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剣山・次郎笈(後編) ~ 次郎笈から丸石を経て二重かずら橋へ下る ~ [四国]

2015/10/24(土)

■第311回 : 剣山(1955m)・次郎笈(1930m) (後編)


 前編 では、貞光ゆうゆう館から乗ったバスを見ノ越で降りて登り始め、日本百名山の剣山を越えて、次郎笈に登り返したところまでをお伝えしていました。ここからはその続きになります。

この日は時間に余裕のある行程なので、次郎笈の頂上でも少しゆっくりしてから、縦走路の続きに向かいます。
  ※この写真は前編と重複しています
分岐点のコブまで戻って、これから進む方向を眺めました。(下の写真にマウスを乗せると山名を表示します)
次郎笈の直下は急降下ですが、ひとしきり下れば、再びササ原を気持ち良く歩けるようになる様子です。
そして、この広々とした景色の中に、数えるほどの人しか見えないので、ここから先は一気に静かになりそう。
急降下を下り切ったあたりで、最初に登った剣山(左上)を振り返りました。
写真の右半分は次郎笈の北斜面で、中腹に鮮明に見えているのは、次郎笈峠で分かれた巻き道です。
ササ原に入るとほどなく、立ち枯れした樹木が目立つエリアに入りました。シカによる食害でしょうか。
あまり健全な景色とは言えないのかもしれませんが、なんだか趣が感じられて印象的でした。


その後も、開放的で見通しの良いササ原に入ったかと思えば・・・
ちょっとした木立に囲まれたりと、少し変化のある一帯を抜けていくのですが、、、
次にササ原に戻ったら、あとはこのウットリするような景色が、丸石までずっと続きます。しかも見渡す限り、前後に全く人の姿がありません。こんな極上の景色を独り占めしているなんて、もう最高の気分でした。
次郎笈からは断続的に下りが続いていて、丸石との鞍部まで下り切った地点がT字分岐になっていました。
登山地図では、左に折れてスーパー林道へ下る道も一般登山道として書かれているのですが、道標は前後方向の縦走路だけを案内して、分岐道を完全に無視しています。そういえば、剣山や次郎笈の頂上など、結構肝心と思える地点に道案内がなかったりもしていたので、この山域では道標等の整備が最小限に留まっているようです。
丸石への登り返しは100mほどですが、そろそろ疲れが溜まってきている足には少し堪えました。
ここで久しぶりに人とすれ違ったほか、丸石の頂上にも何人かのグループがいるようです。


丸石の頂上はこぢんまりとしていて、この写真の範囲がほぼ全てでした。着いた時には4人組のパーティーがいましたが、10分ほど経って彼らが次郎笈方面に出発してしまうと、静寂の中に私だけが取り残されています。そしてこのあとはもう、二重かずら橋に下るまで、もう誰ひとり会う人はいませんでした。
丸石から、歩いてきた稜線とともに、剣山(左奥)と次郎笈(中央やや右寄り)を振り返ります。丸石を過ぎると間もなく樹林帯に入ってしまったので、このようなスッキリとした景色はここで見納めとなりました。
反対側の進行方向を見るとこんな具合で、丸石を境に、景色がガラッと変わるのが良く分かる眺めでした。


丸石のすぐ先にある小さなコブを越えると、そこからの下りは樹林帯に入りました。
樹林帯に入っても、稜線上では地面が相変わらずササに覆われていました。なかなか雰囲気の良い森で、アップダウンも穏やかなので、引き続き気持ち良く歩いて行けます。
丸石避難小屋が現れたので、中を覗いてみたところ、真っ昼間ですから当然無人でした。このあたりの縦走路の静けさからして、利用する人もそう多くはないのでしょう(あくまで「避難小屋」でもありますし)。
小屋はとてもきれいに使われていました。入口の扉を開けると小さな土間があり、さらに扉を開けると奥はすべて広い居間となっていて、トイレもなく土間と居間を仕切る壁があるだけの、とても単純な構造の建物です。


丸石避難小屋の前を過ぎると、すぐ先が二重かずら橋への分岐点でした。時間に余裕があれば、このまま三嶺までの縦走路をたどってみたいところですが、今回はここから下ってしまいます。
このコースは最後にかずら橋を渡りますが、観光せずにただ通過するだけでも、料金を払うことになる模様。
二重かずら橋への道に入ると、ササが消えて、美しい自然林の中を落ち葉を踏みしめて歩く道になりました。
ただ、ここまで来ると人と全く会わないのが少し心細いほどなので、この道も元々そんなに歩かれている訳ではないのでしょうが、そこに落ち葉が降り積もって道を覆ってしまい、しばしば道の所在を探す羽目になります。
尾根を単純にたどる道ならば、少々道が分かりにくくても道迷いの心配が少なくて済むのに、大きなジグザグを描くためにたびたび尾根から外れるので、落ち葉に隠された屈曲点を見過ごさないように注意が必要でした。
稜線上では終盤だった紅葉も、高度が下がるにつれて、見頃に近い綺麗な色合いを楽しめるようになりました。
尾根の下部ではジグザグがものすごく大きくなるので、道は斜面のトラバースが多くなります。トラバース道は細くて頼りなく、時には不明瞭になって、本当に正しい道を進んでいるのか不安になる箇所もありました。
やがて沢の水音が大きくなってくると、国体橋の袂に出ました。
対岸に渡り終えると、ベンチのある小広場があったので、そこで少し足を休めていきます。地図を見る限り、この先の道は穏やかな感じに描かれていて、ここまで下ればひと安心だと、この時は思っていたのでしたが‥‥。


ところがどっこい、国体橋の先もまだガッツリ登山道を歩かされました。地図での穏やかな道の書かれ方から、最低でも林道っぽいもので、上手くいけば遊歩道的な感じかもと期待していたのですが、甘かったようです。
しかも一面に積もった落ち葉で、道がどこにあるか分かりません! このあたりは勘を頼りに突破しています。
沢沿いを進む道には、足場が不安定だったりして危なっかしい箇所も多く、最後まで気を抜けませんでした。


そんな訳で、二重かずら橋までがとても長く感じます。近付いてくれば少し前から見えてくるだろうと、勝手に思い込んでいたのですが、予想に反してその橋は、何の前触れもなく割と唐突に目の前に現れました。
かずら橋が2つ並んで架かっていることから「二重かずら橋」で、まず現れたのは男橋のほうでした。この橋については何の予備知識もなく来ていたため、外観が特徴的なだけで普通に渡れるとばかり思っていたのです。だから男橋は写真を撮れたことでもう満足していて、もう1本のほうを渡れば良いだろうと、女橋に向かいます。
女橋は、男橋から少し下ってきたところにありました。2つの橋の見た目の違いは良く分からず、ほぼ同じ構造に見えましたが、川面からの高さにはかなりの差があって、女橋は男橋よりもずっと低く架けられていました。
女橋を渡り始めるところです。この時点でもまだ、この橋を甘く見ていたのでしたが‥‥。
いざ渡ってみると、すごくスリルのある橋ではないですか!
足元がこの通り結構スカスカで、不用意に足を置くと広く開いた隙間から落ちそうになりますし、それでいて橋自体も不安定にたわみながら大きく揺れるので、かなりの怖さを感じます。
手すりに掴まりながら、ただ渡るのがやっとで、途中で写真を撮ったりする気にもなりませんでした。
渡り終えてから、次の人たちが渡る様子を見ていますが、怖くて本当にこんな風に手すりを手離せないのです。


低いほうの女橋でも結構怖かったので、高いほうの橋も渡っておかなければと、また男橋にやって来ました。今度は先程とは反対側の袂にいるので、渡ったら往復して戻ってくる必要があります。
2度目とあって、徐々に慣れてきましたが、それでも手すりからなかなか手を離せません。カメラを操作する時は、どうしても両手を使いますから、その際に手すりから手を離さなければならないのが緊張の瞬間でした。
スカスカの足元から遙か下を流れる川が見えているのも、かなりスリリングでした。
それでも1.5往復もしていると、写真くらいは普通に撮れるようになってきました。
そこで男橋から女橋を写してみたのですが、写真を縮小したらちょっと分かりにくくなってしまったようです。
橋の上から見る紅葉もそれなりにきれいでした。
最後に少し上から男橋を見下ろしてみました。


両方のかずら橋を楽しんだら、対岸の車道に上がります。
ここが二重かずら橋への降り口で、普通の観光客ならば、ここから入ってここに戻ってくるのでしょう。
降り口のすぐ脇にあるこの建物で、入場料金を支払いました。
ゴールのバス停もすぐ近くにありました(写真左端、位置は事前にGoogleのストリートビューで確認済み)。
二重かずら橋への降り口は、「かずらばし」という道路標識の真下にあり、その右側の建物が料金所です。
いつものように、最後まで時間の余裕を保ったまま下ってきていて、バスの時刻までまだ1時間近くあるので、丸石パークランド(手前の写真で道路左側の建物)で少しゆっくりしていきます。
丸石パークランドでは食事ができるほか、土産物も買えるという情報を得ていて、ここに立ち寄る目的もあって早めに下ってきたのでした。というのもこのあと、バスを乗り換える久保にも、JR線に乗り継ぐ大歩危にも、土産物を買える店がなさそうだと分かっていて、ここが四国内で土産物を買える唯一のチャンスだったのです。
しかし残念ながら、職場で配りやすいものが見つからず、結局お土産はなぜか岡山で買って帰ることに‥‥。
ということで、丸石パークランドではお食事だけを済ませます。せっかくなので祖谷そばを注文しましたが、思っていたよりあっさりした味わいのものでした。2種類ある冷たいそばのうち、そばが食べやすくなっているほうだと言われた「ぶっかけ」を選んだのですが、もう一方の「ざる」を頼んでみたほうが本格的だったのかな。


バス停には私のほかに誰も現れず、1人寂しくバスを待ちます。登山道の様子から、同じコースを下っている登山者がなさそうなことは分かっていましたが、次々と通りすがる観光客も、例外なく車で訪れていたのです。
でもそこまでなら想定内でしたが、見ノ越からやってきたバスの先客がたった1人だったのは拍子抜けでした。3系統ある剣山へのバス路線の中で、確かに利便性で最も分が悪そうなのですが、それでも1人だけとは。
大歩危駅までの道のりは長く、2本のバスを乗り継いでいきます。この写真は、久保という地点で乗り継ぎのために降りた際に撮ったもので、人家とバス停以外には何もないような辺鄙な場所でした。
右が二重かずら橋から乗ってきた三好市営バスで、ここに来るまでに、地元の方のほか、なんと外国人観光客まで乗り合わせてきたのには少しびっくり。その中からここでは、登山者2人が乗り継ぎのために降りました。
久保から乗った四国交通バスは、2人を乗せて発車したら、1時間以上かかる大歩危駅まで人の乗り降りが全くなく、乗客はずっと2人のまま。その2人を大歩危駅で降ろすと、その先は空気だけを運んで走り去りました。
あたりが暗くなる頃にやっと着いた大歩危駅は無人駅で、駅前にも地元の方が利用するスーパーや酒屋がある程度という、観光客が来ても手持ち無沙汰になるような場所でした。大歩危は割と名の通った景勝地だと思うので、かつてはその玄関口としてもう少し賑わっていたのではないかと想像するのですが‥‥。
もっとも、昼間ならば少しはいたかもしれない観光客も、こんな夕方では見掛けるはずもなく、それで余計に寂れた雰囲気に見えてしまったのかもしれません。
特急電車を待っているうちに、すっかり日が暮れました(この写真は実際よりも明るく撮れています)。そのまま新幹線に乗り継いで帰京してしまうため、この日も瀬戸大橋を渡る頃には全てが漆黒の闇に包まれて、瀬戸内海の景色は何も分からずじまい。次に四国を訪れる時は、明るいうちに海を渡ろうと心に決めたのでした。

タグ:四国
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