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三峰山・二ッ山・鉢伏山 [八ヶ岳とその周辺]

2013/08/03(土)

■第260回 : 三峰山(1887m)・二ッ山(1826m)・鉢伏山(1928m)


今回は、三峰山から二ッ山を経て鉢伏山に至る稜線を縦走してきました。
美ヶ原と霧ヶ峰のちょうど中間に位置し、「山と高原地図」の収録エリア外であることから、歩く人は少ないらしく、この日も縦走中は誰ひとりとして登山者を見掛けず、少し心細いくらいに静かな山旅となっています。

すっきりしない天気で、周囲の高山がいずれも雲の中に入っていたため、展望はあまり楽しめませんでしたが、見晴らしの良い草原が広がる縦走路を、開放的な気分を味わいながら歩くのは、とても清々しいものでした。

 累積標高差(登り):1055m / 距離:21.1km / 歩行時間:5時間35分 (休憩除く) 
標準タイムは不明(登山地図の収録範囲外) 

(往路)
[前日] 古淵 14:58-15:20 八王子 15:25-15:35 立川
    立川 16:04-20:00 松本(泊)
[当日] 松本 08:30-09:45 扉山荘前

(登山行程)
扉山荘前バス停   09:55
三峰山       10:55-11:05
二ッ山       12:55-13:00
前二ッ山      13:25-13:30
鉢伏山       14:05-14:30
牛伏寺コース下山口 15:05
牛伏寺駐車場    15:50
中信松本病院バス停 16:15

(復路)
中信松本病院 16:18-16:43 松本
松本 17:18-19:35 八王子 19:37-19:59 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

8時半発のバスに乗るために、前日のうちに松本入りして、松本で朝を迎えました。
前の晩の天気予報は終日ずっと晴れが続くという願ってもない内容でしたが、朝起きてみたら曇りがちの予報に変わっていてガッカリ。松本駅の上空もどんよりとした曇り空で、もちろん周囲の山々はみんな雲の中です。
これから乗る美ヶ原高原美術館行きのバスは、松本駅の向かいにあるこのバスターミナルから発車します。
今年は7~8月のわずか23日間しか運行されない路線で、その数少ない運行日に合わせて出掛けてきました。
松本バスターミナルの内部です。
観光路線はグリーンの照明のホーム、近郊路線はブルーの照明のホーム(写真奥)と色分けされていました。


「扉山荘前」バス停で下車します。昼間になれば晴れ間もあるという予報でしたが、この時点ではそれを予感させるものは何もありませんでした。
バス停から少し歩くと、扉峠の広場に出ます。方角によっては、雲がすぐ上の高さまで下りてきていました。
使われなくなって久しい扉峠のバス停。2006年までは、霧ヶ峰と美ヶ原を結ぶ路線がここを通っていました。


扉峠から三峰山までは距離が近くて3kmほど、標高差も300m程度です。三峰山は頂上が見えていましたが‥‥
そのあとで向かう予定の二ッ山や鉢伏山はすっかり雲の中にあるようです。


ビーナスラインを南下して、扉橋を渡り終えた所から、三峰山への登山道が始まります。実は三峰山には昨年8月に登っていて、今いる扉峠に下ってきているので、その時に見た景色が逆回転で再生されています。
歩き始めは美しい針葉樹の森を進みます。地面がフカフカで、足裏に伝わる感触がなんとも心地良いです。
針葉樹林から抜け出すと、行く手には三峰山が、ちょっとガスってる感じで見えてきました(写真中央奥)。
このあたりからは、開放的で気分の良い草原の道が三峰山まで続きます。
三峰山に近付くにつれて、だんだんと空が晴れてきました。そして頂上には誰もいない様子です。


三峰山の頂上に到着して、登ってきた緑の草原を振り返りました。縮小写真では分かり難いですが、スタート地点の扉峠も見えています(写真中央付近で、山肌が禿げたように見える地点)。
写真左上には美ヶ原高原が見渡せるはずなのですが、雲に覆われてしまっているようでした。
草原状の頂上では、昨年同様たくさんのトンボが舞っていて、トンボと仲良しになれます。
頂上部は東西方向に広がりがあって、三角点は向こうに見える東側に設置されています。
南側に一段下がった所にある大岩の陰には、「大峯山大権現」など三種の小さな石碑がありました。
「三峰山」という山名からも窺えるように、かつては信仰の山だったのでしょう。
東側の三角点のある場所から、先程までいた西側を振り返ってみました。


三峰山では360度の展望が開けています。そのうち東から南にかけての眺めはこんな具合で、霧ヶ峰の奥にあるはずの八ヶ岳が全く見えていないのが残念した。大きな写真は こちら です。
そして今度は西側の眺めです。高ボッチから鉢伏山にかけての稜線は2010年に歩いているので、このあと鉢伏山に到着すると、その時のルートと繋がります。大きな写真は こちら です。

そうこうするうち、私が昨年登ったのと同じ東側から、たくさんの子供たちを含む団体さんが到着して、頂上は一気に賑やかになりました。リーダーらしい方と少し会話を交わしましたが、扉峠へ下るとのこと。きっと、複数台の車を絡めて上手く周回ルートを組んだのでしょうね。
子供たちの歓声に私の気分も明るくさせてもらったところで、次に向かうことにしたのですが、この日の私の装備で気持ち良く歩けるのが実はここまでだったとは、全く思いもよりませんでした‥‥。


三峰山から、これから向かう二ッ山・鉢伏山を見ると、そちらも雲が晴れてきているようでした。
でも、その間に見えるギャップを通過しなければならず、一旦400mほど下ってから登り返すことになります。
三峰山を後にすると、すぐに草付きの斜面を一気に下り始めます。ジグザグを描くので道の傾斜は急ではないのですが、草深くなっていて、ロープがなければ道がどこにあるのか分からないほどです。
草を掻き分けて進むので、草露で足元が濡れてきてしまいます。ここには防水性のある靴で来るべきだったようですが、この日は迂闊にも非防水のアプローチシューズ。スパッツでも着ければ少しは違うのでしょうが、立ち止まって装着できるような場所もなく、やがて靴の表面はビショビショに。いずれ靴内にも浸みてきそうです。
下りの傾斜が落ち着いたところで、今さら遅いと思いつつスパッツを着けながら振り返ると、三峰山はもう遙か上でした。頂上部に見えている突起物は、「大峯山大権現」などの石碑があった大岩です。


一旦ガクンと下った後も、草露に濡れたササが登山道に張り出す道が続くのは、非常に頭の痛い問題でした。
いい加減、靴内にも浸み始めていた上、まだこの先には16km以上の長丁場が控えていて、もしも途中で足がふやけてしまったら、とても満足に歩ける距離ではありません。引き返すのが賢明かどうかで迷いましたが、一応予備の靴下は用意していましたし、靴ズレ予防のパッドも持っていたので、もう少し進んでみることに。
そしてしばらくは、見通しの悪い樹林の中で、変わり映えのしない景色が1時間以上続くようになります。
マイナールートは良く歩くので、誰にも会わないのには慣れているはずでしたが、深い森の中で全く人の気配が感じられない状況ばかりが続くのは、さすがに少々心細い気分にもなっています。
ササの道も相変わらずで、靴への草露の供給が止まりません。
長い間ずっと緩やかに下った後で、傾斜が登りに変わると、所々でロープも下がる急坂を二ッ山まで一気に登り詰めていきますが、その間もずっとササの道でした。


急坂を登り詰めたところが、二ッ山への分岐点で、すぐ隣に見える頂上までは片道1分ほどです。
ここが二ッ山の頂上ですが、三角点はササに埋もれていて、展望もほとんどありません。
腰掛けられる物でもあれば、休憩がてら靴の中や靴下を少し乾かそうかな、という思いもあったのですが、こんな頂上なので、写真を撮った以外には何もせず、5分で引き返しています。
二ッ山から鉢伏山方向に少し歩くと、すぐに北側が見渡せる場所があって、今朝からずっと雲の中にいた美ヶ原が姿を現していました。


二ッ山と鉢伏山の間は、比較的アップダウンが軽めの穏やかな道です。この標高帯では樹林よりも草原が優勢なのですが、草露で靴が濡れる状況がいつまでも続くので、開放的な雰囲気の中を気持ち良く歩けることを、手放しで喜ぶ気分にはなれませんでした。
特に、前二ッ山の手前のコブへの登りは、ササを掻き分け進む道。靴内がグジョグジョになりつつありました。
前二ッ山の手前のコブに立つと、その先の眺めはなんとも爽快でした。右半分の緑の丘が前二ッ山で、その左後方が鉢伏山です。でも、この爽快な眺めは、草露の道がまだ当分続くことを約束したも同然であって、多少ウンザリしつつあったのも正直なところでした。


前二ッ山に着きました。ここは展望の良いピークです。東側を見ると、さっきまでいた二ッ山の左奥に、最初に登った三峰山が重なっていました。三峰山はもう遠くに見える感じになっています。
そして北側では、先程雲の中から顔を出していた美ヶ原が、どうやら晴れてきているようでした。
前二ッ山からの展望もほぼ360度で、北から南東にかけての眺めはこんな感じ。大きな写真は こちら です。
西側は、北アルプスが全く見えていないのが残念でした。大きな写真は こちら です。


ずっとササ原を歩いているので、見られた花は少なかったのですが、前二ッ山から鉢伏山にかけて、この花を単発で何度か見掛けました。調べてみるとエゾカワラナデシコである可能性が高そうです。
草露とのお付き合いは、どうやら最後まで続きそう。これ以上濡れる心配がない、という所まで来たら、靴下を履き替えようと思っていたのですが、鉢伏山までは濡れた靴下のままで歩き切る必要がありそうです。


鉢伏山まであと2kmを切ったあたりで、景色がいっそう開放的になるのと同時に、草の背丈が低くなって道幅も広がり、ようやく草露から開放されました。
三峰山から鉢伏山までの約3時間、結局ほかの登山者を見掛けることはありませんでした。
こんなに気持ちの良い道なのに、どうして誰も歩いていないのだろうか。
分岐点に出て、ついに見覚えのある遊歩道に合流しました。2010年に歩いている、鉢伏山への道です。
残す標高差は50mほどなのですが、砂利に足を取られて少々歩きにくい道なので、思うように前に進めません。


鉢伏山の頂上に到着したら、まずは三角点を確認しておきます。実際にこの付近が最高点っぽかったです。
南へ少し行き過ぎると、一段下がった場所に展望台が建っています。ここで、3時間ぶりにほかの登山者を見掛けました。
展望台の上に立って、南側から西側にかけて見渡すとこんな感じでした。大きな写真は こちら です。

展望を楽しんだら、広場のベンチに戻って、靴下を予備の物に履き替えつつ、脱いだ靴もしばらく風にさらしておきます。幸いにも足の皮は、少々ふやけている程度に留まり、それでここまで支障なく歩けていたのでした。
非防水の靴で出掛けることが多いことによるリスクは理解していたので、予備の靴下を必ず持つようにしていたのですが、実際にはもう何年もザックの底に入れたままになっていて、使用するのはこれが初めてのこと。
軽量化も良いけれど、やっぱり万一の場合への備えまで軽んじてはいけない、ということなのでしょうね。


足の具合を確かめつつ、少し下って鉢伏山荘の前まで来ました。靴下を替えたとはいえ、靴の生地はまだ濡れたままなので、どこまで快適に歩けるものかと思っていたのですが、どうやら全く問題なさそうです。
この先も10km近くを歩いて約1200mの高度差を下らなければなりません。もし少しでも不安がある場合には、もっと近くて標高差も小さい扉温泉へのルート(2010年に歩いて道の様子も分かっている)への変更も考えていたのですが、計画通りのルートを下ることにしました。
鉢伏山荘からの下りは、しばらくは舗装道路歩きとなります。
舗装道路がジグザグを描くため、時々進行方向に鉢伏山が現れます。
写真を縮小したので分かり難くなりましたが、頂上にある展望台がハッキリと見えていました。


鉢伏山荘から30分ほどで、牛伏寺コースへの分岐点に出て、ここから再び山道に入ります。
山道を下っていくと、すぐに左への分岐があり、「フランス式階段工経由」となっていました。そのまま直進する「尾根筋道経由」を選択しましたが、「フランス式~」のほうは木段が多い遊歩道のような道らしいです。
全般的には、歩きやすくて良い道が続いていきます。途中にはロープが下がる急坂があって、地面が濡れていると滑りやすそうでしたが、それは短い区間のことでした。
すでに午後4時になろうとしていますが、西向きの尾根だけあって、最後まで明るい道なのも良かったです。
かなり下ると、行く手に動物除けの扉が現れました。これを開閉して抜ければ、間もなく車道に降り立ちます。


牛伏寺駐車場の奥に出てきました。ここからは車道歩きです。
当初の予定よりも1本早いバスに乗れそうだったので、最後は小走りも交えて20分ほど急いで道路を進むと、少し先にバス停がある中信松本病院が見えてきました。なんとか間に合ったようです。
発車時刻3分前に、中信松本病院バス停に到着。バスはダイヤ通りに来たので、ギリギリのタイミングでした。
バス停の位置は、事前にグーグルのストリートビューで確認済みでしたが、病院の敷地内にあるため外の道路からは見づらく、来てから場所を探す気で病院の周囲をウロウロしたのでは、たぶん間に合わなかったでしょう。

休日の夕方に郊外から市街地へ向かうバスなんて、乗客が少なくてのんびりした雰囲気なんだろうと思っていたら、同じバス停からも6~7人が乗ったほか、以降のバス停でも次々と人を拾って、しまいには超満員に。
その訳は、松本駅が近くなって分かります。ちょうど松本ぼんぼん(夏まつり)の日に当たっていたのでした。
そういえば、三峰山に去年登ったのも8月の第1土曜日で、同じように市街地が混雑して帰りのバスが遅れたんだったっけ。バスを降りると駅前は多くの人出で賑わっていて、お祭りの活気を感じながら帰路に就きました。

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松理

 とうとうやりましたね。
 私が歩いたのは2005年で,その時は,刈り払いがされた翌年でしたので,笹が茂っていることはありませんでして。
 さらにその翌年にも鉢伏山から前二ッ山を往復しました。レンゲツツジの最盛期で,アオモリトドマツなどが生える雰囲気も最高でした。
by 松理 (2013-08-05 21:43) 

cellist

コメントありがとうございます。
あまり歩かれていない様子なのは、ヤマレコをはじめウェブ上の記録の少なさから承知していたのですが、今年になって「美ヶ原高原ロングトレイル」の一部として案内されるようになったので、もうちょっと整備されているのを期待してはいました。
ただ、笹は茂っていたものの道を覆い隠すようなことはなく、歩くべき地面はちゃんと見えているので、整備不良には全く当たらない程度のものでした。

ですから、シューズの選択を誤ったのが全てだったのですが、先行者が何人もいて草露を飛ばしてくれていたら、状況は違っていたのかもしれません。
「美ヶ原高原ロングトレイル」はまだ知られていなくて、歩く人が増えるのはこれからでしょうから、それを待ったほうが歩きやすくなるのでは、とも考えたのですが、私にとって頼みの綱である路線バスの存続が危ういと感じていたことから、やっぱり早いうちにと思って出掛けてきたのでした。

松理さんは2005年~2006年に歩かれたのですね。私は山をやっと始めた年ですから、その頃はまだこのようなマイナーなトレイルには関心を持っていなかったと思います。
当時はまだ、美ヶ原へのバスも通年運行でしたから、こんな猛暑の時期に仕方なく出掛ける必要もなく、もっと良い季節に(それこそツツジの最盛期とかでも)バスで出掛けることも可能だったはず。
きっと松理さんも、刈り払いのことだけでなく、気候的にも快適な中で歩いてこられたのでしょう。私もせめてあと5年早く山を始めていれば、いろいろな山にもっと行きやすかったはずなのに。。。
by cellist (2013-08-06 20:53) 

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