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南木曽岳 [中央アルプス]

2012/10/20(土)

■第239回 : 南木曽岳(1679m)


今回は、山を始めた最初の年に登った木曽駒ヶ岳以来の中央アルプスです。
といっても、行先として選んだ南木曽岳は、主稜線から外れている上に標高も低く、通常は中央アルプスの一部として紹介されることの少ない、独立峰的な趣の山です。

この時期すでに、中央アルプスの核心部では、冬装備が必要となりました。うっすらと雪化粧した山岳景観を楽しみに、抜群の好天予報を受けて出掛けたのですが、残念ながら山の上は雲ばかり。どうもこの秋の私は展望には恵まれません。
山麓では抜けるような青空だったのに、登っていくと曇ってしまうという展開が、これで3回連続になるのでした。

 累積標高差(登り):1058m / 距離:12.8km / 歩行時間:4時間25分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:7時間30分 

(往路)
[前日] 古淵 14:58-15:20 八王子 15:41-17:10 塩山
    塩山 17:45-20:00 松本(泊)
[当日] 松本 07:04-08:07 南木曽 08:15-08:32 尾越

(登山行程)
尾越バス停  08:40
蘭登山口   09:35
南木曽岳   11:00
避難小屋   11:10-11:35
上ノ原登山口 13:30
南木曽駅   13:55

(復路)
南木曽 14:51-16:22 茅野 17:07-19:02 八王子
八王子 19:07-19:29 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

この日は宿泊地の松本で朝を迎えます。早朝はかなり冷え込んで、フリースを着ていてちょうど良いくらいでした。
滅多に乗らない中央西線の車窓風景を楽しみながら、約1時間で南木曽駅に到着です。
座席が半分がた埋まる程の人が乗っていたのに、この駅で降りたのが私ひとりだけだったのには、ちょっと驚きました。
駅前からは南木曽町の地域バスに乗り換えます。乗客は私を入れて8人だけでしたが、うち2人がなんと外国人観光客。
ローカル路線なのに国際色があって、意表をつかれます。その2人が降りたのは、旧中山道の宿場町・妻籠でした。
尾越バス停は、民家の軒先を借りて立っていました。一緒に降りた若いカップルとともに、ここから歩き始めます。


はじめは、のどかな農村風景の中を進みます。目指す南木曽岳は、写真左手の山並みに隠れて、まだ見えていません。
この時点では、頂上がスッキリ晴れているのを疑う余地はないと思って、展望に期待を膨らませていたのでしたが‥‥
小1時間歩いて、山麓の避難小屋前に到着。
車ならばこの駐車場まで入れるため、ようやく車の人と同じスタートラインに立ったことになります。
こちらが南木曽岳山麓避難小屋。隣にはトイレの建物もありました。


避難小屋からすぐの所で、林道から自然探勝園の遊歩道が分岐して、近道だと案内されていました。
遊歩道だけに良く整備されていて、傾斜も穏やかで歩きやすかったです。
すぐに遊歩道が終わって林道に戻ると、色付いた木々もちらほら。もう紅葉がここまで下りてきているようです。


ここが蘭(あららぎ)登山口。バス停から1時間歩いて、ようやく山道に入ります。
岩塊の中を縫うようにして進むことが多いですが、ハシゴなどがよく整備されていて、直接岩に手を掛けるような箇所はほとんどありません。沢を渡る地点にも、こうして木橋が架けられていました。
この分岐点で登山道と下山道が分かれて、この先は時計回りの一方通行となっています。
南木曽岳の登山道は傾斜が急で道幅も狭いため、こうしないとすれ違いで事故が起こりやすくなってしまうのでしょう。


こんなハシゴ段が頻繁に現れます。段が不揃いで手造り感が全開ですし、老朽化も多々見受けられますが、痛んだ箇所も修復は行き届いていて、体重をかけるのが不安になるような箇所はありませんでした。
ハシゴがない所では、こんな岩の間を登り詰めていきます。急登の間は、穏やかな土の地面をほとんど見掛けません。
中盤を過ぎると、さらに傾斜がきつくなって、ハシゴ段が連続するようになります。
ハシゴとハシゴの間は、クサリの下がる急斜面。息つく暇もありません。


岩の斜面に出て景色が開けると、木々が揃って紅葉していました。それを見ながら、少し息を整えていきます。
しかし行く手には急登が続きます。ここは、ほとんどの人が全く同じ構図の写真を撮っていくところ。
かつて左側の岩場をクサリで登っていた箇所も、現在は右側に木道が整備されて、道標もそちらを案内しています。
その木道は、こうして折り返しながら高度を稼ぎますが、段のすき間から下を覗いてもそこに地面はありません。
全体が桟道となっていて、どの場所も斜面からは大きくせり出しているのです。
建設には大規模な工事が必要だったと思われますが、おかげで岩場を避けて、誰もが安全に登れるようになりました。


上部では鮮やかな紅葉を見ることも増えました。曇り空で、くすんだ色合いの写真になってしまったのが残念ですが。


かぶと岩を見る頃になると、ようやく傾斜が緩んできて、景色からも頂上が近いことが分かりました。
頂上は木々に囲まれた狭い場所で、展望は皆無。三角点はあるものの、最高点ではなく、正真正銘の頂上とも違います。
無人で静かですし、皆さんここはスルーして先へ進んでいるのでしょう。私も写真だけ撮って、すぐに立ち去りました。


少し下って登り返すと、この大岩を御神体とする南木曽岳大神があって、かつて信仰の山だったことを窺わせています。
南木曽岳大神の向かい側には見晴台へのハシゴ段があって、そこを登ってみます。
ハシゴの先にはこんな大岩があって、その上の見晴台が南木曽岳の最高点っぽかったような気がします。
大岩の上に立ってみましたが、そこから見る景色は、とっても残念な感じでした。
本来ならば、御嶽山を間近に望み、条件が良ければ北アルプスまで見られるらしいのですが。


登山道に戻ってさらに進むと、避難小屋の赤い屋根と、その先の展望スペースが見えてきました。
まずは、南木曽岳避難小屋の前を通って行きます。同じ建物内にトイレも併設されています。
小屋の中はとてもきれいに整えられていて、ここで行動食休憩を取っていきましたが快適でした。


避難小屋の先にある展望スペースからの眺めも、期待を大きく裏切られてしまいます。(拡大した画像はこちら)
中央付近が、木曽駒ヶ岳や空木岳など中央アルプスの核心部なのですが、どの山もことごとく雲の中でした。
上のパノラマの右半分には、中央アルプス最南部の安平路山・摺古木山が辛うじて頂上を見せていたので、その2山周辺だけを別に撮ってみました。周囲に交通機関が全くなく、かなり秘境的なイメージの強い山々です。
こちらは南木曽岳の頂上部で、今回は立ち寄らなかった、摩利支天方向の眺めです。
ササに覆われた草原の中に、緑の樹木や紅葉の赤が点在する、庭園のような風景が広がっていました。
最後に、避難小屋と最高点付近を振り返りました。


多くの人は一方通行の下山路に向かって出発地に戻りますが、私は上ノ原コースに入って、直接南木曽駅を目指します。
すぐに3人組とすれ違った時は、このコースも意外と歩かれているんだなと思ったのでしたが‥‥
上部は深いササの中の道ですが、ササはしっかりと刈り払いされていました。
とはいえ、ササを掻き分けるような箇所がなかったわけでもありません。


上ノ原コースでも、ところどころで鮮やかな紅葉を楽しめました。


湿った黒土の地面は滑りやすく、濡れた落葉や木の根の露出も多くて、一歩一歩の足の置き場にかなり気を遣います。
それにしても、先程の3人組以降、全く人を見ません。結果的には、そのまま登山口まで誰にも会わなかったのでした。
1291mピークでは、こんな古びた標識を見ました。ここが登山地図のコースタイム区切り点となっていますが、ほかには何もない場所ですし、ほとんどの人は気付かないで素通りするのでは?
こうして写真を撮る余裕のある箇所では穏やかな道ですが、実際には滑りやすい箇所の多い道が長く続きます。
比較的緩やかな傾斜が続くため、軽快に下れるものと期待していたのですが、常に緊張を強いられて精神的に疲弊しましたし、踏ん張りをきかせるために脚の筋力も相当に酷使しました。


標高が1000m以下になったあたりから、地面が乾いてきて滑りやすさがなくなり、ようやく気楽に歩けるようになります。さらに下ると、ところどころで植林地を見掛けるようになりました。
登山口が近付くと、送電線鉄塔のそばを2度通り、2度目が少し開けた地点だったので、ここで休憩していきます。
景色がさほど良いわけではありませんが、ここまで約1000mもの標高差を下る間、全く休憩適地がなくて、いい加減足が悲鳴を上げていたのです。鉄塔基部のコンクリートが腰掛けやすい高さなのも好都合でした。


最後は民家の庭先を抜けるようにして、この登山口で車道に降り立ちました。
あとは車道を歩くだけかと思ったら、またすぐに山道に誘導されます。
ところがそこは草がボウボウに生い茂って、どこが道だかサッパリ。あるかないかの微かな道の気配だけが頼りでした。
その山道はこんな所で道路に降りますが、こちら側には何の案内もありませんでした。もしも逆コースだったら、こんな所を入ることができたかどうか‥‥
さらに、ここから南木曽駅まではまだ距離を残していて、曲がり角も多いのですが、道標はたったの1箇所にしかなく、どちらの方向に歩くにも地図は必携という状況でした。

南木曽駅には、予定よりも大幅に早い2時前に戻ってきました。約1時間後の普通列車に揺られて帰路に就いています。
実は、今から路線バスを利用して妻籠宿に行き、そこで1時間以上ぶらぶらしてから再びバスで戻ってきても、次の特急に乗れば帰宅時間が全く同じになったのですが、そのことに気付いたのは帰宅した後のことでした。

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霧訪山 [中央アルプス]

2011/10/29(土)

■第214回 : 霧訪山(1305m)・大芝山(1210m)・洞ノ峰(1199m)



名前の響きがとても美しい霧訪山(きりとうやま)は、1時間ほどで気軽に登れる里山でありながら、展望の良さで知られています。
この日は澄み渡った青空の下で、3つのアルプスと八ヶ岳など、周囲をぐるっと囲む山々が360度すべて見渡せて、低山らしからぬ素晴らしい展望が楽しめました。
また、ひと目見たいとずっと思っていた特別天然記念物・ニホンカモシカにも出会えて、とても嬉しい1日となっています。

 累積標高差(登り):734m / 距離:11.6km / 歩行時間:3時間35分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
古淵 05:27-05:48 八王子 05:50-05:57 高尾
高尾 06:14-09:05 岡谷 09:08-09:19 塩尻
塩尻 09:27-09:38 小野

(登山行程)
小野駅    09:45
小野登山口  10:05
霧訪山    10:55-11:10
大芝山    11:45
洞ノ峰    12:05-12:15
下西条登山口 13:00
みどり湖駅  13:45

(復路)
みどり湖 14:20-14:43 茅野 15:18-16:49 八王子
八王子 17:00-17:22 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

往路の4時間に及ぶ鉄旅の最後、塩尻-小野のひと駅間では、こんな珍しい車両に乗りました。なんと1両編成で、元々荷物車だったもの旅客車に改造したようです。
ヘッドマークには「ミニエコー」という愛称が書かれていました。
本日のスタート、小野駅。日中は2時間に1本程度の運行しかないので、てっきり無人駅かと思っていたら、窓口には駅員さんの姿がありました。

小野駅からしばらく歩いて、登山口に着く手前から、これから登る霧訪山を仰ぎ見ます。でも頂上が顔を出しているかどうかは微妙。
霧訪山の登山口。この山では松茸でも採れるのか、いわゆる「止め山」となっていました。頂上までの間ずっと、登山道を外れて立ち入るなという夥しい数の警告標識を見続けることになります。

登り始めと頂上付近では階段状の急登が結構長く続いて、お気楽な低山のつもりでいたので少し面喰らいましたが、中間部には穏やかな区間もありました。
紅葉には早かったのか遅かったのか、色付きはあまり冴えなかった感じです。

送電線鉄塔の地点まで登ると、「かっとり城跡」という標識が立っていました。
古城跡のようなのですが、鉄塔が建設されてしまったこともあってか、それらしい遺構は見られないようです。
さらに進むと今度は避難小屋が。30分もあれば、人里まで降りられるような所にあります。だから登山者用というよりは、山仕事用なのかもしれません。
避難小屋

頂上が近付いてくると、この季節らしい色彩がいくらか見られるようになりました。

霧訪山の頂上です。ここで7人くらいの人と一緒に休憩しましたが、登山者の姿を見るのはここが最後となりました。
私はここから縦走路に入りますが、霧訪山を往復するだけの人がほとんどのようです。
展望図です。360度どの方角を見ても、全く遮る物のない眺めが広がっていて、とても標高1300mそこそこの山とは思えない程でした。

まず目が行くのは、やはり北アルプス。写真右端が言わずと知れた槍ヶ岳で、中央の大キレットを挟んで、左半分が穂高連峰です。
次いで南アルプス。左端が甲斐駒ヶ岳で、中央やや左寄りが仙丈ヶ岳です。
そしてこちらは八ヶ岳。左端の蓼科山から右端の編笠山まで、南北の八ヶ岳がズラリと勢揃いでした。

霧訪山から大芝山へ向かうと、何故か緑が少なくなって、冬枯れの尾根道が多くなりました。

なななんと、ニホンカモシカ君ではないですか! 山を始めて以来、ご対面をずっと心待ちにしていましたが、それがこんな低山で叶うとは。
ちなみに場所は、ちょうど地形図の1196mピークで、一緒に写っている標識が登山道の左折を示しています。
「こんにちは」「写真撮ってもいい?」などと話しかけながら近付いても全く動きません。あと10mくらいまで寄ったところで、私のほうが遠慮しました。
それにしても、その後も私が遠ざかるまでの間ずっと、私の動きを追って首を動かしていただけで、4本の足は微動だにしませんでした。肝が据わっているようです。

送電線鉄塔のところに立つ道標は、現在地を「たきあらしの峰」としていました。

大芝山の頂上は、この標識が立っているだけで、ほかには何もありませんでした。
本当に何もない頂上で、なんか居心地も良くないので、休憩もせずにスルーしてしまいます。

大芝山の先になると、道はしばしば不明瞭となって、ヤブっぽい箇所も現れました。
この時期でこんな様子では、夏などはヤブに埋もれて歩けないのではないでしょうか。

道は送電線鉄塔の真下を抜けていきます。
ということで、真下から見上げてみました。なんかこうやって撮るのが最近流行っているようなので・・・

連続して別の送電線の下をくぐります。この鉄塔は変則的な形状をしていて、下から覗いて楽しむには不向きでした。
正面には、この日最後のピークとなる洞ノ峰がもう間近です。そしてこの後、もう1度ニホンカモシカを見かけました。今度はすぐに逃げられてしまいましたが。。。

洞ノ峰の頂上。標識には「洞ノ峰(西條城址)」とあるので、ここも城跡のようです。
ここも何もない頂上ですが、広さがあって開放的で、心地良い場所でした。欲を言えば、腰掛ける物が欲しかったかな。

木立の切れ間から、塩尻市街を見下ろします。その先で霞んでいるのが松本市街のはず。
発色は今ひとつでしたが、頂上を取り囲む木々は、ほんのりと色付いていました。

洞ノ峰からの下山路は、不明瞭だったり荒れていたりして、山慣れた人向きの道でした。
この25番鉄塔まで下れば、道も比較的穏やかになってひと息つけます。それにしても里山らしく、送電線に多く出会うルートでした。

登山口まで降りてくると、その名も「山の神社」がありました。
その後、2箇所の分岐を経て舗装道路に出ますが、分岐点はどちらもこんな具合で、登山道の案内が全くありません。
こちら側から洞ノ峰へ登るのは、下りでこの道を1度歩いた経験でもなければ難しいのではないでしょうか。

舗装道路の両脇には果樹園が広がっていて、収穫期を迎えたリンゴの赤色が鮮やかでした。いかにも信州地方らしい風景に、心がなごみます。

みどり湖駅が見えてきました。ホームと待合室があるだけの簡素な駅です。
これが駅への入口。無人駅で、改札などもありません。この駅から14:20発の列車に乗ったのは私ひとりだけでした。

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