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牛奥ノ雁ヶ腹摺山・小金沢山・大菩薩嶺 [大菩薩とその周辺]

2015/10/10(土)

■第310回 : 牛奥ノ雁ヶ腹摺山(1990m)・小金沢山(2014m)・大菩薩嶺(2056m)


今年は比較的地味な行先ばかりが続いていたからか、たまにはメジャーな所にも行ってみたくなって、5年ぶりに大菩薩に向かいました。今回のコースは、2009年に1度歩いている小金沢連嶺の一部に、登頂が4回目を数えるものの単独行では2006年に1度登ったきりの大菩薩嶺の周回を合わせたものです。
3連休の初日ということもあってか、大菩薩界隈は予想通りに賑わっていましたが、小金沢山あたりではほとんど人に会わずに静かに歩くことができて、楽しみにしていたこんな風景との再会も果たせました。

 累積標高差(登り):994m / 距離:11.8km / 歩行時間:4時間10分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:6時間5分 

(往路)
古淵 05:50-06:12 八王子 06:35-07:38 甲斐大和
甲斐大和 (増発便)07:45-08:15 大菩薩湖入口

(登山行程)
大菩薩湖入口バス停 08:20
牛奥ノ雁ヶ腹摺山  09:40-09:50
小金沢山      10:15-10:25
石丸峠       11:10
大菩薩峠      11:35-11:40
雷岩        12:10-12:15
大菩薩嶺      12:20-12:30
雷岩        12:35
上日川峠バス停   13:10

(復路)
上日川峠 14:00-14:45 甲斐大和 15:30-16:30 高尾
高尾 16:31-16:38 八王子 16:49-17:01 橋本
橋本 17:04-17:15 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

3連休初日で混みそうなので、甲斐大和駅で下車したら速攻でバス停に向かいましたが、まだ早い時間にもかかわらず続々と登山者が続いてきます。この状況から臨時便が2本出ることになって、その1本目に乗りました。
臨時便がすぐに出発してくれたおかげで、「大菩薩湖入口」バス停には予定より25分も早く到着できています。これから歩くのは比較的マイナーなコースなので、満員のバスからここで降りたのは私だけでした。
5分ほどバス道路を戻って、左に分岐するこの林道に入ります。バスは自由乗降なので、この前で降りることも可能でしたが、それではスタート地点の写真がサマにならなそうなので、バス停まで乗って行ったのでした。
林道が最初にカーブする地点で、1つ手前の「すずらん昆虫館前」バス停から上がってくる道が合流しました。
登山地図に書かれている正規のコースはそちらなのですが、今回のように1区間余計にバスに乗ると、スタート地点の標高を100m近く上げられるため、そうして歩き始めの区間をショートカットした形になっています。
こんな林道を15分ほど登ります。マイナーコースらしく、前後に人の姿が見当たらず、当分は静かに歩けそう。
ふと右手を見ると富士山が目に入りました。雲が多くてスッキリしない天気なので、いつ見納めになるか分からないからと、一応写真を撮っておきましたが、結果的に富士山は最後まで頑張って見えてくれていました。


林道の終点に達すると、その先に登山道が続いていました。
「登山道入口」の標識に従って、いよいよ山道に入ります。
山道は、細いながらも明瞭に続いていきます。現在は一般登山道に昇格しているものの、私が持っている2012年版の登山地図では赤破線路だった道で、向かう先も割と地味な山なので、今でも歩く人は多くないのでしょう。
そんな訳で、ここからはクモの糸にかかりまくりでしたが、巣というほどにまで成長したものがなく、あまり不快な思いをせずに助かったので、早朝にでも誰かが歩いてくれていたのかもしれません。
山道が始まって7~8分で、日川林道を横断します。ここまでは、山道の右手側に伐採地が多く見られるなどして、自然の中を歩いている気分にはなれず、付け替えられた様子がある道も歩きやすくはありませんでした。
ここまでの道は、私製の小さな標識による最小限の案内だけが頼りでしたが、林道を横断した先には立派な道標が立っていたほか、木段もここで初めて現れて、ここからようやく登山道らしくなります。


といっても伐採地はもう少し上まで広がっていて、そこを抜けるまでは木段ばかりの苦しい区間が続きました。
やっと森の中に入ると、俄然雰囲気が良くなって、気分も一気に清々しくなります。ただ、ほとんどジグザグを描かず直線的に進む箇所が多い道は、傾斜が強まれば登るのもキツくなり、楽には歩かせてはもらえません。
道は引き続き明瞭で、迷いようのない1本道でもあるのですが、時折こうして道標が道案内をしてくれました。


かなり登った頃、地面に少しずつササが現れるようになって、森の雰囲気が変わり始めました。
標高が1900mを過ぎると、所々で景色が開けるようになります。雲が多かったこの日、展望にはあまり期待できないと思っていたのですが、意外にも南アルプスや八ヶ岳が、霞みながらもちゃんと見えていました。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
特にこの富士山の見え方には、水墨画調の趣があって、すごく気に入りました。
さらに登ると、地面をササが覆うようになって、小金沢連嶺らしい雰囲気がじわじわ迫ってきました。
いよいよササが深くなってくると、頂上はもう間もなくです。


牛奥ノ雁ヶ腹摺山の頂上に出ました。誰にも会わずに登ってきましたが(途中で見掛けたのは鹿2頭のみ)、この頂上も無人で、目論見通りにもうしばらくは静かに過ごせそうです。
あまり広い頂上ではなく、周囲の景色も、ほとんどの方向は木立の間からの眺めでした。
なぜか頂上には、登ってきた道を案内するきちんとした道標はなく、私製の標識が「下山道(日川林道経て県道バス停方面)」と示しているだけ。でも歩きにくい箇所はなかったので、下りでも全く問題ないと思います。
さすが秀麗富嶽十二景(大月市選)の二番山頂に選定されているだけあって、富士山の方角だけは開けていました。富士山は相変わらず味のある見え方をしています。 (下の写真にマウスを乗せると、山名を示します)。


牛奥ノ雁ヶ腹摺山から小金沢山へ向かうと、最初は気持ちの良いササ原の稜線を歩き始めます。
この区間を6年前(2009年)に歩いた時は、ササ原の中に何本かの道が交錯して分かりにくい場所があったのですが、今では明瞭な1本道になっていて、進路に不安を感じることはありませんでした。
比較的風景が絵になる場所ばかりで写真を撮っていますが、実際にはこんな気持ちの良い道がずっと続くわけではなく、稜線を外して樹林の中を進むこともあって、そうなると結構歩きにくい道になったりもするのでした。
この日、稜線上は相当涼しかったのですが、それでも紅葉にはまだ早く、色付いた木々は稀に見る程度でした。


小金沢山に到着しました。バス道路を離れてからというもの、全く人を見ていなかったのですが、ここで初めて2人組の先客と挨拶を交わしたほか、休憩中には単独行の人たちがさらに2人現れています。
小金沢山も、牛奥ノ雁ヶ腹摺山とともに秀麗富嶽十二景の二番山頂に選定されています。
小金沢山の標高は2014m。来るのが1年遅かったか。
小金沢山では、東から南にかけての方角を眺めることができます。南側には富士山が見えていたほか、富士山の左側には、先ほどまでいた牛奥ノ雁ヶ腹摺山が、奥にある黒岳と重なるようにして見えていました。


小金沢山の先になると、樹林の中を小刻みにアップダウンする道が続くようになり、足元の悪い場所も少なくなくて、次第に足に疲れが溜まってきます。一部では道が不明瞭になっていて、進路に迷う箇所もありました。

どうにか樹林帯を抜けると景色は一転。この開放的な景色に再会したくて、このコースを選んでいたのです。
狼平と名付けられた付近の様子です。このあたりの風景が、大菩薩エリアの中で一番好きかもしれません。
写真右手の天狗棚山を越えた先に石丸峠があり、さらに写真左手の熊沢山を越えると、その向こうに大菩薩峠や大菩薩嶺があります。 (下の写真にマウスを乗せると、山名を示します)。
小金沢山からのアップダウンが響いて、足が重たくなっているので、天狗棚山への登りは少々苦しく感じます。
そんな折、天狗棚山を巻く道らしい踏み跡を発見。みんな考えることは一緒なんだと思いながら入ってみると、最初明瞭だった踏み跡は、次第にササに埋もれるようになり、しまいにはササ藪漕ぎとなってしまいました。
それでもササを分ければちゃんと地面に道が続いているのが分かって、天狗棚山の向こうで登山道に復帰できたのは良かったのですが、帰宅後に過去の記録を振り返ると、なんと6年前にも全く同じことをしていたらしい。


天狗棚山を過ぎれば、間もなく目の前に石丸峠が現れます。ここの景色も私の超お気に入り。
それにしても、正面の熊沢山の向こうが大混雑の大菩薩峠にもかかわらず、ほんのひと山越えただけでこんなに人が少ないのはなぜなんでしょう。しかも、別に見所がない訳ではなく、こんなに素敵な景色が見られるのに。
石丸峠で、歩いて来た方向を振り返ったところです。1度ここで、のんびりと過ごしてみたい。
熊沢山に少し登りかけたあたりで石丸峠を振り返りました。何度見ても飽きない景色です(冒頭と同じ写真)。
もう少し熊沢山に登って、再度振り返りました。左下隅が石丸峠、その上が天狗棚山で、そこから右に下る稜線の右端あたりが狼平です。狼平の左上で少し霞んで見えているのは雁ヶ腹摺山(牛奥ノ雁ヶ腹摺山とは別)。


大菩薩峠は案の定ごった返していました。落ち着かないのでスルーしようかとも思いましたが、小金沢山から休みなしで歩いてきたので、腰掛けられる場所が見つかったこともあり、5分ほど滞在して少し息を整えました。
最後に、本日の最高点・大菩薩嶺を目指します。結構疲れてきましたが、幸いこの先にはもう、苦しくなるような急な登りはありません。人が多いので、歩くペースも先行者との兼ね合いやすれ違いの状況次第となります。
賽ノ河原を通過します。人が多いように見えないのは、写り込む人が少なくなるチャンスを狙って撮ったから。
雷岩まで来れば、頂上へはわずかな登りを残すのみ。頂上は展望がないので、ここで展望を楽しんでいきます。
雷岩の上からの展望です。朝から高曇りで長くは持たないだろうと思っていた展望が、正午を過ぎたこの時間まで、悪いなりにもそこそこ見られたのは上出来だったと言えるでしょう。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。


大菩薩嶺の頂上は樹林に囲まれていて、全く展望のない地味な地点。多くの人は記念写真を撮ったらほかにすることがなく、すぐ下に雷岩という気持ち良く過ごせる場所があることもあって、ここで長居する人は少数です。
午後に入って、登頂のピークを過ぎていたからか、写真の順番待ちも1組だけですみました。
一旦通り過ぎてから振り返っていますが、ここに写っているのがほぼ全部という、手狭な頂上です。
日本百名山と山梨百名山の標柱を1本で兼ねているのは、ちょっとほかでは見たことがない気がします。


さて、ここで下山先を思案することになりました。当初の計画では、まず反対側の丸川峠へ下り、その先で柳沢峠へと足を伸ばすか、それとも裂石へ下るかは、バスの時間との相性を見て決めるつもりでした。どちらにせよ、この先は人が少なくなって、再び静かに歩けることが期待できるコース取りです。
ところが、最初にバスの臨時便に乗れて予定よりも早くスタートした上に、その後も順調過ぎるくらいのペースで歩けてしまい、どちらに下っても、バスが来るのをかなり待つことになってしまいそうな按配でした。
それでも初めて歩くコースならば、計画の変更は考えなかったと思いますが、どちらも過去に歩いていて、特段のこだわりがありません。天気予報以上に雲が多くて、空模様がいつまで持つかも気になるところです。
少し悩んだ結果、短時間で下れて、バスもコンスタントに出ている上日川峠に行先を変えることにしました。

ということで、雷岩まで戻ったら、唐松尾根を下ります。メジャールートではあるものの、急坂のため下りに使う人は多くないはずで、これから登るという人も減ってきたこの時間、そんなに混んでいないと思われました。
しかし想定外だったのが、煩わしいガレ場が長く続き、なおかつ傾斜が急で歩きにくくて仕方なかったこと。この道はこれまで登りで使ったことしかなく、下りでここまで歩きづらいとは認識できていなかったのです。
こんなガレ場の連続に、いい加減嫌気が差してきますが、悪路には慣れているほうなのでグングンと下ります。
長く感じたガレ場が終わって、道が穏やかになると、ようやくホッとひと息つくことができます。
ここまで順調に下れたことで、バスの時間との折り合いはすごく悪そうな感じですが、朝のように人が多ければ臨時便も期待できそうなので、この先もとりあえず一目散に下ってしまうことにしました。


福ちゃん荘の前に出ました。ここまで来れば、もうあとひと頑張りなので、このまま歩き続けてしまいます。
福ちゃん荘と上日川峠の間は、いつも山道ばかりを選んでいたので、今回は車道を歩いてみることにしました。
多少のアップダウンがある山道と違い、一定の下りが続いたことから、体力的には楽だったのかもしれません。でもその一方で、硬い路面が足への負担に感じられたので、少なくとも下りにおいては、どちらも一長一短という印象です。なお、山道はすぐ右手の斜面に付いていて、そこを歩く人たちの姿も車道から良く分かりました。
上日川峠に到着したのは、1時間おきのバスが出た10分後というタイミングの悪さ(頂上で悩まずにすぐ下り始めていれば、1本前に間に合ったのでしょう)。すでに次のバスが2台停まっていましたが、その運転手とほかの登山者との会話を聞いていると、帰りのバスは定刻にしか出していないらしく、ここで50分待ちが確定です。
バス停の前で、腰掛けて待てる場所といえば、ロッヂ長兵衛のベンチくらいのもの(下の写真)。タダで座るのもどうかと思い、アイスクリームを注文して食べながら待つことにしました。なんて商売上手なんでしょうか。
ところで、朝の甲斐大和駅の混雑はどこへやら、その後もバス停にさほど人は集まらず、意外にもバスは1台だけでしかも空席を残しての発車となりました。朝1番のバスで来た人たちは、大半がこの上日川峠からの周回なので、1本前の便に間に合っていたり、または食事休憩などで帰りの時間がバラけてしまったのでしょうね。

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笠取山 [大菩薩とその周辺]

2013/05/25(土)

■第256回 : 笠取山(1953m)


この日は奥秩父の笠取山に登ってきました。
その周囲一帯が東京都の水道水源林として管理されていて、豊かで美しい森の中を歩けるのが魅力の山です。
頂上直下から見上げる端正な円錐形にも、登高意欲をそそられます。急坂を直線的に登り詰める最後の100mほどは、なかなか苦しかったのですが、頂上に立てば広大な展望が開けていました。

 累積標高差(登り):1041m / 距離:19.8km / 歩行時間:4時間30分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:7時間30分 

(往路)
古淵 05:50-06:11 八王子 06:35-07:49 塩山
塩山 08:30-09:27 新地平

(登山行程)
新地平バス停 09:30
雁峠     11:20-11:30
笠取山    11:55-12:00 (山梨百名山山頂)
笠取山    12:05-12:15 (標高点山頂)
水干     12:25-12:35
笠取小屋   12:50-13:00
鳥小屋分岐点 13:30
落合バス停  14:50

(復路)
落合 15:30-16:30 塩山 16:58-18:04 橋本
橋本 18:10-18:21 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

塩山駅前のバス乗り場はこの通りの長蛇の列。このあたりのバス会社は首都圏と違って人手不足なのか、最小限の台数しか配車してくれなくて、車両によっては超満員でした。ちなみに先頭に置かれたザックが私のです。
西沢渓谷行きのバスに乗って、終点の1つ手前の新地平で下車します。
私のほかに降りる人が4人もいたのは意外でした。


しばらくは林道歩き。歩き始めてすぐに、車両通行止めのゲートの脇を抜けていきます。
少し開けた場所に出ると、一番奥のほうに、目指している頂上に近いあたりが見えてきました。
でもまだまだ遙か遠くで、しかも随分と高く見えて、道のりの長さが思いやられます。
ずっと沢に沿って進む涼しげな林道では、やわらかな緑色が目にまぶしかったです。
カラマツの新緑も鮮やかでした。黄金色に染まる秋の景色も見てみたくなります。
沢の間近では水音が清々しくて、6km近い林道歩きも、あまり長くは感じませんでした。
上流へ進むにつれて、林道の体をなしていない箇所が増えてきました。
ここは沢がかつての道の位置まで食い込んでいて、流れのすぐ脇を歩きます。
飛び石で対岸に渡った後は、次第に木々の緑が淡い色合いに変わってきました。
かつて林道だったのはこのあたりまででしょう。飛び石で再び左岸に戻ると、その先は登山道に変わりました。


登山道は、何度か飛び石で沢を渡りながら登り詰めていきます。流量が多ければ要注意でしょうが、降雨がここ数日なさそうだったのを見極めて来ているので、全ての徒渉点を靴底だけを濡らす程度で問題なく渡れました。
上のほうでは沢の中を歩くような所もありましたが、晴天続きでこのあたりは枯れ沢になっていました。


ササ原が広がるようになると、やがて沢からは離れていきます。
ササの斜面を登っていくうちに、空がどんどん大きくなってきました。
いよいよ景色が開けてきて、稜線が間近になってきたようです。
この先にどんな風景が待っているのか、期待に胸を膨らませつつ、空の下を目指します。


たどり着いた雁峠は、開放的なササ原の中にあって、行き渡る風が気持ちの良い場所でした。
後方で端正な三角形をしているのが、これから目指す笠取山です。
こちらは雁坂峠へと続く稜線への道。今回は行きませんが、いずれは歩いてみたい道です。
登ってきた道を振り返ると、黒金山や乾徳山が見えていました。


雁峠から笠取山へ向かうと、次の分岐点の近くには「小さな分水嶺」がありました。
ほんの小さな丘ですが、解説板によると、3つの大きな河川の分水嶺となっているようです。
北側に降った雨は荒川となって東京湾へ、南東側に降った雨は奥多摩湖を経て多摩川へ注ぐとのこと。
そして石碑の反対側に彫られていたのは富士川。西側に降った雨は、甲府盆地を流れて富士川になるらしい。


笠取山の手前のコブに登ると、いよいよ正面に笠取山を捉えました。
笠取山の写真といえばコレ、という代表的なアングルです(トップの写真と同じ)。
笠取山の真下まで来ました。ここから見上げるような急坂が始まるのですが、写真では緩やかにしか見えなくて、傾斜のキツさを伝えきれそうにないのが残念です。
これだけの激坂はそうそうあるものではなく、めげて途中で休んでいる人の多かったこと。
ただ、こちらも急坂の途中で、ほとんど真上を見るようにして撮っていた写真なのですが、前の写真以上に緩やかに見えてしまう出来上がりだったのにはガッカリでした。


急坂を登り詰めた所に、山梨百名山の標柱が立っていました。そのため、ここを山頂として引き返す人も多いようなのですが、まだここは笠取山の最高点ではありません。
それでもこの地点は、そこそこの広さがあって展望も良いので、山頂としての風格は十分だったでしょうか。
登ってきた急坂を見下ろした写真では、傾斜のキツさが少しは撮れていたようです。
展望は、東南から西北にかけてほぼ180度あり、奥秩父の山々をこんな具合にぐるりと見渡せました。
大きな写真は こちら です(180度分の大きな展望なので、かなり縮小してしまいましたが)。


2つほどのコブを越えて、本当の最高点へ向かいます。6月が見頃のシャクナゲは、ここではまだ蕾でした。
この写真は穏やかな所で写しましたが、途中には小さな岩場が出てくるなど、少々アクロバチックな道です。
こちらが笠取山の頂上ですが、なにしろ狭かったです。この時は私ひとりだけで、問題なく過ごせたのですが、4~5人も集まれば居場所に困ってしまいそう。展望も全くないので、皆さんここは素通りなのでしょう。
頂上には早咲きのシャクナゲがありました。せっかくの鮮やかなピンクが色飛びしてしまいましたが・・・


頂上からは、南側の斜面を回って、多摩川の源頭である「水干」を見ていきます。
その一帯を少し手前から見るとこんな感じでした。
きちんと標識も立っていました。
標識のすぐ上あたりに、いかにも水が滲み出ていそうな岩場と、思わせぶりな水溜まりがあったのですが、晴天が続いているおかげで地面が乾燥していて、この近くでは流水は全く見られません。
そもそも、近くにあった解説板によれば、湧き水が出ている場所は60mほど下った所にあるようです。
水干のすぐ近くにこんなベンチがあったので、ここでひと休みしていきました。
山頂周辺では、まだ木々の芽吹きも浅かったです。


水干からは穏やかな道を下っていきます。このあたりでもカラマツの新緑が鮮やかでした。
雁峠分岐まで来たところで、さきほど登った「小さな分水嶺」を振り返りました。
分水嶺なのに、樹木1本の高さにも及ばない、本当に「小さな」コブに過ぎないことが良く分かります。
もう少し広い範囲を振り返りました(大きな写真はこちら)。ササ原が伸びやかに広がる気持ちの良い場所です。右端が「小さな分水嶺」で、左半分に連なっているのは、燕山や古礼山といった、雁峠のすぐ背後の稜線。
その後は笠取小屋のあたりまで、丸太が敷き詰められた道が続きました。
この通り、すでに深く抉れてしまった道なので、これ以上掘られないように必要な対策なのでしょう。


笠取小屋は、静かな森の中にあって、落ち着いた佇まいでした。なかなか雰囲気の良い場所です。
着いたのはお昼時という中途半端な時間でしたが、テントサイトにはいくつものテントが張られていました。ここを拠点にして連泊しながら、周辺の山々に繰り出しているのでしょうか。


笠取小屋から10分ほど下ると、ヤブ沢峠の分岐点に出ます(通り過ぎてから振り返りました)。
車で来た人たちは、左折して写真の右方向に下って行きますが、それではバスには乗れません。落合に向けてここを直進した途端、人の気配がなくなって静かになりました(この先はひとりの登山者も見掛けていません)。
この先ずっと林道が続きますが、美しい新緑のお陰で気持ち良く歩けました。少なくともまだこの時点では‥‥
しばらく歩いた先で、鳥小屋分岐点を左折して、笠取小屋の荷揚げ用の道らしい「奥山作業道」に入ります。
なお右の道は、昨年訪れている白沢峠へと通じています。
小さな道標が、左の道を「一之瀬高橋」と案内していました。これが、この日見た最後の道標となっています。


鳥小屋分岐点から少し下って、林道が右折する地点では、直進方向に山道が分岐していました。
最近になって登山地図に赤破線で載るようになった、石保戸山や藤尾山への道でしょう。
道標等は全くありませんが、しばらくは広く刈り払われた明瞭な道が続いているように見受けられました。
このあたりはモミジの新緑で、紅葉の頃は見事なことになりそうでした。
ただ、笠取小屋から落合バス停までの約10kmはずっと林道ばかりで、さすがに長いなと感じ始めています。
かなり下ったところで、右手の沢を小橋で渡って登っていく山道を分岐します。
そちらは白沢峠へ登る登山道で、登山地図では赤実線表記なので、分岐点に道標がないのは意外でした。


その後、大規模な林道工事が行われている一帯を抜けて、一般車両進入禁止のゲートまで降りてきました。
ゲートを抜けてから振り返っていますが、このゲートは脇のガードも固くて、写真右側を乗り越えるしかありませんでした。そうしておかないと、マナーをわきまえないバイクとかが入って道を荒らしてしまうのでしょう。
ゲートの手前には、車とバイクが1台ずつ停められていました。
ここから林道を長々と歩いて笠取山へ向かうなどというのは、余程の物好きでない限りは考えないでしょうから、持ち主はたぶん白沢峠に出てから三窪高原あたりを目指しているものと思われます。
その後は集落に入って、ポツンポツンと家屋が点在する中を進むようになりますが、それでも周囲の森は最後まで美しいままでした。一之瀬高橋って、自然豊かで雰囲気の良い所ですね。


やはり、約10kmの林道歩きは長かったです。
最後は足が棒のようになって、ウンザリしかけた頃に、ようやく落合バス停にたどり着いています。
昨年はここでバスが待っていましたが、待機場所が変わったようで、バスは発車時刻を過ぎてから来ました。
かなりの余裕を持って着いていたので、バスが来るまでの時間を、昨年、黒川鶏冠山から下って来た時と同様に、水道水源林「100年の森」で過ごします。
「100年の森」では、今年もクリンソウが咲いていました。
来たのが昨年と全く同じ時期(2日早いだけ)なので、同じように見られるのではと期待していましたが、昨年よりも花付きが良かったのでは?
山道を少し登ったあたりではツツジの花も楽しめました。
このあとバス停に戻ってバスを待ちましたが、ほかには誰も現れず、落合から乗ったのは私1人だけでした。
そのあと柳沢峠で7~8人を乗せてから、大菩薩登山口で長蛇の列を作っていた人たちをどうにか全員詰め込んだところでギュウギュウの超満員。次に寄った大菩薩の湯では、なんと「次を待って下さい」とアナウンスして通過する事態となっていましたが、山梨貸切自動車さん、ちょっとサービス悪くないですかね。こういうことで、バス離れをさらに加速させてしまう一面もあると思うのですけれど。。。

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黒川山・鶏冠山 [大菩薩とその周辺]

2012/05/27(日)

■第231回 : 黒川山(1716m)・鶏冠山(1700m)


今回は、大菩薩嶺のすぐ北隣に当たる黒川山と鶏冠山に登ってきました。標高を上げれば、芽吹いたばかりの淡い緑が輝き、稜線を渡る風もまだ涼しくて、とても爽やかに1日を過ごしています。

このエリアは、かつては公共交通によるアクセスが困難だったのですが、昨年、塩山駅-大菩薩峠登山口間のバス路線が延伸されて柳沢峠や落合まで入るようになり、楽に日帰りできるようになっていたのです。
そこで、鶏冠山に登った後は落合のバス停に下って、帰りにはその路線バスを全線乗車してきました。

 累積標高差(登り):1273m / 距離:15.1km / 歩行時間:4時間30分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:7時間0分 

(往路)
古淵 05:27-05:48 八王子 05:50-05:57 高尾
高尾 06:14-07:22 塩山 07:35-08:02 大菩薩峠登山口

(登山行程)
大菩薩峠登山口バス停 08:00
丸川峠        09:40-09:50
六本木峠       10:50-10:55
横手山峠       11:15-11:20
黒川山(三角点)    11:40
黒川山(展望台)    11:45-12:15
鶏冠山        12:25-13:40
落合バス停      14:40
「100年の森」散策   14:50-15:20

(復路)
落合 15:30-16:30 塩山 16:32-17:42 高尾
高尾 17:50-17:56 八王子 17:59-18:21 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

塩山駅から大菩薩峠登山口行きのバスに乗りますが、なんと登山姿の乗客は私を入れて2人だけでした。
その登山口より標高が700mも高い上日川峠まで別のバスが入るようになって、このバスを利用する登山者が激減したのは確かだと思うのですが、この日はJR中央線も極端に空いていたので、お出掛けする人自体も少なかったのかな。
終点の大菩薩峠登山口バス停からスタートします。
ここから上日川峠までの登山道は、歩きやすくて趣のある道なのですが、それを知る人も少なくなったことでしょう。
もっとも今日は大菩薩には登りませんし、上日川峠にも向かわないのですが・・・
バス停のすぐ近くには、きれいな「裂石公衆トイレ」が新しくできていました。
ただ、男女共用の個室を利用しましたが、鍵がないのが大いに謎です(破損等は見られず、最初からなかったっぽい)。


少し車道を歩いて、ここが丸川峠への分岐になります。駐車スペースには、車が9台停められていました。
その後もしばらくは、かつては林道だったらしい幅広の道を進みます。
先程の分岐から15分ほど歩いたところで、林道跡から分かれて尾根に取り付きます。


ようやく始まった登山道は、それなりに傾斜があって、木の根などを足掛かりに最初からグングン登る感じです。そしてすぐに、早くも下山中の人たちとたびたびすれ違うようになります。昨夜はどこかの小屋で1泊したのでしょうね。
道はしばしば深くえぐられていて、露出してしまった岩などがゴロゴロしているなど、歩きにくい箇所が散見されます。
尾根からの展望はほとんどありません。一応、周囲は新緑なのですが、細い尾根だけに森の中にいるという感覚に乏しくて、新緑の中を歩いている印象も持てませんでした。
散発的にですが、時折ヤマツツジを見掛けました。


標高1500m付近を過ぎると、傾斜がきつくなる上に岩が増えてきて、段差の大きな箇所もあちこちに。
それが疲労の溜まってきた足にこたえて、このあたり、かなり苦しかったです。
それでもササが見られるようになると、やがて傾斜も緩み、見上げる空も広くなってきました。
開放的なササ原に出れば、もう丸川峠はすぐ先です。
最後の急登はこたえましたが、一気にコース全体の8割以上を登ってしまったので、もうほとんど登り終えたも同然。
あとは鼻唄混じりでも歩けそうな道がずっと続くだけなので、すでに軽やかな気分になっています。


約6年ぶりに訪れた丸川峠。素朴な感じの丸川荘は、6年前とほとんど変わらない佇まいに見えました。
それでもAED配備の表示があるのは、やはり今の時代ならではですね。大菩薩エリアでは、ここ丸川荘を含めて、計4軒の主な山小屋に配備されています。
丸川荘の裏手は気持ちの良い広場になっていて、ここで少し息を整えていきます。
周辺の木々は、まさに芽吹きが始まったところ。峠は風の通り道なので、いくぶん季節が遅れて進むのでしょうか。


丸川峠から黒川鶏冠山方面に進むと、はじめはコケむした岩屑の中を通って行きます。
かと思えば、新緑とササの道に変わったり。とても雰囲気の良い道なのに、この先は当分、誰にも会わなくなりました。


丸川峠から15分ほどで、寺尾峠を通過していきます。
寺尾峠を過ぎると、尾根を絡んで進むことが多くなって、若葉が萌える明るい道に変わります。
丸川峠と六本木峠の間は、約4kmにわたってほぼ水平な道が続き、これぞまさにトレッキング、という快適な道でした。
次に通過する天庭峠は、あまり峠らしい地形でもなく、標識がなければ立ち止まることもなさそうな場所でした。
天庭峠の先で、1706mピークを巻く途中では、コケの美しい岩道もありました。


六本木峠では、柳沢峠から登ってきた道が左から合わさって、この先では出会う人も増えていきます。
六本木峠を過ぎると、穏やかな道は横手山峠へ向けてむしろ緩やかな下りとなっていて、引き続き楽に歩けます。


横手山峠は、このすぐ下にも別の分岐があって、いくつかの道が変則的に交差していました。
横手山峠から先は、黒川山に向けて、久しぶりの登りに変わります。
ここで150mほど登りますが、傾斜は緩やかで、比較的歩きやすい道でした。
黒川山直下の分岐点。写真左奥から登ってきて、ここで鋭角に折れて右上を目指します。


黒川山の三角点は、分岐点のすぐ近くで、右手の高まりの中にありました。
尾根を西へ進んで、最高点でもある展望台を目指します。この岩塊を登った上のようですね。
ちょうど、占拠していた大団体が引き返すタイミングに当たって、しばらく1人で独占できました。


展望台では、東側を除く三方の大展望が広がっていました。時間に余裕があるので、ここで少しゆっくりしていきます。
南側を見ると、すぐ近くにある大菩薩嶺が存在感を示していました。
そして西側には、昨年歩いた三窪高原のなだらかな稜線が続いています。
北側の奥秩父方向は、ちょっと雲が多く出ていました。
写真左半分で一番高く見えるのが国師ヶ岳で、右端に近いあたりにあるのは甲武信ヶ岳です。


黒川山直下の分岐点まで戻って、今度は鶏冠山を目指すと、すぐに木の根と岩がミックスした急登が立ちはだかります。
でも上まで登り詰めるのかと思ったら、途中から先は巻けるようになっていて、危険を感じる箇所はありませんでした。
鶏冠山の頂上には、鶏冠神社の祠と、山梨百名山の標柱が建っていました。
ここまで順調過ぎてしまって、帰りのバスまでの余裕が2時間もあるので、ここで1時間ほど寛いでいくことにします。
途中、黒川山でも見掛けた大団体が到着して混雑する時間もありましたが、幸い彼らは短い間しか滞在しませんでした。
彼らが去った後はもう誰も来ることがなく、30分以上ひとりで過ごしていたことになります。静かで贅沢な時間でした。
鶏冠神社後方の岩の頂点が、鶏冠山の最高点のようです。
岩の頂点に立つと、南側は相当な高度差でスッパリと切れ落ちていて、覗き込んだら目が眩んでしまいそう。


鶏冠山でも、展望の中心はやはり南側の大菩薩嶺でした。
南側のほか、黒川山では見られなかった東側を望むこともできて、奥多摩などの山並みが広く見渡せます。
この写真では、左奥が御前山で、右奥が三頭山、そしてその両者の間で手前にあるのが鹿倉山&大寺山です。


下山は、黒川山北面の道で落合に向かいます。
あまり歩かれていないのか、道はしばしばか細くなり、やや荒れた箇所も見られました。山慣れた人向きかと思います。
このように、岩が折り重なる中を通ることもありますが、うまい具合にほぼ平坦に歩けるような道が通されていました。
そして、横手山峠から下ってきた道が合わさると、その先は良く踏まれた歩きやすい道に変わります。
このあたりが、この日のルートの中で最も新緑が美しく感じました。それだけ森が豊かなのでしょうね。


軽快に下って車道に降りてきましたが、こちら側から登るには、少し分かりにくい登山口かもしれません。
一応道標はあるものの、何故か目立ちにくい角度で立っているので、自然保護や火の用心などの看板を見て気付くことのほうが多かったりして。
橋を渡って国道(青梅街道)に出たところには、登山道の存在を示すような案内は一切ありませんでした。
登山口の近くにあった小・中学校の校舎も、解体されて更地になっていたので、国道側からは何の目印も見られないことになります。


国道を少し歩くと、東京都水道局の水源管理事務所の向かい側に落合バス停があり、すでにバスが停まっています。
時刻表を確認すると、13:40の到着後、15:30に折り返すまで、約2時間もブランクがあって、運転手さんも大変そう。
バスの時間までは小1時間あります。私の後に山を下ってくる人はもういないはずなので、バス停にいる必要もなさそう。バス停の向かい側を見ると、散策路のようなものがあったので、そこで時間をつぶすことにしました。
その一帯は、水道水源林「100年の森」として、広範囲に整備されている様子です。
が、沢の上流に向けて登る道は、奥へ行こうとするほど時間がかかりそうで、近い範囲をウロウロして過ごすことに。
予め存在を知っていれば、計画段階から時間が余った時の行先に盛り込めたので、あまり知られていないのが残念です。
「100年の森」は、沢の流路が人工的になりすぎていたことに違和感がありましたが、水辺だけに涼しく過ごせて清々しく、うってつけのクールダウンになりました。
水辺でたくさん花を咲かせていたのはクリンソウです。
その場では分からずに、帰宅後に確認したのですが、おかげで新しい花の名前を1つ覚えました。
発車10分前に戻るとバス停はやはり閑散としていて、発車時刻になっても、乗客は私を入れて2人だけでした。
柳沢峠で6~7人が乗ってきて、大菩薩の湯からは超満員になったのですが、せっかく落合まで入るようになったバスなのだから、落合まで利用しませんか、皆さん。

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