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丹波天平 [奥多摩]

2013/11/23(土・祝)

■第269回 : 丹波天平(1342m)・丹波山?(1430m)


今回の行先は丹波天平。「たばでんでえろ」という変わった読み方をするその場所は、山の上に忽然と出現して、平坦な地形がどこまでも広がる、安らかで心和らぐ空間です。
紅葉がお目当ての人出が落ち着いたこの時期を選び、時間が静かに流れていく中で、降り積もったサクサクの落ち葉を踏みしめてきました。

 累積標高差(登り):936m / 距離:9.9km / 歩行時間:3時間10分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:5時間0分 

(往路)
古淵 07:02-07:23 八王子 07:34-07:49 拝島
拝島 07:54-08:12 青梅 08:27-09:06 奥多摩
奥多摩 09:30-10:12 親川

(登山行程)
親川バス停 10:20
廃屋跡   11:05
丹波天平  11:55-12:05
丹波山?  12:30-12:35
サオラ峠  12:40
丹波バス停 13:45

(復路)
丹波 14:15-15:09 奥多摩 15:27-16:29 立川
立川 16:35-16:47 八王子 17:00-17:22 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

奥多摩駅からバスに揺られること小1時間、親川バス停で下車します。
奥多摩湖の先で都県境を越えていて、ここはすでに山梨県内(丹波山村)に入っています。
バス停から奥多摩方向に歩いて1分ほど戻ったところに、登山口がありました。
登山道は、はじめから結構急な傾斜で山腹を登っていきます。


バスの車窓から見てきた限り、奥多摩湖畔の紅葉がいい感じだったのですが、登山道を少し登ったあたりでも、まだまだ紅葉を楽しむことができました。
尾根を乗り越して反対側に回ると、急な斜面にへばり付くようにして進む細い道に変わります。


しばらく経った頃、行く手に廃屋が現れました。
比較的急な山道を、こんな冬でも山シャツ姿になり、それでも汗をかきながら30分も登り続けて着いたのです。
そんな場所に、かつて一体どのような暮らしがあったのでしょうか。
廃屋となって相当の年月が経過しているらしく、建物の中を覗いてみたら、もう荒れ放題でした。
もう少し進むと、写真左手の石垣の上に、また別の廃屋が現れました。
こちらは外観を眺めただけですが、廃屋となってまだ年月が浅いのか、目立った損傷は見られないようです。


この日のコースに展望の良い箇所はほとんどありません。でも時折景色が開けると、スッキリと晴れ渡った青空の下に、谷を挟んで向かい側にある山々が色付いている様子を見ることができました。
ここに建っていたのは、住居というよりは作業小屋程度のものらしいのですが、完全に倒壊していました。
右下の隅に写っている、丸太3本をただ寄せただけの木橋も、朽ちかけていてちょっと危なっかしかったです。
ここで、左手の急斜面が何やら騒がしいと思ったら、サルの群れが一斉に駆け上がっていました。
私を警戒して逃げてくれるのは構わないのですが、駆け上がりざまに石とかを蹴飛ばしていくので、それが落ちてきて危険極まりない。逃げるはずみでそうなっただけなのか、はたまたそれも計算の上でのことなのか・・・
登山地図が「廃屋跡」としている地点に着いたようです。
ここには石垣と平地だけが残されていて、かつて存在していたであろう建物の残骸は見られませんでした。


「廃屋跡」を過ぎると、登山道は植林された斜面に取り付きます。
かなり急な傾斜が続いて、ふくらはぎが張り始めたので、時々横向きになったりして登りました。
キツいばかりで面白味のない植林帯の急斜面を、15分ほど耐えて登っていくと、植林帯を抜けた先には自然林が広がっていました。
地面には落ち葉が厚く降り積もり、それを踏みしめたり蹴散らしたりしながら歩きます。
その感触が楽しめることが、この時期を選んでやってきた理由のひとつでした。
ただ、落ち葉のために道はしばしば不明瞭となります。このような道標は稀にしかなく、時折現れる赤テープが頼りで、それも途絶える区間が少しあったりしますが、微かな道の気配を感じ取りながら進むのも楽しいもの。
よく、お節介な赤テープが次から次へと頻繁に現れて、道を見極める楽しさを奪われてしまうことがありますが、ここではそんなこともなく、道迷いに至らない最小限度の赤テープという絶妙の配置が嬉しかったです。


似たような景色が続きますが、気持ち良く歩けるために飽きません。
次第に傾斜が緩んで歩きやすくなるとともに、目の前に広がる景色も大らかになっていきます。
さらに登って行くと、広葉樹林はカラマツ林に変わりました。
上部にはまだ黄金色に輝くカラマツの黄葉が残っていて、目に鮮やかでした。


やがて稜線に上がりますが、道の左右にはずっと木立が続いて、落葉したこの時期ですら、展望は今ひとつ。
こちらは右手側の眺め。真ん中のピークが雲取山で、その右に延びるのが石尾根、左は奥秩父縦走路です。
最後に少々キツイ急坂を登り詰めて、丹波から直接登ってくる道を合わせると、いよいよ前方の景色が大きく開けました。どうやら、丹波天平の一角に入ったようです(電波塔の存在が玉に瑕ですが・・・)。
とても山の中とは思えない、穏やかな景色が広がっています。しかも嬉しいことに、周囲に人が全くいません。
自分が足音を止めれば、そこはほぼ静寂の世界で、時折、風が木の葉を揺らす優しい音が聞こえてくるだけ。


三角点は、登山道を少し外れた左手の高みにありました。この場所へと導く案内が一切なかったのも、私には好ましく感じられます。ま、登山道を外れる距離がごく僅かすぎて、案内するまでもないのでもありますが・・・
三角点のある場所で、静かに流れる時間を少し楽しんでいきます。
人がいないこの時期を選んできて良かったと思っていますが、落葉が進んでもこれだけ美しいカラマツを見てしまうと、黄葉が盛りの頃にはどれだけ素晴らしい景色があるのだろうかと、つい思ってしまいました。


三角点を後にしても、なにしろ広~い丹波天平のこと、しばらくの間は伸び伸びとした景色が続きます。
立ち去りがたい雰囲気に、ついつい後ろを振り返ってしまいますが、どちらを向いても景色はほぼ一緒。
目をつぶって3回転でもしたら、もうどっちから来たのか分からなくなってしまうことでしょう。
何故かそこだけ樹木のない一角に出ました。樹木がない分だけ見通しが良くなって、ずっと先まで見渡せるので、その広さが強調されるのか、開放感あふれる印象的な光景でした。
そして広場の向こうには、久々に見る広葉樹林が、落葉してもなお美しく佇んでいました。
これはもう、紅葉の時期に合わせてまた来るしかないでしょう。


三角点の地点は、丹波天平の最高点というわけではないので、その後も断続的に緩やかな登り坂が現れます。
美しいカラマツ林が続いて、それはそれで見応えがありますが、なにしろ針葉樹のこと、蹴散らして歩くほどの落ち葉はありません。本当はフカフカの落ち葉道をもっと歩きたかったので、その点だけは当てが外れました。
相変わらず展望は樹木越しですが、登山道を外れて稜線の縁近くまで進んでみると、雲取山がいくらかスッキリと眺められました。それにしても、ここまで雲ひとつなく澄み渡った青空を見せられてしまうと、もっと展望の良い山に登らなければ勿体なかったような気になってしまいます。


サオラ峠の手前まで来ると、登山道の左手にちょっとした高みがあります。地形図によれば標高は1430m圏となっていて、そこが天平尾根の最高点であるとともに、この日のコースの最高点でもあります。
という訳で、一応ピークを踏んでおきましたが、そこには何だか分からない石標が埋まっているだけでした。
実はこの地点には、ネット上の記事によって、何年か前までは「丹波山」なる標識が立っていたことが明らかなのですが、現在ではなくなってしまったようです(この写真も、たまたま見つけた記事から無断で拝借)。
しかしこの「丹波山」という山名は、ネット上をいくら探しても、この標識に関するもの以外には記事が全く見つかりません。正しい名称なのかどうかが怪しいので、この記録ではこの地点を「丹波山?」としています。
かつて立っていた標識には、「左下に丹波山村が見下ろせます」と書き添えられているのですが、樹木の間から辛うじて覗き見る形に過ぎません。木々が葉を茂らせている時期ならば、それすらままならないでしょう。


丹波山からわずかに下るとサオラ峠。日差しが降り注ぐ明るい峠は、これまで歩いてきた天平尾根と、これから下る丹波への道のほか、飛龍山を目指す道と、三條ノ湯へ向かう道の計4本が交差する十字路です。
サオラ峠から丹波へ下る道も展望はほとんどありませんが、サオラ峠を出てすぐの所で、樹木越しに少しだけ南側の景色が見られました。写真中央の一番高いピークは大菩薩嶺です。
その左側では、富士山の頂上が少しだけ顔を出していました。写真左半分のピークは雁ヶ腹摺山です。


その後、崖のような急斜面に差し掛かると、その崖にわずかに刻まれた、すれ違いもできないような狭い道を進むようになります。はじめのうちは普通に歩けるのですが・・・
やがて所々で足場が不安定になったり、岩が露出した急坂が現れたりする上に、積もった落ち葉が滑りやすくて、緊張する局面が続くようになりました。普段は地形図を片手に持って歩いているのですが、この一帯では地形図をウエストポーチにしまい、両手をフリーにしてバランスを取りながら下っています。
急斜面を抜けた先も、ジグザグ道でどんどん高度を下げていきます。落ち葉が滑りやすいのも相変わらずですが、でもここまで来れば、多少足元が滑ったとしても、滑るに任せて下っても問題ないレベルになっています。


高度を落とすとともに、それまで冬枯れの景色だった登山道にも、秋の色彩が蘇ってきました。


登山道脇に耕作地が現れるとゴールは間近。前方には丹波山村の家並みを見下ろせるようになります。
その後は耕作地内の通過があって、動物除けの柵を計3回開閉して通過していきます。
耕作地から、先程まで歩いていた天平尾根を仰ぎ見ます(見えているのは稜線そのものではない模様ですが)。
結局この日は最後まで、雲ひとつない快晴が続いたことになります。日差しも力強くて、午後になって気温も上がったこの頃になると、日なたでは山シャツ1枚でも暑いほどでした。


最後の柵を抜けて、農道に出たところが登山口。柵が開いたままなのは、私が閉めるのを怠ったわけではなく、たまたま畑仕事をしている方が出入りを続けていたからです。念のため。
あとはバス停まで、大きなジグザグを描く農道を下るだけ。動物除けの柵を計3回も通過してきたことや、耕作地を囲うフェンスの高さが、獣害の多さを物語っているかのようです。なお正面は鹿倉山の方向ですが、見えているのは鹿倉山そのものではない模様。
丹波バス停は、トイレが併設された大きな待合所付きでした。私の少し前を先行していた単独行の女性のほか、あとで別方向から現れた男性が加わって、計3人で奥多摩駅行きのバスを待ちました。

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