SSブログ

独鈷山 [上信越]

2019/04/20(土)

■第405回 : 独鈷山(1266m)


この日は信州・筑摩山地の独鈷山へ出掛けてきました。標高はさほど高くないながらも、独立峰で360度の展望が楽しめて、立地的に北アルプスをはじめとした名だたる高山をぐるりと見渡せる眺めが圧巻の山です。
さらに登山口の「千本桜の里」では桜も満開、3週連続で大展望+お花見の両方を満喫する山行となりました。
満開の桜が本当に千本くらいありそうだった、独鈷山登山口・宮沢地区の「千本桜の里」

 累積標高差(登り):734m / 距離:7.0km / 歩行時間:2時間55分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
古淵 04:45-04:54 長津田 05:04-05:34 渋谷
渋谷 05:43-06:08 東京 06:28-07:53 上田
上田駅前 08:42-09:41 宮沢(霊泉寺入口)

(登山行程)
宮沢(霊泉寺入口)バス停 09:45
千本桜の里       09:55
独鈷山         11:15- 11:35
西前山コース登山口   12:25
前山寺         12:55-13:10
前山寺バス停      13:15

(復路)
前山寺 13:45-13:54 塩田町 14:03-14:23 上田
上田 15:12-16:14 大宮 16:27-16:59 新宿
新宿 17:09-17:45 相模大野 18:05-18:20 南警察署前


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

上田駅で北陸新幹線から路線バスに乗り換えます。駅前には真田幸村の銅像が立ち、駅ビルや路線バスの車体には六文銭のデザインがあしらわれるなど、真田色が強く演出されていました。
2017年に焼山沢から美ヶ原に登った際にも利用した鹿教湯温泉行きのバスに乗って、宮沢(霊泉寺入口)で下車します。バスは途中で人が入れ替わりつつ、常に4~5人ほどの乗客があり、ここで下りたのは私だけでした。
バス停から独鈷山の方角を見たところですが、独鈷山は山麓からはスッキリとは見られないようです。
  ※下の写真にマウスを乗せると、独鈷山の位置を示します。


宮沢バス停から少し戻るように歩くと、すぐに登山口を示す大きな標柱と、千本桜の里への案内がありました。
小さな集落の中を登っていき、家並みが途切れた先で高台に上がると、桜並木が始まりました。
ここを左折して、千本桜の里に入ります(というか、すでに桜並木が千本桜の一部だったような気もします)。
上の写真にも写っていますが、左折地点には「子」の文字が添えられた小祠があり、中にはねずみの置物が供えられていました。ここからの登山道では、十二支の小祠が順番に現れることになります。


千本桜は満開で、ちょうど咲き揃った直後くらいの頃合に当たったようです。
桜の木は本当に千本くらいありそう。それにしても不思議なのは、これほど見事なのに、自分以外の見物客が誰もいないことです。ウェブでは積極的な広報をほとんど見なかったので、あまり知られていないのかも‥‥。
おかげで、こんなに華やかな景色をひとりで静かに鑑賞できる、滅多にない機会に恵まれました。なお翌日は「独鈷山千本桜祭り」の開催日で、その準備中らしい方々の姿があったので、きっと賑わったことでしょう。
「きんさん」「ぎんさん」の名札が付いた桜もありましたが、ほかとは品種が違うのか、ほとんど蕾でした。
それにしても、これだけの景色を独り占めしているなんて、なんと贅沢なことでしょうか。
一番奥まで進んだところから、千本桜の里を振り返りました。


千本桜の里のエリアが終わると、すぐ先に動物除けの柵があるので、扉部分を開閉して通り抜けます。
その先にも舗装された道がもう少し続いて、山道に変わる地点に、十二支の三番目の小祠「寅」がありました。
山道は、ほぼ沢に沿って進みます。いくらも歩かないうちに、すぐにまた四番目の小祠「卯」がありました。
その後も十二支の小祠は、短いスパンで次々と現れます。こちらは私の干支でもある、五番目の「辰」の小祠。
沢のすぐ近くを通ったり、何度か沢を横切ることもありますが、この日に限ると靴を濡らす心配は不要でした。
登り始めて30分も経たずに、もう終盤に入ろうかという「未」が現れてしまう始末。十二支の小祠の間隔は、登山道の序盤と中盤以降では全然違っていたので、どのくらい進んだのかの目安には全くなりませんでした。
次の「申」の小祠のあたりまでは、穏やかな傾斜が続いて、急に感じる箇所はほとんどなかったのですが‥‥。


「申」の小祠を過ぎると、途端に勾配が急になりました。元々が沢沿いの斜面にへばりつくような細い道なので、急坂になると即、足元に注意を払う必要が出てきます。
中には、ロープがなければ通りにくいような箇所も出てきて、滑落注意の標識も見掛けました。こうして階段状になっていても、良く見る木段と違うのは、段と段の間もずっと坂になったままで、水平に立てる場所が全くないこと。登るのもきつかったですが、下る時は余程気を付けないと、勢い余って転げ落ちてしまいかねません。
急勾配なばかりか、ザレた地面の上に落ち葉が乗って滑りやすく、登りでも時々足を取られそうになりました。
急坂区間をようやく抜けたあたりで、久しぶりに「戌」の小祠が現れると、これが最後に見た小祠になりました(このあと着いた頂上では、あるはずの「亥」を見つけられなかったのです)。


「戌」の小祠を過ぎると、空が近く感じられるようになって、ほどなく分岐点に着きました。
分岐点を通り過ぎて振り返ったところです。ここは宮沢コースと沢山池コースの分岐点になっていました。
もう少し登って頂上直下に達すると、そこは下る予定の西前山コースとの分岐点になっていました。


結局、登山道では全く人を見掛けることなく、独鈷山の頂上に到着しました。ここに写っているのがほぼ全てという手狭な場所ですが、先客も2人組の女性ハイカーだけだったので、窮屈な思いはせずにすんでいます。
三角点は標識や石祠の裏側にありました。
独鈷山の素晴らしいところは、なんといっても展望でしょう。さほど標高は高くないながらも独立峰で360度ぐるりと見渡せますし、北アルプスはその全域を望めるほか、八ヶ岳や浅間連峰などの錚々たる山々に囲まれて、立地的にも好条件なのです。しかもこの時期、それらの山々が積雪で白く輝き、それはもう見事な眺めでした。
その雄大な展望を、南側から時計回りに紹介します。南側には八ヶ岳や美ヶ原などが見えていました。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
美ヶ原の右には北アルプス南部の名峰がずらりと。西側に少しだけあった樹木のために、北アルプスの眺めが北部と南部で分断される形になっていたのが唯一残念な点でしたが‥‥。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
そして北アルプス北部は、日本海に近いあたりまで全部見えていて圧巻でした。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
こちらは長野県北部の、新潟県や群馬県との県境稜線の山々です。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
東側は少し霞んでいて、西上州とかの山々はあまり鮮明ではなかったけれど、これでぐるりと1周しました。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
ここからはアップの写真を、やはり南側から時計回りで。まず最初は八ヶ岳方面です。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
美ヶ原は王ヶ頭の周辺だけに絞ってみました。
お次は北アルプス南部。名峰がこれだけ並ぶと壮観です。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
続いて北アルプス北部。いやはや、物凄い眺めです。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
こちらは頸城山塊の山々。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
そして四阿山(右)と根子岳(左)。
最後は浅間連峰です。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
南側の眼下には、登山口にあった千本桜の里が、桜が満開の様子がしっかりと分かるように見えていました。
しばらく、先客のお2人と私だけという状況が続いた頂上ですが、存分に展望を楽しんだ頃、平井寺コースから2人のハイカーが現れたので、それを潮時に下山を始めることにしました。


頂上直下の分岐点まで引き返したら、西前山コースへと入ります。
登ってきた宮沢コースも上部は急坂でしたが、この西前山コースの上部はそれ以上に急峻でした。ほとんど崖に近い急斜面が何度か現れて、しかもザレ場で地面が脆かったりするので、もし補助ロープがなかったらとても下れません。それ以外にも緊張するような局面が続いて、当分はあまり写真を撮る余裕がありませんでした。
登山道には、登りの人向けに、頂上までの所要時間を示す標識が10分ごとに立っていました。
急峻なエリアを抜けても、ザレた地面の急坂が続くので、しばらくは気を抜くことができません。
かなり下って植林帯に入ると、足元が滑ることはなくなって気分的には楽になります。しかし勾配は思っていたほどには緩まず、相変わらずグイグイと下っていくので、踏ん張り続けている足への負担が大きかったです。
さらに下ると、次第に道幅が広がってきますが、それでも傾斜はそんなに緩みません。
ここで路面が舗装に変わって、ようやく傾斜が緩やかになり、のんびりとした気分で歩けるようになりました。


こちらのコースでも、下る途中ですれ違ったハイカーは1人だけでした。最後に動物除けの柵を通過すると、間もなく集落の家々が見えてきます。
西前山の集落に入りました。
集落内を少し歩いていき、十字路に出たところには「独鈷山登山口」の標柱が立っていました。ここからは、「信州の鎌倉」とも呼ばれる塩田平を少し散策していきます。


前山寺に向けて少し進むと、「あじさい小道」なるものがあったので、車道を歩くよりはと入ってみました。
「あじさい小道」を進んでいくと、ほどなく塩野池の近くを通ります。遠くに見えているのは四阿山と根子岳。
塩野池の畔が少し桜並木っぽくなっていたので、結局車道に出てきてしまいました。
塩野池から見た、塩田平の山々。左に大きく見えている、池面に映っている山が女神岳で、右端あたりに見えているのは子壇嶺岳です。
塩野池の少し先にある「塩田の館」のあたりでも、桜が満開でした。ところで、独鈷山で会ったハイカーは5人だけでしたが、このあたりでも観光客をほとんど見掛けず、閑散とした雰囲気でした。


登山口からゆっくりと30分ほどかけて、前山寺まで歩いてきました。
入山料を払って、境内に入ります。
前山寺は空海により812年に開かれたとされる古刹です。入ってすぐの所には、本堂と鐘楼堂があります。
奥の一段高くなったところにあるのは、国の重要文化財の三重塔です。
まずは本堂を参拝していきます。萱葺の屋根が見事で、重厚な印象の建物でした。
美しい三重塔は、室町時代の建立と推定されているようです。この寺も参拝者は数えるほど、落ち着いた雰囲気の中でゆったりと過ごせたので、とても良かったです。
参拝を終えたら、塩野池から来たときに通らなかった参道を歩きます。
参道やその周りでも、何本もの桜が満開でした。
ということで、この日の締めくくりに、前山寺の参道脇で桜を愛でていきます。


前山寺の入口にある冠木門を、くぐって出てから振り返りました。
前山寺バス停は、冠木門のすぐ隣にありました。利用したのは「信州の鎌倉シャトルバス」という、塩田平の散策向けの観光路線なのですが、私が乗った便は乗客がほかにいませんでした(便数が多いわけでもないのに)。
この日は独鈷山でも前山寺でもあまり人を見ませんでしたし、このあと上田駅から乗った新幹線もガラガラで、なぜこんなに人出が少なかったのか不思議です(混雑を嫌う私にとっては極めて好都合だったのですが)。来週末から10連休なので、そこで出掛ける予定の人たちが2週連続の外出を避けたとか、そんなところでしょうか?

タグ:上信越
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:スポーツ

笠ヶ岳(志賀高原) [上信越]

2018/07/21(土)

■第387回 : 笠ヶ岳(2075m)


この日は志賀高原の笠ヶ岳に登ってきました。
連日の猛暑はこの日も衰える気配がなく、さほど標高が高くない志賀高原での登山はコンディション的に厳しそうに思われたので、行程が短めの山を選びましたが、せっかく新幹線を利用しての遠出になるので、登山後はそのまま自然探勝コースに入り、木戸池・長池・蓮池などの数々の池や田ノ原湿原などを巡り歩いています。

 累積標高差(登り):640m / 距離:12.7km / 歩行時間:3時間35分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
古淵 04:45-04:49 町田 05:09-05:49 新宿
新宿 05:57-06:16 東京 06:28-08:06 長野
長野 08:51-09:36 湯田中 09:40-10:21 熊の湯

(登山行程)
熊の湯バス停  10:30
笠峠(峠の茶屋) 11:30
笠ヶ岳     11:55-12:05
笠峠(峠の茶屋) 12:15
笠岳バス停   12:55-13:00
木戸池     13:15
田ノ原湿原   13:25
三角池     13:40
長池      13:55
蓮池      14:15-14:25
蓮池バス停   14:30

(復路)
蓮池 14:51-15:21 湯田中 15:34-16:22 長野
長野 16:45-18:08 大宮 18:13-18:44 新宿
新宿 18:49-19:25 相模大野 19:45-20:00 南警察署前


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

長野駅から私鉄とバスを乗り継いで志賀高原に上がり、熊の湯ホテルの前にある熊の湯バス停で下車しました。
熊の湯ホテルの(ほぼ)全景です。
ホテルの裏手にあるスキーゲレンデに向かうと、リフトの管理事務所が入る建物の脇に、笠ヶ岳へのコース案内が出ていました。道順を示す4地点の写真に説明文が添えられていて、親切で分かりやすかったです。


コース案内に書かれていた通り、第4ペアリフトに沿って、スキーゲレンデを登り始めます。
リフト乗り場を過ぎてすぐの所には、道標も立っていて、そこが正しいコースだと教えてくれます。
それは良かったのですが、スキーゲレンデですからそれなりの斜度があり、そこを登るのはなかなか苦しかったです。気温は恐れていたほど高くはなく、風も爽やかに吹いていて、普通に歩く程度なら快適な状況だったのに、日なたが続く中での急な登りに、もう暑くて仕方ありませんでした。
リフトの中間降り場が迫ってくると、その少し上に、登山道への入口に立つ道標が見えてきました。が、ここを境に傾斜が一段とキツくなり、その道標までの短い登りが地獄のような暑さになって、大汗をかかされました。
あまりに苦しいので、とてもひと息には登り切れません。呼吸を整えがてら途中で振り返ると、志賀草津道路を挟んだ向かい側に、2年前に登った志賀山・奥志賀山(写真中央)や鉢山(写真右)が眺められました。
さらに右を見ると、同じく2年前に登った横手山が、じきに雲に巻かれようか、という按配で見えていました。


ここが登山道の入口で、ようやくキツかったスキーゲレンデから離れられます。
山道が始まると、そこからはほぼ平坦な道に変わりました。小さなアップダウンは随所に出てくるものの、煩わしく感じるほどではなく、楽に歩けます。
しかも大半が木陰の道で、風の通りも良い箇所が多く、先程までかいていた汗がスーッと引いてくれました。
途中には何箇所か、目指す笠ヶ岳を木立の間から望める場所がありました。頂上部が険しそうな鋭鋒で、特に左側は切り立った崖に見えますし、そうでない側もどこも勾配はキツそう。一体どこをどう登るのでしょうか。
しばらくほぼ平坦だった道も、笠峠までの残り半分ほどの距離は登り主体に変わります。登り坂には足場があまり良くない上に段差の大きな箇所も多く、かつ風の通りも悪かったので、ここで再び大汗をかかされることに。


笠峠に着きました。頂上までの標高差が200mを切るこの地点を車道が通っていて、ここから登山を始めれば、1時間以内で登り下りできてしまいます。ここに着くまで誰にも会わなかったので、多くの人はマイカーでここまで入り、頂上までの短い登山道を往復しているのでしょう。なんだか物足りなさすぎる気もしますが‥‥。
笠峠に建つ峠の茶屋越しに笠ヶ岳を見上げました。こちら側から見える斜面は森で覆われていて、あまり険しい印象は受けませんが、ここから上がすべて急斜面になることに変わりはありません。


その急斜面に取り付くと、案の定、道は大半が階段状でした。はじめはまだ傾斜が穏やかだったのですが‥‥。
木段の形状が変わるこのあたりから、段差が大きくなり始めます。腿上げがキツイことといったら。
休み休み登りながら、ひと息つく合間に振り返ると、ガスがすぐ下まで迫っていました。早いとこ登らなきゃ?!
その後は登るにつれて勾配が増す一方で、あまりの苦しさに、吹き出てくる汗の量も半端ではなくなります。
しまいには、階段なのに、ほぼ垂直になって吃驚! こうなると、ほとんど真上に登る感覚で、過去に登ったどの山でも、ここまで急な階段は見たことがありません。段差も激高で、足だけで登るのはキツすぎるため、下がっているロープを掴み、腕力にも頼ってどうにか登ります。呼吸の乱れ方が、もう尋常ではありませんでした。
そして頂上直下は岩場になりました。特別な険しさはなく、普通に2本足で登れる程度のものですが、足が悲鳴を上げつつあったので、引き続きロープも使いながら、腕力併用で登り詰めていきます。


最後は汗まみれになりながら、笠ヶ岳の頂上へ。大岩がゴロゴロと転がる手狭な頂上は、このとき無人でした。
上の写真で祠が祀られて写っている、一番高い岩にも登っておきました。三角点より1mくらい高かったかな。
上空の雲には隙間があるものの、周囲にも雲が多く、360度あるはずの展望はパッとしません。近くにある志賀山・奥志賀山のほかは、鉢山の後方に赤石山が辛うじて霞んでいる程度で、志賀高原の核心部は雲の中でした。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
さらに右を向くと、登り始めた頃には見えていた横手山も、やはり雲に隠れていました。


頂上を独占して10分ほど経った頃、単独行の男性が現れたので、それを潮時に下山を始めます。登る時にほぼ垂直に見えたこのあたりは、下る途中で見下ろしても、やはりほとんど垂直に見えました。
25分かけて登った道も、ほとんど水平距離がなく、ただ高度を落とすだけに近いので、下るのはあっという間。ものの10分で笠峠に戻ってきました。
笠峠からの下り方には少々迷った結果、同じ道を戻るのも味気ないので、やや退屈な気もしましたが車道を選びました。登ってきた山道が必ずしも歩きやすい所ばかりではなかった上、アップダウンも結構あったからです。
この頃には日が陰るようになっていたことも、車道を選んだ理由のひとつ。山道より風の通りも良くて快適でしたし、傾斜も緩やかで、アスファルトの堅い路面を歩き続けていても、足への負担をあまり感じませんでした。


ずっと1本道だった車道を歩くこと約40分、やっと現れた交差点は、実は見覚えのある地点なのでした。
笠岳バス停が立つその地点は、先程バスに乗って熊の湯へ向かう途中に、車窓から見ていたのです。ここまで下ってくると、強い日差しが復活してきたので、ここで紫外線対策などをしつつ短い休憩を入れてから行動を再開します。ちなみに、今回の行程で、笠ヶ岳への登山に相当するのはここまでになるでしょうか。
少し歩いて国道292号線(志賀草津道路)に出たら、それを横断した先で草原の中に延びる小道に入ります。地図には載っていないこの小道の存在も、先程バスの車窓から見つけてあったのでした。
その小道は、すぐに熊の湯と木戸池を結ぶ散策路に合わさります。が、少々余計なアップダウンがある割に、特段の見所のない散策路だったので、決して安全ではないけれど、国道を歩いたほうが体力的には楽だったかも。


木戸池に到着しました。2年前に志賀山から横手山へと縦走した時のスタート地点だったので、ここを訪れるのは2度目です。でも前回は、ほとんど一瞥するくらいで出発してしまったので、今回はしっかり見ていきます。
本来は静かな池なのでしょうが、遠足に来たと思われる大勢の小学生たちがいて、この時は賑やかでした。
木戸池の畔は木道で歩けるようになっていて、周囲をぐるりと半周ほど巡ります。
到着地点から見て対岸に当たる地点まで回って来ると、木戸池越しに笠ヶ岳が眺められる景色に変わりました。


木戸池の畔を離れたら、三角池や長池などを経て蓮池へと続く自然探勝コースに入ります。ここからはきっと楽な道のりだろうと思っていたら、いきなり大きな登りが現れて、お散歩気分は吹っ飛んでしまいましたけれど。
でも、登り詰めたその先に、心が洗われるような景色が見えてきて、俄然、足取りが軽くなりました。この日に見た景色の中で、一番印象に残ったのがここだったかも。
目の前に現れたのは、田ノ原湿原。決して大きな湿原ではないけれど、柔らかな緑に包まれて気分が和みます。
湿原の中に入ると、お決まりのように木道が続いていました。
この日、湿原内で良く見られたのが、このヤナギランです。
ニッコウキスゲも少しだけ。咲き残りでしょうか。
湿原を真ん中付近まで歩いてくると、ベンチがあったので、行動食を摂りながら少し腰を下ろしていきました。
湿原の中央部では、ワタスゲがいっぱい見られました(白い小さな点が全部ワタスゲです)。
田ノ原湿原のワタスゲは、綿毛が小振りなものが多かったです。
湿原の反対側の入口あたりから、通ってきた湿原を振り返りました。


田ノ原湿原を過ぎると、またまた登りが現れました。笠ヶ岳は、登山としては軽めのはずだったのに、あまりの急勾配に足が想定外に疲れていて、これ以上の登りがキツくなっていましたし、登りになると暑さも堪えます。
そこへ畳み掛けるように、実はこの先も、池や湿原の間にいちいちアップダウンが付いて回って苦しめられました。せっかく池や湿原で清々しい気分に浸れても、次の池や湿原に行く間にまた汗だくになる、という繰り返しが、ゴールの蓮池までずっと続いてしまったのです。ここを歩くなら、もっと爽やかな季節が良かったのかも。
次に巡った三角池は、池の周囲を3分の1周ほど回りました。
その先の日陰湿原では、再びワタスゲのお出迎えを受けます。
日陰湿原のワタスゲは、綿毛が立派に生えているものが多く、ワタスゲの綿毛をきちんと見るのは初めてだったので、これは嬉しかったです。願わくば、もう少し形が整っていて写真映りが良ければ‥‥。
上ノ小池は、その名の通りこぢんまりとした池で、木道もその一端をかすめる程度でした。
そして長池では、木戸池以来ずっとニアミス状態が続いていた、小学生の遠足と見られる大集団にここで取り込まれて、写真は取り損ねてしまいました。下の写真は長池公衆トイレ前で、その集団の一部をパスするところ。
こちらは下ノ小池。水際に近いあたりの水面は、ミツガシワに埋め尽くされていました。


最後は蓮池スキー場のゲレンデを下ってきます。ゲレンデには鮮やかな朱色のコオニユリが群生していました。
ゴールの蓮池に到着です。まず先にバス乗り場の様子を窺ってみたところ、まだ30分以上も早いためか、外のバス停にも建物内の待合室にも誰もいません。そこで‥‥
しばらく蓮池の畔で過ごしてから、バスを待つことにしました。この池は誰もいなくて静かだったなぁ。。。

タグ:上信越
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:スポーツ

大桁山・鍬柄岳 [上信越]

2018/04/21(土)

■第381回 : 大桁山(836m)・鍬柄岳(598m)


この日は珍しく、西上州の山に出掛けてきました。
険しい岩山ばかりが連なり、切り立った岩稜にクサリで挑むような山が多くて、まだほとんど馴染みのないエリアです。鍬柄岳も小さな岩峰ながらその例に漏れず、頂上部で100mに及ぶ長いクサリを登下降する山ですが、このエリアの山にしては珍しく難易度が低めで、岩場の経験値が低い私でも無理なく登ることができました。

 累積標高差(登り):650m / 距離:8.8km / 歩行時間:2時間50分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:4時間55分 

(往路)
古淵 04:45-05:17 東神奈川 05:18-05:21 横浜
横浜 05:25-06:25 大宮 06:54-07:18 高崎
高崎 07:39-08:42 下仁田 09:20-09:34 虻田

(登山行程)
虻田バス停  09:35
林道終点   10:40
大桁山    10:55-11:05
鍬柄岳    11:55-12:10
鍬柄岳登山口 12:30
千平駅    12:50

(復路)
千平 13:12-14:07 高崎 14:52-16:29 赤羽
赤羽 16:32-16:47 新宿 16:57-17:31 相模大野
相模大野 17:48-18:03 市営斎場入口


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

高崎でJRから上信電鉄に乗り換えます。登山以外のお出掛けも含めて、上信電鉄の利用はこれが初めてでした。
上信電鉄線の終点・下仁田で下車します。同じ電車から降りた乗客は、私を含めて3人だけでした。
駅前からバスに乗り継ぎますが、待ち時間はなんと40分。しかも、次の電車が着く3分前の発車なので、電車との接続は全く考慮されていないようです。バス乗り場には待合室があって、座って待つこともできましたが‥‥
時間があり過ぎるので、適当に駅の周りをウロウロ。下仁田駅の構内越しに西側を眺めると、次にこのエリアに来た時に行先の候補にしている鹿岳の、いかにも西上州の岩山らしいゴツゴツとした稜線が見えていました。
  ※下の写真にマウスを乗せると山名ガイドを表示します。


マイクロバスで運行されていた「しもにたバス」(下仁田町のコミュニティバス)に15分ほど乗って、虻田で下車します。利用者はたった2人だけでしたが、朝ですから需要があるのは折り返す便のほうなのでしょうね。
大桁山を経て千平駅へ至るコースは「関東ふれあいの道」に指定されていて、今回はその途中で鍬柄岳を経由するようアレンジしたコースを歩きます。バス道路から林道に入る地点には、道標と案内図が立っていました。


道が舗装されていたのは、はじめのうちだけでした。
ほどなく道が二手に分かれます。パッと見たところ道標類がなさそうなので、戸惑いかけましたが‥‥。
良く見たら上の写真中央にある柱状の物の根元で、こんな案内標識が草に埋もれかけていました。ちゃんと分かったから良いけれど、「関東ふれあいの道」にしては、道案内のクオリティがお粗末なのではないでしょうか。
そこからは砂利道に変わるとともに、日差しを遮るものがなくなりました。季節外れの夏日を記録したこの日は、朝から汗ばむほどの陽気の中を半袖姿で歩き始めていたところで、この炎天下はキツかったです。
それでも、次の分岐点で左に折れると‥‥。
その先は日陰が主体の道に変わってホッとしました。風が爽やかに吹いていたので、日陰なら登りでもあまり暑い思いをせずに歩けるのです。同時に土の道に変わったことで、山道に近い感覚で歩けるようにもなりました。
比較的快適に歩けるのは救いですが、同じような景色の林道歩きが延々と続いて、やや退屈に感じました。また途中に道案内のない分岐があるなど、やはり「関東ふれあいの道」の割に、整備状況が今一歩という印象です。


林道を丸々1時間かけて終点まで歩いたら、ようやくここから登山道が始まります。といっても、林道だけで400m近く登ってしまったので、登山道で登れる分はもう100m少々しか残っていないのでしたが‥‥。
その登山道も、なんだか少し荒れ気味の植林の中を進む具合で、はじめはあまり気持ち良く歩けません。
でも、少し登ると自然な感じの雑木林に変わりました。芽吹いたばかりの柔らかな緑が目に心地良かったです。
登山道には、「関東ふれあいの道」に付き物の木段がたびたび現れます。しかし、そのどれもが全く歩かれておらず、横に別の道ができてしまっていて、木段はもはや邪魔なだけの障害物となり果てていました。
頂上間近で長く続いた木段も、登山者から総スカンを食らった形で、実際に歩かれているのはその脇でした。整備費用がムダ遣いに終わったことが一目瞭然ですし、全く同じ光景を、今まで各地でどれほど見てきたことか。
そうこうしているうち、いよいよ頂上が目前となりました。


大桁山の頂上は、ゆったりとした広さのある、居心地の良い場所でした。
頂上標柱と「関東ふれあいの道」の距離標のほか、三角点の解説板が設置されていました。
大桁山では、南東側を中心した方角が広く開けていました。が、時期外れの気温の高さゆえか空気が淀んでいて、展望は近い範囲ですら霞んで見える具合ににとどまってしまったのが残念でした。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
北側には、妙義山の一角が辛うじて眺められました。ギザギザの険しい稜線は、一見してそれと分かりますね。
さて、無人で静かだった頂上に、数分後、突然バイクのエンジン音が響き渡ります。あれ、頂上の近くを通る林道なんてあったっけ?、と思う間もなく、その直後にはもうバイク自体が頂上に現れていて驚愕しました。てっきり音だけの存在で終わると思って油断していた私には100%想定外の出来事で、まさに不意を突かれた感じ。

降り立ったのは若い男女2人乗りのライダーで、ここまでの私と同じ道のりを辿ってきたと思われるものの、林道終点からの取り付きをはじめ、何箇所かあった急坂をどう切り抜けたのかは謎です。もしバイクでも頂上に到達可能という情報が広まっているとしたら、それが木道脇で別の道が広がるなど登山道の拡幅を助長した一因なのかも、という思いも頭をよぎりましたが、挨拶を交わしてみたら礼儀正しくて気持ちの良い人たちでした。

登山者の情報も付け加えますと、頂上に着く直前と、このあと下り始めて少し経った頃に、それぞれ単独行の男性とすれ違っていて、2人とも、朝乗ってきた上信電鉄線で、千平駅で下車するのを見た方々だったように思います。いずれも私と同じコースを逆向き(そのほうが一般的らしい)で歩かれていたのではないでしょうか。


大桁山からの下りは、木段での急降下がしばらく続きます。さすがに傾斜がきついので、ここは木段がちゃんと歩かれている感じでした。
頂上直下を下り終えると緩斜面に変わりますが、そこに入っても木段は執拗に続いていました。
どんなに緩やかな場所でも、わずかでも傾斜があればことごとく木段になっていて、鬱陶しいばかりか、もう滑稽にすら思えてきます。もしかして、木段を造ること自体が目的だったのかと、疑わざるを得ない状況でした。
林道に出ると、さすがに木段ではなくなって、ようやく快適に歩ける坂道になりました。
登山地図で「変形十字路」として示された地点を過ぎると、一旦登り坂になる区間があり、再び下りに変わった先に鍬柄岳への分岐がありました。ここで、これまでずっと歩いてきた「関東ふれあいの道」から外れます。
鍬柄岳への道は赤破線路ですが、分岐点には私製ではなさそうな立派な標識が立っていました。


鍬柄岳への道に入ると、少々草深い区間もあって赤破線路らしい雰囲気が漂うものの、踏み跡は明瞭です。
ただ未整備に近い細い道だけに、何箇所かの急坂では足元が滑りやすく、下るのに少し神経を遣ったので、この方向に歩く場合は道の状況が良い日を選ぶほうが良さそうでした(逆方向なら登りになるので問題なさそう)。
途中で林道を横断します。林道への降下点は急な崖になっていて、そこをこんなハシゴで下りました。
林道の横断後、ご年配3人のグループとすれ違ったのを最後に、もう誰とも会わなくなったので、この日見掛けた登山者は、高崎駅07:39発の上信電鉄線で一緒だった2人と、このグループだけという結果になっています。


最後に、足元のやや不安定な登り下りを経て、千平駅側から登ってきた鍬柄岳の登山道に合わさりました。
上の写真の分岐点から鍬柄岳への案内に従って少し進むと、いよいよ長いクサリの区間が始まります。
ただ、確かに距離の長いクサリ場ではあるものの、傾斜はさほどでもなく、このように斜めに上がるような区間が多かったり、岩の凹凸も足を置きやすい状況になっていたりして、難易度は低めです。下がスッパリ切れ落ちているという程でもないので、高度感もほとんど意識させられないうちに通過できました。
垂直に近い傾斜を登る箇所は限られていて、岩壁にも手掛かりが多かったため、両手でクサリを掴むような局面は少なかったです。私のほかに人の姿がなく、順番待ちもすれ違いもなかったことで、快調に登っていきます。
長いクサリ場は岩稜の東端に出るまででしたが、そこから西端の頂上に向かうと、再びクサリ場となりました。
最後にはちょっとしたナイフリッジの通過もありますが、ここは有名な戸隠山の「蟻の塔渡り」のようにリッジ上を進むのではなく、クサリを掴みながら少し下をトラバース状に進むので危険は小さかったです。


鍬柄岳の頂上に到着しました。ちょうどお昼時なので、誰かしらいるものと思っていたら、まさかの無人の頂上です。手前に写っているのは幟を立てる台で、祭礼の時にでも使われるのでしょうか。
一番高い地点には石祠が祀られていました。地元では石尊山とも呼ばれているなど、昔からの信仰の山らしい。
石祠は全部で3座が祀られていて、その周りを囲むようにしてツツジが見頃を迎えていました。
さほど広さはありませんが、周囲に遮るものが何もなくて、開放感に溢れています。
そんな訳で、鍬柄岳からの展望は360度。北側には、先程登ってきた大桁山の全容を眺められました。
そして南側には、暖気に霞みながらも、西上州の山々を広く見渡せたのが壮観でした。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。


鍬柄岳を後にしたら、登ってきたクサリ場を引き返します。一般的には下りのほうが難しくて慎重さが求められるクサリ場ですが、ここはさほど傾斜がきつくないため、大半の箇所で前を向いたまま(岩壁に正対せずに)下れてしまいます。だからほとんど緊張もせず、難なく通過できたことに拍子抜けしてしまったほどでした。
ほかに誰もいないため、終始自分のペースで進めたこともあって、下りは10分もかからずに先程の分岐点へ。
分岐点まで下ってしまえば、その先には歩きやすい緩やかな道が続いていました。
阿夫利神社の前を通過すると、登山道も残すところわずかです。


舗装道路に出たところが鍬柄岳登山口で、鍬柄岳の北側を迂回してきた「関東ふれあいの道」に復帰します。
道路を下っていくと、次第に沿道には人家が見られるようになります。人家の庭では菜の花やハナモモなどが咲き乱れていて、山里の春らしい美しい佇まいを見せていました。
その道路からは、ところどころで鍬柄岳を振り返ることができました。
鍬柄岳をアップにしてみましたが、岩峰が空に突き出した荒々しい姿を撮りたかったのに、先に登ってきた大桁山が後ろに重なったことで輪郭が分かりにくくなり、今ひとつ説得力に欠ける写真になってしまいました。


最後までほとんど車の通らない道をのんびりと歩いて、この日のゴール、千平駅に到着です。
千平駅はホーム上に小さな待合室があるだけの無人駅。次の電車を待つ人も、私のほかには現れませんでした。

タグ:上信越
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:スポーツ