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伊吹山 [関西]

2013/05/17(金)

■第255回 : 伊吹山(1377m)


この日は滋賀・岐阜県境付近にそびえる伊吹山に登ってきました。久しぶりの日本百名山です。
3月に京都・愛宕山に行った折、新幹線が関ヶ原を通過するあたりで、堂々として魅力的なシルエットの山が車窓に現れたのですが、それまで完全にノーマークの山だったので、その時点では名前が分かりませんでした。
こちらがこの日、新幹線の車窓から写した伊吹山。3月に見た時は雪山で、もっと神々しく輝いて見えました。
帰宅後に調べてみると、それが伊吹山で、迂闊にも有名なはずの日本百名山でした。新幹線から間近ですから、関西にありながら東京から楽々と日帰りできてしまうことも分かり、近いうちに登ろうと思っていたのです。
休日に行ってもロクなことがない百名山は、行くならば静かな平日しか考えられません。
ちょうど、取得できていた休暇と好天の予報が重なったので、朝一番の新幹線に乗って出掛けてきました。

 累積標高差(登り):1292m / 距離:12.4km / 歩行時間:4時間5分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:6時間50分 

(往路)
古淵 05:15-05:38 新横浜 06:00-07:26 名古屋
名古屋 07:32-07:59 米原 08:03-08:12 近江長岡
近江長岡 08:45-09:01 伊吹登山口

(登山行程)
伊吹登山口バス停 09:05
三合目      10:05-10:10
八合目      11:05-11:10
伊吹山      11:25-11:50
山頂駐車場    12:10-12:15
八合目      12:40
三合目      13:10-13:20
伊吹登山口バス停 14:00

(復路)
伊吹登山口 14:30-14:46 近江長岡 15:09-15:33 大垣
大垣 15:41-16:13 名古屋 16:24-17:51 新横浜
新横浜 17:57-18:21 古淵


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

米原で新幹線から在来線に乗り換えて、近江長岡駅にやって来ました。関ヶ原の2つ隣と書けば、場所をイメージしやすいでしょうか。とにかく駅前にほとんど何もない駅でした。写真右手の建物はバスの営業所です。
新幹線の車窓からと同様に、駅前からも、スッキリと晴れ渡った青空の下に伊吹山が見えていました。
こちらが登山口行きのバス。こんな所まで来て、西武ライオンズカラーそのまんまの車体を見るとは。
帰宅後の調べで、湖国バスが西武系だと分かって納得しましたが、そうすると今度は、ライオンのヘッドマークが消されていたことに違和感がありまくりでした。


15分ほどバスに揺られて登山口のバス停に到着です。平日とあってバスの乗客は十数名程度でした。
歩き始めるとすぐに、登山口のゲートをくぐります。
ゲートをくぐった直後に登山道が始まったので、車道歩きは瞬時に終了でした。


登り始めは森の中。木々の間を縫う木陰の道を、快適に登っていきますが・・・
20分ほどで車道に出たところが1合目。ここで早くも木陰の道はおしまいで、前方にはスキー場のゲレンデが見えてきました。その上にもずっと草原が続くため、この先にはもう日射しを遮るものがほとんどありません。
今頃を過ぎたら、もう暑くて仕方がないでしょうね。この山では、夏は夜間登山が恒例になっているようです。


スキー場のゲレンデを登ります。かなりの傾斜を、ジグザグも描かずに直登するので結構キツイです。
まだ標高も低くて暑いので、この日一番汗をかかされたのが、このあたりだったような。
暑さのほか日射しも容赦ないですが、それは分かっていたことなので、今年初めて紫外線対策をしてきました。
振り返ると、樹木がないだけに、標高の割には広範な展望が開けていました。すでに琵琶湖が大きく見えていたのも印象的だったのですが、写真(右半分の後方が全て琵琶湖なのですが)では分かりにくいですね。
下はこのページの横幅に合わせた縮小写真ですが、大きなサイズの画像は こちら です。


2合目を過ぎると、一時的に木陰が出現します。すぐに終わる短いものですが、ひと息入れるには貴重でした。
そして3合目の手前で、初めて登山道上から頂上が見えてきて、これがなかなか壮観なのではありますが・・・
問題はすでに500m以上を登ってきて、それなりの疲労感がある中で見る景色だということ。
こんな遙か上にゴールを見せられて、まだどんだけ登らされるのかと、心が折られて気が遠くなりそうでした。


3合目に着くと、トイレの建物の向こうには木陰のベンチがありました。登り始めてちょうど1時間、絶好のタイミングで現れたオアシスのような場所は、緑の草原が広がる中にあって居心地が良かったです。
3合目の草原は、白や薄紫の可憐な花が一面に咲くお花畑になっていて見事でした。でも小さな花だけに、漠然と草原全体を広く撮っていたら、すっかり花が埋もれてしまう失敗写真が出来ていただけ。
下は縮小写真ですが、原寸の時点ですでに花がほとんど分かりません。慣れないことをしてもダメなんですね。


5合目を通過する頃には、もう登山口からの標高差の半分以上を登っていますが、まだまだ先が長い感じです。
ずっと上まで続く急斜面の草原には、ジグザグを描く登山道や、先行者の姿がポツリポツリと見えていました。
5合目を少し過ぎてから振り返りました。写真左側で、直下に茶色い屋根の建物が見えるのが5合目、その一段下で数軒の建物が並ぶのが3合目です。そして右半分の後方に大きく見えている琵琶湖は、肉眼ではキッチリと見えていたのに、写真では霞んでいて分かりにくいですね。(大きな画像はこちら)


6合目の少し手前には避難小屋が建っていました。
避難小屋の内部です。靴を脱いで上がるようにスリッパが用意されていて、とても綺麗に使われていました。
登山道の周囲だけは草原になっているのに、草原を外れた両脇の斜面には、普通に木々が茂っています。
草原は見晴らしが良くて爽快ですし、ずっと続くお花畑にも目を奪われますが、なにしろ日射しがきついので、木々の間を縫う所にも道があれば良いのに、ってちょっと思ったりしました。
ずっと頂上を見ながら登っているので、振り返れば、歩いてきた草原が3合目からずっと見えていました。


草原では、とにかくずっと花々が咲き続けていました。花には普段あまり興味がない私ですが、登る途中でひと息入れるついでに写真を1枚撮るくらいのペースがちょうど良くて、ついつい写真を撮ってしまいます。
これら2枚はオドリコソウである確率が高そう。白とピンクの2種類が見られました。
こちらはイブキハタザオでしょうか? このほか、光沢があってプラスチック素材の造花のように見えるウマノアシガタの黄色い花も良く見られましたが、そちらはちょっと使える写真がなかったです。


7合目を通過します。ここで地面に写っている黄色い花は西洋タンポポ。外来種であり、繁殖力が旺盛なために在来種を駆逐してしまうとして招かざる客なのですが、残念ながら非常に多く見掛けました。
草原が7合目の上で終わると、少し低木が見られるようになりました。新緑の柔らかな色合いに癒されます。
祠とベンチがある8合目で2回目の小休止。残す標高差は150mほどとなり、やっと終わりが見えてきました。
標高が上がって暑さも収まったので、紫外線対策として、腕まくりしていた山シャツを長袖に戻しています。


8合目から上では、岩がゴツゴツした道に変わって、少し歩きにくくなります。
しかし、下る時に少し気を付けていれば良い程度で、特に問題となるような箇所はありませんでした。
空が大きくなってきて、いよいよ頂上が近付いてきた気配です。
西遊歩道の分岐点まで来れば、もう頂上はすぐ先。ここからは道の傾斜も穏やかに変わりました。
なお下山時は、頂上部を周回した後に、西遊歩道からここに出てくる予定です。


頂上に着くと、いきなり売店街が出現しました。この日歩いた南側斜面の登山道を選ぶと、標高差が1200m近いガチな登山となりますが、北側は頂上直下まで車道が通じていて、散策程度で頂上に立つこともできます。
この日は比較的静かでしたが、360度の大展望があり、高山植物も豊富とあって、休日は賑わうのでしょうね。
5軒ほどあったらしい売店の脇を抜けて、最高点を目指します。
日本武尊の石像が立つこの地点が、伊吹山の最高点だったでしょうか。
スッキリと晴れて展望が良かった一方で、終始涼しい風が吹いていて長袖で過ごすにはちょうど良く、暑さや日焼けの心配が最小限ですんで、登るには絶好の日和だったようです。
東西に長い頂上には、ずっと草原が広がっています。
もう少し緑の濃い時期になると、さまざまな花が咲き乱れるらしいのですが、その頃は暑いんでしょうね。
日本武尊像の立つ最高点や売店のある側を振り返りました。本当にゆったりとした頂上です。
全方向に見晴らしが抜群で、高い山が周囲に全くないとくれば、三角点の等級が一等なのも当然でしょうか。


展望は、まずは眼下に琵琶湖が大きく横たわる南西側から。登ってきた登山道の方角でもあります。
ちょっと霞んでいたので、琵琶湖の先に比叡山が見えていたかどうか。(大きな画像はこちら)
北側では、折り重なるようにして山並みがどこまでも続いています。全く馴染みのない山域ですが、写真右半分の中央付近で雪を抱いて見える大きな頂が白山だということは、展望図を見るまでもなく分かりました。
大きな画像は こちら ですが、あまりに雄大な展望だったため、これでも結構縮小してしまっています。
ということで、白山のあたりだけの写真にしてみました。左端近くに写る残雪のピークは能郷白山のようです。
白山のアップです。かなり距離があって、ズームを最大限にしているので、少々厳しい写真になりましたが。
こちらは南側の鈴鹿山脈です。写真中央やや右寄りで、比較的クリアに見えている山並みの中で一番高く見えるのが霊仙山。その左上で、霞んで最も奥に高く見えるのが雨乞岳です。
雨乞岳のすぐ左に続いている御在所岳は、前に御池岳が重なって見えていない模様。(大きな画像はこちら)


頂上からは、東遊歩道~西遊歩道と、山頂の北側を1周するルートに入ります。
こんな標識が立っていて、実際に下りの一方通行とされていましたが、登山道としてはありふれた道でしかなく、登山者が危険を感じるような箇所などどこにもありません。観光客向けの注意勧告でしょうか。
そもそも本当に危険だったら、下りの一方通行だなんて意味不明すぎます。ふつう登り専用にするでしょうが。
東遊歩道に入っても、のびやかな草原が続いていました。
東遊歩道は、ニリンソウの大群落で始まります。これは花好きな人たちにはたまらないでしょうね。
山頂一帯ですでに群生していましたが、東遊歩道付近になると、白い花が草原を埋め尽くす様子が見事でした。
ところどころでは、ツルキジムシロの黄色い花も盛大に咲いていました。


花の多い道を20分ほど下ると、駐車場と茶屋が見えてきました。夏期はここまで路線バスも運行されています。
駐車場から、西遊歩道で頂上付近へ登り返します。頂上までの標高差は100m少々で、ずっと砂利敷の遊歩道を歩くだけ。ここまで車で来れば軽装のまま頂上まで散策できるので、登山するという意識は必要なさそうです。
が、遊歩道だと甘く見ていたら、砂利で足元がズルズル滑ったりして、効率の悪い登りを余儀なくされます。
すでに1200m近い標高差を登って登頂を果たした後では、それが精神的に少しこたえました。


頂上直下まで戻って、登ってきた登山道に復帰しました。
これから、ここを下ります。この素晴らしい高度感がたまりません。
3合目付近までずっと見渡せる爽快な眺めですが、特に5合目までは真下に落ちるような感じに見えました。
はじめは露岩の多い道で、足元への注意が必要ですが、それもこの8合目まで。
ここからは、ジグザグで傾斜が緩和された歩きやすい道に終始します。


ということで、なかば駆けるようにして軽快に下れてしまい、先行者を抜かしまくりでした。
みるみるうちに下界が近付いてきます。
朝登ってきた時よりも、琵琶湖はクリアに見えていたような。(大きな画像はこちら)


あっという間に3合目に到着。なんと、8合目から30分しかかかりませんでした。
ここは登りでもひと休みしましたが、最後に時間が余りそうなので、今度はもう少しゆっくりしていきます。
ただでさえ雰囲気の良い場所なのに、涼しい風がさらに心地良く、いつまでも居たい気分にさせられました。
3合目付近をぶらぶらしながら振り返ると、頂上は変わらず青空の下にありました。
登るのが辛かったスキーゲレンデの急勾配は、下りでもやっぱり急で、さすがにここは普通に歩いて下ります。
ここまで標高を落とすと暑さがぶり返していましたが、もう少し長袖のまま頑張りました。
1合目を過ぎると樹林帯に入って、久しぶりの木陰の道。ここで半袖に戻しましたが、もうゴールも間近です。


帰りのバスの時間には、30分の余裕を持って到着しました。
さて、朝のバスが同じだった十数名のうち、この時間のバスに間に合うのは、余程健脚の人に限られるはず。
後続の様子を見ていても、それを目論んでいそうな人は3人程度なので、バス停を離れていても座れそうです。
ということで、近くにある三之宮神社の静かな境内で、ベンチに腰掛けてバスの時間を待ちました。
近江長岡駅まで戻ってきても、伊吹山の上空はこの通り。気持ちの良い青空がずっと続いていました。

快晴で過ごしやすいという絶好の天気に恵まれて、大展望とお花畑の両方を堪能できた大満足の1日でした。
東京から遠出をして出掛けただけの価値が十分にある、とてもいい山だったと感じています。また行きたいな。

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愛宕山 / 嵐山・嵯峨野 寺院巡り [関西]

2013/03/09(土)

■第250回 : 愛宕山(924m) / 嵐山・嵯峨野 寺院巡り


今回は第250回を記念して、前日泊を絡めて2年ぶりとなる京都に出掛けてきました。
まずは朝一番で、1300年の歴史を持ち、全国に900社を数える愛宕神社の総本山である、愛宕山に登頂。
そして下山後は、その足でそのまま嵐山・嵯峨野エリアに向かい、化野念仏寺や天龍寺などの寺院を巡ります。

ところでこの計画、当初は前回登山のすぐ翌週の予定で、愛宕山では雪景色が楽しめるはずでした。
しかし体調不良が続いて延期を重ねているうちに1ヶ月が経過してしまい、冬でもない、かといって春でもないという中途半端な時期にはなりましたが、季節外れの陽気に恵まれて、軽装で快適に歩けたのは良かったかな。
また寺院巡りでも、世界文化遺産の天龍寺を除けば人が少なかったです。落ち着いた佇まいを感じながら、静かに見て回ることができたので、この時期を選んだのは正解だったと思っています。

 累積標高差(登り):871m / 距離:9.8km / 歩行時間:3時間20分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:4時間30分 

(往路)
[前日] 古淵 14:34-14:59 新横浜 15:22-17:47 京都
    京都駅前 18:21-18:36 四条大宮(泊)
[当日] 大宮 05:42-05:48 桂 05:58-06:06 嵐山
    嵐山駅前 06:22-06:36 清滝

(登山行程)
清滝バス停 06:40
水尾分かれ 08:00-08:05
愛宕山   08:35-08:45
月輪寺   09:15-09:20
清滝バス停 10:20

(寺院巡り)
清滝バス停 10:20
化野念仏寺 10:40-10:50
祇王寺   11:05-11:10
落柿舎   11:20-11:30
常寂光寺  11:35-11:55
天龍寺   12:05-12:25
清涼寺   12:40-12:55
嵯峨嵐山駅 13:10

(復路)
嵯峨嵐山 13:26-13:42 京都 14:29-16:51 新横浜
新横浜 16:55-17:12 町田 17:14-17:18 古淵


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やって来ました、京都。 暮れなずむ空に光る京都タワーです。
四条大宮で一泊して、夜明け前の阪急大宮駅から行動を開始します。
阪急嵐山駅に着く頃になって、ようやく空が明るんできました。
観光地の玄関口も、さすがに早朝は閑散としています。
20分ほどバスに揺られて、清滝に到着です。始発のバスの乗客は、私を含めて登山者4人だけでした。


橋を渡り、狭い路地を抜けていくと、この鳥居の先から愛宕神社の表参道が始まります。
すぐに、頂上を「40/40」とする分数表記の位置案内が現れました。
どのくらい登ったかの良い目安になりますし、40区間もあると数字が進むのも早くて、結構励まされます。
表参道はほとんどが階段状で、自然の坂道はほとんど残されていません。なかなかキツイ登りです。
古くから京都の人たちに「愛宕さん」として親しまれ、大勢の人たちが登り下りした歴史ある参道ですから、こうして手入れされているお陰で、長年にわたって維持されてきたのでしょう。


位置案内には、キロ数表記のものも存在します(前のを忘れた頃になって次を見掛ける程度の間隔でしたが)。
最初に見たのが「神社まで4000」で、その時は意味が分からず、これを見てやっと距離だと分かったのでした。
ところどころに、こうした休憩所が建てられています。そしてここは「30丁目」。
位置案内には、さらに頂上を50丁とした丁目表記のものまであるのでした。一丁ごとにお地蔵さんが現れて、きれいにかけられたエプロンからは、この山が多くの人に愛されていることが感じられます。


朱塗りの柵に囲まれた大杉社。杉の大木は既に朽ちていますが、注連縄が掛けられて祠が祀られていました。
ここが「20/40」なので、ほぼ道半ばのようです。そしてこの先「27/40」までは、ほぼ平坦な箇所も多いなだらかな道が続きました。表参道で唯一楽に歩ける区間です。
大杉社の近くでは西側に展望が開けていましたが、あいくにこの日の景色はこの通り。
朝靄? 春霞? 花粉? 黄砂? PM2.5? たぶん全部でしょう。後半の3つはお呼びじゃないのだが。
この山に特有のこの挨拶、予めウェブで読んで知っていたのですが、残念ながら表参道を登る途中ですれ違った人たちとの挨拶は全て「おはようございます」でした。どうやら、あまりに朝が早すぎてしまったらしいです。
それにしても、この時点ですでに下ってくる人たちは、ほとんど夜明けと同時に登り始めたんでしょうかね。


この「水尾分かれ」で、水尾から登ってくる道を合わせます。関東あたりの山だったら、「水尾分岐点」って呼ばれるのがせいぜいでしょうが、こんな地名からも京都らしさが感じられます。
水尾分かれの休憩所です。ここまでの休憩所には清滝のバス時刻表が掲示されていましたが、ここでは水尾のバス時刻表が掲示されていました。


いよいよ、神社の参道らしい雰囲気になってきました。なんだか気分も引き締まります。
黒門をくぐります。これは愛宕神社に由来するものではなく、かつてこの地にあって、慶応年間の神仏分離令によって破却された白雲寺の惣門だったらしい(傍らに立っていた解説板より)。


少し前から、数字の増え方が早くて変だと思っていたところ、案の定、頂上のかなり手前で「40/40」が出現。
「神社マデ300m」とも書いてあって、それが分かっていながらここがゴールになっているのは、このすぐ先から始まる愛宕神社の敷地内で設置を断られたとかの事情がありそう。
う~ん、悲しいことに、やはり愛宕神社サイドでは登山者をあまり快くは思っていない様子。
でも書かれているのは至極当然の事であり、登山者のマナーの悪さが登山者自身の肩身を狭くさせているに過ぎません(喫煙問題と同じ構図)。結果的に自分達の首を絞めることになる行為を、なぜ正せないのだろうか。


愛宕神社の社務所前で、一旦道は穏やかになります。
ここには超旧式のトイレと、冬場はストーブが焚かれているらしい休憩所がありました。
これが神社への最後の登り。写真から受ける印象よりもかなり急な石段でした。


まずは神門をくぐります。
さらに石段を登った先が頂上。いよいよ社殿内に入ります。
この本殿でお参りした後、さらに進んで奥宮でもお参りしていきました。
奥宮の手前で天井付近を見上げて発見。嘉永元年は、調べて見たら西暦1848年、今から165年ほど前でした。


社務所前まで戻ってひと休みしてから、月輪寺を経由するルートで下ります。
一旦北に向かって少しだけ進み、すぐに出てくるこの分岐を右に折れると、山道が始まりました。
こちらは表参道とは違って、登山道らしい雰囲気に溢れています。
傾斜の急な箇所はほとんど木段になっていますが、歩きやすい坂道も多かったです。
下りで階段道が続くのはシンドイので、こちらの道を下りに選んだのは正解でした。


月輪寺では、元気の良い尼僧の住職さんがお出迎えです。その明るさには救われた気分になりましたが・・・
檀家を持たない山寺のため、維持するだけでも困難なところへ、昨年夏の局地豪雨による土砂崩れが、一部のお堂を埋める被害をもたらしました。応急措置は取られたものの、今後さらに倒壊の恐れがあるとされています。
宝物庫には8点の重要文化財が収蔵されており、被害が及ばないように対策が求められるところですが、土砂に埋まったお堂のほうが文化財指定を受けていないために、国からの支援は受けられないらしい。
多くのボランティアによる復旧作業が進められているものの、今にも崩れそうな崖下での作業は危険を伴う上に、山道を歩いて1時間かかる場所では重機の搬入もままならず、ほぼ手作業に頼っている状況のようだ。
こうして文化遺産が危機に瀕しているというのに、行政はただ手をこまねいて見ているだけなのだろうか。
月輪寺のあたりからは、京都市街を見下ろせるはずなのですが、この日は展望はサッパリでした。


月輪寺への登山口まで降りてきました。ここから清滝バス停までは舗装道路歩きとなります。
途中で道路の下を覗くと、そこに山道があって歩いている人も見られます。
何の道かと思ったら、やがて道路に上がってきて、合流点の標識で東海自然歩道だと分かりました。
高尾山から続いているロングトレイルは、東京・神奈川あたりの区間こそ歩き慣れているものの、遠征先でその続きを見るのはちょっと不思議な気分。それだけ、想像を絶する距離があるということですね。
清滝バス停まで戻ってくると、朝は閉まっていたお店も営業が始まっていました。
後方が愛宕山方向なのですが、山頂は見えていない模様。


清滝バス停からそのまま歩き続けて、嵐山・嵯峨野方面に向かいます。
朝は、右側に見えるトンネルをバスに乗って通ってきましたが、ギリギリ1車線幅しかなくて歩くのがちょっと怖そうだったので、左の道を上がってトンネルの上を越えていきます。


まず最初に訪れたのは化野念仏寺です。
化野念仏寺といえば、やはり特徴的なのは無数の石仏・石塔が並ぶこの光景ではないでしょうか。
奥にあった竹林の道も京都らしい雰囲気でした。


つづいて祇王寺へ。
祇王寺の見所は、やはり美しい苔庭。
こんな時期でどうかな、と思っていたのですが、緑色に輝く庭を十分に楽しめました。


お次は落柿舎。ここは寺院ではなく、芭蕉の時代の俳句道場といったところです。
本庵の茅葺き屋根に、何とも言えない風情を感じます。
庭には鹿威しの音が心地よく鳴り響き、わび・さびの世界を演出していました。
土間に入ると、茅葺き屋根の骨組みを見ることができました。
芭蕉の句碑。「五月雨や色紙へぎたる壁の跡」(嵯峨日記)


こちらは常寂光寺。山門は簡素なものだと思いますが、ポスターとかがちょっと残念。
仁王門は茅葺きの立派なもので、中に運慶の作と伝えられる仁王像が立っています。
池を配した庭も雰囲気がありましたが、もうちょっと緑が元気な季節のほうが良さそう。
本堂背後の山腹を登っていくと、多宝塔が建っていました。
多宝塔のあたりからは、京都市街を眺められますが、やっぱり霞んでいました。


天龍寺へ向かう途中の竹林の道。絵になりますね。
嵐山駅に近付いてきて、人が増えてきたので、人の流れが途絶えるのを少し待ちました。


世界文化遺産の天龍寺には北門受付から入ります。多宝殿の前では、しだれ梅が見頃となっていました。
天龍寺を代表する風景の曹源池庭園です。この時期でももちろん十分に美しいのですが、パンフレットの緑豊かな写真と比べると、ちょっと物足りない印象だったのは否めませんね。
天龍寺には裏手から入っていたので、山門は出てから振り返りました。


最後に訪れたのは、少し離れた所にある清涼寺です。
ここは一般的な観光ルートから外れているらしく、訪れる人が稀で、静かでした。ちなみに拝観無料です。
多宝塔の前では紅梅が満開でした。
阿弥陀堂の前では白梅も少し楽しめました。
さて、予定ルートを全て歩き終えて、時刻は午後1時少し前。さらにほかの寺院を回る時間も十分にあります。
しかし、なにしろ登山後のこと。いい加減足が棒になってきていたので、予定通り帰路に就くことにしました。


予定では 15:30 到着を見込んでいた嵯峨嵐山駅に、なんと2時間以上も早く着いてしまいました。
各寺院での拝観時間を20分ずつ見ていたのですが、小振りな境内の寺院が多くてそこまで時間を掛けなかったのと、朝の登山でもいつものように標準タイムを1時間短縮していて、それらが積み重なった結果のようです。

あれ? 早朝にホテルを出て、朝一番のバスで清滝に着いたのが 06:36 でした。
一方、朝一番に東京から出発したとしても、清滝への到着は最速で 08:49、2時間ちょっとしか違いません。
それで予定より2時間早く回れたのだから、実は日帰りで十分だった訳で、ホテル代損してしまったよ。でも夕方の混雑時の前に帰れて、空いていた新幹線が快適だったから、これで良かったと納得しておくか‥‥。

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比叡山・延暦寺・三千院 [関西]

2011/05/18(水)

■第204回 : 比叡山(848m)・延暦寺・横高山(767m)・梶山(大尾山)(681m)・三千院


西日本の山に初めて行って来ました。延暦寺参拝を兼ねて比叡山に登り、京都一周トレイルを北上して梶山(大尾山)まで縦走した後、大原に下って三千院を参拝するという、盛り沢山のルートです。
そんな欲張った計画になっていたのは、実はこのルートが、200回記念の行先候補でもあったからなのでした(桃の花の時期になったので、200回記念は山梨に行ってしまったのでしたが)。

 累積標高差(登り):1456m / 距離:18.4km / 歩行時間:5時間30分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:8時間15分 

(往路)
古淵 05:15-05:38 新横浜 06:00-08:01 京都
京都 08:15-08:32 比叡山坂本

(登山行程)
比叡山坂本駅   08:40
延暦寺・根本中堂 10:00~
延暦寺・阿弥陀堂 ~10:20
比叡山(大比叡)  10:35-10:40
浄土院      11:10
釈迦堂      11:20
横高山      12:00-12:10
水井山      12:25-12:35
仰木峠      12:55
小野山      13:15
梶山(大尾山)   13:50-14:00
音無の滝     14:40-14:45
三千院      14:55-15:25
大原バス停    15:35

(復路)
大原 15:40-16:26 四条河原町 (お買い物・徒歩移動) 京都
京都 17:42-19:44 新横浜 19:49-20:15 古淵


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スタートの比叡山坂本駅。比叡山への出口は反対側になりますが、そちら側には駅前と呼べるような景色が何もなく、この写真を撮るためだけに一旦東口に回っています。

しばらくは車道や日吉大社の参道を歩いて、日吉大社を右に見送ったところから、この階段が始まります。階段の左手は比叡山高校でした。

やがて山道になりますが、こんな感じの荒れた道がずっと続きました。雨水の流れ道になってしまっているのが明らかで、かなり歩きにくいです。
こんな酷い箇所も少なくありません。ここなどは、雨の時は完全に川の中に道が没しそうです。

比叡山延暦寺の根本中堂です。さすがにここは人が多かったです。
大講堂。このあたりも人がひっきりなしです。鐘楼は自由に撞けるようになっていた模様。

阿弥陀堂は、何故かひっそりしていました。多くの人が参拝ルート外としているのでしょうか。おかげで全く人が入らない写真が撮れています。
阿弥陀堂の左側の奥にある、こんな所を抜けた先に、結果的に大比叡まで通じている道があったのですが、何も案内はありませんでした。

比叡山の最高点、大比叡です。ここに写っている範囲が全ての狭いピークで、展望もありません。
三角点をアップで撮りました。

比叡山頂バス停前の駐車場からは、京都市街が眺められました。
なぜ京都市街だと分かったかというと、京都タワーが見えていたから。(中央やや奥です)

延暦寺の西塔エリアに来ました。浄土院はこの枯山水が美しかったです。
こちらは釈迦堂です。

春だというのに、何故かモミジが。登山道が奥比叡ドライブウェイと絡むあたりで、こんな木を何本か見ました。こういう種類なのでしょうね。

今日2つ目のピーク、横高山。ここも展望は全くありません。

満開のツツジ。いかにも5月の山を歩いている、という気分になります。ただしツツジは群落にはなっていなくて、散発的でした。

水井山も三角点ピークですが、やはり展望は全くなしでした。

仰木峠で、京都一周トレイルと東海自然歩道は稜線と分かれて下って行きますが、さらに稜線を北上します。

小野山の周囲は荒れていて、しかもどこが頂上かハッキリしませんでした。何本かのテープで目印が付けられていたここが最も高かったと感じましたが、標識らしき物は見当たりませんでした。

小野山から下って行くと、林道に出てしまいます。ちょっと興醒め。
しばらく林道を歩いた後、こんな標識を見て再び山道に入ります。

山道はすぐ左折するのですが、右にも踏み跡があったので行ってみると、琵琶湖が見えていました。
見えているのは琵琶湖大橋ですね。

今日最後のピーク、梶山(大尾山)にも三角点。ここでは、木々の間に少しだけ琵琶湖方面が見えていました。

梶山(大尾山)から大原へ下る道は、荒れた沢の中を歩くトンデモナイ道でした。かなり下った所でこんな物を見せられても、もうどうしようもありません。もっと上にいる間に言って欲しい所です。
しかも、これだと気を付けさえすれば通れるように思ってしまいますが、そんなナマ易しいものではありませんでした。

こちらは「三の滝」。ここまでは、割と普通に下ってこられて、写真を撮る余裕もありました。

次第に沢は険悪になっていきます。ほとんど整備されていないのか、道が崩落しても放置されたままの箇所が多く、道がある所とない所がほぼ半々。道がない所では、こんな荒れ沢の中を下ることになります。
こんな所、流れの穏やかな時にしか歩けませんし、なおかつ、それなりの経験を持つ人に限られるでしょう。登山地図でここが一般の登山道(しかも何の注意書きもない)とされているのは、私の感覚では間違いだと思います。
歩けそうな所を注意深く見極め、足運びにも慎重を期して、なんとか無事故で下りましたが、何度かの徒渉では靴の中に水が入りました。メッシュ地のトレランシューズだったのが最大の原因ですが。。。

「二の滝」は、看板のすぐ左隣に覗き見るのがやっとでしたが、縮小写真では分かりにくくなってしまいました。

久しぶりにマトモな標識を見ましたが、この箇所も水量がこの程度でないと安全には渡れないでしょう。

さらに下ってから、ようやく「警告」というニュアンスが伝わる標識を見ました。
相次いでこんな標識もありました。これから登ろうとする人への警告としては十分かもしれません。
しかし、この標識の設置者は、沢は登るよりも下る方が難しいということが理解できていないのではないか? そうでないとすれば、何故山の上にこれと同じ警告を設置しないのだろうか。

この「音無の滝」が「一の滝」でもありました。その名前からもっと静かな滝なのかと思っていましたが、割と普通に瀑音が響いています。
ここまで来ると、一般観光客でも歩ける道が迎えに来ていて、ようやく緊張から解放されました。

三千院の前まで来ました。右手が境内で、左手には茶店などが並んでいます。なんかいい感じの景色ですね。

三千院では建物内が撮影禁止だったので、庭の写真が多くなりました。緑がきれいです。
赤色がひときわ鮮やかだった観音堂。中では金色の観音像が見事でした。

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