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岩本山・明星山 [静岡]

2020/02/01(土)

■第423回 : 岩本山(192m)・明星山(224m)


今回は富士山の南西麓、富士川の河口からほど近い低山2座を巡ってきました。
富士山を間近からの大きな姿で拝めるのが魅力の山々で、この日もそれはある程度は楽しめたのですが、良く晴れていたにもかかわらず、なぜか富士山の周囲だけは雲がまとわりついて、この通り少しばかり残念な姿に。
それでも、開放的な頂上はどちらも思いのほか居心地が良い場所でしたし、ごく一部ですが南アルプスが眺められたりもするなど期待以上の展望もあって、季節を変えて再度訪れてみたくなりました。

 累積標高差(登り):416m / 距離:10.3km / 歩行時間:2時間35分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
古淵 06:07-06:10 町田 06:21-07:14 小田原
小田原 07:18-07:42 熱海 08:02-08:45 富士
富士 08:52-08:57 竪堀

(登山行程)
竪堀駅  09:00
実相寺  09:30
岩本山  10:00-10:10
明星山  10:55-11:10
富士根駅 12:00

(復路)
富士根 12:10-12:23 富士 12:27-13:07 熱海
熱海 13:13-13:34 小田原 13:57-14:52 相模大野
相模大野駅北口 15:20-15:30 市営斎場入口


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

JR身延線の竪堀駅から歩き始めます。
駅前から見た富士山は、中腹に雲が出ていて、せっかく近くから大きくて立派な姿を拝めるというのに、見栄えが今ひとつでした。山に登る頃までに、この雲が取れてくれれば良いけれど‥‥。


岩本山への登山口となる実相寺までは、竪堀駅から2km少々の距離があります。そこを歩こうとする人など稀なのか、道案内は皆無でしたが、駅の近くで大きな通りに出たら、あとは道なりに進むだけで大丈夫です。
30分ほど歩いて、実相寺の門前まで来ました。総門の上に見えているのが、最初に登る岩本山です。
門前にはバス停もあって、富士駅から富士市のコミュニティバスに乗って来ることもでき、ここで降りずにそのまま乗っていれば、なんと岩本山公園まで登ってくれます(月曜日~土曜日の運行で日曜・祝日は運休です)。


それでは、総門をくぐって実相寺の境内へ。1145年の建立と伝わる、のちに日蓮ゆかりの寺ともなる古刹です。
続いて山門(仁王門)もくぐります。平坦だったのはこのあたりまで。
実相寺は岩本山の南斜面にあって、斜面のあちこちに点在しているいくつもの伽藍が、石段で結ばれています。
最初の石段を登っていくと、右手に本堂が現れて、その前には日蓮上人像が威厳ある姿で立っていました。日蓮が立正安国論を著したのがこの実相寺とされていて、像の下には「立正安国」の文字が。
石段の続きを登って祖師堂へ。本堂よりこぢんまりしていますが、落ち着いていて美しい佇まいの建物でした。
祖師堂の左手から、「岩本山七面堂ハイキングコース」が始まります。
ハイキングコースといっても、しばらくは実相寺の境内を進んで、石段がそのままコースになっています。
次に現れたのは天神堂。周囲で梅の花がほころんでいたのが、いかにも天神さんらしい雰囲気でした。
天神堂のそばには少し開けた場所があって、見晴台として東屋が建てられていました。
見晴台からの眺めです。富士市街の先に、駿河湾や伊豆半島を見渡せました。
短い間隔で次々に建物が現れ、そのたびにひと息つけるので、石段の登りが続くのをあまり苦しく感じません。
石段をさらに登ると、また別の見晴台があって、そこにはハイキングコース中間地点の道標が立っていました。
見晴台の少し上には鐘楼が。1人1回だけ突いても良いらしく、ここを通る前後に何度か鐘の音を聞きました。
石段をもうひと踏ん張りしたところには七面堂。身延の七面山から御分体を戴いてお祀りしてあるらしい。
石段の登りは七面堂までで終わり、その先はほぼ平坦な舗装道路に変わりました。


ほどなく道路は岩本山公園の中へ。実相寺の本堂から20分ほどで、さほど汗をかかされずに登ってきました。
広々としてゆったり過ごせる公園です。一面の冬景色のようで、良く見ると梅がぼちぼち咲き始めていました。
梅園に入ると結構咲いていて、それがお目当てらしい来園者も少なくなかったです。
紅梅と白梅です。
公園内をさらに登っていくと、次第に甘い香りが漂ってきて、その独特の香りに、目に入ってくる前からからロウバイだと分かります。頂上手前の斜面ではロウバイが満開でした。
ロウバイと富士山です。


公園内を岩本山の頂上まで登ると、一番高いらしい地点に三角点がありました。
頂上にはパノラマ展望台も。もちろん登ってみます。
展望台の上には展望図がありました。
一番の楽しみだった富士山は、中腹に雲がかかったままだったのが残念でした(冒頭と同じ写真です)。
富士山の右には愛鷹山。
富士山から愛鷹山にかけてのパノラマです。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真は こちら です。
南西側には、先月登ったばかりの金丸山や大丸山あたりが見えていました。
そして西側には安倍奥の山々に加えて、南アルプスもその一部が眺められて、こんな低山から見通せるなんて思っていなかったこともあり、これにはテンションが上がりました。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
安倍奥の山々を大きく撮ってみました。何年も前から気になっているのに、まだどれひとつ登れていない‥‥。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
そしてこちらが南アルプス方面。帰宅後に拡大写真を良~く確認していたら、なんと北岳も見えていたのです。しかもこの見え方はこの時期ならではのことで、木々が葉を茂らせる季節だと全く見えなくなってしまうことでしょう。低山だと侮ることなかれ、こんなところに日本の標高トップ3が揃って見られる山があったとは!
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
南アルプスは、さらに悪沢岳(荒川岳)や赤石岳も頂上部が見えていたと分かって、ちょっとびっくりでした。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。


岩本山で展望を楽しんだ後は、万野方面への道を下ります。
こちらも木段が続いているものの、傾斜はさほどきつくありません。さらに、段と段の間にちゃんと土の地面があるところも、石段ですっかり固められていた実相寺からの道よりも足に優しい感じ。
やっと木段が途切れたのは、前方にもう道路が見えかかってきた頃で、ほぼ木段ばかりの道だったのでした。
ここで道路に出ますが、下っていた時間はたったの5分ほどで、山から下りてきたという実感は全くありません。それもそのはず、こちら側は集落が高いところにあるので、90mほどしか下っていないのでした。
道路に出てから、登山道を振り返りました。
次の明星山を目指して、しばらくの間は車道歩き。まだ下り切っていない分の標高差も、その車道で下ります。
岩本山と明星山を繋げて歩くことは想定されていないのか、途中には何も道案内がありません。何度もヘアピンカーブを繰り返して下った先では、2回続けてT字路を左折します。


明星山の登山口まで来ました。一般的な登山口の反対側になるからか、ひっそりとして素っ気ない雰囲気です。
登山道は、いきなり急な木段で始まりました。
段差の高いところが大半を占める、なかなか苦しい登りです。
しかもそれがいつまでも続きます。木段によっては、木段部分を外れて少し楽な脇の斜面を歩けることもありますが、ここではそういう箇所もほとんどなく、馬鹿正直に木段を歩くしかないことも、余計にきつく感じます。
送電線の下を通るあたりで木段が途切れましたが、傾斜が緩んだのはこの短い間だけでした。
すぐに木段地獄が再開すると、ずっと先まで木段が続く様子が見えていることで、精神的にも凹まされました。
どうにか小ピークを乗り越すと、その先の鞍部で、反対側にある一般的な登山口からの道を合わせます。このあたりから上の山頂部は、岩本山と同じように公園として整備されているようで、もう頂上が近そうです。
しかし、頂上直下も急な木段の連続でした。結局、登山口から頂上までの200m近い標高差の大半を木段の急登が占めていて、登るのも難儀でしたが、ここを下るのも結構骨が折れるのではないかと思います。


明星山の頂上に到着しました。広くて開放的な頂上部は居心地が良く、この時期は色彩的に少し寂しい景色ですが、芝生の広場ですから暖かい時期は一面の緑でしょうし、桜の木が多かったので花見の頃も良さそうです。
しかも登りついた時は無人で、この気持ちの良さを独占できました(その後何人か現れましたが)。
明星山も岩本山と同じように、一番高いところに展望台があるので、登ってみます。
富士山の周りには、これまで以上に雲が増えていて、ここでもスッキリとは見られずじまいでした。
でも富士山の以外の方角は概ね良好で、富士山の右には愛鷹連峰が、左には天子山塊が、良く見えていました。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真は こちら です。
上のパノラマの右側、愛鷹連峰のアップです。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
同じく左側、天子山塊のアップです。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
振り返った西側には、岩本山からと同様に、安倍奥の山々などが眺められました。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
上のパノラマの左端に見えていたのは、つい先月登った金丸山などですが、てっきり縦走した金丸山・大平山・大久保山・大丸山の4座が全部見られたものと思っていたら、頂上が見えるのは金丸山だけだったようです。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
そしてこちらは、2つ上のパノラマの右半分に見えていた安倍奥の山々です。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
富士川の河口付近と、その先に霞む伊豆半島です。
明星山の三角点は、広い頂上部の北西端寄りにありました。
三角点の近くから、頂上部を振り返っています。
頂上部の北西端まで来ると、展望台では樹木に邪魔をされていた南アルプスの見通しが良くなりました。
上の写真の中央あたりに写っている南アルプスのアップです。北岳は、明星山からは見えていないみたい。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
最後に、2つ上の写真では左寄りの樹木と重なっていて分かりにくいのですが、同じく南アルプスの悪沢岳(荒川岳)を、少し位置を変えて撮ってみました。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
登頂から15分くらい経っても、富士山はこんな様子。粘っても期待薄なので、諦めて下山することにしました。


明星山からは、3本ある北東側の登山口への道のうち、北西端からの緩やかな道を下ります。
なるほど、一応は木段にもなっていますが、その必要がないくらいの穏やかな傾斜で下っていきます。
驚いたことに、下り始めたと思ったら、ものの3分で駐車場に出てしまいます。こちら側は、登山口から頂上までの標高差が、なんと50mほどしかなくて、本当にあっという間でした。
もし車でここまで来たら、山に登る実感が何も湧かないうちに頂上に着いてしまいそう。程度の差こそあれ、岩本山もこんな感じでしたから、今回のコースは進行方向を逆にして歩くと全然違う印象になるんだと思います。


あとは長い車道歩きで、身延線の駅を目指します。広い道路も、当面は通る車が稀で、のんびり歩けました。
30分近く歩いた頃に、ようやく人家が現れ始めました。
交通量の多い通りに出たら、北東に直線距離で約900mの所に源道寺駅がありますが、その方向には潤井川を渡る橋がなくて遠回りになり、歩く距離では富士根駅への約1.6kmが最短らしいので、富士根駅を目指します。
富士根駅までは、明星山の登山口からサクッと歩いて50分ほど。もちろんその間に道案内などは皆無でしたし、地元の人しか通らなそうな細い道を結ぶ複雑な経路をたどるので、地図がなければ歩けなかったと思います。
富士根駅のホームから見た富士山もこの有様で、結局この日は富士山をクリアに見ることができませんでした。
昨年暮れに痛めていた腰の症状がまだ残っていて、行程を控えめにしたつもりの前回ですら、結果的にはオーバーワークだったようなので、さらに軽いコースをと考えて、今回は思い切り低い山を行先に選んでいました。
だから、楽に歩けることを重視して、山そのものには多くを期待せずに臨んだのでしたが、冒頭にも書いた通り、2つの山はいずれも、低いながらも居心地の良い頂上を持つ魅力ある山でしたし、頂上の公園が花々で彩られる時期になるとまた別の楽しみ方もできそうなので、今度は違う季節に出掛けてみようかと思っています。

タグ:静岡
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金丸山・大平山・大久保山・大丸山 [静岡]

2019/12/15(日)

■第420回 : 金丸山(532m)・大平山(589m)・大久保山(565m)・大丸山(567m)


今回は静岡市と富士市にまたがる山域の低山を巡って、富士山や駿河湾を間近に望む眺めを楽しんできました。
訪れた4つの山々は、いずれも頂上部にゆったりした気分で寛げる広場を持ち、さらに金丸山と大丸山は展望にも恵まれていて、登山地図の収録範囲外で知名度が低そうなエリアにありながら、見所は十分でした。
大丸山から富士山と愛鷹山を望む。この右では、駿河湾が広がる先に伊豆半島の山々を一望。

 累積標高差(登り):771m / 距離:11.2km / 歩行時間:3時間45分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
古淵 05:37-05:40 町田 05:51-06:17 伊勢原
伊勢原 06:19-06:39 新松田/松田 06:50-08:31 富士川

(登山行程)
富士川駅      08:35
実相院       08:55-09:00
野田山健康緑地公園 09:55-10:00
金丸山       10:10
大師広場      10:20-10:25
大平山       10:55
大久保山      11:10-11:20
大丸山       11:30-11:50
見晴観音      12:05
蒲原駅       13:05

(復路)
蒲原 13:21-14:21 熱海 14:33-14:55 小田原
小田原 15:15-16:11 相模大野 16:20-16:29 南警察署前


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

この日のスタートは東海道線の富士川駅。東海道線はいつも混んでいて座れないことも多いのですが、ちょうど御殿場線からの直通列車があったので、のんびり気分で座って来ました(時間は少し余計にかかったけれど)。
駅前からは富士山が眺められました。朝のうちは雲が多くて、見栄えは今ひとつでしたが。。。


駅前の交差点を直進し、すぐに左折する地点で野田山健康緑地公園への案内板を見ますが、表示はあらかた剥げていました。なお、最初に向かう金丸山は野田山とも呼ばれていて、こうした案内にもその両者が混在します。
その先で東名高速の高架をくぐる手前まで来ると、今度はちゃんと読める案内図が。でもこの地図もアバウト過ぎて、大まかな位置関係を掴む程度の役にしか立たず、とても道案内とは呼べない代物でした。そして案の定、この先もほとんど道案内はなく、予め地図を見て道順を考えてこなかったら、迷わずには歩けなかったかと。
登り坂の途中で、広めの道を横切る地点には三角点「四十九」がありました。四十九はこのあたりの町名です。
実相院の入口まで来ました。前方にはもうすでに、それらしい建物が見えています。
そこにあった案内板には、これから歩くコースに「歩行困難箇所」があると書かれていたものの、そのような箇所はなく、登山道として特に変わったところはありませんでした。情報が古いまま更新していないのでしょう。


細い道に入るとすぐに、実相院に到着です。
金丸山への登山道は、実相院の左脇を抜けるようにして、何の案内もなく始まりました。
登山道を登り始めると間もなく丁石が現れますが、なんと、いきなり二十一丁目でした。もしかして、駅のあたりを一丁目として始まっていたものを、ここまでずっと見落としたまま来てしまったのでしょうか?!
登山道はと言えば、あまり手入れがされていないのか、所々で荒れたりしているものの、特に歩きにくい箇所はありません。木段が多く見られるなど、少なくとも一旦は良く整備されたものであることが窺えました。
次に現れた丁石は、驚いたことに数が減っていました。登るにつれて数が減る丁石を見るのは初めてのことで、完全に意表を突かれた形です。でも考えてみると、数が増えていく丁石は、初めて登る山などで何丁目が頂上なのか知らない時には何の目安にもならないけれど、これなら今の私でも即目安にできるので合理的なのかも。
途中で唯一見掛けた道標は、この道の行先として、金丸山の次に向かう予定の大師広場を案内していました。
九合目のあたりまで、登山道はずっと変わらない調子で続きました。ほぼ一定の傾斜が保たれて、特に急に感じる局面がなかった登山道は、荒れている箇所で足の置き場を選んだことを除けば、とても登りやすかったです。


九合目を過ぎた先で、突然道幅が広がりました。地形図にも描かれている林道に合わさったようです。
と思ったらすぐに分岐が。広くなった道をいくらも歩かないうちに、右の細い道へと入ります。
すると、そこから先はそれまでよりもより自然な感じの山道に変わりました。
しばらく歩くと分岐点になっているT字路に出ました。この写真はT字路を直進して振り返る形で撮ったものですが、直進方向と右折方向に道標があるのに対して、私がここまで登ってきた道(写真で左奥に下る道)に何の案内もないのは理解不能でした。金丸山を往復して同じ道を引き返す場合に限れば、帰りは来た道を戻るだけなのでこれでも困らないのでしょうが、そうでないケースに対してこれでは甚だ不親切です。一般的に道標の有無は、それが整備された道かどうかの指標にもなるものなので、これでは富士川駅を目指す人が、私が登ってきた道に進むのを躊躇うことにもなりかねません。このあたりでは、こうした中途半端な道案内が散見されました。
T字路を右折して、金丸山広場と案内された道に入ると、そこからはやや勾配がきつくなります。そして、その先にあった道標のない分岐点を左に折れると木段が始まり、その木段が頂上へと続いていそうな気配なのを感じつつも、右手に開けた場所が見えてきたのでそちらに向かってみると‥‥。


そこが野田山健康緑地公園のキャンプ場でした。気持ち良さそうな芝生のスペースが広がっています。
炊飯棟と四阿のほかにきれいなトイレがありました。
芝生広場からは富士山を眺められました。キャンプ場を通らずに金丸山に直行する道もあったようですが、金丸山の頂上が何もない場所だったので、ここを通って行くかどうかでこの山の印象も大きく変わりそうです。
四阿の背後の斜面には木段があり、上のほうには頂上にある電波塔も見えているので、その木段へと進みます。
木段を登るとすぐに車道に出て、あとはこの車道を登ります。
車道脇には展望の良い地点もありました。
展望地からは愛鷹山を間近に眺められたほか、駿河湾の先には伊豆半島の山々も見えていました。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
車道をさらに登って着いた金丸山の頂上には、電波塔が建っているだけでした。
電波塔の周囲を少しウロウロしてみても、頂上を示す山名標などは見当たらなかったようです。
電波塔の奥にあった大師広場への道にも道標類は何もなく、金丸山の頂上部には道案内が一切なかったことになります。まぁ電波塔しかない場所ですし、登山者はあまりウェルカムではないのかもしれませんね。


大師広場への道はかなりの急降下でした。途中で一旦緩やかになっても、もう1度急坂がぶり返します。
急坂を下り切るとT字路に出て、大師広場へは右折になります。ところで突き当たったのは、たぶん少し手前で分かれてきた道で、左に進めば先程の分岐点に戻れると思われるのですが、何故かここにも左折方向の道標がなくて片手落ちでした。このあたりの管理者は、特定の順路通りに歩くことしか想定できなかったのでしょうか?
T字路を右に進むと、ほどなく大師広場に出ました。池を配した、日本庭園風の趣がある広場です。
池の向こうには大師堂があります。石段を登るのが億劫で、下から眺めただけで済ませてしまいましたけれど。
大師広場の池はモリアオガエルの生息地になっているようですね。
落ち着いた雰囲気で居心地の良い場所でした。この感じだと、紅葉の頃ならばもっと美しい景色が見られそう。


大師広場にも車道が伸びてきていて、次の大平山へはこの車道経由で向かいます。
車道を少し進むと、右手に「自然遊歩道」が分岐しました。地形図を見るとここに破線路があって、大平山へも繋がっているので、車道を通らずに大平山へ行けそうな気もしましたが、行先の表示がない道なんて不安でとても入れず、大人しく車道を進むことにしました。なぜ、どこに行けるのかくらい書いておかないのだろうか。
車道を三差路まで歩いてくると、そこには何やら標識とかがいっぱい立っていて賑やか。
実は大師広場から東海自然歩道のバイパスコースが合わさっていたので、中にはその案内図もありました。このあと歩く、大平山・大久保山・大丸山を経て見晴観音までの道は、東海自然歩道のコースと重なっています。
そして三差路のすぐ先から、大平山への山道が分かれていました。


大平山への山道は、かなり急な木段で始まります。しかもこの木段、段があらかた埋まっているため、ほぼ単なる斜面と化していて、登りなのでまだ良かったにしても下るのは少々怖そうでした。
登りしなを過ぎれば、普通に歩けるようにはなりますが、その後も木段の多い急坂の細い道が続きます。
しばらく登って、大平山広場に着きました。窮屈な感じの道が少し続いていたので、開放感もひとしおです。
大平山広場には、あたかもそこが頂上だと言わんばかりにデカデカと標識が立っていますが、上の写真の通り斜面の途上にあって(ゆえに広場も平坦ではなく傾斜地でした)、この地点の標高は560mほどだったようです。
だから広場の先にもまだ急な登りが続いて、ほどなく最高点付近を通過していきます。その付近に特に山名標などは見られなかったものの、一応は最高点に達したようなので、大平山の標高は589mとして記録しています。
(上の写真の標識をはじめ、大平山の標高を588mとする資料が多々ありますが、比較的新しい東海自然歩道の標識では589.1mですし、国土地理院の最新の基盤地図情報も589m台の値なので、そちらを採用しました)


大平山を越えた先の鞍部は分岐点になっていて、次の大久保山は左折方向でした。そして、もう一方の道には野田山への案内があったので、やはり大師広場の近くで見送ってきた遊歩道でもここに出てこられたようです。
大久保山への途中で、右側が少し開けた場所から見えていたのは、白銀に輝く峰々。その右端でひときわ鋭く尖る山容から、もしやと思って撮っておいた写真を帰宅後に確認すると、やはり南アルプス最高峰の北岳でした。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
その後は大した登りもなく、大久保山の広場へ。ちなみにこの広場、最高点付近にあったこの標柱や自然遊歩道の道標は「大久保広場」、東海自然歩道の道標は「大久保山広場」としていて、一体どちらが正しいのだろう?
「ここは大久保山」と書かれた標識は、なぜか広場から80mほど下がった地点の道標にくっ付いていました。
展望はなく、周りを樹木に囲まれて開放感もあまりないけれど、そこそこ広さがあって落ち着ける場所でした。


大久保山から大丸山へ向かうと、山道に林道が絡み合ったりしますが、東海自然歩道のコースだけに道案内はしっかりしていました。ただ、その標識の通りに山道を進まず、林道を歩くほうが楽そうな場所もありましたが。
大丸山までの距離は短くて、その間のアップダウンも小さく、ほどなく広々とした草原の頂上に着きました。
広場は送電線鉄塔の先にも続いていて、かなりの広さです。
こんなに広い場所を、この時は独り占めでした。とにかくこの日は、大師広場で犬の散歩中のご夫婦を、その先の車道でジョギング中の男性を、それぞれ見掛けただけで、私以外には登山者の姿が全くなかったのです。
ただっ広い頂上だけに、探すのに少し時間がかかりましたが、三角点は草原の真ん中で見つかりました。
大丸山の魅力は、なんといっても展望でしょう。富士山や愛鷹山を間近に望み、さらに右側に視線を移せば、駿河湾が広がる先に伊豆半島の山々を一望です。
大丸山からの展望の全容はこんな具合です。1時間半ほど前にいた野田山健康緑地公園からは割としっかりと見えていた天城山など伊豆半島の山々が、この頃になるとぼんやりと霞んでしまっていたのが少し残念でした。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真は こちら です。
まずは富士山のアップです。
お次は愛鷹山です。北部を2007年、南部を2008年に歩いたのが、もう10年以上も前のことになっていました。
続いて伊豆半島の山々。こちらも、その多くは2011年までに歩いているので、しばらくのご無沙汰になります。
最後に富士市街と富士川の河口付近を。田子の浦の海岸沿いに松林が連なっている様子が良く分かりました。


大丸山から先になると、それまでとは一転して植林の中に入りました。
しばらく下ったところが「見晴観音」なる地点ですが、その名前に反して、特に観音像などがあったりする訳ではなく(以前にあった可能性はありそう)、ただの広場でした。
この広場も結構な広さがあって、奥のほうまで進むと西側に連なる山並みを眺められるように。
見晴観音からの展望がこちらで、見えていたのは、安倍川に沿って連なる、いわゆる安倍東山稜でした。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
展望の右端には雪化粧した山が少しだけ見えていて、帰宅後に確認したら南アルプスの赤石岳のあたりでした。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。


見晴観音で東海自然歩道のバイパスコースと別れて、蒲原駅を目指して南へと下ります。すると、それまでの歩きやすかった道から様子が一変、大小の石がゴロゴロと転がる道になって、やや歩きにくい状況が続きました。
少し下ると分岐点に出て、道標は左折と直進の両方を蒲原駅と案内しています。ここは事前の調べで、左折がすぐに車道に出るのに対して、直進すると車道を少しショートカットできると分かっていたので、直進しました。
すると、同じような調子の山道がもう少し続いたのち、車道に突き当たりました。
車道に出てきたところで、ここが大丸山への登山口ということになりそう。
登山口で振り返って、先程までいた大丸山を見上げました。


あとは小1時間、ずっと車道歩きとなりますが、時々前方に海を眺めながら下るのはそう悪くもなかったです。
途中には、地形図に道があるのに実際はない(この写真の直進方向)箇所があって、コの字形に大回りさせられますが、GoogleやYahoo!の地図では正しく表現されている箇所なので、そのことは予め織り込み済みでした。
意外にも、蒲原駅へ下る方向の道案内は皆無です。二車線の道路に出たら、少し先のこの地点で左の細道へ入るのが正解で、そのことを事前の計画段階で認識できていたから難なく歩けているものの、そうでなければ戸惑ったと思われる箇所がいくつもありました。登る方向の道案内ならば、散発的ながら見掛けていますが(それも万全とまでは言えなさそうでした)、このコースも同じ道を往復するケースしか想定されていないのでしょうか。
下るにつれて海が近くなって、伊豆半島はその全体が見えるようになってきました。
道の曲がり具合によっては西側が見えることも。遠くで少し霞んでいるのは日本平や三保の松原のあたりです。
少し前から見えていてずっと気になっているのですが、駿河湾に浮かんでいるあの物体は一体何なのだろう?
謎の物体のアップです。何かの作業船なんでしょうけれど、その中でもかなり巨大な物の部類になりそうです。


さらに下ると、右手には浜石岳が見えるようになりました。2011年に訪れた時の記憶も最近では薄れ気味です。
霊光院の前を過ぎれば、残す距離もあとわずかです。
目の前には駿河湾が大きく広がるようになりました。
東名高速道の手前にあるヘアピンカーブまで来たら、ここで道路脇に出ると‥‥。
スロープ状の近道で東名高速道の下をくぐることができます。
ゴールの蒲原駅に到着です。帰りの東海道線はいつものように混んでいて、熱海まで立ちっ放しなのを覚悟していたら、たまたま前に座っていた先客がふた駅先ですぐに降り、そこからずっと座れたのはラッキーでした。
途中でも触れましたが、結局この日は最初から最後まで、登山者を全く見掛けることがありませんでした。冒頭にも書いたようにマイナーなエリアなので、人が少なそうと思ってはいましたが、まさか誰にも会わないとは。
そこで気になったのは、全体的に道案内が不十分な印象だったことです(東海自然歩道との重複区間を除く)。
今回巡った4つの山々は、どの山頂もまずまずの居心地があって好展望の場所もあるなど、それなりに魅力的だと感じられたのに、道標類だけを頼りにして手軽に歩けるような状況ではなかったことが残念に思われました。
中腹にある公園や広場まで車で入れたり、もちろん今回の私のように駅から直接歩いて登れたりと、アクセスには問題のない場所なので、もう少し道案内を充実させるなどすれば、訪れる人も増えるのではないでしょうか。

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竜爪山 [静岡]

2018/12/08(土)

■第396回 : 竜爪山(薬師岳(1051m)・文珠岳(1040m)


今回は静岡の竜爪山に登ってきました。古くから山岳信仰の場として修行者に登られていた山で、静岡市内からのアクセスが良く手軽に登れることから、現在も静岡市やその近郊から多くの登山者が訪れる人気の山です。

様々なコースがある竜爪山。登りは平山バス停を起点に、歴史が古く今でも最も一般的な旧道を選んでいます。
一方の下りは途中で一般登山道を外れて、桜峠を経て麻機バス停までの少々長いコースを歩きましたが、こちらはあまり歩かれていないのか、細々とした道が続き道案内も手薄で、バリエーションルートに近い印象でした。

 累積標高差(登り):1236m / 距離:13.8km / 歩行時間:4時間50分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
古淵 04:45-04:49 町田 05:05-06:06 小田原
小田原 06:22-06:45 熱海 06:49-08:05 静岡
静岡駅前 08:15-08:58 平山

(登山行程)
平山バス停   09:00
旧道登山口   09:45
穂積神社    10:40-10:45
竜爪山(薬師岳) 11:25-11:30
竜爪山(文珠岳) 11:40-11:55
若山北分岐   12:30
632m三角点   12:55
桜峠登山口   14:00
麻機バス停   14:15

(復路)
麻機 14:22-14:46 新静岡(伝馬町)
静岡 15:23-16:41 熱海 16:46-17:08 小田原
小田原 17:16-18:11 相模大野 18:30-18:45 南警察署前


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

静岡駅でバスに乗り換えます。今回は新幹線には乗らず、往復ともに在来線を利用して来ました。
平山バス停からスタート。同じバスからは、私のほかに4~5人の登山者が一緒に降りました。


バス停から歩き始めるとすぐに公衆トイレがあり、有難く利用させて頂きます。道路に面した側の壁には、双耳峰の竜爪山をあしらったイラストがデザインされていました。
数分も歩けば人家はなくなります。それでもしばしば車が抜いていくのは、登山者を乗せた車だからでしょう。
かなり歩いてからも、道の両脇や陽当たりの良さそうな斜面には、茶畑が見られました。
駐車車両を見掛けるようになると、間もなく登山口です。


旧道の登山口に着きました。停められている車の台数からも、この山の人気が窺えます。
穂積神社の鳥居をくぐって登山道に入ります。
案内図と案内文によると、登山道脇には古い丁石が残されているようです。穂積神社の手前が三十丁となっているのに対して、そこまでの距離は2kmにも満たないので、割と短い間隔で丁石を見ることになりそう。


登山道を歩き始めてすぐに現れたこの標柱によると、丁石は三十六丁までが正しいようです。
早速、思っていた通りに次々と、道の脇には丁石が現れるようになります。ただ、どれも比較的新しいものに見えて、想像していたような古めかしいものがなかったのは期待外れでしたけれど。
序盤の登山道は割と急で、露岩帯の通過もしばしばですが、手を添える必要があるような箇所は限られました。
時折、近くにある滝への案内が現れますが、この先が長丁場ということもあり、今回はどれも見送りました。
十七丁を過ぎ、次の十八丁が折り返し点だからと気をつけていたのに見逃してしまい、気付いたら十九丁でした。穂積神社は竜爪山を2/3ほど登った所にあるので、これで全体の1/3ほどを登った勘定でしょうか。
急登が続いた序盤に対して、中盤に入ってからは穏やかな傾斜の箇所も多くなります。二十六丁まで登ったところで、右手から新道が合わさりました。
穂積神社までの道のりの終盤では、ところどころで再び急な登りを交えるようになりました。


穂積神社に着きました。実はここまで車で上がることもできるのです。でもこの時は、地元の方らしい十数名の方々が集まって境内の清掃をしておられたので、停められていた車もその方々のものが多かったのかもしれません。また写真には入っていませんが、社務所の隣には公衆トイレと飲み物の自動販売機がありました。
参拝後、境内のベンチで少し息を整えたら、穂積神社の裏から竜爪山への登山道に入ります。穂積神社から先は東海自然歩道のコースと重なるので、道標なども東海自然歩道のものになりました。


はじめ穏やかだった道は、途中から一転して急階段の連続になります。しかしここで、「静岡県の山」に階段道と山腹道の2つがあると書かれていたのを思い出し、よく見ると直進する踏み跡があったので、それが山腹道に違いありません。道標が鉄階段しか案内していないのが少し不安でしたが、その山腹道を追うことにしました。
その道は、細いながらもきちんと続いていて、倒木も処理されているなど、一応は人の手が入っている様子。それなりに急ではあるものの、ジグザグ状の登りですから、傾斜も鉄階段よりは随分マシだったのではないかと。
しばらくすると鉄階段が見えてきて、合流するのかと思ったら、ここではニアミスしただけで、再び離れます。
ところがこの先は、ジグザグ道もいっそう急になり、道が細いこともあって歩きにくい箇所も現れるなど、少なくとも下り向きの道ではなくなります。道標がこの道を案内していない理由も、このあたりにありそうでした。
次に鉄階段と接近したら、今度はそのまま合流しました。
合流点から鉄階段を見下ろすと、急な階段が延々と続いていて、やはりここは避けて正解だったと思いました。
しかし階段地獄はまだ道半ばだったようで、その先にも木段がずっと続いていました。いくら登っても全然終わらないのでげっそりしますし、丸太2本分くらいの大きな段差がある所も少なくなく、かなり苦しい登りです。
そんな中、唯一励みになったのがこの標識でした。あと50m耐えれば、階段から解放されるのか!


頂上直下まで来ると薬師岳北展望地があって、ここで俵峰からの道を合わせました。
展望地では、せっかく富士山が見られそうな方角が開けていたのに、見られた景色はご覧の通り。基本的に良く晴れていたこの日も、なぜか登頂前後の時間帯だけは雲が多くて、展望に関しては残念な結果となりました。
木段は展望地までで終わり、最後の最後だけは、すこぶる緩やかな道になりました。


薬師岳に到着しました。樹木に囲まれて全く展望はありませんが、ここが竜爪山の最高点になります。
お団子型の山名標識も、最高点のこちらにありました。
展望がないからか素通りの人が多い中、最高点に敬意を表して、誰もいないベンチで少し過ごしていきました。


薬師岳から文珠岳へは、一度ガクンと下ります。
登り返しはまたしても木段。でもここは、さほど長いものではありませんでした。


薬師岳から10分ほどで、文珠岳に到着です。標高では薬師岳に10mほど劣りますが、展望が良いからなのか、一等三角点はこちらの文珠岳に設置されていました。
頂上の標識は2種類ありました。ネット上では「文殊岳」の表記も良く見ますが、正しくは「文珠岳」ですね。
開けた南東側にはいくつものベンチが置かれ、多くの登山者が休んでいて、その先には海が見えていました。
南東側の展望を少し大きめに。手前に見えているのは清水港と三保松原あたりで、駿河湾を挟んだ先には伊豆半島が確認できます。雲が多かったこの時間、伊豆半島の山並みは、ぼんやりと霞んで不明瞭でしたけれど。
南側の焼津方面は、高草山や花沢山といった山々の奥に、御前崎がうっすらと見えていました(写真右半分)。
ただ、やはり残念だったのは山側の眺めで、富士山も南アルプスもサッパリでした。


文珠岳を後にしたら、引き続き東海自然歩道を南下します。過剰整備された木段がやや鬱陶しく感じましたが、秋の猛烈な台風によると思われる倒木がきれいに処理されていたのも、東海自然歩道だからこそだったのかも。
若山を前にした鞍部まで下ると、ベンチが置かれていたので、そこでひと息つくことができました。
鞍部から登り返していくと、ほどなく標識とベンチがある地点に出ます。ここが「若山北分岐」で、ここで東海自然歩道を離れて、桜峠への道に入ります。
標識には若山北“分岐”と書いてあるのに、指示標は前後方向だけで、一見すると分岐点には見えませんが‥‥
私が進む桜峠への道は、私製の地味な標識が足元で示していました(2つ上の写真の左端にも写っています)。


桜峠への道に入ると、すぐに公的な道標が現れて、一応はちゃんとした道なのだと安心させてくれましたが‥‥
道はか細くて頼りなく、あまり歩かれていない気配が濃厚です。それでも当面は、危なっかしい箇所に補助ロープが設置されていたり、倒木も片付けられていたりと、最小限の整備はされている感じでした。
送電線鉄塔が立つ地点に出ると、送電線越しに再び南東側を見渡すことができました。頂上にいた時よりも青空が広がっていて、伊豆半島の山並みは最高峰の天城山も含めて全部見えていたようです。
下る途中で、登山道からは外れていたけれど、大した距離ではなかったので、632m三角点に立ち寄りました。
三角点付近には林道が上がってきていて、一旦はその林道を進んで行くと、すぐにまた山道の入口があります。そこに道案内は何もなかったのですが、コンパスで方角を確かめると合っていたので、迷わず進んでみました。
すると、その先も細いながらも明瞭な道が続き、時には簡易的な道標も見られて、あまり不安を感じずに進める状況が続きます。そんな中をしばらく下っていくと、今度は舗装された林道に出ました。
林道上に出て振り返ってみました。森の中から砂利道で「立入禁止」のバリケードの所に出てきましたが、標識があったのは奥にある森の入口付近なので、逆コースを進む人には登山道の所在が分かりにくいと思われます。
ここでも、林道を少し進むと、山道への入口がありました。
その先で、山道は森の中を抜けて、茶畑に出ます。ここでは茶畑と森との境界を進みましたが、そこが道なのかどうかが明確ではなかったですし、これ以降は道案内が乏しくなって、不安を感じつつ進むことが増えました。
ほどなく先程の林道に出て、それを横断してまた森の中へ。
その森もまたすぐに抜けて、再び茶畑に出ました。ここでも茶畑と森との境界を進むのですが、その前に‥‥
この日初めて、スッキリとした展望が見られたので、低い山ばかりの眺めでしたがカメラに収めておきました。この頃にはどの方角も良く晴れていて、この時間であれば、頂上からも展望が楽しめたのではないでしょうか。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
その後は道がいよいよ怪しげになります。幸いだったのは、最後まで紛らわしい分岐のない素直な1本道だったらしく、きちんと踏み跡を追えてさえいれば、結果的に目的地まで迷わずにたどり着けたことです。
1箇所だけ、尾根道と巻き道に分岐する地点では、入口側と出口側の両方にこの道案内がありました。
最後のほうになって、転げるような急坂が現れて、慎重に下ります。ここは補助ロープが欲しいところでした。


割と唐突に開けた地点に出た時、目の前に広がったのは、登山道が新東名によって分断され、大々的に付け替えられた場所として、事前にネットの記事で見ていた光景で、ここまで道を間違えずに来られたと分かりました。
最終盤は道標も少なく、作業小屋脇の狭い空間を抜けたり、農作業用のモノレール脇を歩いたりするなど、登山道らしくない景色が続いて不安だったのですが、なんとか最後まで予定通りに歩けそうでホッとしています。
(ただ、途中の経路まで含めて全てが正しかったのかは不明ですし、次に同じコースを歩いた時に、全く同じ経路で歩ける自信もありません。さらに逆コースの場合には、同じ道を逆にたどれるかが明らかに怪しいと思える箇所が複数ありました。きっと今回も、たまたま順調に歩けただけなのだと思います)


上の写真の階段を下り、その写真の真ん中に写っている道路に出たら、その先にさらに階段が続いていました。
ここでは、新東名が元々あった山を登山道もろとも開削して貫いており、尾根上に付けられていた登山道は、一旦急降下して新東名の下をくぐったのち、同じだけ登り返させられるという、酷い仕打ちを受けていて、そのために長い階段が出現していたのです。せめて、新東名の上を跨ぐ歩道橋を作れなかったものなのでしょうか。
なお、今回は現在の登山道を忠実にたどって、桜峠の登山口まで歩き通したかったので、正直にこの階段を登り下りしましたが、そういう拘りがなければ、この階段を下りずに道路を歩くと楽に麻機バス停に向かえます。
ということで、階段を一番下まで下ったら、新東名の下をくぐります。
くぐった先では長い階段で、元々あった尾根道あたりまで登り返します。すでにかなり長い距離を歩いてきた上での、急で長いこの登り階段は結構きつく、途中でお散歩の親子連れに抜かされました‥‥。
階段のフェンスには、どなたかのお手製の「新東名で寸断された登山道」なる風景のイラストが設置されていました。このイラストの範囲が、新東名によって削られる前までは、全部山だったということなのでしょう。
で、せっかく苦労して階段を登り終えたと思ったら、すぐにまた下ることになるだけという、まさに「徒労」を地で行くような登山道に辟易させられ、桜峠の登山口に到着したらドッと疲れが出ました。


桜峠の登山口で車道に迎えられたら、あとは麻機バス停まで車道を歩いて向かいます。
麻機バス停に到着。何かトラブルがあった訳でもないのに、なんだか色々なことがあった気がする今回の山行でした。バスは12分おきの運行なので、大して待たされることもなく、次のバスに乗れています。
帰りは静岡駅までバスに乗らずに、繁華街に近い新静岡で降りて、軽くお食事をしていきました。

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