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陣馬形山 [南アルプス]

2014/04/26(土)

■第282回 : 陣馬形山(1445m)


今回は前日のうちに伊那市に入って、伊那山地にある陣馬形山に登ってきました。
中央アルプスと伊那谷を一望する大パノラマが凄いと評判の山なのですが、某登山地図の収録外ということもあってか知名度は高くないらしく、今のところは穴場的な存在である模様です。

アルプスを眺めるならば、やはり雪を抱いた凛々しい姿で見られる時期が一番だと思うのですが、自分が登る山にも雪が残る時期だと、寒さ対策をしたり足回りの装備を調えたりと色々な面倒も多くなります。
そこで、陣馬形山からは雪が消えて、中央アルプスには豊富に雪が残るこの時期を選んで出掛けてきました。

この日見たかった景色がこれです。写真では伝わらないのですが、眼下に見下ろす深い伊那谷と、その向こうにせり上がる3000m級の中央アルプスとが織りなす、空間的なレンジの広さがもう圧巻でした。

 累積標高差(登り):1136m / 距離:19.9km / 歩行時間:4時間55分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
[前日] 古淵 15:38-16:00 八王子 16:31-18:16 岡谷
    岡谷 18:37-19:31 伊那市(泊)
[当日] 伊那市 05:13-05:59 伊那本郷

(登山行程)
伊那本郷駅 06:00
飯沼橋   06:25
登山口   07:40-07:45
陣馬形山  08:45-09:15
登山口   09:55
飯沼橋   10:55
伊那本郷駅 11:30

(復路)
伊那本郷 12:23-13:57 岡谷 14:04-16:02(延着16:10) 八王子
八王子 16:20-16:42 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

金曜日のうちに現地近くまで移動しておき、伊那市駅の近くにあるホテルに宿泊して、翌朝を迎えました。
飯田線はローカル線ながら、一番電車が早朝5時過ぎにあります。展望を楽しむには早い時間ほど有利なので、早起きしてそれを捕まえましたが、ほかに乗客はほとんどなく、私が乗った車両はずっと貸切状態でした。
下車した伊那本郷駅は無人駅。私が降りたことで、乗ってきた電車もここで一旦乗客がゼロになったような。
この駅が陣馬形山に最も近い駅なのですが、ここから歩いて陣馬形山を目指す人などほとんどいないと思われ、ヤマレコで探しても、この駅をスタートまたはゴールとする記録は1件も見つかりませんでした。


高台にあった伊那本郷駅から、まずは天竜川を目指して標高差120m以上を下り、飯沼橋で天竜川を渡ります。
駅から延々と車道を歩くのは、私の山歩きでは珍しくないのですが、今回は始めに延々と下り坂が続くという、あまり前例のないパターンですし、完全往復ルートなので、復路の登り返しを考えると今から気が重いです。
飯沼橋の上で振り返ると、雲ひとつない青空の下で、雪を抱いた中央アルプスが朝日を受けて輝いていました。
飯沼橋を渡り終えてすぐの所で、なんと予定ルートが通行止めというハプニングが発生です。
示された迂回路は実に6kmもの距離があり、車ならまだしも、完全に歩行者の存在を無視した工事計画と言わざるを得ません(まぁ、住民の皆さんは基本的に車で移動していて、普段は歩行者なんて皆無なのでしょうが)。
往復ともに迂回すると、それだけで12kmも歩かされ、時間も3時間近くかかりますから、現実的に従える話ではありません。今はまだ早朝で、この日の工事が始まる前でしょうから、構わず進んでみることにしました。
幸い、道路自体はほぼ出来上がっていて、あとは路面の舗装と路肩の整備を残している程度のようでした。
もしも道路が寸断されているなど、歩行に支障がある状況ならば、帰りに通ろうとしても工事が始まっていれば拒否される可能性があるところでしたが、これなら工事中でも頼めば通してもらえそうで、ひと安心です。


その後は人家の途絶えた山の中をひたすら歩きます。早朝とはいえ、人も車も全く見掛けません。手前に通行止め区間がある影響も大きかったとは思いますが、どう考えても地元の方が普段歩くような道ではなさそうです。
谷を詰めていくと次第に前方が開けてきて、遠くに山が見えてきました。この時はこれが陣馬形山かと思っていたのですが、帰宅して検証すると、見えていたのはその手前にある無名峰だったようです。
途中で中川村営巡回バスの西丸尾入口バス停を通過します。
実はこの路線の朝の便で飯島駅~美里間を利用すれば、往路の車道歩きをほとんどを省略できるのですが、登頂が1時間ほど遅くなってしまうため、迷った末に展望条件を優先して泣く泣く利用を諦めていたのでした。
  (なお、午後の便は4時半頃に1本あるだけなので、下山時の利用はちょっと考えられない感じです)


前の写真でも奥の方に見えているのですが、美里集落内に入ると、多くの木々が満開の花を付けていました。
実際に通るルートではなかったのが残念でしたが、横道には桜並木もありました。
長い冬から解放された山里が、待ちわびた春を謳歌するように、淡い彩りに添えられています。
これも、この時期に訪れるならば見ておきたかった景色のひとつでした。


伊那本郷駅から歩くこと1時間半近く、美里集落の中心部に入って、美里バス停から上がってくるルートと合流したところで、ようやく陣馬形山への道標を発見しました。
その後は集落内を右に行ったり左に行ったりしながら、車道と山道を次々に結んで進みます。中には民家の庭をかすめるような箇所もありましたが、要所には必ず道標が立っていて、迷うことなく進めました。
最後に少し車道を歩いて、登山口に到着しました。腰掛ける物も何もありませんが、ここまで休みなしで歩き続けてきたので、立ったままで小休止していきます。車で来た場合は路肩に停めて歩き始めるようですが、この車道はなんと頂上まで通じているので、車を降りなければ頂上まで乗ったままで行けてしまいます。


立ったままの小休止を終えて登山道に入ると、ほんの1~2分で展望が良くてベンチまである地点に出ました。
知っていたらこっちで休憩できたのに・・・
ツツジの向こうの中央アルプスは、まだ雲ひとつない青空の下にあって、頂上での展望にも期待が高まります。
なお、このあと登山道はずっと樹林内を進むため、ここを過ぎるともう頂上まで全く展望はありませんでした。


登山道は、はじめは道幅が広くてゆったりとした雰囲気が続きます。
何度も車道を横断しながら進む途中で、2度目の車道横断点を過ぎると、細い山道に変わります。その後も緩やかな傾斜に終始して、とても歩きやすい登山道でした。急な斜面でも、ジグザグに折り返してほぼ一定の傾斜が保たれていましたし、大きな段差や通過に注意を要する箇所も皆無で、頂上までずっと気持ち良く歩けます。
上部はまだ冬の装いでしたが、美しいカラマツ林が続くので、秋頃に来てもきれいな景色が見られそうです。
かなり登った頃、推定樹齢600年の「丸尾のブナ」が現れます。ここにはいくつもの切り株ベンチが置かれて、登山口のすぐ上にあった展望地とともに、この登山道に2箇所しかない、腰掛けて休める貴重な地点でした。


やがて電波塔が見えてくれば、そこはもう頂上の一角です。距離はまだ600mほど残していますが、標高がすでに頂上とほとんど同じなので、この先にもう苦しい登りはありません。
登山道は電波塔の前で終わり、これまで何度も横断してきた車道に、最後の最後で合流してしまいます。
頂上を間近にしての車道歩きは少々興醒めですが、頂上直下のキャンプ場までは車道を歩くしかありません。


いよいよ陣馬形キャンプ場に到着しました。頂上はもうすぐ先で、写真右上の電波塔の奥あたりです。
テントサイトに居ながらにして中央アルプスの絶景が堪能できる、なんとも贅沢なキャンプ場です。
陣馬形キャンプ場のほぼ全景で、赤い屋根の建物は大きな避難小屋です。このキャンプ場、驚いたことにテントサイトも避難小屋も無料らしいので、将来テント用品を揃えたら、真っ先に来てみたくなりそう。


陣馬形山の頂上はキャンプ場のすぐ上で、キャンプ場まで車で来れば1分歩くだけで登頂できる近さです。
さほど広くはありませんが、ほぼ全方位が開けていて、展望図・望遠鏡・三角点と3つのベンチがあります。
望遠鏡で木曽駒ヶ岳方面を覗くと、千畳敷ホテルの建物はもちろん、登山者の姿まで見ることができました。
三角点の等級は二等で、比較的きれいな標石でした。
すぐ眼下で天竜川が深い伊那谷を刻み、その向こうに中央アルプスが3000m近くまでせり上がっているという、もの凄くダイナミックな景色が目の前いっぱいに広がって圧倒されます。手前は展望図です。
展望図には、西側の中央アルプスはほぼ全域、東側の南アルプスも最南部を除く広い範囲が描かれていました。


まずは、なんといっても伊那谷を挟んだ中央アルプスの展望です。下の写真は山名ガイドを入れた縮小版なので、ぜひ こちら の大きな写真(文字入れなし)で見て頂きたいと思います。
空木岳を中心としたあたりを少し大きくしてみました(冒頭と同じ写真の再掲です)。
一方、反対側の南アルプスはすっかり霞んでいて、残念な眺めでした。北岳や間ノ岳は写真を縮小したらほとんど分かりません。 ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
頂上で30分ほど過ごした後、一段下のキャンプ場に戻ってから再度中央アルプスを眺めてみました。
頂上に着いてすぐに写していた2つ前の写真と比べると、少し雲が出始めていたようです。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
南アルプスは、頂上やキャンプ場では、樹木が少し邪魔をしてスッキリとは見られなかったのですが、頂上部南端にある電波塔の近くまで引き返すと、何にも邪魔されずに見渡せるようになりました。
でも相変わらず霞んでいて、せっかく南側の視界が広がったのに、南部はほとんど見えていないも同然でした。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。


頂上を後にして、登ってきた登山道を下ります。特筆すべきは、フカフカした柔らかな地面がずっと続いて、足にとても優しい歩き心地だったことです。傾斜が穏やかで登りやすかった道は、下るのもすこぶる快適でした。
歩きやすい登山道なので、あっという間に登山口近くの展望地まで下ってきました。結局この日、登山道を往復している間に会ったのは、単独行の男性1人と、7~8人のパーティーだけで、とても静かな山歩きでした。
ところで、中央アルプスの上を見ると少し雲が増えていたので、バスに乗るのを諦めて歩く距離が長くなったとしても、早い時間に着くことを優先しておいたのは正解だったようです。


美里集落に入ると大きな桜の木が見えたので、登山道を外れて見に来てみました。写真の真ん中あたりには中央アルプスが見えていて、桜の花とコラボしていたのに、縮小したら分かりづらくなくなってしまったのですが。
それにしても立派な桜でした。山里の遅い春が、4月の下旬までお花見を取っておいてくれたようです。
往路とほぼ同じ写真ですが、ここで美里バス停へ向かうルートと分かれます。ここまでは歩きやすい山道をグングン下ってきましたが、この先は舗装道路を延々と下るので、足を痛めないように少しペースを落としました。
その後はひたすら車道を歩きます。気になっていた通行止め区間は、たった2人で小規模な作業が行われていただけで、誰何されることもなく通過でき、飯沼橋を渡り返すところまで来ました。
中央アルプスの上には、さらに雲が増えていたので、早い時間に登っておいて良かったと、改めて思いました。


かなりの距離を歩いて、車道歩きが長かったことも影響してか、飯沼橋からの登り返しは少し苦しかったです。
振り返るとそこには、ついさっきまで頂上に立っていた陣馬形山がありました。実は往路でも同じ景色を見ているのですが、朝はちょうどこの真上に出てきたばかりの太陽があって、マトモに写真が撮れなかったのでした。
最後の直線区間に入れば、ゴールの伊那本郷駅まであとわずかです。
まだ午前中ですが、いよいよ中央アルプスの上は雲が多くなっていて、午後までは持ちそうもない気配でした。
伊那本郷駅に戻ってきた時、駅舎越しに中央アルプスが見えていることに気付きました。
朝はもっと駅舎の近くから写真を撮っていて(先頭から2枚目)、それで見落としていた模様です。
駅からも、もちろん陣馬形山が良く見えていました。頂上は、平坦に見えている頂上部の左端付近です。
飯田線のダイヤは、昼間になると電車の間隔が1時間以上空いていて、次の電車も約1時間後です。
駅の周囲を少しウロウロして写真を撮ったりした後は、2人も入れば満員になってしまうような小さな待合室で、電車が来るのを待ちました。

タグ:南アルプス
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