頼りに進むことになります。
鹿柵を開閉してさらに進みます。このあたりまで来ると、観光地で良く流されているようなBGMっぽい音楽が風に乗って聞こえてくるようになって、目的地に近付いていることを感じながら歩けるようになりました。
森の中から抜ければ、間もなく富士見パノラマリゾートの一角、ゴンドラの駅とチケット売場とのほぼ中間の地点に出ました。ゴンドラは右方向ですが、先にチケットを購入する必要があるので一旦左へ。なお写真左端に立っていたのは道標で、記憶が曖昧ですが確かすずらんの里駅に行けることが書かれていたような。
こちらでゴンドラのチケットを購入します。無料送迎バスよりも、45分くらい早く着けたかな。
チケット売場から4~5分でゴンドラの山麓駅へ。平日だけに空いていて、すぐに乗れました。
15分近くかけて、約750mの標高差を登ってくれます。下の地面にゴンドラに沿って登山道らしいものが見られたので、山頂駅への到着後に確認したところ、マウンテンバイク専用のコースで歩きでは通れない道でした。


 【 本章 】登山編 

ゴンドラの山頂駅から、いよいよ山歩きの始まりです。
駅前からは、八ヶ岳の全部の峰々を近い距離から一望できるのが迫力満点です。近くに「八ヶ岳展望台」なるものがあるみたいなので、山歩きを終えて戻ってきた際に時間の余裕があれば、行ってみることにしよう。
いくつか選択肢がある中から、往路は森の中を山道で抜けて行くコースをチョイス。
森を抜けた先に広がっていた入笠湿原は、一面の草紅葉になっていました。
写真右上から木道で下ってきた入笠湿原を振り返ります。草紅葉は、肉眼では少々くすんだ色合いに感じられて、現地ではさほど綺麗には見えていなかったのに、写真にしてみたら案外いい感じになっているような。
その後も森の中の山道を選んで進みます。平坦な林道よりも余計な登り下りはあるものの、心地良く歩けます。
マナスル山荘前に到着しました。建物は2つあり、天文ドームのある左側が「マナスル山荘 新館(天文館)」、右側は「マナスル山荘 本館」だったのがこの4月の改称で「ヒュッテ入笠」となるも、今も随所に「マナスル山荘 本館」の文字が。そしてこれら2つは、それぞれ経営者が異なる全く別の施設らしくてややこしい。


登山としては、やっとここからが本番って感じ。といっても標高差150m少々、20~30分で登れてしまいます。
マナスル山荘前までの遊歩道的な道から、れっきとした登山道に変わり、それなりの勾配を登っていきます。
途中には岩場コースと迂回コースの分岐。右の岩場コースも大したことがないと分かっているので、そちらへ。
そう、何箇所か短い岩場はあるものの、どこも概ねこんな具合に岩が階段状に露出している程度で、普通に歩くだけで手を使うこともなく通過できるのです。迂回路が必要とされるとすれば積雪期くらいでしょうか。


入笠山の山頂に到着しました。訪れるのが3回目なので良く知っていたけれど、いやはや、すごい展望です。
360度ほぼ全部の方角に錚々たる山々が並び、どちらを向いても壮観です。周囲に樹木など視界を遮るものがほぼなくて、それらの全容をスッキリと眺められるのも素晴らしい。絶好の秋晴れにも恵まれ、雲に邪魔されることもなく、見られるべきほとんどのピークがちゃんと顔を出しています。まだ少し暖かさも残る時期だけに、空気が若干霞んで遥か遠方の眺めが少々鮮明さを欠いていた程度ですから、それはもう見事なパノラマでした。
ここから、そんな圧巻の展望を右回りにぐるりと見る形で並べることに。人の少ない平日に来られただけに、好きなタイミングで好きなように動けて、写真への人の写り込みを最小限に抑えられたことも何よりでした。
まずは北東側の、八ヶ岳を中心とした眺めです。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
八ヶ岳の南部を少し大きめに。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
その右には富士山と南アルプス。こちらは手前に山があって、どの山も頂上部が顔を出している程度でしたが。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
富士山と南アルプスも少し大きめに。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
さらに右、西側には中央アルプスや御嶽山などが。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
中央アルプスも少し大きくしてみました。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
そして北西側には北アルプスの名峰がズラリと並び、北側には美ヶ原や霧ヶ峰も。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
北アルプスも南部は割としっかりと見えていて、遠いながらも迫力すら感じられました。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
北アルプス南部の核心部をさらに大きく。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
北アルプスの北部はギリギリ見えていた感じで、さすがにこのエリアはもう雪の世界のようですね。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
最後に、とても好きなエリアなので、北側の美ヶ原・霧ヶ峰周辺にもスポットを当てておきました。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。


まだ先に少し長めの行程を残しているので、いつまでも眺めていたい思いを断ち切って、山頂を後にします。大阿原湿原に向けて少し下ると、先程登って来る途中で見送っていた岩場迂回コースとの分岐点を通過。
その後はほぼ一直線に下っていく具合でした。比較的穏やかな傾斜で楽に歩けます。
一旦車道に出た地点が首切清水でした。
首切清水にはベンチがたくさん。
首切清水から大阿原湿原へは、山道でも車道でも向かえるようです。山道の入口にはぬかるみ注意の看板が。
でも小さな沢を横断する2箇所に、いくらかぬかるみが見られた程度で、この日は全く問題なしでした。
やがて道の右手の景色が深い森ではなくなって湿原っぽくなってくると‥‥


大阿原湿原に出ました。湿原のほぼ北端に位置するこの地点には、ベンチを備えたデッキがあります。
入笠湿原がやや小振りだったのに対して、大阿原湿原はかなりの広さがあって、それが一面の草紅葉でした。
大阿原湿原はその外周を木道でぐるっと回ることができ、そのうち西側の木道で半周だけしていきます。
草紅葉が綺麗。ここも入笠湿原と同様、現地では色褪せた印象だったのに、写真では色鮮やかに見えて不思議。
木道を南へ進むにつれて、対岸の山裾が近くなり、湿原の幅が狭くなってきたことが分かりました。
テイ沢への分岐点まで来ました。ここで大阿原湿原からは離れて、テイ沢を下る道に入ります。
分岐点に立っていた「入笠山ガイド」と題された案内図。今回歩いたのは、この図の赤線コースに、さらに高座岩や御所平峠への寄り道も加えたもので、一般的には紹介されることの少ないコースになります。
    ※ブログサイズに縮小した写真では文字が潰れたため、大きな写真を こちら に。


ここから先は歩く人が相当少ないエリアになりそうで、特に今日までの平日の間はほとんど入った人がないに違いなく、久々に(私の記憶が確かなら2017年の美ヶ原・焼山沢以来か?)熊鈴を鳴らしながら進むことに。
そうしてササの濃い道を下り始めた途端、上がってきた単独行の男性とすれ違ったのが意外すぎましたけれど、でもそれ以降は全く人の気配がなくて、再び入笠山エリアに戻るまで、もう誰ひとり見掛けませんでした。
濃いササは、時として下道を覆い隠すほどに。見えない道には段差とか泥濘とかが結構あったりしたので、こうなると一歩ずつ探りながら進むようでした。時間に余裕がある計画を組んできておいて良かった。。。
しばらく続いたササの濃い道も、沢のすぐそばを通るようになると、普通に歩けるようになります。
と思ったら、倒木が道を塞いだままだったりして、やはり歩く人が少ないと、整備も手薄になりがちなのかな。
でも清々しい景色の中を進むのはとても気持ちが良くて、ここをコースに含めて良かったと思いました。
が、道の様子のほうは全然よろしくなくて、最初に沢を渡る箇所などは丸太が雑に置かれていただけ。その丸太も傷みが進んでいたから、ドボンしないようソロリソロリと通るしかなく、これでは先が思いやられます。
そこからしばらく左岸を進む間は穏やかな道が続き、こうなると沢音も心地良く聞こえて気分も軽やかに。
その先で右岸に戻る箇所は、飛び石での渡渉になりました。ここは水量が多ければ靴を濡らしたり、最悪だと渡るのを躊躇う状況だってあり得るかもしれません。こんな感じに、やや心許ない道の様子が続きましたが‥‥
次に沢を渡る所には立派な木橋が。これは有難い。比較的新しく見えるので、割と最近に整備されたのかも。
実はこの先では、沢を渡る全ての箇所に木橋が架かっていて、以降は何の問題もなく歩ける道となりました。
沢を渡る5箇所目には、3つ目の木橋が。橋と橋との間で沢岸を進む間も、特に歩きにくい箇所はなく、沢沿いを下る道としてはありふれた様相でしたから、あとは沢の下端まで順調に歩けています。
沢に架かる全ての木橋で写真を撮っていたので、4つ目~6つ目の木橋をまとめて。
最後となった7つ目の木橋は、テイ沢の本流ではなく、支沢を渡るものでした。
その後、沢から少し離れて進むようになると‥‥
ほどなく林道に突き当たって、テイ沢を下る道はここまでとなります。ところで先程見た案内図には、沢の途中に「三筋の滝」や「観音岩」など5箇所の見所があるように書かれていたのに、それぞれの場所では標識等による案内などが何もなかったらしく、そのどれもが全く分からずじまいだったのが残念でした。

帰宅後に調べていて分かったことですが、テイ沢に架けられていたいくつもの木橋は、すべて入笠牧場の管理人さんがボランティアで設置して下さったものらしい。
あれらの橋がなければ、恐らく安全には歩けないコースでしたから、それが個人の方の尊い志によって成り立っていることには感謝しかありません。
 
ただ少し違和感を覚えたのは、分岐点にあった「入笠山ガイド」なる案内図で、テイ沢沿いの道が「遊歩道」という表現で、あたかも普通に歩ける道のように書かれていたことです。
その案内図は設置者が「入笠山観光連絡協議会」でしたから、「遊歩道」として記載した以上、その道の維持管理についても設置者の団体(?)において責任を持つべきではないでしょうか。少なくとも、個人による奉仕に頼っている現状は健全とは言えないように思います。
 
[ネットによる簡単な検索で得られた情報(だから信憑性も定かではありません)だけを元にした感想なので、認識が誤っていましたら申し訳ありません]


そこからは林道を少しの間だけ歩きます。先程の分岐にあった案内図によると、黒河内林道というらしい。
5~6分も歩くと、左に山道が分かれます。「入笠山ガイド」の案内図で「北原新道入口」となっていた地点。
そこからは、「北原新道」と書かれた道に入り、まずは高座岩を目指します。
「北原新道」はササの急斜面を強引に横切る具合に進みます。所々で急な登りになる上、しばしば足元も悪くなる狭い道で、歩きにくさが終始つきまといます。地面のコンディションが良好でない時に通るのは大変かも。
苦しい登りの途中で、細い林道(の跡?)のようなものを突っ切ったら、さらに上へ。
林道跡(?)より上では、足元の悪さがなくなって歩きにくさは収まるものの、急登はほぼそのままでした。
稜線が近付くとT字路に突き当たり、分岐点には登ってきた道を示す道標(=下る人向け)だけでしたが‥‥
少し左に行ったところには鹿嶺高原へのトレッキングコースの標識が。なので高座岩へは右なのでしょう。
さらに登るとまた分岐。地面に「高座岩」の標識が置かれていただけで方向が不明ですが、直感で今度は左へ。


すると稜線に上がって、いくつもの石塔が鎮座している大岩の裏に出ました。それが高座岩のようです。
正面に回ると、石塔には日朝上人なる人物の霊跡であることが刻まれていて、近くには解説板もありました。
少し離れた所には三角点も設置されています。等級は四等で、点名はまさに「高座岩」。
高座岩では西側が大きく開けていて、中央アルプスや御嶽山などの山並みを眺められる、居心地の良いところでした。ほかに誰も来そうになく静かにゆったりと過ごせそうなので、ここで少し休憩していきます。


稜線直下の分岐に戻ったら、そこから御所平峠へ向けて北上して行きます。
ここは稜線に沿ってずっと樹木が除かれているので、防火帯なのでしょう。そこを進む道は、何度か軽いアップダウンを繰り返す程度でとても歩きやすく、開放的で明るい景色に気分も上々でした。
ほどなく前方に多数の岩がひしめく小ピークが現れて、一旦左に巻くようにしたのち、そこに登り詰めます。
小ピークには高見岩の標識が。これだと標識の傍らの岩(さほど大きくない)が高見岩とも受け取れますが‥‥
ここはかつての見張り場の跡らしく、だから高見岩というのもピーク全体を総称した呼び名なのでしょう。
高見岩を少し通り過ぎたところから振り返ります。岩がゴツゴツしていたのは南側の斜面だけで、そこを上がってしまえば、ササ原が広がる割と穏やかな見た目のピークでした。
以前は近くに小屋もあったらしい。またこのあたりの道は、日蓮宗の伊那地方への布教のため、身延山から多くの僧侶が通った古道とされ、法華道と呼ばれているようです。
高見岩を過ぎると、わずかな距離で分岐点に差し掛かります。
そこが御所平峠。「法華道 御所平峠」「右 芝平」「左 高見岩」と刻まれた立派な石標のほか、「道中安全地蔵菩薩」などと刻まれた石碑とともに地蔵尊が祀られています。
左折すると法華道で伊那市側の芝平集落へ下るようですが、私は「牧場を経て登山口へ」の案内に従って右へ。
ササの斜面を穏やかな傾斜で下っていきます。
やがて右下にほぼ並行する具合の林道を見下ろすようになると、下るにつれて徐々にそれが近付いてきます。
5分ほどの下りで林道に合わさりました。高座岩へ登る前まで歩いていた、黒河内林道に戻ったきたのです。
下ってきた道を林道上から振り返りました。ここがテイ沢分岐の案内図で「法華道入口」とされていた地点。


あとは入笠山エリアまでこの林道をたどるだけですが、とても緩やかな勾配とはいえ、ずっと登りが続きます。
林道は入笠牧場の中へ続いているのに、入口のゲートは固く閉ざされていています。でもそこには登山者向けのメッセージが添えられ、ゲートを乗り越えて進むよう書かれていたので、それに従って跨いで通過しました。
入笠牧場に入ると、砂利道から舗装道路に変わります。左右の牧草地には、この時は何もいなかったような。
舗装道路になって、硬い路面で足の疲労が急速に増していくことに。すずらんの里駅からトータルすると結構な距離を歩いてきた上で、車道の緩い坂とはいえ登りが長いこと続いて、少し苦しくなってきました。
そんな中でも、時折左手に槍・穂高など北アルプスの眺望が広がって、いくらか気分を持ち直させてくれます。その手前に見える穏やかで開放的なピークは貴婦人の丘あたりでしょうか。行っても入れないらしいけれど。
マナスル山荘前まで戻ってきたところで、久々に人の姿を見ました。熊鈴の出番もここでおしまいです。
往路では山道を歩いたので、復路は林道を進みます。どちらを選んでも、途中で一旦入笠湿原に下るのは一緒。
ゴンドラの山頂駅まで戻ってきました。ハイカーなら山を下りる人ばかりになっているこの時間でも、バイクの人たちはまだ続々と上がってきている感じ。ゴンドラの1日券とかで何度も登り下りを楽しんでいるのかな。

さて、不安だったテイ沢の下りもほぼ順調に歩けて、帰りのバスの待ち時間を1時間以上も残せました。
結果的には、来る時も無料の送迎バスを利用しても大丈夫だった計算ですが、でもそれだと最初からタイトなスケジュールですから、時間を気にして少し速足になったりと余裕のない歩き方になったでしょうし、それが無用のトラブルを生まないとも限らないので、余裕のある計画を立てておいたのは正解だったと思います。


時間があるので最後に、来た時に気になっていた八ヶ岳展望台に寄って行くことに。距離が近い代わりに思いのほか下りますから、そこに行くならばある程度余力を残しておかないと、帰りが少しキツいかもしれません。
5分ほど下ると、八ヶ岳展望台が見えてきました。その名に違わず、そこからは八ヶ岳の全貌を一望です。
こちらが八ヶ岳展望台からの眺めです。すぐ正面に連なる八ヶ岳は、あたかも手に取るような見え方でした。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
八ヶ岳の核心部を少し大きめに。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
八ヶ岳の右側には、奥秩父の山々と富士山や南アルプスなども眺められました。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
ゴンドラで下った後は、無料送迎バスのバス停へ。この日の帰りの便の乗客は、ひとケタ台の人数でした。
バスを待つ間にショップでお買い物。
入笠山の名物を何も思い付かず、きっと長野県内で良く見るような物ばかりだろうと思っていたら、「雷鳥の里」や「みすゞ飴」などの定番商品が並ぶ中に、ひとつだけ「入笠」の名前が入ったお菓子を発見。
つい購入した「母衣の春花 入笠アツモリ饅頭」は、釜無ホテイアツモリソウ(絶滅危惧種で、入笠山の実験園で保護活動が行われている)に由来するらしい名前の和菓子。白あんにジャガイモを合わせたという、ホクホクした口あたりの「イモ餡」が特徴的で、独特な味わいを楽しめました。程よい甘味で美味しかったです。


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中山 / 実相寺の山高神代桜 [南アルプス]

2019/04/06(土)

■第403回 : 中山(890m) / 実相寺の山高神代桜


この日は山梨県北杜市で、ともに第一級の山岳展望とお花見を堪能してきました。
まず訪れたのは、無名ながら360度の大展望が楽しめて、とりわけ間近から眺められる南アルプス・甲斐駒ヶ岳の雄姿が圧巻だった中山です。
北杜市によって2017年から登山道の再整備が進められ、SNSでの評判などを通じて少しずつ登られるようになってきていますが、登山地図には登山道が載っておらず、一般的にはまだ知られざる存在の山なのです。
中山では、目の前に甲斐駒ヶ岳(右)と鳳凰三山(左)がドーン!と

そして次に訪れた実相寺では、日本三大桜として名高い山高神代桜をはじめ、境内にある多くの桜がいずれも満開で、同時に見頃を迎えていた水仙とともに、この時期ならではの色彩の競演を満喫しています。
実相寺
桜と水仙が満開だった実相寺の境内(背景は甲斐駒ヶ岳)

 累積標高差(登り):549m / 距離:12.3km / 歩行時間:3時間5分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
古淵 05:51-06:13 八王子 06:35-08:28 韮崎
韮崎 08:45-09:17 白須

(登山行程)
白須バス停   09:20
中山峠     09:45
中山(展望台)  10:05-10:20
中山(三角点)  10:25
曲足林道登山口 10:50
万休院     11:25
実相寺     11:50-12:10
牧の原バス停  12:30
日野春駅    13:00

(復路)
日野春 13:21-13:47 甲府 13:52-15:24 高尾
高尾 15:31-15:37 八王子 15:40-16:03 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

韮崎駅で電車を降りたら、下教来石下行きの路線バスを待ちます。
これまでに3回利用して、いずれも乗客数が私を含めて2人以内だった路線なのに、この日は珍しく20人ほどがバス停に並んで大盛況だったのですが、それは想定内のこと。案の定、皆さんのお目当ては山高神代桜だったようで、牧の原でほとんどの乗客を一気に下ろすと、以降は見慣れたガラガラの車内に変わりました。

白須バス停からスタート。恐らくここが、中山峠に最も近いバス停になると思います。
白須交差点から細い道を進み、すぐに脇道へ。脇道の入口には石碑が多く見られて、古道っぽい雰囲気でした。
家並みから外れて景色が開けると、早速甲斐駒ヶ岳のお出迎えを受けました(勿論、この左には鳳凰三山も)。
その先で、小さな橋で渡るのは尾白川。かれこれ3回ほど訪れている尾白川渓谷は、このすぐ上流にあります。


尾白川の対岸にある家屋を過ぎたら、右折する明瞭な道を見送って、直進する細い道へ入ります。
地形図でこの道が、中山峠に至る車道まで通じて書かれているのを見て、この経路を選んできた一方、この道については事前に得られた情報がほとんどなく、実際に通れる状況なのかどうかが分からないのが不安でした。
しかし、その道は意外なほど明瞭でした。かつては車道だったのか、ゆったりした道幅が残っていて、特に荒れている様子もないので現在も人の往来はあるようです。でも、あまりに良い道だったことに気を良くしすぎて、何も疑わずに道なりに進んでいたら、途中で当初予定していたコースからは外れてしまいましたけれど。。。
中山峠へと通じる車道に上がったら、事前に確認していた景色とは違っていて、ここでようやく予定とは違う場所に出てしまったことに気付きました。思い返せば、途中で左に分かれる道があったので(その道も、道幅は細くなるものの明瞭でした)、そちらが元々通る予定にしていた最短経路だったのでしょう。
とはいえ、いくらか遠回りになったという程度なので、あまり気にせずに先へ進みます。しばらく車道を進むと、ほどなく左から、歩いて来る予定だった道が合わさりました(写真は合流点を振り返ったものです)。


登山口の中山峠に到着すると、少し先では車から降りたご夫婦が支度中で、のちほど頂上でお会いすることに。
中山峠からの道はかなりの急登です。概ね階段状になっていますが、そうでない箇所はザレ気味の急坂で足を取られやすく、傾斜もきついので、登りでも補助ロープを頼りたくなるほどでした。
最初の階段部分が終わっても、ひと息つく間もなく補助ロープが下がる急登が続きます。
なんとか稜線まで上がって、ようやく緩やかな道に変わりました。
そして唐突に景色が開けたと思ったら、もう頂上の展望台が目前でした。元々登山口からの標高差が170m足らずしかないところへ、急登でみるみる高度を稼いでいたので、ほんの20分で登頂となってしまったのでした。


中山の頂上に建つ展望台は約30年前に建てられたもので、外観が結構くたびれてきています。割と頑丈な造りなので、今のところ安全性には問題がなさそうですが、きちんとメンテナンスしないと長くは持たなそう。。。
楽しみにしていた展望台に登ると、いくつかの方角には山名付きの展望写真が設置されていました。
ここからの展望の主役は、やはり間近から眺める南アルプスの甲斐駒ヶ岳(右)と鳳凰三山(左)でしょう。
甲斐駒ヶ岳のアップです。余計な言葉を添える必要はないですね。
鳳凰三山もアップにしてみました。
とにかく南アルプスの大パノラマが壮観で、見飽きることがありませんでした。ただ遠くは霞んでいたので、富士山は見えていなかった模様です。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
振り返れば北には八ヶ岳連峰が。少しぼんやりとした見え方だったのが残念ですけれど。
北側のパノラマはこんな具合でした。もう少し遠くまでクリアに見えていると良かったんですけどね。。。なお金峰山などは、写真では朧気な写り方になっていますが、肉眼では割とハッキリ認識できていました。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
頂上標識は、なぜか展望台の基部に建っている小屋の中にありました。


展望を堪能したら、少し先にある三角点ピークに向かいます。中山の標高は、その三角点の標高である887.3mとされるのが一般的なようですが、地形図では今いる展望台ピークが890m圏の等高線内に書かれているので、こちらが最高点のようです。このため、この記録では中山の標高も890mと記載しました。
三角点ピーク側から展望台を振り返りました。
展望台ピークと三角点ピークはいくらも離れていないので、ものの数分で三角点ピークに着いてしまいます。ピークの直下は分岐点になっていて、私製の道標が行先を案内してくれていました。


中山の三角点ピークはこんな様子で、ほとんど展望はありません。
二等三角点は、点名も「中山」。割ときれいな三角点でした。
三角点の脇にあったのは、中山砦の解説板です。なるほど、あたりの地形を見渡すと、頂上の中央部が窪んでいたりするなど、山城として手を加えられたらしい痕跡が感じられました。


頂上を後にしたら、曲足林道登山口へと下ります。ほかにも中山林道へ下る道がありますが、そちらは登ってきた中山峠からの道と同じく林道までの距離が短いので、少しでも長く山道を歩けるコースを選びました。
下りはじめがやや急降下気味だったことを除けば、概ね歩きやすい道で、テープによる道案内もありました。
雑木の中を進む気持ちの良い道を、少し長めに歩けたので、このコースを選んで正解だったと思います。
ただ、倒木の多さが少々煩わしかったです。ここは難なく跨げましたが、中にはかなり通りにくい箇所も。
その一方で、間違いやすい分岐にはきっちり道標があったので、元々は良く整備されたコースなのでしょう。
道標の中には私製のものもありました。


最後に林道へ下りる寸前は、倒木と土砂崩れで道が消えていました(林道から登山道を振り返っています)。
林道を少し歩いて、下ってきた斜面を再度振り返りました。こちらから登る場合、林道が写真左端の奥あたりで行き止まりになったら(その周辺に道案内はなかった模様)、写真中央に見られる倒木帯を乗り越えて、右上に写っている送電線鉄塔を目標に登るのが正解。最初の倒木帯さえ乗り越えれば、すぐ明瞭な道に迎えられます。
林道は、すぐに別の林道に突き当たります。そのT字路には道標が立っていました。
T字路に立つ道標によると、ここが「曲足林道登山口」なので、突き当たった林道が曲足林道なのでしょう。その曲足林道を北西に1.5kmほど進むと、国道20号線に出た交差点に「台ヶ原中」バス停があります。
でも今回は次に実相寺へ向かいたいので、曲足林道を南東に進みます。が、ひとつ申し上げておきますと‥‥。
ここからの林道歩きは、距離が長いばかりか景色も殺風景なものに終始していた上、しばしば現れる分岐点には道案内が一切ありませんし、途中で最新の地形図にも載っていない道が絡んだりもしてくるなどナビゲーションが難しいので、読者の方がこれと同じように歩かれることはあまりお薦めできません(筆者は地形図のほかにGoogleマップの航空写真を併用し、現状に近いと思われる道の様子を把握した上で臨みました)。
※なお、中山からこちら側に下山せずに中山峠まで戻り、林道を南下すると、「横手一本松」バス停から11:11発の日野春駅行き北杜市民バスに乗ることができます。途中には「実相寺入口」というバス停もあって、実相寺への立ち寄りも可能(ただし土休日だとこれが最終便で、実相寺に立ち寄ったら帰りは歩くしかないけれど)。


景色が殺風景と書きましたが、長い道のりの中には、林の中から抜け出して景色が開ける地点もありました。
左を向くと八ヶ岳連峰が、中山の頂上にいた頃よりもクリアに見えるようになっていました。
そして右手側は、甲斐駒ヶ岳にずっと見守られている感じでした(もちろん、この左には鳳凰三山も)。


ほぼ道なりに進めば良い分岐が多かった中で、ここは舗装路を外れて左の脇道へ入るのが近道でした。
その脇道は意外にも未舗装で、しばらくは山道を歩いているような気分になります。
ここは最初、進入禁止のように見えて絶望しかけましたが、近付いてみたら開閉して通過可能な動物除けの柵で、道はちゃんとこの先へと続いていました。
再度舗装路に合わされば、間もなく人家が点在するエリアに入って、心細さから開放されます。


ほどなく右手に現れた万休院では、境内の桜が満開を迎えていて、花見客の姿も少なくなかったです。
万休院の庭園と桜越しに鳳凰三山を眺めてみました。
万休院を過ぎて、大武川に架かる舞鶴橋に差し掛かると、対岸に見える河岸段丘の上に桜色をした一帯が目に入ってきました。やはり満開の様子の実相寺の桜に、いやが上にも期待が高まります。
その前に、舞鶴橋の上からの甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山も見事な眺めでした。


間もなく実相寺に到着します。人出の多さは、少し手前からでも良く分かりました。
実相寺の境内に入ります。
桜も水仙もどちらも満開で見事です。そして後方には雪を抱いた南アルプスの鳳凰三山。
どの桜も見応えがありました。水仙との競演も趣深いです。
そしてこちらが、日本三大桜のひとつに数えられる山高神代桜。樹齢1800年とも2000年とも言われています。
根元あたりの幹周りは約12mもあって圧倒されます。昭和以降、不適切な管理により樹勢が衰退したものの、現在では管理方法が改められて樹勢も回復してきているとか。そのたくましい生命力にも驚嘆させられます。
水仙越しに、これまで見てきた桜を振り返りました。
最後の1枚は、甲斐駒ヶ岳をバックに。
実相寺
実相寺の手前の道には、多くの露店が立って賑わっており、その中を抜けていきます。


賑わっていたのは実相寺の駐車場までで、そこを過ぎると長閑な車道歩きに変わります。
20分ほど歩いて国道20号線に出ると、そこには‥‥。
朝乗ってきたバスの「牧の原」バス停がありますが、休日は1日に5便しかなくて、次はなんと2時間半待ち。
なので、日野春駅まで歩いてしまいます。釜無川橋を渡った先で、100mほど登らされるのが難点なのですが。
釜無川橋から眺める甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山です。


橋を渡った先で七里岩の断崖が迫ります。100mほどの標高差を、車道はジグザグに登っていきますが‥‥。
歩行者用に、「野猿返し」と名付けられた近道があります。車道ができて廃れてしまった昔の山道を、近年になって地元の人たちが整備し直したものらしい。
その道は、ハイカーばかりではなく普通の格好をした人たちの往来も結構ありました。武川地区と日野春駅とを結ぶ、貴重な生活道路になっているのではないかと思われます。
途中で一度、車道を串刺しにする形でショートカットしていきます。
最後まで穏やかな傾斜が続いて、歩きやすい道でした。とはいえ、すでにひと山登ったり、長い距離を歩いたりした後とあって、さすがに100m登るのは少し苦しかったですけれど。
再び車道に出たところで「野猿返し」の山道は終わります。
「野猿返し」の山道を振り返りました。


このあと、さらに車道を登る区間が少し残っているものの、その距離はもういくらもありません。
ゴールの日野春駅に到着。中山への登り下りだけを取ると、山歩きとしては物足りないくらいの内容ではありましたが、その代わりに迫力満点の山岳展望と美しさが全開だったお花見を堪能できて、とても良い1日でした。

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