SSブログ

登り尾・三筋山 [伊豆]

2014/02/01(土)

■第276回 : 登り尾(1056m)・東猿山(1130m)・三筋山(821m)


この日の行先は伊豆半島。登ってきたのはいずれも地味な山ですが、縦走の最後に訪れた三筋山は、開放的な草原状の頂上から見渡す360度の展望があり、とりわけ山と海の両方の景色を一望できるのが楽しみでした。

なお、この日はいろいろと釈然としないこともあったのですが、ブログで書くには長くなりすぎてしまいますので、細かな話については上記リンクから詳細ページをご覧下さい。

 累積標高差(登り):1132m / 距離:18.9km / 歩行時間:5時間55分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:8時間25分 

(往路)
古淵 05:15-05:19 町田 05:33-05:55 本厚木
本厚木 05:59-06:37 小田原 06:45-07:08 熱海
熱海 07:23-08:32 河津 08:40-09:17 登尾

(登山行程)
登尾バス停  09:20
登り尾    10:55-11:05
新山峠    11:25
登山道合流点 12:05
東猿山    12:30-12:40
805mピーク  13:40-13:45
三筋山    14:05-14:20
伊豆稲取駅  15:55

(復路)
伊豆稲取 16:03-17:11 熱海 17:16-17:38 小田原
小田原 17:52-18:47 相模大野 19:05-19:20 南警察署前


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

今回は南伊豆フリー乗車券を利用しました。
バスの利用区間が短かったため、節約できた金額はたった10円に過ぎなかったのでしたが。
伊豆急線を河津駅で降りて、東海バスに乗り継ぎます。
バスの乗客は、若い女性2人組と私だけで、シーズンオフとはいえ寂しい車内でした。
登尾バス停で下車したら、すぐ先で国道から分岐する林道を歩き始めますが、道標はありませんでした。なお女性2人組は手前の河津七滝で降りていたので、私が降りた後、バスは空気だけを運んで走り去って行きました。


はじめは、やや荒れた、そして曲がりくねった林道で、緩やかに登っていきます。
4回目のヘアピンカーブの所で、カーブの外側にペンキマークの付いた木々が並んでいるのを発見します。
現在は林道が登山コースとされていますが、林道がこのあと大きく回り道をしてしまうのに対して、かつては直線的に登る登山道が存在していたので、その痕跡がないかと気を付けていたのでした。
道の痕跡は残っていませんでしたが、稀に歩く人がいるのか、所々に足跡が見られるので、旧登山道に違いありません。ペンキマークもずっと続いていて、進路にも不安がなさそうですし、ここを進んでみることにします。
このあたりまで、ひたすら急斜面が続きました。2日前の雨で地面が少々緩かったこともありますが、場所によっては手を付いて這うようにしないと登れなかったほどの傾斜です。
これほどの急坂ならば、かつて登山道だった頃はジグザグを描いていたはずですが、現在は直線状にしか適当な足場がなく、強引に登り切るしかありません。初っ端からいきなり大汗をかかされてしまいました。
しばらくすると、最初に歩いていた林道が、大回りを終えて再び接近してきていました。
現在の登山口はこの近くにあるので、間もなくそこから始まる正規の登山道が合流してくるはずです。


ところが、いつまでも登山道と出合うことがないまま、稜線まで出てしまいました。
その後も、登山道が近くを通っている気配すら全く感じられません。
踏み跡の乏しい尾根を、ペンキマークやテープなどのサインを追いながら歩くしかない状況が続きます。
標高が900m近くなり、かなり頂上に近付いた頃になって、ようやく明瞭な道が合わさりました。写真はその地点で振り返ったもので、私が歩いてきた方向は、下山時の誤進入を防ぐために地面に枝が並べられています。
一方の明瞭な道はというと、右手側から合わさるとばかり思っていたら、なんと左手側から合わさってきたのでした。ここまでの途中のどこかで一度、その明瞭な道を横切っていなければ、説明が付かないことなのに、そんな覚えは全くありません。大いに腑に落ちなかったのですが、モヤモヤがこの1度だけで終わらないとは‥‥
一旦は明瞭になった道ですが、頂上が近付いて緩斜面になると不明瞭となり、テープが頼りとなります。
登りなので、適当な場所を歩いてもどうにかなるのですが、登山道としては心許ない状況でした。


登り尾の頂上に着きました。こんな地味な山ですから、想像通り誰もいません(というか、結局この日は自分以外のハイカーを全く見掛けませんでした)。
頂上には、三角点と標識のほかは、私製と思われる道標があるだけでした。
樹木に囲まれて展望もほとんどありませんが、唯一天城山の方向だけが、少し開けていたようです。


登り尾から新山峠への道も、落ち葉が地面を覆うという季節的な要因も手伝ってか、道はしばしば不明瞭になります。テープの誘導がなければ迷わずに歩けない状況で、とても満足な登山道があるとは言えない状況でした。
新山峠に着くと、そこにはこの日初めて見るマトモな道標が立っていました。
新山峠には、「登尾循環歩道」なるものを示す標識も。しかし、登山道ですら満足な状態でなくなっている山のこと、当然この歩道も、もはや明瞭な道形を見出すことはできませんでした。


新山峠から、登山道だけを歩いて三筋山に向かうには、一旦寒天林道まで下ってから登り返すことになります。
余計なアップダウンもさることながら、距離的にも随分と遠回りになってしまうので気が進まず、この先に続く尾根筋を適当に拾いながら、直線的に三筋山遊歩道を目指すことにします。

どうやら私と同じことを考えた先人がいたのか、新山峠のすぐ近くにある999mピークまでは、地面のあちこちに人が歩いた痕跡が見られましたし、尾根を登るだけですから易しい道のりでした。写真は999mピークです。
999mピークを過ぎて下りに変わり、方角だけを頼りに進むと、間もなくこんな明瞭な道形に遭遇しました。
ここは、ちょうど地形図にも破線路が描かれている場所です。今ではほとんど歩かれなくなっているはずですが、かつての道が、地形に刻まれたまま人知れず残されていることに、なんだかロマンを感じてしまいます。

そこから1085mピークの手前までは、その明瞭な道形に導かれて難なくたどり着きます。
その後、1085mピークを前にして下り始めてしまう道形と分かれて、ピークの北西斜面をほぼ水平に巻いていくと、そこでも先人の足跡を見ることができました。登り尾と三筋山を繋げて歩こうと思ったら、やっぱり誰だって、こうしてショートカットしたくなるんだろうなぁ。


1085mピークを巻き終わり、平坦な地形を進むようになると、間もなく前方に何やら白い物が見えてきました。
白い物の正体は、三筋山遊歩道の案内図でした。すなわち、ここで登山道に合流です。
これだけ明瞭な登山道を見るのは、この日初めてです。ここから先はこの遊歩道をずっと歩くだけですから、もう何の問題もなく最後まで歩けるものと、この時は信じていたのですが‥‥
それにしても登山道って、なんて歩きやすいんでしょう。ここまで、マトモではない道ばかり歩いて来たからか、歩きやすさが身に浸みます。普段は苦手とする木段も、この時ばかりは有り難いとさえ思えました。


1130m圏のピークにはベンチが置かれていたほか、樹木の幹には私製の標識も取り付けられていました。
その標識、「らしい」には苦笑させられましたが、私にとってはここがこの日の最高点。全く名前がないよりは、少々不確かなものでも、呼べる名前があることで、記録上も扱いやすくなって良かったです。
東猿山までの登りもそうでしたが、東猿山からの下りも木段の連続で、少しでも傾斜がある所はいちいち木段になっています。登りではあまり気にならなかった木段も、さすがに下りでこれだけ続くと気が滅入りました。


ほどなく、前方に道路と駐車スペースが見えてきました。「林道分岐」という地点まで来たようです。
「林道分岐」には東屋も建っていました。この、のんびりとした雰囲気が、まさかこの直後に激変しようとは。
「林道分岐」のすぐ先で再度登山道に入る地点には、風力発電施設建設に伴う通行止の看板が立っていました。
案内されている内容は、事前に東伊豆町のウェブページで確認していたものと同一で目新しさはなく、ここで改めて読み直してみても、昨年12月から今年2月までが通行止期間外であることに間違いはありません。
それにしては、入口をロープが完全に塞いでいるのが腑に落ちないのですが、すぐ横に立つ看板が現在を通行止期間としていない以上、ロープによる封鎖に従う理由はないと判断しました。きっと昨年11月に工事を一旦中断した際に、ロープを外し忘れただけなのだろうと解釈して、あまり深く考えずに工事区間に足を踏み入れます。
登山道を少し進むと、間もなく工事区間に入ります。すると目の前には、本来あったはずの山肌がズタズタに切り裂かれた、こんな光景が広がるようになりました。とはいえ、このあたりの稜線一帯に、計21基もの巨大風車を建設しようという大工事であることは知っていましたから、このくらいはまだ想定内です。

ところが耳を疑ったのは、次第に進行方向から重機の発する工事音が聞こえるようになってきたことです。
掲示されていた工事期間が変更されたのか、なんとこの日も工事は行われていたのでした。これでは、事前に入念な下調べをして、通行止期間外に合わせて計画してきた意味など全くなく、腹立たしさすら感じます。
進むにつれて、実際に重機が作業している場所も出てきます。こちらにも言い分があることなので、構わずに通り抜けましたが、結構離れていたのにクラクションを鳴らされたりして、歩行者はすっかり邪魔者扱いでした。
元々あった登山道を潰して、工事用道路があらぬ方向に伸びたり分岐したりしているのに、歩行者用の案内はほとんどが取り払われていて、どうやら工事する側としては、完全に通行止め中というスタンスらしかったです。
そんなわけで、地図とGPSを確認しながら歩かない限り、本来の登山道の位置をトレースすることも不可能なのでした。もしもそれらの用意もなく工事区間に突入していたら、進路が分からずに戸惑ったことでしょう。


しばらくは、肩身の狭い思いをしながら、こんな景色の中ばかりを進みます。
途中にある「展望所」は、工事による魔の手からは逃れていて無事でした。
展望所から進行方向を見ると、この先の稜線上も風車建設のための道路工事がずっと続いている様子が良く分かりました。中には重機の音が盛んに出ている場所もまだ何箇所かあるようです。ちなみに手前のピークは次に向かう805m峰で、その左奥が最終目的地の三筋山ですが、そこまで制止されずにたどり着けるのでしょうか。


805mピークも、頂上に風車を立てる計画はない模様で、頂上部だけは工事の影響もなく無傷でした。
ピークでは360度の展望が得られました。こちらは東側を中心とした眺めで、天城山はほぼ真北、三筋山は南南東ですから、180度近い範囲を1枚にまとめたことになり、ブログの横幅に合わせた写真は小さくなりました。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
東西方向に連なる天城山は、南側から見ると真横からの姿となって、堂々とした山容が良く分かりますね。
そして天城山のさらに東では、目障りな風車がズラリと立ち並ぶ尾根が目立っていました。
今いる三筋山一帯も、近い将来にああなってしまうのかと思うと、とても残念です。
805mピークから、次に向かう三筋山を望みます。この写真の範囲は比較的平穏に見えますが、写っていない鞍部一帯では、やはり工事が大々的に進行中でした。


幸いにも、805mピークと三筋山の間は、稜線上は概ね無傷で、大半の区間で登山道を歩くことができました。
最後に登り詰めた三筋山は、広くて開放的で伸びやかで、居心地の良い草原状のピークです。
三筋山の頂上には、ちょっとした展望台があって、それぞれの方角の展望図が添えられていました。
三筋山からの展望も360度で見応えがあり、山だけでなく海が広く見渡せるのも魅力に感じました。
こちらは北側を中心とした180度以上の範囲を1枚にしたもので、馴染みのある山は少ないながらも、天城山や伊豆山稜線など、伊豆半島核心部の山々をズラリと見渡せているさまが壮観です。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
天城山のアップです。右手前に見えているのは、伊豆天城ハイランドの別荘地ではないかと。
こちらは東側の展望。海側の眺めが霞んでいるのが残念だったのですが、なんとか伊豆大島も見ることができました。(画像にマウスオンすると、伊豆大島の位置を示します)
そして南側を見ると、ぼんやりとですが、下田の先にある爪木崎まで見渡すことができていました。


いつまでもいたくなるような雰囲気に名残惜しさを感じつつ、三筋山の頂上を後にします。
三筋山からの下山方向にも、開放的な草原と爽快な眺めが続いていました。
絶景ポイントがあるというので、矢印が示す先の小高い丘に登ってみると‥‥
海側の景色を、三筋山からよりも広範囲に見渡すことができました。
海の青さが、もう少しクッキリと鮮やかに見えていたらなぁ。せっかく空気の澄んだ冬を選んで来たのに。。。
  ※下の写真は山名ガイドを入れた縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。


三筋山は、すぐ下まで車道が延びてきていて、なんと頂上から10分もかからずに、車道に降りてしまいます。
ということで、三筋山からの下山はほとんどが車道歩きなのでした。
こうして景色が爽快なうちは、あまり苦には感じないのですが、さすがに700mに及ぶ標高差をすべて舗装道路で歩くのは結構辛かったですし、こちら側から登ろうという気にもならないと思います。
しばらくは、一面がススキの斜面を下ります。ススキが見頃の頃には、素晴らしい景色が広がりそう。
下る途中で三筋山を振り返ると、見渡す限りススキという眺めが圧巻でした。


ススキの斜面を下り切ると、あとはほとんど見所のない車道歩きが延々と続いて、とても長く感じましたし疲れましたし、なかなか退屈でした。
長い車道歩きの中で唯一の見所が細野湿原だと思っていたのですが、湿原自体は小規模で、しかも冬枯れの今の時期には特に見るものもなかったようです。でも、三筋山を背景にした大らかな景色は素晴らしかったです。
まる1時間車道を歩き続けて、ようやく伊豆稲取駅が見えてきました。
本日のゴール、伊豆稲取駅です。


朝に乗ったのは普通のボックスシートの電車でしたが、帰りは「リゾート21」が来ました。
「リゾート21」はこのように海側を向いたシートが特徴で、これでも普通電車として運行されています。
夕刻が近付いて、海側の眺めはくすんだ色合いになっていましたが、最後まで景色を広く楽しめたのは良かったです。左端に写っているのは初島。

タグ:伊豆
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:スポーツ

城山・葛城山・発端丈山 [伊豆]

2013/01/12(土)

■第247回 : 城山(342m)・葛城山(452m)・発端丈山(410m)


先週の秩父が寒かったので、今週は南に行こうと決めていて、伊豆半島の付け根にやって来ました。
今回縦走した3つの山々は、標高こそ低いものの、頂上では揃って雄大な展望が開けています。
富士山や天城連山のほか、南アルプスまで見渡せて、空気の澄んだ冬ならではのパノラマを楽しんできました。

中でも特筆すべきは、海に近い山でこその、山と海の両方が織りなす美しい風景に溢れていたことでしょう。
青く輝く海、白砂青松の田子ノ浦の海岸線、そして雪を抱いた富士山と、3拍子揃った眺めはもう絶品でした。

 累積標高差(登り):809m / 距離:11.2km / 歩行時間:3時間15分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:5時間0分 

(往路)
南警察署前 06:16-06:30 相模大野 06:39-07:30 小田原
小田原 07:36-07:59 熱海 08:05-08:18 三島
三島 08:31-09:02 大仁

(登山行程)
大仁駅   09:05
城山    10:10-10:20
葛城山   11:10-11:30
益山寺   12:20-12:30
発端丈山  12:45-12:55
長浜バス停 13:20

(復路)
長浜 13:24-14:01 沼津 14:23-14:43 熱海
熱海 14:50-15:11 小田原 15:25-16:17 相模大野
相模大野 16:30-16:45 南警察署前


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

伊豆箱根鉄道の大仁駅で下車。終点・修善寺の2つ手前です。駅舎の背後に見えるのが、まず最初に登る城山。
駅前ロータリーの中央で湯気が上がっているので、何だろうと思ったら、大仁温泉の湯が引かれていて、足湯と飲泉ができるようになっていました。ここが帰りの駅だったら、電車を待つ間に利用できたのになぁ。


国道に出ると周囲から建物がなくなって、目の前には荒々しい岩肌がむき出しの城山が立ちはだかります。
ロッククライミングのゲレンデとして人気の山ですが、登山道も付けられていて、普通に歩いても登れます。
駅から25分ほど車道を歩いて、登山口に到着です。そそり立つ岩壁がもう目の前でした。


岩山らしく、登山道とはいえ岩がゴロゴロした中を進みます。
枯れ沢の中を歩くような具合の箇所が多くて、雨中・雨後などは川の中を歩くことになりそうでした。
2回ほど、クライミングルートへの分岐を見送りました。
分岐点のすぐ上から人の声が聞こえてきたりしたので、準備中のパーティーがいるようです。
登山道からも、何度か垂直の岩壁が見られました。まだ壁に取り付いている人はいないようです。


葛城山へ向かう縦走路と、城山頂上へ往復する道との分岐点。登山口から30分ほどかかりました。
登山道は、城山の南面全体に広がる岩壁の基部を巻くように進んで、城山の西の肩を目指してきた感じです。
城山頂上への道は、はじめは穏やかでしたが、そこはやはり岩山。頂上が近くなると岩道っぽくなります。
道の両脇にはウバメガシが生い茂り、いかにも南の山という雰囲気を醸し出していました。


城山の頂上に着きました。すぐ手前で6人ほどのパーティーとすれ違っていて、ほかにも人がいるんだろうなと思っていましたが、幸いに無人です。狭い頂上なので、ほかの人を気にせずに歩き回れるのはラッキーでした。
歩いてきた西側は樹林ですが、岩壁がすぐ下まで迫る東側と南側は大きく開けていました。
北側も、富士山までは良く見えていました。この時間はまだほとんど雲がなく、スッキリとした姿です。
富士山のすぐ手前で、愛鷹山が富士山とほぼ一体化していて、さらに手前には1年前に登った沼津アルプスも。
南側に見えているのは天城連山の核心部。中央付近の一番高いピークが主峰の万三郎岳です。
縮小していない写真は【こちら】です。
四等三角点は、岩に直接埋め込まれた珍しいタイプ。天辺の丸い金属プレートに名称等が刻印されていました。


分岐点まで戻って、葛城山へ向かう縦走路に入ります。するとしばらくは穏やかな道でした。
少し登って林道に出ると、路肩には車がズラリと並んでいました(ここに写っているのはそのほんの一部)。
こんな所からでは、自分の足で登る分はいくらもないので、ロープウェイ代を節約したい観光客のものでしょうか。頂上に立てればそれで良くて、山を歩くことにあまり興味がなければ、まぁ仕方のないことですね。
すぐ左手を見ると山道の続きがあって、林道はちょっと横切る程度でした。


少し進むと分岐点に出て、この標識を見ますが、「出払い」なる現在地名が初見なのは差し支えないとしても、「内山」も「外山」も意味不明で、標識の役目を果たしていません。全て地元でしか通じない地名なのでは?
親切な誰かが「外山」の下に「かつらぎさん・発端丈山」とマジック書きしてくれていて助けられましたが、それがなければ左右どちらに進むべきか迷うところでした。
このあたりでは、同じ体裁の標識をいくつも見掛けました。
先程の分岐標識は少しだけ残念でしたが、でも地元の人たちの、山を愛する気持ちが伝わります。


山腹道をしばらく進んで、葛城山の背面登山口に出ました。ここからは、写真右上に延びる踏み跡を追います。
標識を良く見ると、うっすらと消えかかって「やめな危い」「急登」といった書き込みが。
でもヤマレコなどの情報によれば、山慣れた人が、少なくとも登りで歩く分には、さほど問題がない模様です。
ということで、構わず登ってみました。最初からかなりの急登ですが、はじめはまだ普通に歩けています。
が、写真を撮る余裕があったのは最初のうちだけ。次第に傾斜がきつくなると、地面もガレていたり、脆くて崩れやすかったりして、しばしば立ち木に掴まりながら登りました。この道は下りには使わない方が賢明です。


急斜面の途中ではひと息つけるような場所もなく、ずっと登り続ける感じでしたが、標高差は150mほど。
20分ほどで急に開けた場所に出たら、もう頂上は目の前で、観光客の話声なども間近から聞こえてきます。
ここはパラグライダーの滑空場らしく、この写真の背後には風向・風速計を付けたヤグラが立っていました。
その先は直接には頂上を目指さず、ピークの東面をトラバースするように進んでから、遊歩道に出ました。
ここはΨ字状の分岐点。写真中央と右側の石段は整備された遊歩道ですが、出てきたのは左側からでした。
ここから出てきたのですが、頂上側には登山道の案内がないばかりか、「立入禁止」のテープが塞ぎ、「関係者以外通行禁止」の木札まで立っていました。やはり、この道を下るのは勧められていないようです。


「順路」の標識に従って、2つ前の写真の中央の道を登ると、すぐ上が葛城山の南峰です。
展望図のあるテラスに立つと、南側を中心としたパノラマが広がっていました。こちらは天城連山。
西側には、2回に分けて歩き通した伊豆山稜線が並んでいます。こちらは稜線北部の金冠山や達磨山のあたり。


そのすぐ北側には別のテラスがあって・・・
そのテラスからは富士山が眺められました。
全国各所にある、この歯の浮くような薄っぺらいネーミングの地名はどうにかならないかと思いますが・・・
それ以上に目を覆いたくなったのが、この見苦しい落書きの数々。低俗な地名に釣られてやってくるのは、所詮その程度の人たち、ということでしょうか。
すぐ脇には、「縁結び」と書かれたハート形の絵馬が多数あって、こちらは真摯な思いが伝わってくるものでした。周囲からも歓迎され祝福される恋人になりたいのであれば、個人的な思いはこうしたものに記すにとどめて、決して公共物を汚したりはしないもの。実際にこの絵馬を書いた人の多くがそうしているはずです。
テラスを降りた一段下からは、白銀の峰々がズラリと並ぶ南アルプスを眺められました。
下は縮小写真に山名を記入したものですが、フルサイズの写真は【こちら】です。


南峰から遊歩道を歩いて、北峰に移動してきました。葛城山の頂上となる最高点はこの上です。
ここでも、やはり展望の主役は富士山。ちょうどこの頃、山頂は笠をかぶっていました。
頂上の展望台からは、西の南アルプスから北の箱根の山々までが一望できる大パノラマが楽しめました。
縮小していない写真は【こちら】です。
観光地だけあって、三角点も解説が書かれた石碑付きの立派なものでした。


北側に少し下ると、ロープウェイの山頂駅に出ました。周囲には売店や食堂があり、駅前の展望デッキからの眺めも良かったです。もう少し過ごしやすい季節のほうが賑わうのでしょうが、展望を楽しむならば今ですよね。
展望デッキには「絶景 富士見の足湯」があって、展望を見ながら暖まれるようになっています。が、この写真は構図を失敗して、肝心の富士山が足湯の屋根に隠れてしまいました。。。
西から冷たい強風が吹き荒れていたこの時、さすがに利用者はいません。実は帰宅後に調べたところ、その強風のため13時以降はロープウェイの運行が中止されていたのですが、取り残された人はいなかったのでしょうか。


頂上からは東西の両方向に下山路がありますが、「小坂みかん園方面」と案内された東側の道を下ります。
頂上からの下り口には、もっと大きくて目立つ標識があったのですが、写真を取り忘れていました。
東側の下山路は、ぐるっと大回りするように下ります。距離は長くなりますが、それだけに傾斜は緩やか。
途中でロープウェイの下をくぐります。ロープウェイが下る先は伊豆長岡温泉街。


15分ほどで舗装された細い道に出ます。下山方向は右ですが、このあとさらに発端丈山を目指して左折します。
少し歩くと、葛城山西側の下山路が下ってきました。こちらは少し急で、上部には歩きにくい箇所もある模様。
その先はしばらく舗装路を歩きます。次に山道に入るのは、舗装路が右に急カーブして下り始めるこの地点。


山道を少し登ると分岐点に出て、右折して発端丈山に進むと、次第に植林の中の道になりました。
 (その分岐点を左折すると、すぐに先程までいた葛城山の背面登山口に出ます)
穏やかな道が続いて、益山寺への分岐点。片道10分ほどなので、ここから益山寺に寄り道していきます。


益山寺は、平安時代の弘法大師による創建と伝えられます。ひっそりと山中にたたずむ古刹は、着いた時は全く人の姿もなく、閑けさそのものでした。悠久の歴史にしんみりと思いを馳せるには、やはりこうでなくては。
境内には、樹齢800年を超える大楓(左)と、同400年近い大銀杏(右)という、2本の巨木が並んでいました。
これだけ幹回りが立派だと、ただ見ているだけでも圧巻ですが、紅葉の頃はさらに見事らしいです。


分岐点まで戻って、最後のピークとなる発端丈山へ向かいます。すると道幅が広がって遊歩道っぽくなりますが、意外に傾斜がきつく、疲労が溜まった足には少しこたえました。
発端丈山に付きました。着いた時は5人のグループがいましたが、ちょうど下山しようとしていたところで、すぐに私だけの頂上となっています。
発端丈山からも、富士山がきれいに眺められました。ただし南アルプスなど遠方は、そろそろ霞み気味です。
先程までいた葛城山です。肉眼では、左肩にあるロープウェイの駅や展望台などの建物が良く見えていました。


頂上からは海が見えませんでしたが、下り始めて2~3分すると海側の展望が開けて、そこで見たものは‥‥
青く輝く海面、美しい孤を描く海岸線とそこに延びる緑の松林、奥には雪を抱いた富士山という絶景でした。
冒頭の写真と同じものですが、この日見た中で最も印象的な風景だったので、もう1回載せてしまいます。


長浜・三津方向に下る道は、一貫して急降下が続きます。所々にはロープが下がる箇所もありました。
この日は地面が乾燥していて問題なく歩けていますが、雨後などで滑りやすいと泣きが入りそうな急坂でした。
少し下ったところには、小さな「展望台」がありました。
展望台からは、海が大きく見えていました。その向こうの南アルプスも、まだ辛うじて見えています。
縮小していない写真は【こちら】です。


かなり下ったところに、今度は「見晴台」が出現です。
いよいよ、大海原がすぐ眼下にまで迫ってきました。今日も無事に下山できそうです。
やがて登山道は、みかん畑などの中に入っていきます。


長浜バス停に到着しました。道路は海岸線スレスレを通っていて、バス停背後の護岸壁の下は、すぐに海です。
バス停に立つと、目の前にはこんな景色が広がっていました。この景色を見ながらバスを待ちます。

タグ:伊豆
nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:スポーツ

奥沼津アルプス~沼津アルプス [伊豆]

2011/12/31(土)

■第220回 : 奥沼津アルプス~沼津アルプス 縦走


年の瀬も押し迫ったこの日は、「奥沼津アルプス」と「沼津アルプス」を繋げた全山を縦走してきました。
名前こそ「アルプス」ですが、標高は最高峰の鷲頭山でも400m足らずしかなく、全8ピーク中半数の4ピークはなんと100m台という、標高だけを見るとアルプスの超ミニ版に過ぎません。
しかし標高が低いからと侮ることなかれ、多くの山は急登して頂上を極めた後に急降下が待っていて、その傾斜のキツさも半端ではなく、とにかく厳しい登降が繰り返されるルートなのです。

このため、尾根で結ばれた一連の山々を縦走しているというよりも、別々の山を次々と登っていくという印象に近かったほど。体力の消耗度は、本場のアルプスに匹敵するかそれ以上のものがあり、補助ロープを頼りに登降する急斜面が頻繁に現れることで、これまでに歩いた中で最も腕力を駆使するルートとなりました。

 累積標高差(登り):1391m / 距離:15.2km / 歩行時間:5時間25分 (休憩除く) 
(参考) 同コースの標準時間:7時間40分 

(往路)
南警察署前 06:16-06:26 相模大野 06:39-07:30 小田原
小田原 07:36-07:59 熱海 08:05-08:18 三島
三島 08:31-08:47 原木

(登山行程)
原木駅  08:50
茶臼山  09:25-09:30
大嵐山  09:50-10:05
大平山  11:15-11:25
鷲頭山  12:00-12:10
小鷲頭山 12:15
志下山  12:45
徳倉山  13:15-13:25
横山   13:50-13:55
香貫山  14:30-14:40
沼津駅  15:15

(復路)
沼津 15:30-16:56 町田 17:03-17:25 長久保


大きなマップで見る(Googleが運営するFirebaseのサイトに遷移します。※上に埋め込んだマップも同サイト上のものです)

スタートの伊豆箱根鉄道線・原木駅。大晦日だからでしょうか、電車はガラガラで、この駅で降りたのは私だけでした。
すぐに石堂橋で狩野川を渡るのですが、この時間、まだ富士山は頂上近くまで見えていました。
鉄橋のトラス構造越しに写したので、ちょっと分かりにくいですが・・・


登山口に着きました。駅からは10分ちょっとです。
しばらくは登山地図の破線ルートです。特に最初はササなどが鬱蒼と茂っていて、あまり快適な道ではありません。
一応、人ひとりが通れる幅は刈り払いされていますが、こんな風にトンネル状になっていた箇所も。


最初のピークとなる茶臼山の標識はここにありました。ただ、奥に写っているササの中を下ってきたところなので、頂上はこの写真の上端付近だった模様。
茶臼山の先で、さっそく急坂が始まりました。まだ傾斜はさほどでもありませんが、足元が落ち葉で滑って定まらないので、補助ロープを片手に下ります。


大嵐山に着いた、と思ったら、行く手が柵で塞がれていて、その柵の下をくぐってから振り返りました。
大嵐山の頂上は広々としていて気持ちの良い場所でした。
三角点は展望台のすぐ脇に埋まっていました。
富士山は中腹以上が雲で隠れて、辛うじて裾野が見えているだけ。ほんの1時間前は、頂上近くまで見えていたのに。
左側に愛鷹山が写っていますが、雲がなければ、その上に重なるように富士山が見えているはずなのです。


大平山へ向かう道も、柵が塞いでいます。見えている柵の切れ間に人が通れる幅はなく、柵を乗り越えて進みました。
大嵐山~大平山の途中には、なかなかアクロバティックな一帯があって、中にはこんなハシゴを下る局面も。
このハシゴの前後にも少し険しい道が続いていて、この日最も慎重さが求められた箇所でした。


大平山に着くと、向かい側から一般登山道に迎えられたおかげで、いきなり道案内が親切になりました。
あまり展望のない頂上ですが、南側の眼下には、駿河湾に浮かぶ淡島が見えていました。


大平山~鷲頭山の間は、しばらく岩尾根が続きますが、傾斜が急な箇所はなく、足場もしっかりしています。
ちょっとしたスリルを、あまり危険を感じずに楽しめるような道になっていました。
このルートの最高点となる鷲頭山は、見晴らしの良いピークでした。標識の先は海です。
鷲頭山の先も最初は急降下でしたが、それが収まると穏やかな道になりました。気持ち良く歩ける箇所なんて、この日初めてです。
小鷲頭山からも、海がきれいに眺められて、少し遠くに田子の浦が見えてきました。


小鷲頭山の先では、ほぼ垂直に降りるような急降下が長く続きました。
馬込峠の前後には、ビューポイントが何箇所かありました。急降下してきたおかげで、海面の高さが近いです。
このあたりは、逆ルートで歩いていれば、常に前方に海を見ながら歩けるような具合でした。


志下山も、海の眺めがきれいなピークです。
徳倉山への登りも、2段階にわたって補助ロープを頼るような急登区間が現れます。
足の筋肉はまだ頑張っていますが、普段あまり使わない手の筋肉が先にパンパンになってきました。


徳倉山は、芝生のような地面が気持ちの良いピークで、展望もなかなかです。
条件が良ければ、愛鷹山の上には富士山が重なるのでしょう。
田子の浦の松原がきれいに見えていました。


徳倉山の先では、かなり厳しい下りが長く続きました(下る途中で上を振り返っています)。
一応は階段状になっていますが、所々に滑りやすい箇所があって、手すり代わりに架けられたクサリに助けられました。
横山は展望のない狭いピーク。普通なら素通りするところでしょうが、急登の後なので5分ほど休憩して息を整えます。
横山からも補助ロープを頼る急降下が続いて、ついに車道の高さまで下ってきました。


少し車道を歩いて、ゴルフ練習場の脇を通り、ここから再度山道に入ります。
最後の登りが木段というのも、体力的になかなか厳しいものがありました。


香貫山の頂上部は電波施設の敷地が幅をきかせていて、人が憩える場所はありません。
頂上の標識も、施設脇の殺風景な場所で窮屈そうに立っていました。
その代わり、西側に隣接するピークには展望台があるので寄っていきます。
こちらも遠目には単なる電波塔にしか見えていなかったのですが、「展望台」という案内を見て近付いてみると、なんと登れるようになっていました。
愛鷹山に重なって見えるはずの富士山は、とうとう裾野すら見えなくなっていました。
ここまで越えてきた山々です。左端で少し遠目に見えている茶臼山から歩き始めた尾根は、右寄りの奥で一番高く見えている鷲頭山から手前へ向けて折り返し、左手前へと延びた続きが現在地となります。
こちらは駿河湾の眺め。田子の浦の松原がきれいに続いています。


下りは香陵台経由で。この五重塔は沼津市慰霊平和塔でした。
登山口まで降りてきました。近くには黒瀬バス停もありますが、沼津駅まで歩いてしまいます。
沼津駅からは、小田急線直通の特急「あさぎり」号でゆったり座って帰ります。
3月のダイヤ改正後はこの駅まで来なくなってしまうので、沼津から乗るのはこれが最後になるのでしょう。
駅前には、沼津アルプスの案内図もありました。今回のコースの後半部分が描かれています。

タグ:伊豆
nice!(0)  コメント(5) 
共通テーマ:スポーツ