SSブログ

西沢渓谷 [奥秩父]

2012/09/01(土)

■第235回 : 西沢渓谷


足の故障は、まだ完全復調には至っていなかったのですが、平坦な道ならば違和感なく歩ける程度にはなっていました。
そこで、歩行距離が短くて、アップダウンも比較的少なくてすむ、西沢渓谷を行先に選んで、青く澄んだ美しい流れが織りなす渓谷美を楽しんできました。

夏も終わりに近づいたこの日、季節の境目を狙った形になるのが良かったのか、訪れていた人は少なめでした。
このため、見所となっているほぼ全ての箇所で自分だけの時間が持てるという、願ってもいなかった展開となります。
休日にもかかわらず、ほとんど他の人の行動に左右されることなく、気が済むまで景色を眺めていたり、写真を撮るにもじっくりとカメラを構えたりできたので、初めて訪れるにあたってこういう時期を選んだのは正解だったようです。

 累積標高差(登り):442m / 距離:8.7km / 歩行時間:2時間45分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:3時間50分 

(往路)
古淵 05:58-06:21 八王子 06:35-07:49 塩山
塩山 08:30-09:30 西沢渓谷入口

(登山行程)
西沢渓谷入口バス停 09:35
ネトリ広場     09:50
二俣吊り橋     10:05
西沢渓谷終点    11:15-11:25
大久保沢      11:45
ネトリ広場     12:15-12:40
西沢渓谷入口バス停 12:55

(復路)
西沢渓谷入口 13:10-14:10 塩山 14:13-15:40 八王子
八王子 15:49-16:00 橋本 16:03-16:13 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

塩山駅からちょうど1時間バスに揺られて、西沢渓谷入口に到着しました。
周囲には至る所に駐車場が点在し、少し離れれば大駐車場を持つ道の駅「みとみ」もあります。
はじめは舗装された林道を歩きます。この緑のトンネルが、帰る時には小雨をさえぎってくれました。


15分ほどで「ネトリ広場」に到着です(案内図によっては「ナレイ沢広場」となっています)。
写っているのは綺麗な水洗トイレで、このほか屋根付きの休憩舎も建っていました。
その後は甲武信ヶ岳への登山道を2回見送ります。
こちらは徳ちゃん新道の入口で、ここから下ってきたのがちょうど6年前のことになるのでした。
しばらくは車も通れる道でしたが、閉鎖された西沢山荘の前を過ぎると、いよいよ渓谷道が始まります。


この「二俣吊り橋」で東沢を渡ると、渓谷道は西沢の左岸に寄り添うように続いていきます。
吊り橋の上から見る鶏冠山は、頂上に雲がかかっていました。


最初の滝はこの「大久保滝」。少し距離があるほか、このところの少雨も影響してか、あまり迫力を感じませんでした。
なお、この滝は西沢自体のものではなく、帰りに対岸で渡ることになる大久保沢が西沢に注ぎ落ちているものです。
続いて「三重の滝」。落差の小さな滝が3連になっていました。
「三重の滝」の下段の釜です。深い緑色が印象的でした。


ちょっとした深さでも水が青色がかって見えて、とてもきれい。
「人面洞」は、少々分かりにくい感じでした。奥の岩肌に人の顔のように見える所がある、ということらしいのですが。
このあたりは、流れのすぐそばを歩くことができました。


お次の「竜神の滝」は、緑の釜から緑の釜へと落ちる、美しい滝でした。
「竜神の滝」を過ぎると、ところどころに岩場の急な登りが出てくるようになります。
この写真は「恋糸の滝」。対岸で支沢から西沢に流れ落ちている細い滝なのですが、まぁ写真では分かりませんね。肉眼では、写真中央で一直線に落ちる滝が見えるのですが、木々が葉を落とした季節でないと、写真での表現は難しそう。


「貞泉の滝」は、まずこうして全体像を俯瞰した後で、落ち口のすぐ脇を通過していきます。
そこそこ落差のある滝なので、間近に立つとビジュアルもサウンドも大迫力でした。
そして今度は「母胎淵」。対岸には、複雑な流れが岩をうがって作ったらしい洞窟状の窪みがあります。
その窪みを覗くと、右奥の水中に見えるものが、なんと胎児を抱えた胎盤のようではないですか。
自然の神秘に魅了されるとともに、「母胎淵」と名付けた人のセンスにも唸らされました。


この日は、人が少ないことを有り難いと思いながら歩いてきましたが、こんな渓谷美を見せられてしまうと、やはり新緑や紅葉の時期にも訪れてみたいと思ってしまいます。大混雑必至ですけどね。
「方丈橋」は、旧橋の老朽化のために昨年架け直されたばかりで、真新しかったです。
「方丈橋」を渡る途中で上流を見ると、「七ッ釜五段の滝」の最下段が顔を見せていました。


西沢渓谷の一番奥に到達すると、いよいよ最大の見せ場である、「七ッ釜五段の滝」が現れます。
スケールが大きくて、一箇所からでは全貌を見渡せず、まず最初に見られるのが、この下半分の様子でした。
そしてこちらが「七ッ釜五段の滝」の上部の様子。
渓谷道の最上部まで登ると、「七ッ釜五段の滝」の最上部の釜を間近に見られました。


「七ッ釜五段の滝」を過ぎると、渓谷道はその終点へ向けて急速に登り詰めていきます。
この標識の前後合わせて200mほどは、階段状の登りばかりが続いて苦しかったです。
長い階段を登り終えて、西沢渓谷遊歩道の終点に出ました。ここはかつての森林軌道跡です。
斜面にへばり付くようにして、軌道幅の分だけの細長い平場が続いている中に、いくつかのベンチが置かれていました。
奥のほうにも大きなウッドデッキがあったほか、このような小さなトイレもありました。
ウッドデッキの奥を見ると、さらに上流へ向けて、森林軌道跡は続いていました。
廃線とともにレールが撤去されがちな軌道跡にあって、往時のレールが残されたこの場所は、廃線探訪を趣味とされる方々にとって大きな存在のようです。興味がある方は、超有名サイト 「山さ行がねが」さんのレポート をご覧下さい。なかなか壮絶です。


遊歩道終点のベンチで少し休憩したら、レールが残る軌道跡をたどって、出発地へと戻ります。
鉄路が敷かれていただけに、勾配が緩やかで楽に歩ける道ですが、渓谷を遙かに高巻いている道からは、渓谷らしい景観はほとんど楽しめなくなりました。
しばらく進むと「大展望台」があって、奥秩父のいくつかの山々を望めるようになっていました。展望図もあります。
残念ながら多くの山は雲の中でしたが、往路の「二俣吊り橋」から見た時に雲に隠れていた鶏冠山が見えていました。


それにしても穏やかで歩きやすい道です。レールはしばしば埋もれたりして消えますが、残っている区間が大半でした。
遊歩道はこの橋で大久保沢を渡りますが、レールは直進方向に伸び続けていたので、かつては橋が短くて済むように、もっと上流で沢を渡っていたようです。
かなり下ってきたあたりには、トロッコが乗ったままのレールがありました。
載っている木材はどう見ても新しい物ですが、トロッコ自体が当時の物かどうかが気になるところです。が、特に説明がないことや、風雨に晒され放題の場所に放置されていることからして、少なくとも貴重な物ではなさそう。
軌道跡は、小さな沢をたびたび橋で渡ります。
それぞれの橋には番号が付けられていて、終点側の40番台からカウントダウンされていき、ついにこれが「2号橋」。
しかしこの後、なぜか「1号橋」を見ることはなく、これが最後の橋となりました。


軌道跡が終わると車道歩きに変わり、ネトリ橋で対岸に渡れば、間もなくネトリ広場に出て往路と合流します。
ネトリ橋から見上げる鶏冠山は、その名の由来が良く分かる形をしていました。
ネトリ広場に到着。バス停まで15分ほどで戻れますが、バスは約1時間後なので、休憩舎で少しゆっくりしていきます。


ネトリ広場で時間調整している間に小雨が舞ってきました。なのでバス停に着いたら、すでにバスが来ていて乗り込めるのを期待したものの、バス停はこの様子。でも、傘を差すほどの降り方でもないので、近くの木陰に入ってバスを待ちました。
バスの発車後、雨は一時本降りになりました。歩き終えるのがもう少し遅かったら、降られていたのかもしれませんね。

タグ:奥秩父
nice!(0)  コメント(6) 
共通テーマ:スポーツ

nice! 0

コメント 6

J-A

膝痛められていたんですね。。。
どうぞお大事に。回復したらまたみんなで行きましょう。
ちなみに、こちらは昨日は三沢岳・宝剣岳に行ってました。
by J-A (2012-09-02 21:16) 

cellist

J-Aさん、お見舞いありがとうございます。
この日の時点で、まだ少し症状が残っていた足も、今日になるとほとんど違和感が無くなっていました。
この調子でいけば、次の週末はマトモに山に出掛けられそうですし、近い将来またご一緒させて頂けるのを楽しみにしています。
by cellist (2012-09-03 23:13) 

さわらび号

拝啓、国際興業(株)公式文書・飯能市役所より
平成24年度以降国際興業バス飯能営業所が存続をする締結を
結んだ事が公開されました。

地域新聞(飯能・日高など周辺での発行されている)文化新聞
9月1日より・・平成26年4月~平成29年3月までの締結で
利用者が増加をしなかればまた問題が再燃します。
根本的な解決になっていません。
by さわらび号 (2012-09-16 00:31) 

cellist

さわらび号さん、コメントありがとうございます。

飯能市と国際興業が発表したその日のうちに、YAMA BUS INFO(ハイキングバス新着情報)さん(http://yamahazu.blog52.fc2.com/) が記事を載せて下さっていて、私も週末になったらこちらの記事をフォローしなければ、と思っていたところです。
しかし、それらの記事から私が知り得ていたのは、「平成26年4月以降も運行を継続する」ことだけ。その「継続」がいつまで約束されたものなのかは、さわらび号さんのコメントを拝見して初めて知ることができました。貴重な情報をご提供下さって感謝しています。

仰って頂いた通り、利用者の減少に歯止めをかけなければ、何の解決にもなりませんし、都市郊外の人口減少がさらに進むであろうことを考えると、状況は今後も悪くなる一方のはずですよね。
今のところ、バスの利用促進について何らかの策が講じられようとしている気配が全く感じられないのが気懸かりです。
by cellist (2012-09-16 10:53) 

ぴすけ

cellistさん、私も西沢渓谷に行きたいと計画を練りつつ、あれよあれよと3、4年経ってしまいました(1泊で、西沢渓谷と乾徳山抱き合わせプランです)。
実は25年前(!?)の新緑の時季に、母とハイキングで訪れたことがあり、秋はどんな感じになるのかと、ずっと思っていました。
お写真を拝見すると、新しく橋が架け替えられたこととトイレが出来たことが、25年前と変わっている程度で、渓谷入口のバス停周辺や渓谷の景観は、あまり変わっていないようです。
懐かしくお写真拝見しました。
by ぴすけ (2012-09-19 11:21) 

cellist

ぴすけさん、コメントありがとうございます。
私も西沢渓谷の紅葉は気になるところですが、休日は混雑が壮絶を極めそうなので、次にひとりで行くとしたら新緑の時期のような気がします。
が、実は今回、グループ山行の下見を兼ねられるようにと選んだ行先でもありましたので、案外近い将来にまた行くことになるかもしれません。

ところで、ぴすけさんのブログを拝見しているうち、魔女の瞳とやらをどうしても見たくなってきたので、早ければ来年あたり行くことになりそうな予感です。
ただ悩ましいのは、せっかくの遠出なので一切経山のほか東吾妻山と吾妻小富士は回りたいところなのですが、スカイライン循環バスでの日帰りでは、現地での滞在時間を4時間しか確保できないこと。なかなかコレ!という計画がまとまりません。

by cellist (2012-09-20 00:09) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。