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入笠山 [南アルプス]

2023/10/13(金)

■第470回 : 入笠山(1955m)


この日は、ゴンドラに乗って手軽に登ることができる山頂から、全方位に大展望が広がる入笠山へ。南アルプスの最北端に位置する独立峰では、2,000mを少々下回る程度の標高ながら、抜群の満足度が得られました。

山頂に立てば、周囲には北・中央・南の日本アルプス全部に加え、八ヶ岳や富士山など名だたる名峰が勢揃い。
(こんな山並みに360度囲まれて、どちらを向いても山また山。山頂標識の左は御嶽山、右は北アルプス最南端の乗鞍岳。)

そして入笠湿原や大阿原湿原では、草紅葉の彩りに、ひと足早く深まる秋の気配を満喫(写真は大阿原湿原)

 累積標高差(登り):610m / 距離:11.3km / 歩行時間:3時間15分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録域外か、非掲載の登山道を含む) 

(往路)
古淵 05:27-05:49 八王子 06:04-06:10 高尾
高尾 06:15-08:39(遅延08:49) すずらんの里

(徒歩行程 = 標高差:約135m / 距離:約2.6km ※上枠内の標高差等の計測には含めず
すずらんの里駅     08:50
富士見パノラマリゾート 09:25

(ゴンドラ利用)
山麓駅 09:36-09:50 山頂駅

(登山行程)
ゴンドラ山頂駅  09:55
マナスル山荘   10:15
入笠山      10:35-10:55
首切清水     11:07
大阿原湿原(北端) 11:15
テイ沢分岐    11:25
テイ沢下端    11:55
高座岩      12:15-12:25
御所平峠     12:40
マナスル山荘   13:10
ゴンドラ山頂駅  13:30
八ヶ岳展望台   13:35-13:45
ゴンドラ山頂駅  13:50

(復路)
山頂駅 14:01-14:15 山麓駅 15:00-15:10 富士見駅
富士見 15:29-15:37 小淵沢 15:58-17:28 八王子
八王子 17:43-18:07 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

 【 序章 】アプローチ編 

2007年には富士見駅から歩いて登り、下りもすずらんの里駅まで歩き通した入笠山も、15年以上の歳月を経て還暦も近い今の私に同じようなことをする気が起こる訳もなく、今回はバスとゴンドラを利用することに。

その場合、無料の送迎バスが、行きは富士見駅10:00発、帰りは富士見パノラマリゾート15:00発なので、ゴンドラへの乗り継ぎなどを考えると、山の上で行動できるのは4時間ほどになりそう。入笠山を登り下りするだけならもちろん、ついでに巡る人も多い大阿原湿原への寄り道を加えても、時間には余裕があることでしょう。

しかしこの日の計画は、大阿原湿原からテイ沢を下って高座岩と御所平峠を巡る、やや長めのコース。それでも全てが順調に運べばその時間で十分そうな一方で、入る人の少ないコースだけに道の整備が万全ではなく歩きにくくて時間を取られるかもしれませんし、そうでなくても終始時計を気にして歩くのは避けたいところです。

そこで、行動時間をいくらか増やしておこうと、少し早めの(といっても30~40分ほど)ゴンドラに乗ることを目指して、行きは送迎バスを利用せずに自分の足で富士見パノラマリゾートへ向かうことにしました。

ところが、乗った電車が梁川-鳥沢間で緊急停止するアクシデントが発生。シカと衝突したとかで停車時間は約20分に及び、この調子では頑張って歩いても送迎バス利用時と変わらなくなってしまうと気が気ではありませんでした。幸いに運転再開後は遅延を取り戻しつつ走ってくれたらしく、すずらんの里駅には10分ほどの遅れで到着し、なんとか当初の計画を変えずに進められています。


てな訳で、すずらんの里駅からスタート。ホームへの階段の出入口があるだけで、駅舎のない簡素な駅でした。
進行方向には入笠山。でも麓から見えるのはゴンドラの駅がある手前のピークなどで、山頂は見られない模様。
駅からしばらくの間は、入笠山を正面に見ながらの登り坂です。富士見パノラマリゾートまで、約2.6kmで約135mの標高差を登る道のりも、人家が点在するエリアで車道を歩いているうちは緩やかな勾配でした。ただ、徒歩で富士見パノラマリゾートへ向かうことは想定されていないらしく、途中に道案内は全く見られません。
振り返れば八ヶ岳の全貌が(この左にはもちろん蓼科山も)。麓からこれなら、山頂での展望にも期待大です。
右手に森が迫ってくると、ここで左手に現れるメゾン・ド・ビュー八ヶ岳が最後の建物になりました。
舗装された車道はそのすぐ先で終わります。道が森の中へ入って砂利道に変わるとともに、勾配も少しキツくなる中を、電車が遅れた10分を取り戻そうと若干ペースを上げて歩いていたら、じきに汗ばんできました。
森の中へ入ってすぐの分岐点(上の写真で奥に見えている突き当たり)には、道標が立っていましたが、道案内があったのはここだけ。その後の道の分岐には何も案内はなく、以降は勘を頼りに進むことになります。
鹿柵を開閉してさらに進みます。このあたりまで来ると、観光地で良く流されているようなBGMっぽい音楽が風に乗って聞こえてくるようになって、目的地に近付いていることを感じながら歩けるようになりました。
森の中から抜ければ、間もなく富士見パノラマリゾートの一角、ゴンドラの駅とチケット売場とのほぼ中間の地点に出ました。ゴンドラは右方向ですが、先にチケットを購入する必要があるので一旦左へ。なお写真左端に立っていたのは道標で、記憶が曖昧ですが確かすずらんの里駅に行けることが書かれていたような。
こちらでゴンドラのチケットを購入します。無料送迎バスよりも、45分くらい早く着けたかな。
チケット売場から4~5分でゴンドラの山麓駅へ。平日だけに空いていて、すぐに乗れました。
15分近くかけて、約750mの標高差を登ってくれます。下の地面にゴンドラに沿って登山道らしいものが見られたので、山頂駅への到着後に確認したところ、マウンテンバイク専用のコースで歩きでは通れない道でした。


 【 本章 】登山編 

ゴンドラの山頂駅から、いよいよ山歩きの始まりです。
駅前からは、八ヶ岳の全部の峰々を近い距離から一望できるのが迫力満点です。近くに「八ヶ岳展望台」なるものがあるみたいなので、山歩きを終えて戻ってきた際に時間の余裕があれば、行ってみることにしよう。
いくつか選択肢がある中から、往路は森の中を山道で抜けて行くコースをチョイス。
森を抜けた先に広がっていた入笠湿原は、一面の草紅葉になっていました。
写真右上から木道で下ってきた入笠湿原を振り返ります。草紅葉は、肉眼では少々くすんだ色合いに感じられて、現地ではさほど綺麗には見えていなかったのに、写真にしてみたら案外いい感じになっているような。
その後も森の中の山道を選んで進みます。平坦な林道よりも余計な登り下りはあるものの、心地良く歩けます。
マナスル山荘前に到着しました。建物は2つあり、天文ドームのある左側が「マナスル山荘 新館(天文館)」、右側は「マナスル山荘 本館」だったのがこの4月の改称で「ヒュッテ入笠」となるも、今も随所に「マナスル山荘 本館」の文字が。そしてこれら2つは、それぞれ経営者が異なる全く別の施設らしくてややこしい。


登山としては、やっとここからが本番って感じ。といっても標高差150m少々、20~30分で登れてしまいます。
マナスル山荘前までの遊歩道的な道から、れっきとした登山道に変わり、それなりの勾配を登っていきます。
途中には岩場コースと迂回コースの分岐。右の岩場コースも大したことがないと分かっているので、そちらへ。
そう、何箇所か短い岩場はあるものの、どこも概ねこんな具合に岩が階段状に露出している程度で、普通に歩くだけで手を使うこともなく通過できるのです。迂回路が必要とされるとすれば積雪期くらいでしょうか。


入笠山の山頂に到着しました。訪れるのが3回目なので良く知っていたけれど、いやはや、すごい展望です。
360度ほぼ全部の方角に錚々たる山々が並び、どちらを向いても壮観です。周囲に樹木など視界を遮るものがほぼなくて、それらの全容をスッキリと眺められるのも素晴らしい。絶好の秋晴れにも恵まれ、雲に邪魔されることもなく、見られるべきほとんどのピークがちゃんと顔を出しています。まだ少し暖かさも残る時期だけに、空気が若干霞んで遥か遠方の眺めが少々鮮明さを欠いていた程度ですから、それはもう見事なパノラマでした。
ここから、そんな圧巻の展望を右回りにぐるりと見る形で並べることに。人の少ない平日に来られただけに、好きなタイミングで好きなように動けて、写真への人の写り込みを最小限に抑えられたことも何よりでした。
まずは北東側の、八ヶ岳を中心とした眺めです。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
八ヶ岳の南部を少し大きめに。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
その右には富士山と南アルプス。こちらは手前に山があって、どの山も頂上部が顔を出している程度でしたが。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
富士山と南アルプスも少し大きめに。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
さらに右、西側には中央アルプスや御嶽山などが。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
中央アルプスも少し大きくしてみました。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
そして北西側には北アルプスの名峰がズラリと並び、北側には美ヶ原や霧ヶ峰も。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
北アルプスも南部は割としっかりと見えていて、遠いながらも迫力すら感じられました。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
北アルプス南部の核心部をさらに大きく。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
北アルプスの北部はギリギリ見えていた感じで、さすがにこのエリアはもう雪の世界のようですね。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
最後に、とても好きなエリアなので、北側の美ヶ原・霧ヶ峰周辺にもスポットを当てておきました。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。


まだ先に少し長めの行程を残しているので、いつまでも眺めていたい思いを断ち切って、山頂を後にします。大阿原湿原に向けて少し下ると、先程登って来る途中で見送っていた岩場迂回コースとの分岐点を通過。
その後はほぼ一直線に下っていく具合でした。比較的穏やかな傾斜で楽に歩けます。
一旦車道に出た地点が首切清水でした。
首切清水にはベンチがたくさん。
首切清水から大阿原湿原へは、山道でも車道でも向かえるようです。山道の入口にはぬかるみ注意の看板が。
でも小さな沢を横断する2箇所に、いくらかぬかるみが見られた程度で、この日は全く問題なしでした。
やがて道の右手の景色が深い森ではなくなって湿原っぽくなってくると‥‥


大阿原湿原に出ました。湿原のほぼ北端に位置するこの地点には、ベンチを備えたデッキがあります。
入笠湿原がやや小振りだったのに対して、大阿原湿原はかなりの広さがあって、それが一面の草紅葉でした。
大阿原湿原はその外周を木道でぐるっと回ることができ、そのうち西側の木道で半周だけしていきます。
草紅葉が綺麗。ここも入笠湿原と同様、現地では色褪せた印象だったのに、写真では色鮮やかに見えて不思議。
木道を南へ進むにつれて、対岸の山裾が近くなり、湿原の幅が狭くなってきたことが分かりました。
テイ沢への分岐点まで来ました。ここで大阿原湿原からは離れて、テイ沢を下る道に入ります。
分岐点に立っていた「入笠山ガイド」と題された案内図。今回歩いたのは、この図の赤線コースに、さらに高座岩や御所平峠への寄り道も加えたもので、一般的には紹介されることの少ないコースになります。
    ※ブログサイズに縮小した写真では文字が潰れたため、大きな写真を こちら に。


ここから先は歩く人が相当少ないエリアになりそうで、特に今日までの平日の間はほとんど入った人がないに違いなく、久々に(私の記憶が確かなら2017年の美ヶ原・焼山沢以来か?)熊鈴を鳴らしながら進むことに。
そうしてササの濃い道を下り始めた途端、上がってきた単独行の男性とすれ違ったのが意外すぎましたけれど、でもそれ以降は全く人の気配がなくて、再び入笠山エリアに戻るまで、もう誰ひとり見掛けませんでした。
濃いササは、時として下道を覆い隠すほどに。見えない道には段差とか泥濘とかが結構あったりしたので、こうなると一歩ずつ探りながら進むようでした。時間に余裕がある計画を組んできておいて良かった。。。
しばらく続いたササの濃い道も、沢のすぐそばを通るようになると、普通に歩けるようになります。
と思ったら、倒木が道を塞いだままだったりして、やはり歩く人が少ないと、整備も手薄になりがちなのかな。
でも清々しい景色の中を進むのはとても気持ちが良くて、ここをコースに含めて良かったと思いました。
が、道の様子のほうは全然よろしくなくて、最初に沢を渡る箇所などは丸太が雑に置かれていただけ。その丸太も傷みが進んでいたから、ドボンしないようソロリソロリと通るしかなく、これでは先が思いやられます。
そこからしばらく左岸を進む間は穏やかな道が続き、こうなると沢音も心地良く聞こえて気分も軽やかに。
その先で右岸に戻る箇所は、飛び石での渡渉になりました。ここは水量が多ければ靴を濡らしたり、最悪だと渡るのを躊躇う状況だってあり得るかもしれません。こんな感じに、やや心許ない道の様子が続きましたが‥‥
次に沢を渡る所には立派な木橋が。これは有難い。比較的新しく見えるので、割と最近に整備されたのかも。
実はこの先では、沢を渡る全ての箇所に木橋が架かっていて、以降は何の問題もなく歩ける道となりました。
沢を渡る5箇所目には、3つ目の木橋が。橋と橋との間で沢岸を進む間も、特に歩きにくい箇所はなく、沢沿いを下る道としてはありふれた様相でしたから、あとは沢の下端まで順調に歩けています。
沢に架かる全ての木橋で写真を撮っていたので、4つ目~6つ目の木橋をまとめて。
最後となった7つ目の木橋は、テイ沢の本流ではなく、支沢を渡るものでした。
その後、沢から少し離れて進むようになると‥‥
ほどなく林道に突き当たって、テイ沢を下る道はここまでとなります。ところで先程見た案内図には、沢の途中に「三筋の滝」や「観音岩」など5箇所の見所があるように書かれていたのに、それぞれの場所では標識等による案内などが何もなかったらしく、そのどれもが全く分からずじまいだったのが残念でした。

帰宅後に調べていて分かったことですが、テイ沢に架けられていたいくつもの木橋は、すべて入笠牧場の管理人さんがボランティアで設置して下さったものらしい。
あれらの橋がなければ、恐らく安全には歩けないコースでしたから、それが個人の方の尊い志によって成り立っていることには感謝しかありません。
 
ただ少し違和感を覚えたのは、分岐点にあった「入笠山ガイド」なる案内図で、テイ沢沿いの道が「遊歩道」という表現で、あたかも普通に歩ける道のように書かれていたことです。
その案内図は設置者が「入笠山観光連絡協議会」でしたから、「遊歩道」として記載した以上、その道の維持管理についても設置者の団体(?)において責任を持つべきではないでしょうか。少なくとも、個人による奉仕に頼っている現状は健全とは言えないように思います。
 
[ネットによる簡単な検索で得られた情報(だから信憑性も定かではありません)だけを元にした感想なので、認識が誤っていましたら申し訳ありません]


そこからは林道を少しの間だけ歩きます。先程の分岐にあった案内図によると、黒河内林道というらしい。
5~6分も歩くと、左に山道が分かれます。「入笠山ガイド」の案内図で「北原新道入口」となっていた地点。
そこからは、「北原新道」と書かれた道に入り、まずは高座岩を目指します。
「北原新道」はササの急斜面を強引に横切る具合に進みます。所々で急な登りになる上、しばしば足元も悪くなる狭い道で、歩きにくさが終始つきまといます。地面のコンディションが良好でない時に通るのは大変かも。
苦しい登りの途中で、細い林道(の跡?)のようなものを突っ切ったら、さらに上へ。
林道跡(?)より上では、足元の悪さがなくなって歩きにくさは収まるものの、急登はほぼそのままでした。
稜線が近付くとT字路に突き当たり、分岐点には登ってきた道を示す道標(=下る人向け)だけでしたが‥‥
少し左に行ったところには鹿嶺高原へのトレッキングコースの標識が。なので高座岩へは右なのでしょう。
さらに登るとまた分岐。地面に「高座岩」の標識が置かれていただけで方向が不明ですが、直感で今度は左へ。


すると稜線に上がって、いくつもの石塔が鎮座している大岩の裏に出ました。それが高座岩のようです。
正面に回ると、石塔には日朝上人なる人物の霊跡であることが刻まれていて、近くには解説板もありました。
少し離れた所には三角点も設置されています。等級は四等で、点名はまさに「高座岩」。
高座岩では西側が大きく開けていて、中央アルプスや御嶽山などの山並みを眺められる、居心地の良いところでした。ほかに誰も来そうになく静かにゆったりと過ごせそうなので、ここで少し休憩していきます。


稜線直下の分岐に戻ったら、そこから御所平峠へ向けて北上して行きます。
ここは稜線に沿ってずっと樹木が除かれているので、防火帯なのでしょう。そこを進む道は、何度か軽いアップダウンを繰り返す程度でとても歩きやすく、開放的で明るい景色に気分も上々でした。
ほどなく前方に多数の岩がひしめく小ピークが現れて、一旦左に巻くようにしたのち、そこに登り詰めます。
小ピークには高見岩の標識が。これだと標識の傍らの岩(さほど大きくない)が高見岩とも受け取れますが‥‥
ここはかつての見張り場の跡らしく、だから高見岩というのもピーク全体を総称した呼び名なのでしょう。
高見岩を少し通り過ぎたところから振り返ります。岩がゴツゴツしていたのは南側の斜面だけで、そこを上がってしまえば、ササ原が広がる割と穏やかな見た目のピークでした。
以前は近くに小屋もあったらしい。またこのあたりの道は、日蓮宗の伊那地方への布教のため、身延山から多くの僧侶が通った古道とされ、法華道と呼ばれているようです。
高見岩を過ぎると、わずかな距離で分岐点に差し掛かります。
そこが御所平峠。「法華道 御所平峠」「右 芝平」「左 高見岩」と刻まれた立派な石標のほか、「道中安全地蔵菩薩」などと刻まれた石碑とともに地蔵尊が祀られています。
左折すると法華道で伊那市側の芝平集落へ下るようですが、私は「牧場を経て登山口へ」の案内に従って右へ。
ササの斜面を穏やかな傾斜で下っていきます。
やがて右下にほぼ並行する具合の林道を見下ろすようになると、下るにつれて徐々にそれが近付いてきます。
5分ほどの下りで林道に合わさりました。高座岩へ登る前まで歩いていた、黒河内林道に戻ったきたのです。
下ってきた道を林道上から振り返りました。ここがテイ沢分岐の案内図で「法華道入口」とされていた地点。


あとは入笠山エリアまでこの林道をたどるだけですが、とても緩やかな勾配とはいえ、ずっと登りが続きます。
林道は入笠牧場の中へ続いているのに、入口のゲートは固く閉ざされていています。でもそこには登山者向けのメッセージが添えられ、ゲートを乗り越えて進むよう書かれていたので、それに従って跨いで通過しました。
入笠牧場に入ると、砂利道から舗装道路に変わります。左右の牧草地には、この時は何もいなかったような。
舗装道路になって、硬い路面で足の疲労が急速に増していくことに。すずらんの里駅からトータルすると結構な距離を歩いてきた上で、車道の緩い坂とはいえ登りが長いこと続いて、少し苦しくなってきました。
そんな中でも、時折左手に槍・穂高など北アルプスの眺望が広がって、いくらか気分を持ち直させてくれます。その手前に見える穏やかで開放的なピークは貴婦人の丘あたりでしょうか。行っても入れないらしいけれど。
マナスル山荘前まで戻ってきたところで、久々に人の姿を見ました。熊鈴の出番もここでおしまいです。
往路では山道を歩いたので、復路は林道を進みます。どちらを選んでも、途中で一旦入笠湿原に下るのは一緒。
ゴンドラの山頂駅まで戻ってきました。ハイカーなら山を下りる人ばかりになっているこの時間でも、バイクの人たちはまだ続々と上がってきている感じ。ゴンドラの1日券とかで何度も登り下りを楽しんでいるのかな。

さて、不安だったテイ沢の下りもほぼ順調に歩けて、帰りのバスの待ち時間を1時間以上も残せました。
結果的には、来る時も無料の送迎バスを利用しても大丈夫だった計算ですが、でもそれだと最初からタイトなスケジュールですから、時間を気にして少し速足になったりと余裕のない歩き方になったでしょうし、それが無用のトラブルを生まないとも限らないので、余裕のある計画を立てておいたのは正解だったと思います。


時間があるので最後に、来た時に気になっていた八ヶ岳展望台に寄って行くことに。距離が近い代わりに思いのほか下りますから、そこに行くならばある程度余力を残しておかないと、帰りが少しキツいかもしれません。
5分ほど下ると、八ヶ岳展望台が見えてきました。その名に違わず、そこからは八ヶ岳の全貌を一望です。
こちらが八ヶ岳展望台からの眺めです。すぐ正面に連なる八ヶ岳は、あたかも手に取るような見え方でした。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
八ヶ岳の核心部を少し大きめに。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
八ヶ岳の右側には、奥秩父の山々と富士山や南アルプスなども眺められました。
    ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
ゴンドラで下った後は、無料送迎バスのバス停へ。この日の帰りの便の乗客は、ひとケタ台の人数でした。
バスを待つ間にショップでお買い物。
入笠山の名物を何も思い付かず、きっと長野県内で良く見るような物ばかりだろうと思っていたら、「雷鳥の里」や「みすゞ飴」などの定番商品が並ぶ中に、ひとつだけ「入笠」の名前が入ったお菓子を発見。
つい購入した「母衣の春花 入笠アツモリ饅頭」は、釜無ホテイアツモリソウ(絶滅危惧種で、入笠山の実験園で保護活動が行われている)に由来するらしい名前の和菓子。白あんにジャガイモを合わせたという、ホクホクした口あたりの「イモ餡」が特徴的で、独特な味わいを楽しめました。程よい甘味で美味しかったです。


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