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ウノタワ・大持山 [奥武蔵・秩父]

2017/06/24(土)

■第355回 : ウノタワ・大持山(1294m)


今回の行先は、奥武蔵の大持山です。約1300mという標高は、この時期に快適に登るには少々低めですが、その代わりに沢沿いを進む区間の多いコースを選んで、少しでも涼しく歩こうと目論んで出掛けてきました。

そして、大持山以上に楽しみにしていたのが、この景色。
そこだけぽっかりと木々を取り払ったようにして現れる平坦地で、山の中に忽然と現れる不思議な異空間、ウノタワです。大持山とともに2006年に1度訪れていて、その時にとても気に入った場所だったので、それ以来ずっと窺っていた再訪の機会を、今回ようやく実現させました。

 累積標高差(登り):1034m / 距離:13.2km / 歩行時間:4時間0分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:5時間55分 

(往路)
古淵 05:36-05:58 八王子 06:08-06:44 東飯能
東飯能 06:47-06:48 飯能 07:10-08:05 名郷

(登山行程)
名郷   08:10
山中   08:50
ウノタワ 10:15-10:30
大持山  11:05-11:20
妻坂峠  11:50-11:55
山中   12:15
名郷   13:00

(復路)
名郷 13:21-14:10 東飯能 14:36-15:12 八王子
八王子 15:30-15:42 橋本 15:44-15:55 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

飯能駅からバスに乗ること約1時間、名郷バス停がこの日のスタート&ゴールです。
なお、飯能がアニメ「ヤマノススメ」の舞台ということで、乗車したのは「ヤマノススメ」のラッピングバス。外観はもちろん、車内もアニメ尽くしで、途中には声優陣による車内放送まであるという力の入れようでした。

今回はアプローチの車道歩きが少々長いコースで、登山口まで1時間以上かけて車道を歩きます。
車道の左手を流れるのは、入間川の最上流部です。沢沿いのこの道は、期待していた以上に空気がヒンヤリとしていて、暑さがほとんど気になりませんでした。
ほどなく三叉路に出たら、右折して林道山中線に入ります。以前(2006年)にウノタワと大持山を訪れた時は、ここを直進して鳥首峠を経由していたので、ここから先は初めて歩く道です。
林道山中線に入ると、次第に傾斜が増していき、さすがに汗をかかされるようになります。
でも、林道のすぐそばに引き続き入間川が寄り添っていて、沢沿いの冷気が暑さをかなり緩和してくれました。
山中のT字路まで来たら、ここからは周回ルート。左に分岐する林道横倉線を登って、あとで直進方向から下ってくる予定です。ところで、このすぐ手前に入間川起点の標柱があったらしいのですが、行きも帰りもスルーしていた模様。ウェブ上の写真で見る限り、見逃しようのない大きさの代物なので、注意力散漫だったのか‥‥。
T字路の近くには、ハイキングコースの案内図が立っていました。
林道横倉線に入ると間もなく右手に、石垣に守られた平坦地が現れます。「山中」という地名が付いているのは、ここにかつて集落があったからに違いなく、現在の地形図でもこの場所には複数の建物記号が見られますが、人家はすでに撤去された後で、残っていたのは作業小屋風の小さな建物だけでした。
相変わらず入間川に沿った道が続いて、空気にはそこそこ冷たさがあるのですが、傾斜がさらに増したことで、いい加減暑さが完全に勝ってしまいます。たまらず、ザックから扇子を取り出して扇ぎながら歩きました。
ようやく林道横倉線の終点に到着しました。この地点で標高はすでに700m台に達していて、バス停から1時間と5分をかけて、ウノタワまでの標高差のなんと半分以上を車道で登ってしまったことになります。
登山口には「ウノタワ入口」の標識が。ここからいよいよ、山道が始まります。


登山道は、引き続き沢沿いを進みます。このあたりが入間川の源流域になりますが、まだ水量が豊富でしたし、ここまでの車道よりも水際の近くを歩けるとあって、少しの間は涼しさが上回って快適でした。
が、登山道になって間もなく現れたこの標識の所で、二又に分かれたうち左の沢沿いに進路が変わります。右の沢のほうが水量が多そうだったので、たぶんそちらが本流なのでしょう。名郷バス停から一貫して入間川の本流を遡ってきましたが、ここからは支流沿いの道に変わり、途端に水量が減って、涼しさも大幅減となりました。
そんな支流沿いの道も長くは続かず、ほどなく現れる次の標識の所から、登山道は尾根道に変わります。
そして、その尾根道が、なかなかの急勾配でした。沢沿いの涼しさからは見放され、しかも急登の連続で暑さ全開。こうなるともう、なかなか足が前に進まず、ここで一気にペースが落ちました。
ふと登山道の脇を見れば、立派なブナの大木があったり、沢筋では岩という岩が綺麗な緑色に苔生していたりして、なんとも心癒やされる景色です。でも急な登りが苦しくて、あまりそれを楽しむ余裕はありませんでした。
ただでさえ急登なのに、地面がこのようにザレていて踏ん張りが効かず、余計に体力を消耗させられました。


ほとんど緩むことのなかった急登に耐えること約50分、ようやく尾根に乗り上げると‥‥。
まず、「ウノタワの伝説」という解説板のお出迎えを受けます。
解説板を通り過ぎるとその先に、木立の間からそれらしい空間が見えてきました。


11年ぶりの再会となったウノタワは、11年前の記憶とほとんど変わっていないように思われました。
山の中に、これだけの広さの平坦地が忽然と現れるのは、なんとも不思議な感じです。
居合わせる人は誰もなく、心安まる景色を静けさの中で存分に味わえる、まさに至福の時を過ごせました。
平坦地に足を踏み入れると、あたり一面が苔と草に覆われて、地面はフカフカです。かつて池だったことから、大木がないのは分かるけれど、池でなくなった現在も樹木が根付いている様子がありません。足裏から伝わるフカフカの感触から想像すると、今なお湿地帯のような環境にあって、樹木の生育には適していないのでしょう。
鳥首峠と大持山を結ぶ尾根道は、ウノタワを横断した先にありました。分岐点でウノタワを振り返っています。
湿地帯っぽいウノタワは、あまり踏み荒らさないほうが良さそうに思えたので、分岐点の近くで休憩していきます。尾根上だからか、ここは風の通りが良くて、しかもその風が意外なほど涼しかったのが、急登で火照った身体には有難く、それまでの暑さをここで一旦リセットできたような感じでした。


ウノタワを後にして大持山へ向かうと、その取り付きは再び急登となりました。ここから大持山までは2006年にも歩きましたが、なにぶん11年も前のこと、分岐点などを除いて、途中の山道の記憶はほとんどなかったです。
最初の急登を終えると傾斜が緩んで、気持ち良く歩ける穏やかな尾根道に変わります。と同時に、その周囲も美しい雑木林に変わりました。そう、大持山の周囲は、植林帯が大半を占める奥武蔵の山々にあって、雑木林が多く残された希有なエリアとなっているのです。ウノタワに劣らず、このあたりも素晴らしい景色でした。
ということで、しばらくはそのウットリするような美林をお楽しみ下さい。ウノタワといいこのあたりといい、また季節を変えて来てみたくなりました。秋の景色なんかもきっと素敵なのでしょうね。
緩やかな尾根道はこの横倉山でおしまい。2006年に訪れた時は何もなかったピークで、樹木に括り付けられた私製の山名標を見送ると、その先にはまたまた急登が待っていました。


妻坂峠への分岐点まで来れば、大持山の頂上まではもうひと息。下山時はここから妻坂峠に向かう予定なので、この先は大持山までの間が往復になります。
分岐点では東側が開けていて、2006年には展望が楽しめたのに、この日は雲が多くて、眺めも今ひとつでした。
それでも近い範囲はある程度見えていたので、一応写真を撮っておきました。
  ※下の写真にマウスを乗せると山名ガイドを表示します。
大持山への最後の登りです。このあたりの傾斜は比較的穏やかでした。


大持山の頂上は狭くて、ここに写っている範囲がほぼ全てでした。
ベンチもありませんでしたが、ほかに誰もいないので、三角点に腰掛けて休憩します。
景色は西側が少しだけ見られましたが、上空には青空も見えるのに、低い所に雲が多くて周囲の山々はほとんど見られません。でも展望こそ楽しめなかったものの、思いのほか気温が低くて過ごすのはとても快適です。1300m程度の標高だから、日中になれば暑くなるものと思っていたので、これは嬉しい誤算でした。


大持山から分岐点まで引き返したのち、妻坂峠への道に入ると、緩やかな傾斜の歩きやすい尾根道が続きます。
このあたりの景色もなかなか綺麗で、とても気持ち良く歩けますし、緩やかなのですこぶる快調に下れます。
途中から急坂に変わり、少々滑りやすくなったりもしましたが、歩きにくくなる程の箇所はありませんでした。
妻坂峠には、大持山から30分で到着しました。標準コースタイムが70分ですから、その半分もかからなかったことになりますが、別に走ったりした訳ではなかったので、コースタイムの設定が甘めなのでしょう。
ここは登山道が十字に交わる交差点。ほんの5分休んでいる間にも、何人もの登山者がそれぞれ違う方向からやって来ては通り過ぎていきました。
妻坂峠に置かれていた石仏です。近くには、延享4年(1747年)の物だと書かれた私製の解説板もありました。


妻坂峠で、武川岳方面や生川方面の道を見送って右折すると、そこから先は植林帯の斜面にへばりつくような細い道。ここまで歩いてきた道とはガラッと雰囲気が変わって、大きなジグザグを描きながら下ります。
しばらく下ると沢筋に出て、そこからはその沢に沿ってほぼ真っ直ぐ進むようになります。
はじめ涸れていた沢に小さな流れが現れ、次第に水かさが増していくと、やがて前方に林道が見えてきました。
林道の終点に出たところから、登山口を振り返りました。


この林道は、今朝歩いていた山中線です。先程は途中の山中集落跡から横倉線に入ってしまいましたが、その分岐点まで5分ほどの距離しかないので、あとは名郷バス停まで、ほぼずっと今朝の逆回しの景色が続きます。
終点付近は勾配がなかなかきつく(そのためか、しばらく簡易舗装でした)、足への衝撃が結構こたえました。
でもすぐに、見覚えのある山中集落跡の分岐点に出て、ここからは傾斜も穏やかになります。
あとは今朝歩いた道を戻るだけ。朝のうちほとんどが日陰だった沢底には、午後になって日が差すようになっていましたし、気温も上がっているはずですが、それでも沢沿いだけに涼しく歩くことができました。
バスの時間には余裕があったので、バス停の少し手前で入間川の川原に降りて、着替えなどをしつつ時間調整します。ここは大鳩園というキャンプ場の入口付近に当たるようで、奥にはバンガローなどが並んでいました。
名郷バス停に着いたら、ちょうど折り返しとなるバスが到着したところ。すぐに飯能駅行きの設定をしてくれたので、早めに乗り込んだのですが、車内が暑かったので(エンジンを切っていたため冷房が止まっていて、乗降口も全開でしたし)、結局はまた外に出て発車時刻を待つことになりました。

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