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大見山 [八ヶ岳とその周辺]

2023/10/31(火)

■第471回 : 大見山(1365m)


この日の行先は、長野県は諏訪地方の大見山。山頂の立派な展望台に立てば、眼下には諏訪湖の湖面が広がり、その先に日本アルプスの山々がズラリと並ぶという、見事な展望が魅力の山です。

なのに「山と高原地図」では収録エリア外になるため、恐らく登山者の間ではあまり良く知られていなくて、登山目的で訪れる人はかなり少なそう。そもそも、すぐ近くにある蓼の海から遊歩道を20分歩くだけというのが最も一般的な登り方なので、蓼の海への観光ついでにハイキング感覚で登られるケースが大半なのでしょう。

そんな山ですが、車道歩きが長くはなるものの、上諏訪駅から歩いて登るコースも用意されていて、今回はそれを下山路として利用しつつ、登りはできるだけ山道を長く歩こうと、未整備の尾根道をたどってみました。

大見山の展望台は、大きく空中にせり出した独特のフォルムで、展望台の下の水色は諏訪湖の湖面です。
そして展望台の先には中央アルプスの山々が。ちょっと雲が多くて、期待通りのクリアな眺望ではなかったけれど。

 累積標高差(登り):750m / 距離:10.1km / 歩行時間:3時間25分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録域外か、非掲載の登山道を含む) 

(往路)
古淵 04:59-05:21 八王子 05:36-06:19 大月
大月 06:25-07:13 甲府 07:24-08:32 上諏訪

(登山行程)
上諏訪駅      08:40
高尾山穂見神社   09:00-09:05
1120m峰(大和山?) 09:45-09:50
1270m峰      10:15-10:20
大見山(北峰)    10:55-11:05
大見山(南峰)    11:10-11:35
登山口(県道40号)  12:05
立石さくら広場   12:30-12:35
上諏訪駅      13:00

(復路)
上諏訪 13:34-15:10 八王子 15:21-15:44 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

最寄駅の始発を捕まえて、普通列車を4本乗り継ぎ、朝9時前に上諏訪駅からスタートです。
はじめはもちろん車道歩き。まずは国道20号をJR中央線沿いに北上します。
駅から少し離れて住宅街に入ったら、途中で車道を外れて水路沿いのこんな細道を進むのが近道。
車道に戻ったのちも、水路沿いをそのまま進んで坂道を上がります。ここは結構な勾配で息が上がりました。
住宅地の一番上あたりまで来たら、左手に見えてきた墓地を目印に左折します。直進すれば整備された登山道にも出られますが、車道や林道を歩く区間が長くなるのは片道だけでたくさんと、下山時に取っておくことに。
墓地脇の細道を上がります。その道がどこへ通じているかなどの案内は何もなかったみたい。
墓地の上まで上がると、眼下に諏訪湖を一望です。この時間はまだ、湖面で朝靄の名残りがけむっていました。
細道は石段へと続きます。急なのに、どの段も幅が狭く足先だけ置くのがやっとの、危なっかしい石段でした。
石段を登った先には高尾山穂見神社が鎮座していました。
石段と社殿とが近過ぎて、正面からだと上のような写真がせいぜい。社殿は横から撮るしかなかったような。


高尾山穂見神社の社殿右手から斜面に取り付きます。ここから先は整備されていない、いわゆるバリエーションルートになるため、道案内の類は一切ありません(テープなどの目印すら、ほとんど見ませんでした)。
それにしても、のっけからかなりの急登です。しかも、うっすらと踏み跡が見られる程度の、全く踏み固められていない地面は不安定で、そこに落ち葉が乗ったりして足を取られやすく、少々しんどい登りでした。
でも幸いに地面が乾燥していたこの日は大きな困難にはならず、割と順調に登れましたが、もしもウェットなコンディションだったら泣きを見そう。そんな、下りではあまり歩きたくない急斜面が、しばらく続きます。
勾配がきつい一帯をやり過ごして、いくらか傾斜が緩んできました。こうして尾根が広がると、元々少ない足跡がさらに分散、ほぼ踏み跡がない状況になりますが、地形が単純明快なため進路は分かりやすかったです。
送電線鉄塔の脇を通過。このあたりは高く伸びた草藪に阻まれて見通しが悪く、進行方向を見失いかけます。
が、草藪の中に送電線巡視路の標識を発見、道があるように見えないものの、指示する方向に進んでみると‥‥
草藪から抜け出せました。ここで、左へ折れて斜面を下っていく送電線巡視路を見送り、正面に続く尾根へ。
ほどなく登り詰めるピークが、四等三角点が設置されている1120m峰です。ただしピーク上まで普通に木々が茂り、そこも周囲と同じ景色でただの林の中、地形以外に山の頂を感じさせる要素は何もありませんでした。
三角点の脇には、「大和山」と記された私製の標識が倒れていました。それら以外に人工物は何も見当たらず、展望も全くない地味な地点ですが、ここで5分ほど小休止して息を整えています。


1120m峰の先でも、微妙に下ったかどうかですぐに登りに変わり、ほぼ登りばかりが続いていた感じ。そんな中、ごく稀に色付いた木々が現れて、たったこれだけでも、今シーズン初めてナマで見る鮮やかな赤色でした。
紅葉はわずかでも、しばらくは緩やかな尾根が連なって、秋らしい色彩の中を気持ち良く歩けたりしました。
次のピークに近付いて勾配が増しても、登り始めほどの急登にはならず、この区間は割と楽に歩けたような。
2つ目の大きなピークとなる1270m峰も、やはり林に囲まれて、先程の1120m峰と同様に地味な地点でした。
ピークの地点では、人工物は何も見られなかったようです。ネット上の記事によると、ここにも「大見前山」という名前が付いているらしく、以前は私製の山名標があったりもしていたようなのに。
その代わり周囲に目を凝らすと、大見山南峰に建つ展望台が、樹木の葉と葉の間にその姿を現していました。
大見山の展望台をアップで。ここで想像していたよりもずっと大がかりな構造物だと分かり、それが斜面に大きく突き出した形状にはやや異様な印象すら受けましたが、でも眺めは素晴らしそうですからより楽しみに。


1270m峰からは北東側へ一旦小さく下ります。明瞭な尾根ではない地形で、道形も微かでしたが、ピークから見えた大見山の展望台よりいくぶん左が進むべき方角だと地形図から読めていて、自信を持って進めました。
短く下り終えたら、いよいよ大見山へ向けて2段階の登りが始まります。1段階目は問題ない傾斜でしたが‥‥
ヤセ尾根の通過を経た後で現れた2段階目の登りは、もうほとんど壁のように見えるえげつない傾斜で目の前に立ちはだかりました。とても普通に歩けるようには思えず、取り付くのに少々の覚悟が必要になったほど。
でも意を決して、少しでも勾配を緩和すべく斜めに上がろうとすると、そこに同様のことをしたらしい先行者の微かな踏み跡が見られることも多く、それを追って無理なくジグザグに進める箇所も少なくありません。
なので思いのほか苦労は少なく済み、急斜面を登り詰めた先で緩斜面に入れば、整備された登山道はもう間近。
ほどなく、木段になっている登山道に突き当たって、バリエーションルートはここまで。
登山道に出てから歩いてきた道を振り返っても、目印のピンクテープが1つあるだけで、道形もうっすらとしたものですから、そこが分岐であることがあまりハッキリと目立っていません。ここには、大見山の北峰へ行ったのちにまた引き返して来るのですが、その時はうっかり見過ごして気付いた時には通り過ぎていました。


そこからは、大見山の南峰のほうが近いのですが、そちらが下山方向にも当たるため後回しにして、先に北峰のほうへ向かってしまうことに。登山道というよりは遊歩道に近いレベルの道を、まずは軽く下ります。
そのあとの登り返しも、下ったのと同じくらいでさほど長くは続きません。
登り切った先に立派な避難小屋が現れて、その前を通り過ぎると‥‥
小屋の奥の少し開けた地点がピークらしく、大見山北峰の標識が立っていました。樹林に囲まれていて展望はなく、標識以外の物も何もないという(すぐ隣には立派な小屋があるけれど)、実に飾り気のない場所です。
周囲の樹林が結構な密度だから、すぐ下にある蓼の海がそれなりに大きな湖にもかかわらず、意外にも湖面は全く見られない様子で、湖岸に建つ建物っぽいものの一部がチラッと見え隠れするのみ(写真中央やや右寄り)。でも距離が近いだけに、湖畔で流れているらしい観光客向けの案内放送が時折聞こえてきたりはしました。
だから、避難小屋だけが妙に立派だったという印象です。各壁面に大きなガラスサッシが入って洗練された感じの外観を持ち、ゆえに建物の中もすごく明るそうで、とても山の中にあるとは思えない小奇麗な建物でした。
周囲に腰を下ろして休めるベンチ等が何もなかったので、快適そうな小屋の中で休憩でもと入ってみたら、なんと内部がただの四角い箱という単純すぎる構造に仰天。備品とかも一切ない徹底されたシンプルさで、小屋の中でも立って過ごすしかなく、唯一腰掛けられそうだった、入口の階段部分をベンチ代わりに休んでいきました。


北峰からは遊歩道を引き返して、今度は南峰へ。5分も歩けば、南峰の2つの建物が前方に見えてきます。
遊歩道脇に立つ東屋は、老朽化で危険な状態にでもなったのか、周囲にロープが張られて立入禁止でしたが‥‥
そこで右を向けば、大見山南峰の標識と、どんな物かと気になっていた展望台が目に飛び込んできました。
大見山南峰の標識と展望台。結構な長さで空中にせり出す展望台は、ほかではあまり見ない珍しい構造です。
眼下に諏訪湖、その先に中央アルプス。前に出れば、見える山並みがもっと広がりそう(冒頭と同じ写真)。
展望台に上がってみます。良くもまぁ、こんな設計を思い付いたと感心しますが、こちらも北峰と同じく樹林に囲まれたピークなので、左右に視界を広げるにはこれだけ前に出る必要があったということなのでしょう。
展望台の先まで来ると、いくつかベンチがあって展望を楽しみながら寛げます。でも足元が一面の金網状で完全にシースルーですから、大した高さではないとはいえ、強度の高所恐怖症の方だと落ち着かないかも。


それでは大見山からの展望をご紹介します。もちろん山岳展望が一番の楽しみだったのに、残念ながら雲が多くて山並みをスッキリ一望とはいかず、だからまず先に目を奪われたのは、眼下に大きく広がる諏訪湖でした。
そう、視界の真ん中に雄姿がドーンと連なるはずの中央アルプスは、核心部が雲の中だったほか、御嶽山も雲に隠れて、それで諏訪湖の存在感がいっそう引き立っていた感じ。手前には登ってきた尾根も見えていました。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
左を向けば南アルプスも多くの頂が雲に絡まれて、最高峰の北岳が見えていたのがせめてもの救いです。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
その一方で右側を見ると、雲が多かった割に見えている山も多くて、北アルプスもそこそこ眺められました。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
続いては左手(南側)から順に、少し大きく写したものを並べます。まずは南アルプス方面。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
南アルプスの核心部をさらに大きく。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
その少し右、南西側には中央アルプス。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
最後は西側から北西側にかけての北アルプス方面です。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
北アルプスの穂高連峰を大きなサイズで。主峰の奥穂高岳だけ雲の中なのが惜しかったです。それと、もう少し展望台を前に出すか、樹木の伐採をあと1本だけ増やすかすれば、槍ヶ岳まで見えそうだったのになぁ。。。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。


遊歩道が整備されている山ですから、展望を楽しんだら、あとは遊歩道を下るだけでしょう。北峰から歩いてきた道のほかは、「大見山林道」と案内された道しかなさそうなので、何の疑いも持たずそこを下ることに。
ただその道、下りたい方角とのズレが気になっていて、それが最初だけかと思っていたら、その先でさらに逆方角に曲がろうとします。本当はもっとずっと右に行きたいのに、それが無理っぽいので、引き返してみました。
頂上で改めて周囲の様子を確認すると、こちらが下りたい方角で、良く見ると何となく道がありそう。整備が行き届いている様子から、すべての道をきちんと道標が示しているものと思ったら(実際に北峰のほうでは、蓼の海やいずみ湖に下る道などがすべて道標で案内されていたのです)、そうでない道もあったのでした。
草に埋もれがちで、良く歩かれている感じではないものの、道形は一応ハッキリしているので、進んでみます。
するとその道は草付きの急斜面に突入。足を取られないよう、一歩一歩慎重に下るしかありません。
てっきり遊歩道をお気楽に下るだけかと油断していたところ、その後も急降下がしばらく続いて緊張させられます。あまり踏まれていない地面が脆くて崩れやすかったりするから、足さばきにはかなり神経を遣いました。
なんとか急斜面を下り切ると、林道が現れました。その手前には何かの標識もあるみたいです。
    ※縮小写真では分かりにくいので、下の写真にマウスを乗せると、林道の位置などを補足します。
林道上に出て振り返ると、それは大見山への案内標識で、なんと林道をそのまま登り続ける方向を示していたほか、下ってきた道の入口にはロープが塞いでいた痕跡も(この時はロープが地面に垂れ下がっていましたが)。
恐らく林道を登っても、先程私が間違って下りかけた遊歩道に出られそうですし、そのほうが安全なのでしょう。今下ってきた山道はやや危なっかしかったので、敢えて案内しないようにしているものと思われます。
林道をほんの少し進むと、今度はきちんと道標が案内する山道への分岐がありました。「立石展望台」が何のことを指しているのか、この時は分からなかったのですが、ちょうど進みたい方向だったので、そちらへ。
すると、以降は良く踏まれた明瞭な登山道を歩けるようになって、ピンクテープによる誘導も頻繁に現れます。
急降下する箇所が現れても、こちらは補助ロープが下がっていて、きちんと手入れがされている様子でした。
でも、所々で賑やかすぎるほどに付いていたピンクテープは、左手の斜面の下に住宅地(大見山団地と呼ばれているらしい)が見えてきたら、そこへと下ってしまいます。無理に下れないこともなさそうだけど、マトモな道があるようには見えない斜面ですから、きっとハイカー向けではなく山仕事用の目印か何かなのでしょうね。
なのでそこから先では、テープによる案内をほとんど見なくなりますが、道形は引き続き明瞭でした。
ここでは左に細い道が分岐します。草が被るその道の存在感は薄く、道標も奥まった位置に控えめに立って、見落とされるケースも多そうですが、私は分岐点の存在を予め把握し、かつ左へ進みたくて左側に注意を払っていたから、難なく見つけられました(直進した場合は、登り口だった高尾山穂見神社の近くに出られます)。
    ※縮小写真では分かりにくいので、下の写真にマウスを乗せると、分岐点の様子を補足します。
分岐点で左を向いた様子。道は細いし、相変わらず立石展望台が何なのかが不明だけど、行きたいのはこっち。
細い道を進むとすぐ、林道に出ました。並走する水路では、ゴーゴーと音を立てて勢いよく水が流れています。
そしてそこにあった案内図(上の写真の中央やや上)が、良く良く見ないと誤解を招きやすい代物でした。パッと見では、分岐点に立つ案内図だから、図中でも道が分岐する位置(図の中央)が現在地だろうと思うのが自然で、今いる林道を左に行けば新田上バス停、右に行けば立石展望台と読みがちですが、そうではないのです。
じっくりと見れば、現在地が左下だと書かれていることに気付けますし、今いる道も砂利道だからとても県道ではなさそうだと思い至れるかもしれませんが、直感的に分かりにくくなっている要因は、
この案内図を見る誰もが現在立っているはずの林道が全く書かれていない
ことにあるように思います。
上の写真にマウスを乗せると補足情報を書き足しますが、現在地は灰色で追記した林道上にあって、どこを目指すにも、まずは少し先にある県道公園線に向かう必要があり、今いる林道は突っ切って進むのが正解なのです。
もう少し分かりやすい書き方にできなかったものでしょうか。
※県道公園線は、実はそこからも路面がすぐ下に見えていて、黄色の斜線で埋めて追記したのが県道に関する部分です。

なので林道を突っ切る道を探してさらに下ると、林道からも見えていた舗装道路がすぐに近付いてきました。
ほどなく、その舗装道路に降り立ちました。これが先程の案内図に書かれていた「県道公園線」ですが、それは古くなった路線名なので、この記事ではここを「登山口(県道40号)」と表記しています。
県道上から、下ってきた登山道を振り返っています。あとは車道を歩くだけですから、山歩きはもうここで終わったようなものだと、この時は思っていました(のちに決してそうでもなかったことを思い知るのですが)。
上諏訪駅まではあと4kmほど、小1時間の道のりです。もし、そんなに歩けないほど疲れていたりしたら、逆方向に15分だけ歩いて先程の案内図に書かれていた新田上バス停へ向かい、"かりんちゃんバス"(諏訪市のコミュニティバス)で上諏訪駅へ行くこともできて、今ならちょうど12:35発に間に合うタイミングでした。
なお "かりんちゃんバス" を往復で活用すれば、ほぼ遊歩道だけで大見山に登れますし、物足りなければ蓼の海の寄り道もやはり遊歩道だけで加えられますから、そんなお手軽ハイキングも良さそう。難点は運行本数が少ないことで、いざ本当に計画を立てるとなると苦心しそうな気もしますが。
※路線バスでのアクセスなら、上諏訪駅と霧ヶ峰を結ぶ観光路線の蓼の海入口バス停の利用も可能。ただしこちらは季節運行である上、昨今の情勢を受けてか平日の運行がなくなってしまい、使える日がかなり限られますけれど。


そこからは、ほぼ1本道の退屈な車道歩き。建物が稀にしかなく車も時折通る程度で、歩行者の姿は皆無です。
右手が開けた場所では、大見山を眺められました。頂上に展望台という目印があって、分かりやすかったです。
その展望台が思いのほか小さく見えて、望遠レンズでアップにして撮影したのがこちら。展望台から諏訪の街並みが良く見えたので、逆に街中からも展望台が見えるのではと思っていたのですが、ここでもうこんな小さな見え方だったら、街まで下りたらまず見分けられないだろうと思い直したり(それを確かめてはいませんが)。
車道を歩くこと約30分、ようやく最初の人家が現れました。ここで、右手の斜面の下には立ち寄るつもりの立石さくら広場が見えてきていましたが、ガードレールが切れ目なく続いていて、上からは入れないみたい。
そこでヘアピンカーブを1度折り返してから、ここで車道を外れて公園内に入りました。
立石さくら広場で足を休めていくことに。大見山を下り始めて以来、休憩を全く取っていませんでしたし。
立石さくら広場のベンチで、諏訪湖や諏訪市街を眺めながら、少しゆっくり過ごしています。


立石さくら広場を後にすると、車道は次第に市街地へと入っていき、ようやく犬を散歩させている近所の人などを見掛けるようになります。そういえば、朝に高尾山穂見神社で山に取り付いてからここへ下ってくるまでの間は、自分以外のハイカーに全く会うことがなくて、この日は本当に静かな山歩きでした。
街の中心部まではまだ相当の高低差があり、そこを九十九折で下る車道では長い距離を歩かされるので‥‥
  (下を見ると目に入る2本の道路は、どちらも今歩いている道の続きなのです)
歩行者用には別の階段道があって、その最初の入口がここ。民家に接していて入るのが躊躇われましたが、、
下ってみると、共用の通路らしいことが分かって、以降は堂々として通れました。
ほどなく、「登美」という少し知られた様子の蕎麦店の向かいに出てくると、そこは先程まで歩いていた車道の一段下。九十九折を重ねる車道を串刺しするようにして、階段道の続きが車道を渡った先にもありました。
次に車道に出ても、やはりその先に階段道の続きがあって、このあとも同じ光景が何度か繰り返されます。
でも時には車道をそのまま歩く区間もあって、ここではコミュニティバスの「立石町」バス停の脇を通過。
さらに車道を少し下った先で、ここから再び階段道へ。街の中心部までの高低差も、結構縮まってきたかな?
そう思ったのも束の間、まだまだ階段の下りが続くのでした。これでは、山歩きの延長戦が始まったようなもので、舗装されたり石畳だったりして路面が硬い分、山道よりも衝撃が強くて足への負担も大きかったです。
長く続いたそんな階段道にもようやく終わりが見えてきました。やれやれ。
最後に駅前にある商業施設「アーク諏訪」の裏手に出たら、施設内を突っ切れるようなので敷地の中へ。
すると上諏訪駅前の交差点の真ん前に出られて、あとは横断歩道を渡るだけでした。

そういえば、下山途中で何度か道標に現れた「立石展望台」について、結局分からないままになっていたので少し調べてみたところ、休憩で立ち寄った「立石さくら広場」のすぐ下にある「立石公園」に、日時計が立てられた展望台があるらしく、恐らくそこのことを指しているのではないかと考えています。車道を串刺しにしてショートカットする階段道が「立石公園」を通らなかったため、現地は見ないで終わったことになりますが。
※ネットを探しても、そこを「立石展望台」と表記する記事は皆無でしたが、「立石公園」を「立石展望公園」とする記事なら少数ながら見つかりますから、地域の人たちの間で「立石展望台」と呼ばれることがあったとしても不自然ではなさそうに思えました。

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全山行の一覧マップが完成しました! [雑感]

2023/10/28(土)

これまでに、各回ごとのコース図や日本三百名山のマップを Leaflet API で作成してきましたが、懸案だった全山行の一覧マップがついに完成しました。

マップ内の番号をクリックすると、各山行の年月日やコースなどの詳細と、山行記録へのリンクがポップアップ表示され、そこから各山行の記事に直接飛べるので、目次の代わりにもなって機能性はほぼ十分。
しかも、歩いた本人だから、ということもあるでしょうが、これが眺めているだけでも結構楽しめるのです。見た目の良さもありつつ、実用性も兼ね備えられたことで、概ね満足できる出来栄えになったと思います。

そのマップがこちら。

大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

難点を挙げれば、マップ内では現時点でも500個近い番号アイコンが大渋滞、縮尺を変えなければ見えない番号が大半ですし、ポップアップ表示も地図の大半を覆い隠すなど、このブログの横幅のままで使うには少々無理があるのを否めませんので、ぜひマップ左下のリンクから、大きな地図を別ウインドウで開いてご覧下さい。

さらに欲を言えば、番号アイコンをクリックして詳細情報をポップアップ表示した時に、その山行で歩いたコース(=GPSログ)まで表示できれば理想的だと思っているのですが、
●クリック時に実行されるイベントで、クリックされたのがどの番号アイコンだったかを知る術が不明
●一度表示したGPSログの消し方も分からず、番号アイコンを次々とクリックしていくと、それらのログ全部が同時に表示される事態になってしまう
といった問題が解決できず、今回の公開時点でGPSログの表示を盛り込むのは諦めました。今後の宿題です。

さて、あとで別館のウェブサイトの地図も更新しておかなければ。あちらではもう少し大きなサイズで表示できるので、こちらよりもいくらか見やすい印象をもってご覧頂けることでしょう。

タグ:雑感
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入笠山 [南アルプス]

2023/10/13(金)

■第470回 : 入笠山(1955m)


この日は、ゴンドラに乗って手軽に登ることができる山頂から、全方位に大展望が広がる入笠山へ。南アルプスの最北端に位置する独立峰では、2,000mを少々下回る程度の標高ながら、抜群の満足度が得られました。

山頂に立てば、周囲には北・中央・南の日本アルプス全部に加え、八ヶ岳や富士山など名だたる名峰が勢揃い。
(こんな山並みに360度囲まれて、どちらを向いても山また山。山頂標識の左は御嶽山、右は北アルプス最南端の乗鞍岳。)

そして入笠湿原や大阿原湿原では、草紅葉の彩りに、ひと足早く深まる秋の気配を満喫(写真は大阿原湿原)

 累積標高差(登り):610m / 距離:11.3km / 歩行時間:3時間15分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録域外か、非掲載の登山道を含む) 

(往路)
古淵 05:27-05:49 八王子 06:04-06:10 高尾
高尾 06:15-08:39(遅延08:49) すずらんの里

(徒歩行程 = 標高差:約135m / 距離:約2.6km ※上枠内の標高差等の計測には含めず
すずらんの里駅     08:50
富士見パノラマリゾート 09:25

(ゴンドラ利用)
山麓駅 09:36-09:50 山頂駅

(登山行程)
ゴンドラ山頂駅  09:55
マナスル山荘   10:15
入笠山      10:35-10:55
首切清水     11:07
大阿原湿原(北端) 11:15
テイ沢分岐    11:25
テイ沢下端    11:55
高座岩      12:15-12:25
御所平峠     12:40
マナスル山荘   13:10
ゴンドラ山頂駅  13:30
八ヶ岳展望台   13:35-13:45
ゴンドラ山頂駅  13:50

(復路)
山頂駅 14:01-14:15 山麓駅 15:00-15:10 富士見駅
富士見 15:29-15:37 小淵沢 15:58-17:28 八王子
八王子 17:43-18:07 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

 【 序章 】アプローチ編 

2007年には富士見駅から歩いて登り、下りもすずらんの里駅まで歩き通した入笠山も、15年以上の歳月を経て還暦も近い今の私に同じようなことをする気が起こる訳もなく、今回はバスとゴンドラを利用することに。

その場合、無料の送迎バスが、行きは富士見駅10:00発、帰りは富士見パノラマリゾート15:00発なので、ゴンドラへの乗り継ぎなどを考えると、山の上で行動できるのは4時間ほどになりそう。入笠山を登り下りするだけならもちろん、ついでに巡る人も多い大阿原湿原への寄り道を加えても、時間には余裕があることでしょう。

しかしこの日の計画は、大阿原湿原からテイ沢を下って高座岩と御所平峠を巡る、やや長めのコース。それでも全てが順調に運べばその時間で十分そうな一方で、入る人の少ないコースだけに道の整備が万全ではなく歩きにくくて時間を取られるかもしれませんし、そうでなくても終始時計を気にして歩くのは避けたいところです。

そこで、行動時間をいくらか増やしておこうと、少し早めの(といっても30~40分ほど)ゴンドラに乗ることを目指して、行きは送迎バスを利用せずに自分の足で富士見パノラマリゾートへ向かうことにしました。

ところが、乗った電車が梁川-鳥沢間で緊急停止するアクシデントが発生。シカと衝突したとかで停車時間は約20分に及び、この調子では頑張って歩いても送迎バス利用時と変わらなくなってしまうと気が気ではありませんでした。幸いに運転再開後は遅延を取り戻しつつ走ってくれたらしく、すずらんの里駅には10分ほどの遅れで到着し、なんとか当初の計画を変えずに進められています。


てな訳で、すずらんの里駅からスタート。ホームへの階段の出入口があるだけで、駅舎のない簡素な駅でした。
進行方向には入笠山。でも麓から見えるのはゴンドラの駅がある手前のピークなどで、山頂は見られない模様。
駅からしばらくの間は、入笠山を正面に見ながらの登り坂です。富士見パノラマリゾートまで、約2.6kmで約135mの標高差を登る道のりも、人家が点在するエリアで車道を歩いているうちは緩やかな勾配でした。ただ、徒歩で富士見パノラマリゾートへ向かうことは想定されていないらしく、途中に道案内は全く見られません。
振り返れば八ヶ岳の全貌が(この左にはもちろん蓼科山も)。麓からこれなら、山頂での展望にも期待大です。
右手に森が迫ってくると、ここで左手に現れるメゾン・ド・ビュー八ヶ岳が最後の建物になりました。
舗装された車道はそのすぐ先で終わります。道が森の中へ入って砂利道に変わるとともに、勾配も少しキツくなる中を、電車が遅れた10分を取り戻そうと若干ペースを上げて歩いていたら、じきに汗ばんできました。
森の中へ入ってすぐの分岐点(上の写真で奥に見えている突き当たり)には、道標が立っていましたが、道案内があったのはここだけ。その後の道の分岐には何も案内はなく、以降は勘を頼りに進むことになります。
鹿柵を開閉してさらに進みます。このあたりまで来ると、観光地で良く流されているようなBGMっぽい音楽が風に乗って聞こえてくるようになって、目的地に近付いていることを感じながら歩けるようになりました。
森の中から抜ければ、間もなく富士見パノラマリゾートの一角、ゴンドラの駅とチケット売場とのほぼ中間の地点に出ました。ゴンドラは右方向ですが、先にチケットを購入する必要があるので一旦左へ。なお写真左端に立っていたのは道標で、記憶が曖昧ですが確かすずらんの里駅に行けることが書かれていたような。
こちらでゴンドラのチケットを購入します。無料送迎バスよりも、45分くらい早く着けたかな。
チケット売場から4~5分でゴンドラの山麓駅へ。平日だけに空いていて、すぐに乗れました。
15分近くかけて、約750mの標高差を登ってくれます。下の地面にゴンドラに沿って登山道らしいものが見られたので、山頂駅への到着後に確認したところ、マウンテンバイク専用のコースで歩きでは通れない道でした。


 【 本章 】登山編 

ゴンドラの山頂駅から、いよいよ山歩きの始まりです。
駅前からは、八ヶ岳の全部の峰々を近い距離から一望できるのが迫力満点です。近くに「八ヶ岳展望台」なるものがあるみたいなので、山歩きを終えて戻ってきた際に時間の余裕があれば、行ってみることにしよう。
いくつか選択肢がある中から、往路は森の中を山道で抜けて行くコースをチョイス。
森を抜けた先に広がっていた入笠湿原は、一面の草紅葉になっていました。
写真右上から木道で下ってきた入笠湿原を振り返ります。草紅葉は、肉眼では少々くすんだ色合いに感じられて、現地ではさほど綺麗には見えていなかったのに、写真にしてみたら案外いい感じになっているような。
その後も森の中の山道を選んで進みます。平坦な林道よりも余計な登り下りはあるものの、心地良く歩けます。
マナスル山荘前に到着しました。建物は2つあり、天文ドームのある左側が「マナスル山荘 新館(天文館)」、右側は「マナスル山荘 本館」だったのがこの4月の改称で「ヒュッテ入笠」となるも、今も随所に「マナスル山荘 本館」の文字が。そしてこれら2つは、それぞれ経営者が異なる全く別の施設らしくてややこしい。


登山としては、やっとここからが本番って感じ。といっても標高差150m少々、20~30分で登れてしまいます。
マナスル山荘前までの遊歩道的な道から、れっきとした登山道に変わり、それなりの勾配を登っていきます。
途中には岩場コースと迂回コースの分岐。右の岩場コースも大したことがないと分かっているので、そちらへ。
そう、何箇所か短い岩場はあるものの、どこも概ねこんな具合に岩が階段状に露出している程度で、普通に歩くだけで手を使うこともなく通過できるのです。迂回路が必要とされるとすれば積雪期くらいでしょうか。


入笠山の山頂に到着しました。訪れるのが3回目なので良く知っていたけれど、いやはや、すごい展望です。
360度ほぼ全部の方角に錚々たる山々が並び、どちらを向いても壮観です。周囲に樹木など視界を遮るものがほぼなくて、それらの全容をスッキリと眺められるのも素晴らしい。絶好の秋晴れにも恵まれ、雲に邪魔されることもなく、見られるべきほとんどのピークがちゃんと顔を出しています。まだ少し暖かさも残る時期だけに、空気が若干霞んで遥か遠方の眺めが少々鮮明さを欠いていた程度ですから、それはもう見事なパノラマでした。
ここから、そんな圧巻の展望を右回りにぐるりと見る形で並べることに。人の少ない平日に来られただけに、好きなタイミングで好きなように動けて、写真への人の写り込みを最小限に抑えられたことも何よりでした。
まずは北東側の、八ヶ岳を中心とした眺めです。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
八ヶ岳の南部を少し大きめに。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
その右には富士山と南アルプス。こちらは手前に山があって、どの山も頂上部が顔を出している程度でしたが。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
富士山と南アルプスも少し大きめに。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
さらに右、西側には中央アルプスや御嶽山などが。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
中央アルプスも少し大きくしてみました。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
そして北西側には北アルプスの名峰がズラリと並び、北側には美ヶ原や霧ヶ峰も。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
北アルプスも南部は割としっかりと見えていて、遠いながらも迫力すら感じられました。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
北アルプス南部の核心部をさらに大きく。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
北アルプスの北部はギリギリ見えていた感じで、さすがにこのエリアはもう雪の世界のようですね。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
最後に、とても好きなエリアなので、北側の美ヶ原・霧ヶ峰周辺にもスポットを当てておきました。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。


まだ先に少し長めの行程を残しているので、いつまでも眺めていたい思いを断ち切って、山頂を後にします。大阿原湿原に向けて少し下ると、先程登って来る途中で見送っていた岩場迂回コースとの分岐点を通過。
その後はほぼ一直線に下っていく具合でした。比較的穏やかな傾斜で楽に歩けます。
一旦車道に出た地点が首切清水でした。
首切清水にはベンチがたくさん。
首切清水から大阿原湿原へは、山道でも車道でも向かえるようです。山道の入口にはぬかるみ注意の看板が。
でも小さな沢を横断する2箇所に、いくらかぬかるみが見られた程度で、この日は全く問題なしでした。
やがて道の右手の景色が深い森ではなくなって湿原っぽくなってくると‥‥


大阿原湿原に出ました。湿原のほぼ北端に位置するこの地点には、ベンチを備えたデッキがあります。
入笠湿原がやや小振りだったのに対して、大阿原湿原はかなりの広さがあって、それが一面の草紅葉でした。
大阿原湿原はその外周を木道でぐるっと回ることができ、そのうち西側の木道で半周だけしていきます。
草紅葉が綺麗。ここも入笠湿原と同様、現地では色褪せた印象だったのに、写真では色鮮やかに見えて不思議。
木道を南へ進むにつれて、対岸の山裾が近くなり、湿原の幅が狭くなってきたことが分かりました。
テイ沢への分岐点まで来ました。ここで大阿原湿原からは離れて、テイ沢を下る道に入ります。
分岐点に立っていた「入笠山ガイド」と題された案内図。今回歩いたのは、この図の赤線コースに、さらに高座岩や御所平峠への寄り道も加えたもので、一般的には紹介されることの少ないコースになります。
    ※ブログサイズに縮小した写真では文字が潰れたため、大きな写真を こちら に。


ここから先は歩く人が相当少ないエリアになりそうで、特に今日までの平日の間はほとんど入った人がないに違いなく、久々に(私の記憶が確かなら2017年の美ヶ原・焼山沢以来か?)熊鈴を鳴らしながら進むことに。
そうしてササの濃い道を下り始めた途端、上がってきた単独行の男性とすれ違ったのが意外すぎましたけれど、でもそれ以降は全く人の気配がなくて、再び入笠山エリアに戻るまで、もう誰ひとり見掛けませんでした。
濃いササは、時として下道を覆い隠すほどに。見えない道には段差とか泥濘とかが結構あったりしたので、こうなると一歩ずつ探りながら進むようでした。時間に余裕がある計画を組んできておいて良かった。。。
しばらく続いたササの濃い道も、沢のすぐそばを通るようになると、普通に歩けるようになります。
と思ったら、倒木が道を塞いだままだったりして、やはり歩く人が少ないと、整備も手薄になりがちなのかな。
でも清々しい景色の中を進むのはとても気持ちが良くて、ここをコースに含めて良かったと思いました。
が、道の様子のほうは全然よろしくなくて、最初に沢を渡る箇所などは丸太が雑に置かれていただけ。その丸太も傷みが進んでいたから、ドボンしないようソロリソロリと通るしかなく、これでは先が思いやられます。
そこからしばらく左岸を進む間は穏やかな道が続き、こうなると沢音も心地良く聞こえて気分も軽やかに。
その先で右岸に戻る箇所は、飛び石での渡渉になりました。ここは水量が多ければ靴を濡らしたり、最悪だと渡るのを躊躇う状況だってあり得るかもしれません。こんな感じに、やや心許ない道の様子が続きましたが‥‥
次に沢を渡る所には立派な木橋が。これは有難い。比較的新しく見えるので、割と最近に整備されたのかも。
実はこの先では、沢を渡る全ての箇所に木橋が架かっていて、以降は何の問題もなく歩ける道となりました。
沢を渡る5箇所目には、3つ目の木橋が。橋と橋との間で沢岸を進む間も、特に歩きにくい箇所はなく、沢沿いを下る道としてはありふれた様相でしたから、あとは沢の下端まで順調に歩けています。
沢に架かる全ての木橋で写真を撮っていたので、4つ目~6つ目の木橋をまとめて。
最後となった7つ目の木橋は、テイ沢の本流ではなく、支沢を渡るものでした。
その後、沢から少し離れて進むようになると‥‥
ほどなく林道に突き当たって、テイ沢を下る道はここまでとなります。ところで先程見た案内図には、沢の途中に「三筋の滝」や「観音岩」など5箇所の見所があるように書かれていたのに、それぞれの場所では標識等による案内などが何もなかったらしく、そのどれもが全く分からずじまいだったのが残念でした。

帰宅後に調べていて分かったことですが、テイ沢に架けられていたいくつもの木橋は、すべて入笠牧場の管理人さんがボランティアで設置して下さったものらしい。
あれらの橋がなければ、恐らく安全には歩けないコースでしたから、それが個人の方の尊い志によって成り立っていることには感謝しかありません。
 
ただ少し違和感を覚えたのは、分岐点にあった「入笠山ガイド」なる案内図で、テイ沢沿いの道が「遊歩道」という表現で、あたかも普通に歩ける道のように書かれていたことです。
その案内図は設置者が「入笠山観光連絡協議会」でしたから、「遊歩道」として記載した以上、その道の維持管理についても設置者の団体(?)において責任を持つべきではないでしょうか。少なくとも、個人による奉仕に頼っている現状は健全とは言えないように思います。
 
[ネットによる簡単な検索で得られた情報(だから信憑性も定かではありません)だけを元にした感想なので、認識が誤っていましたら申し訳ありません]


そこからは林道を少しの間だけ歩きます。先程の分岐にあった案内図によると、黒河内林道というらしい。
5~6分も歩くと、左に山道が分かれます。「入笠山ガイド」の案内図で「北原新道入口」となっていた地点。
そこからは、「北原新道」と書かれた道に入り、まずは高座岩を目指します。
「北原新道」はササの急斜面を強引に横切る具合に進みます。所々で急な登りになる上、しばしば足元も悪くなる狭い道で、歩きにくさが終始つきまといます。地面のコンディションが良好でない時に通るのは大変かも。
苦しい登りの途中で、細い林道(の跡?)のようなものを突っ切ったら、さらに上へ。
林道跡(?)より上では、足元の悪さがなくなって歩きにくさは収まるものの、急登はほぼそのままでした。
稜線が近付くとT字路に突き当たり、分岐点には登ってきた道を示す道標(=下る人向け)だけでしたが‥‥
少し左に行ったところには鹿嶺高原へのトレッキングコースの標識が。なので高座岩へは右なのでしょう。
さらに登るとまた分岐。地面に「高座岩」の標識が置かれていただけで方向が不明ですが、直感で今度は左へ。


すると稜線に上がって、いくつもの石塔が鎮座している大岩の裏に出ました。それが高座岩のようです。
正面に回ると、石塔には日朝上人なる人物の霊跡であることが刻まれていて、近くには解説板もありました。
少し離れた所には三角点も設置されています。等級は四等で、点名はまさに「高座岩」。
高座岩では西側が大きく開けていて、中央アルプスや御嶽山などの山並みを眺められる、居心地の良いところでした。ほかに誰も来そうになく静かにゆったりと過ごせそうなので、ここで少し休憩していきます。


稜線直下の分岐に戻ったら、そこから御所平峠へ向けて北上して行きます。
ここは稜線に沿ってずっと樹木が除かれているので、防火帯なのでしょう。そこを進む道は、何度か軽いアップダウンを繰り返す程度でとても歩きやすく、開放的で明るい景色に気分も上々でした。
ほどなく前方に多数の岩がひしめく小ピークが現れて、一旦左に巻くようにしたのち、そこに登り詰めます。
小ピークには高見岩の標識が。これだと標識の傍らの岩(さほど大きくない)が高見岩とも受け取れますが‥‥
ここはかつての見張り場の跡らしく、だから高見岩というのもピーク全体を総称した呼び名なのでしょう。
高見岩を少し通り過ぎたところから振り返ります。岩がゴツゴツしていたのは南側の斜面だけで、そこを上がってしまえば、ササ原が広がる割と穏やかな見た目のピークでした。
以前は近くに小屋もあったらしい。またこのあたりの道は、日蓮宗の伊那地方への布教のため、身延山から多くの僧侶が通った古道とされ、法華道と呼ばれているようです。
高見岩を過ぎると、わずかな距離で分岐点に差し掛かります。
そこが御所平峠。「法華道 御所平峠」「右 芝平」「左 高見岩」と刻まれた立派な石標のほか、「道中安全地蔵菩薩」などと刻まれた石碑とともに地蔵尊が祀られています。
左折すると法華道で伊那市側の芝平集落へ下るようですが、私は「牧場を経て登山口へ」の案内に従って右へ。
ササの斜面を穏やかな傾斜で下っていきます。
やがて右下にほぼ並行する具合の林道を見下ろすようになると、下るにつれて徐々にそれが近付いてきます。
5分ほどの下りで林道に合わさりました。高座岩へ登る前まで歩いていた、黒河内林道に戻ったきたのです。
下ってきた道を林道上から振り返りました。ここがテイ沢分岐の案内図で「法華道入口」とされていた地点。


あとは入笠山エリアまでこの林道をたどるだけですが、とても緩やかな勾配とはいえ、ずっと登りが続きます。
林道は入笠牧場の中へ続いているのに、入口のゲートは固く閉ざされていています。でもそこには登山者向けのメッセージが添えられ、ゲートを乗り越えて進むよう書かれていたので、それに従って跨いで通過しました。
入笠牧場に入ると、砂利道から舗装道路に変わります。左右の牧草地には、この時は何もいなかったような。
舗装道路になって、硬い路面で足の疲労が急速に増していくことに。すずらんの里駅からトータルすると結構な距離を歩いてきた上で、車道の緩い坂とはいえ登りが長いこと続いて、少し苦しくなってきました。
そんな中でも、時折左手に槍・穂高など北アルプスの眺望が広がって、いくらか気分を持ち直させてくれます。その手前に見える穏やかで開放的なピークは貴婦人の丘あたりでしょうか。行っても入れないらしいけれど。
マナスル山荘前まで戻ってきたところで、久々に人の姿を見ました。熊鈴の出番もここでおしまいです。
往路では山道を歩いたので、復路は林道を進みます。どちらを選んでも、途中で一旦入笠湿原に下るのは一緒。
ゴンドラの山頂駅まで戻ってきました。ハイカーなら山を下りる人ばかりになっているこの時間でも、バイクの人たちはまだ続々と上がってきている感じ。ゴンドラの1日券とかで何度も登り下りを楽しんでいるのかな。

さて、不安だったテイ沢の下りもほぼ順調に歩けて、帰りのバスの待ち時間を1時間以上も残せました。
結果的には、来る時も無料の送迎バスを利用しても大丈夫だった計算ですが、でもそれだと最初からタイトなスケジュールですから、時間を気にして少し速足になったりと余裕のない歩き方になったでしょうし、それが無用のトラブルを生まないとも限らないので、余裕のある計画を立てておいたのは正解だったと思います。


時間があるので最後に、来た時に気になっていた八ヶ岳展望台に寄って行くことに。距離が近い代わりに思いのほか下りますから、そこに行くならばある程度余力を残しておかないと、帰りが少しキツいかもしれません。
5分ほど下ると、八ヶ岳展望台が見えてきました。その名に違わず、そこからは八ヶ岳の全貌を一望です。
こちらが八ヶ岳展望台からの眺めです。すぐ正面に連なる八ヶ岳は、あたかも手に取るような見え方でした。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
八ヶ岳の核心部を少し大きめに。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
八ヶ岳の右側には、奥秩父の山々と富士山や南アルプスなども眺められました。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
ゴンドラで下った後は、無料送迎バスのバス停へ。この日の帰りの便の乗客は、ひとケタ台の人数でした。
バスを待つ間にショップでお買い物。
入笠山の名物を何も思い付かず、きっと長野県内で良く見るような物ばかりだろうと思っていたら、「雷鳥の里」や「みすゞ飴」などの定番商品が並ぶ中に、ひとつだけ「入笠」の名前が入ったお菓子を発見。
つい購入した「母衣の春花 入笠アツモリ饅頭」は、釜無ホテイアツモリソウ(絶滅危惧種で、入笠山の実験園で保護活動が行われている)に由来するらしい名前の和菓子。白あんにジャガイモを合わせたという、ホクホクした口あたりの「イモ餡」が特徴的で、独特な味わいを楽しめました。程よい甘味で美味しかったです。


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